「ちょっとあんた、こっちへおいで」

「アイタタタタタタ……」

 ミケ模様のおかあさんはドミニクの耳をひっぱってつれていくと、あ

いている食卓へすわらせました。

「話はサムラから聞いたわ。まあ、子ネコがケンカするのはしょうがな

い。それについては、かあさんはもう何もいいません。だからこれはケ

ンカとは関係ない、家の手伝いの話」

「手伝い?」

「そう、家の手伝い。あんたはあした、学校がはじまるまえにビリジバ

ンの家によって、ビリジバンのおかあさんにこの手紙を渡しなさい。そ

れで学校が終って夕方になったら、ビリジバンと弟たちをこの家に呼び

なさい。いいわね」

「えーーっ」

「うるさい。呼んでこなかったら、あんたの夕飯はないわよ」

「……わかったよ」

 ドミニクがしぶしぶしょうちするとおかあさんはエプロンをはずし、

テーブルの上でさらさらと手紙を書き上げ、わたしました。

「それとここに来るときには、にもつがたくさんになるから、あんたも

いっしょに持つこと」

「うん」

 ドミニクはおかあさんの書いた手紙を、むねのあたりで持ちました。


「それじゃあ、たのんだわよ」

 おかあさんはニカッとわらうと、ふたたびエプロンをつけて調理場へ

入っていきました。

「じゃ、よろしくな」

 サムラ兄さんはドミニクの頭をひとなでしてから、食堂をでていきま

す。

 ドミニクはおかあさんやお兄さんたちにいわれたことをいろいろと考

えましたが、白身魚のネコ草あんかけをよそっている間に何がなんだか

わからなくなり、職猫さんたちに「おーい、いっしょに食べようや」と

呼ばれたので、早足でそっちの方へむかっていきました。