「いやあ、ほんとにかわいいなあ」

 職猫さんたちの集まる食堂で、サムラ兄さんはビジリバンの弟たちの横にす

わって夕飯を食べているふたりの顔をかわるがわるのぞきこんでいます。

 ビリジバンの弟たちは、にこにこしながら食べていました。

「サムラにいちゃん、うすきみわるい」

 もぐもぐと口を動かしていわしのハンバーグを食べながら、ドミニクがぼそっ

といいます。サムラ兄さんは、うす目でチラッとほんとうの弟の方を見てから、

またいいます。

「いやあ、ほんとにかわいいよ。どこかのぶちネコとは大ちがいだ」

 ドミニクは「ふんっ」と鼻をならすと、おさらの上のいわしのハンバーグを、つ

ぎからつぎへと口にはこびました。ドミニクの横では、ビリジバンがくすくすとわ

らっています。

 そうして不機嫌そうな顔でいわしのハンバーグを飲みこむころ、ドミニクはふ

いに、びくんといすからとびあがりました。

 うしろからカカラド兄さんが、ドミニクの肩に、むにっと前足をおいたのです。

「な、な、なんだよ、カカラドにいちゃん」

 カカラド兄さんはだまって、食卓の上にドミニクがつくった「ヘルメス号」を

おきました。

「あ、なおってる」

 つけねからおれてしまったプロペラは、また元どおりになっています。

 カカラド兄さんは、右の前足から白くかたそうな爪をチッと出しました。

「ヘルメス号」のプロペラに、爪がついっとふれます。

「まわった!」