「おい、チビどもがやってきたぞ」

 家の門の前には、職猫さんたちが四猫ほどドミニクたちを待っていま

した。

 空の色は西はむらさき、東は青のセロファンをいく枚もかさねたよう

な紺色で、キリであけた穴からもれでた光のような星々も、いくつかま

たたくようになっていました。

「こんばんは、おせわになります」

 ビリジバンがあいさつをすると「ほい、ごくろうさん」といって、職

人さんたちはうさぎの毛皮のたばをひょいと受け取ります。ビリジバン

の弟たちも毛皮を渡すとついでに、ひょいひょいと職猫さんの肩に乗せ

られました。

「やあありがたい、これで今年の冬から寒い思いをしなくてすむや」

「まったくだ。ぼうず、おれたちの働いてる作業場は金物もあつかうだ

ろう。金物はな、あたたまると伸びてつめたくなるとちぢむんだ。す

ると寸法がくるってくるから中では火はたけない。だからとっても寒い

んだが、こうしてうさぎの毛皮で座布団やチョッキをつくれば、もう寒

さもなんてことはない。なあに、このていどの量なら、一日もあればな

んとかなるさ」

 ビリジバンはうなずきながら、くすぐったそうにわらっています。ド

ミニクは職猫さんに毛皮のたばで追いたてられながら、意味もなくおか

しそうにわらって、あちこち飛び跳ねています。

 職猫さんが毛皮の束を作業場のすみに積み上げました。あれほどたく

さんの量の毛皮の束を運んだように思ったのに、広い広い作業場におく

と、職猫さんがいうように、ほんとうに「このていどの量」になってし

まいました。

「さあ行こう。はらがうんとへったろう」