逃れんすべなし、
せめては小刀(メス)をあげて
この青き柚の実を截(き)れ、
さらば、うちに黄金(こがね)の
匂(かぐ)はしき十二の房(へや)ありて
爾(おんみ)とわれとを防(まも)らむ。
「砂金」 西条八十