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吾が森歴の緒をたづぬれば、文庫版『すべてがFになる』に到りき。
爾来、森先生が著作は吾が多くもあらぬ読書時間の大方を奪ひつ。
吾が些少なる俸給の多くを費やさしめつ。
されど、こは吾にとりて辛きことならざるべし。むしろ吾をして愉悦せしむるべし。
則ち、かほどに潤沢なる著作を間いれずに能く梓に上しうる小説家の他にありや。
かほどまでに多人の心をえ奪ひて、ひとたび手に取りてはつひに放す能はざる良書をば数多著したる文筆家の他にありや。
これ読書子にとりてあらまほしき作家像にてはあらざるや。
先生が新刊の上木されるや、吾即座に書店に向かひて馳走し、嬉々としてレジの前に立てり。
これ吾にとりて全き至福の刻たり。
由って森本に出会ひしこそ、吾が読書人生の欣幸と云ふべきなれ。
・・・・・・ちっと大げさですかね、えへへ・・・。
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