行けども、行けども
涯(はて)しない荒野で
青白い花ばつかりが咲いてゐる、
こんな寂しい旅を
私はいままでにしたことが無い。
ふと顧(ふりかへ)ると
私は恋人の顔の上を
あてどなく彷徨(さまよ)つてゐた。
「砂金」 西条八十