その日から毎日、シニファンはバイオリンを弾きつづけました。ま

た、先生方からもいろいろなことを学びました。

 バイオリンには大むかしからたくさんの曲がつたわっていて、それを

聞いておぼえたり、楽譜の読み方をおそわったりしなければならなかっ

たのです。

 でもシニファンにはそのすべてが楽しく、ひまさえあればバイオリン

を弾き、曲が聞こえてくれば耳はいつもその音を追っていました。

 また学校の生徒たちはほとんどおとなのネコでしたが、まだ小さいシ

ニファンのことをとてもかわいがってくれました。とくに、ふるさとに

子供をのこして学校に来ているネコは、食事のとき食堂でシニファンを

みかけると、何かとめんどうをみたりしてくれます。

 シニファンはそんな中、めきめきとバイオリンのうでをあげました。

 そうして一年がすぎるころには、この小さな子ネコよりうまくバイオ

リンを弾けるネコは見つからないほどになったのです。

「次の演奏会には、シニファンもぜひ出てみるといいわ

 ミルドラ校長先生は、にこにこしながらそういいまし

(そういえば、ずいぶん学校のそとに出ていないや)

 シニファンは演奏会に出ることと同じくらい、学校のそとに出ること

がうれしくてなりませんでした。