机の上には、丘の上に降りたのとそっくりな、木製の飛行機ができあ

がっていました。

 銀色にぬった翼には、しみるような青が真ん丸にえがかれています。

「へへっ、あいかわらずの天才ぶりだね」

 黒ぶちの子ネコは鼻の下をこすると、もう一度にまっとわらいます。

 すると目のうらにほんのいっとき、黒地にかすかなキジ模様のうかん

でいる子ネコの笑顔がかすめていきました。

「けっ」

 黒ぶちの子ネコはとたんにふきげんになり、まゆをひそめます。

 そのときいきなりガラッと窓が開くと、まだ若い白ネコが顔を出しま

した。

「おいドミニク、もう学校へいく時間だぞ」

「わかってるよ、サムラ兄ちゃん。もう行くところだってば」

「なにいってんだ、朝めしも弁当もわすれてるくせに。かあちゃんがま

た怒ってたぞ、朝めしぐらいちゃんとテーブルで食えって」

「はあい」

 ドミニクはおべんとうのつつみとできたての飛行機を、目のあらい布

のかばんにつめると、ふくろに入ったさかなのピカタをかかえて、ひ

らりと窓から飛び出しました。

 作業場の前を走りきり、庭の植えこみの下をくぐりぬけ、門まであっ

というまです。

「ドミニークっ、学校が終わったら寄り道しないで帰ってくんだよ!」

 門の前でほうき持ったままどなるミケの毛並みのおかあさんの声に、

ドミニクはさかなのピカタを口にくわえ、手をふって答えました。