>再読の最多記録は?(やはり「ドグラ・マグラ」?)  ドグラ・マグラの3回ですね。  詩集を除けばですけど。 >ずばり、海外でお好きな作家は?  サリンジャーですね。  ミステリィでは、ラヴゼイかデクスターかな?  最近の人では、ハンドラー。 >森先生,お好きな詩人は?(さしつかえなければ)  ランボー、三好達治、啄木くらいかな。 >最近1年間でお読みになった小説のベスト3をお教え下さい。(1998年 1月 30日)  No.1はサマーアポカリプスです。  ちなみに、日本のミステリィで  No.1は、バイバイ、エンジェルです。  自分の作品は除外してですよね?(笑) >クリスティ作品に限定した場合、No.1はどれになるのでしょう?。  初期のものはたいてい好きです。ABCとか、もちろんアクロイドも。  で、新しいところでは、「予告殺人」(だったかな?)なんか好きですね。 >以前お好きだったとゆー筒井康隆では、ベスト1は(一冊でなくって善いです)なんですか?  筒井康隆は日本のベストです。一番好きなのは、ロマンティック街道 >森先生はミステリィの何処に惹かれますか?  やっぱり、普通の小説に比べて考えるところが少なくて  簡単だからじゃないでしょうか。ちゃんと解決して嫌に  なるほど説明があって、これ以外にないよ、みたいに  押しつけがましいから、面倒臭がりな時間にはぴったり。  旅行でいったらパックみたいなものです。  ちゃんとした文学とか、考えてしまって難しくて、  体調良くないと読めませんものね。つまり、娯楽です。  でも、ちょっとだけ、考えたい気持ちもあったりします。  だから、お手軽過ぎるものは遠慮しています。 >森先生は「虚無への供物」をもうお読みになったようですが、 >いつ頃お読みになったのでしょう? >もしよろしければ感想などをお聞かせいただけないでしょうか?  読んだのは、半年まえ、今年のお正月ごろだったと思います。  感想は、「大変、面白かったです」 >「ドグラ・マグラ」「虚無への供物」「黒死館殺人事件」「匣の中の失楽」(通称:四大メタミステリィ)について  「黒死館殺人事件」以外は読みました。同作者の他の作品を  読んでつまらなかったので、今のところ読むつもりはありません。  日本のミステリィの最高傑作は「ドグラ・マグラ」だと思っています。  高校生のときに初読し、10年の間隔で3回読みました。  夢野久作で読んでない作品はないと思います。  「虚無」と「失楽」は最近になって読みました。  両者とも面白かったですが、「ドグラ・マグラ」とは比較になりません。 >先生は、これから読む小説を、どういうきっかけで選択されているのでしょうか?  衝動買いです。作者を知っていれば作者。そうでなければ、  タイトルで選びます。中を読んで買ったことは一度もありません。  また、書評とか他人の意見はまったく参考にしません(笑)。 >慢性的な積ん読本はありますか?  これまではありませんでした。自分のお金で買った本は必ず  すぐ読みました。読む時間がないときは買いませんでした。  最近は、どんどん本が送られてくるので、溜まる一方。  ハードカバーはどうも読む気がしないというのは習慣ですね。 >森先生のSFの定義はどういったものでしょうか。  森は定義をしません。それが答です。  フィクションのほとんどはミステリィだと思っていますし、  その半分はSFかな。つまり、境界をきっちりと分けよう  とは思っていません。単に雰囲気ですね。 >森先生のベスト(あるいはフェイバリット)SFはどの作品ですか。  SFはほとんど読んだことがありません。 >海外ミステリィは日本語に翻訳されたものですか?   シャレードだったか、関ミス連でも答えましたが、原文で読んだことが  あるのはポーだけです。  翻訳ものの文章は、日本語を読んでも、「ああ、ここは英語でこう書いて  あるんだろうな」とときどき自分で変換してしまうので、得ですね。  つまり、日本語が少々つたないとか、冗長な表現でも、許せてしまうの  ですよね。特に翻訳者がどなたかは意識していません。訳によって雰囲気  がそれほど変化するとは考えていません。  日本語として表現が冗長でも、「ああ、関係代名詞を使って書いてあるんだな」とか、  倒置表現も、「英語なら普通かな」とか、その程度の想像です。  特に、論理的な説明の場合、英語は明確で、日本語のように極端に説明口調に  ならなくても、厳密に書けるわけです。「過去形で言った」なんてのが問題になったり、  「複数形」とかも。どの文どの文にかかっているのかも、日本語は曖昧です。  探偵が推理を披露するところは、英語の方が楽でしょうね。  「幻惑の死と使途」が、「幻惑の死」と「使途」なのか、  「幻惑の死」と「幻惑の使途」なのかどうかは、「幻惑」  が複数形かどうかで、英語ならすぐわかるわけです。  例えが悪いなあ・・。  蛇足ですが、書評を書かれる評論家よりも、翻訳者の言葉の方がずっと  重いですね。やっぱり、読んでいる回数の差でしょう。 >「このデザインがすばらしい」と思われた本はありますか?  ありますよ。画集なんかが多いですけど。思い出せないけど。 >お気に入りのデザイナーさん(ブックデザイン・カバーデザインの)  いえ、特に。 >その装丁を含めて気に入って買われるのだと思いますが、 >処分するにしのびない本って、やっぱりあるのでしょうか。 >その装丁から見た、今ある本のベスト1は何ですか?  単行本を装丁で買ったのは2回だけ。だから、ベストツー。  埴谷雄高の「死霊」と山口雅也の「ミステリーズ」です。  本が溜まって苦しいのは雑誌ですよ。小説なんかいつだって手に入るもん。  絶版になるものは面白くないやつだしね。雑誌はとにかく貴重。 >森さんが小説を読むときは速読なのでしょうか、舐め読なのでしょうか。 >あと詩集のときは? 好きな詩集はやっぱき読み返してるうちに >暗記してしまう、ってゆう読み方なんでしょうね。  森はノベルズだと、1時間に30〜50ページ  の速度で読みます。だから、1冊10時間はかけ  ますね。速読しないし、再読もしません。  詩集も同じ。読み返したりしません。  読んだら捨てるんです。だいたいは。 >ある本を読んだかについて「読まなかった」と云ったことのフォロー  言っておきますが、読んで最高につまらなかった作品、  途中で投げ出してしまった作品を、森は「読まなかった」  と言います。  「読んだけど面白くなった」とは言うことは、  「私にはその作品を理解する力がなかった」と言う  のと同義です。したがって、  それを言いたくない作品に対しては、  読まなかった、と言う以外にありません。 >きっと、そういう作品いっぱいあるんでしょうね。  ありますが、絶対にいいませんし、本は即捨てます。  面白いと思ったものも、二度と読みませんから、だいたいは  捨てますけど。万が一読みたくなったら、また買います。 >森さんも、本にはカヴァー派ですか?  森は自分の本をちゃんと本屋さんで買っているんです。  10冊はただで講談社からもらえるんですが、  いろいろな人にあげちゃうとなくなりますよね。  で、いつも、三越とかで買ってくるのです。講談社で買うと安いけど、  送ってもらうの悪いし。  で、森はカバーはたいていつけません。鬱陶しいです。  あの帯も嫌いです。やめてほしいです。でも、駄目みたい。 >森さんは読みかけの本を携帯する習慣って、ありますか?  常に携帯しています。で、読み終わったら捨てます。 >何冊もの小説を並行して読みかけの状態でいるってことってあるのでしょうか。  ありません。常に1冊しか読みません。 >森先生は、書店でかけてくれるブックカバーをどうしていますか?  断って、カバーをつけてもらいません。 >「しおり」はどうしておられますか?  使いますよ。ないときは、ページ数を覚えます。 >森さんは、読みかけた小説は一気に読み終えてしまわれる方でしょうか。 >途中でほかっておいて、かなりのインターヴァルをとったのちに >残りを読む、とかいうことも あるのでしょうか。  1日で読むことはまずなくて、だいたい1週間で、間に4、5日  間があくことはしょちゅうです。1ケ月くらいでも気になりません。  前を読み直すことはしたことがないです。2度読みも経験ないです。 >森先生は本を買うときに何を基準に買いますか?  作家が一番、初めての場合は、タイトルと表紙です。 >また、そうして選んだ場合での「読んで良かった、面白かった」と >満足に思われた本はどれくらいありますか?  そうしないで選んだことがないので優位性は数字で比較できませんが、  やはり、「良い内容のものは、編集者も気張って装丁をデザインする」  という現象があるようですから、まんざらでもないです。 >逆に絶対読みたくないタイトルとかの方が聞いてみたいですね(笑) >「あなたもこれで英語がぺらぺら!! > ド0ッピーの大冒険!」とかですか(ってそれ本じゃないか。)  そうですね。あとは・・、  「猿でもできる対人関係」とか「私はこれで超整理法を止めました」  とか・・、あ、これ読んでみたいな・・。  超整理法とかもそうだし、テレホンショッピングのなんとか収納具もそうだけど、  ああいうの見て思う一言は、「あ、整理できるの!  へえ・・、君の人生って、単純なんだ」ですね。 >哲学(や心理学)関係の本も読まれるそうなんですが >(と、どっかで読んだような気が・・・)、 >例えばこれまで、具体的にどういったものを読まれましたか?  どこかで読んだような気がするだけだったりして(笑)。  えっと、捨ててしまったので、本の名前は覚えていません。  (本の名前に価値があるとは思えないから)  岩波の新書が多いですね。  昔の本ですが、「野性の思考」などは・・、哲学じゃない?  読んだのは20年まえです。記憶していないのは、面白くなかったからですよ。  面白いものは記憶します(笑)。現に「野生の思考」は捨てていません。 >森先生が評価しておられるコピーライター >もしくは印象に残っているキャッチコピー  これも特にありません。いいな、と思ってもライターの  名前も知りませんし・・。 >森先生は「あとがき」を書かれませんが、どうしてですか?  あとがきを書かない確固とした理由がありますが、どこかでちゃんと書きましょう。  ここで、簡単に書くと誤解されそうですけど・・。  HPをわざわざ見に来てくれる方には問題がないのですが、  そのように作者にアプローチする読者は、全体の1%に過ぎません。  残りの99%はお話をお話として楽しむので作者など出ない方が良いのです。  というような理屈です。もう少し複雑ですけどね・・。  ちなみに森自身は、作者の解説とか読みたくない読者です。  事実読まないことが多いです。読んで、良い思いをしたことはありません。  たいてい、幻滅します。  作者の解説が読みたい読者の存在を否定してはいませんよ。  そういう方のためにこのHPを公開しています。  森が読者だったら、作家のHPを見にいったりしません。  見に来た方には、見せよう、という意味でここを作っております。 >それは、作者に対してですか?作品にですか?もっと別の何かですか?  作品を読んで抱いたイメージが、です。  ゴジラを見た直後に、特撮の種明かしを見せられるのと同じ。  他の人が作品を開設するのは良いですが、作家本人が出てきて、  自作を語られると、「ああ、作りものか」という幻滅を感じます。  わかってはいるのですが、もう少し夢を見ていたい、という気持ち。 >私は森先生との出会いは、本よりHPが先だった、 >という奇特な人なので、何ともいいようがないのですけど。(笑)  自分と同じでない人を排斥することはしません(笑)。  森はそういう読者ではありませんが、作家にアプローチする読者  の存在も知りました。ですから、このHPを運営しているのです。 >タイトルについて  一つのタイトルを決めるには、何日も考え、調べ、  人にも聞いて、候補は20くらいから絞り込みます。  ただ、そういった苦労をしらない方が良いという方もいます。  これとこれとこれから、選んでこれになった、という苦労談は、  えてして、作品が「つくりもの」であることを再認識させるものです。  難しいことですが、人によっては・・、という判断でした。 >…そういえば、森さんご本人は「あとがき」もお嫌いな、 >冷めるのを避けたいタイプの読者でしたね。  天才的な作家に触れると、それを感じます。  作家が苦労したとは思いたくないのでしょう。 >森さんは、ミステリィを読むときに「作品の向こうに作者が見える」のは、 >やはり フィクションに没頭できない、ということで嫌われるのでしょうか?  作家を見ていることは確実です。最終的には作家の才能に惚れるのです。  しかし、その「言葉」、その「情景」が、どのようにして作られたかを  見ることは、その才能を「技巧」として捉える行為です。  森は、才能に「技巧」を越えた「力」を求めます。  それは、「技巧=やろうとしたらできること」と、そうでないことの違いです。 >あと、森先生が読書なさるときは、どういう姿勢で読まれますか?  椅子に座って読みます。 >森先生は子どもの頃から読書はお好きでしたか?  いいえ。今でもそれほど好きではありません。(エッセイ参照) >森さんが海外の小説を読まれる時に、 >登場人物の名前が覚わらなくって困ることって、ありませんでしょうか。  漢字の名前の方が覚えられません。逆です。  みんな文字数も同じで、よく似ていますよね。 >書き始めてから、変わった点とかありますか?  あまり関係在りません。読むときは読者です。