次の日、シニファンの気持ちはその日の空のように、どんよりとして

いました。

 もう二度と、パルフォじいさんには会えません。

 いえそれより、パルフォじいさんのしあわせそうな笑顔にとりすがっ

て、これいじょうはないというほど泣いていたルーニャが、かわいそう

でなりませんでした。

 ミルドラ校長先生にさとされて、パルフォじいさんにお別れをいった

ルーニャは、部屋にもどるとベッドに入り、一日バイオリンの練習も食

事もせずにしくしくと泣き続けていました。

 でもどうにもならないのです。

 悲しい気持ちは、シニファンもおなじでした。

 ただ、神様から出された質問にきっと答えをだしたろうパルフォじい

さんの、あのやすらかな笑顔だけが、ほんのすこしのなぐさめてになっ

ていました。

 あまりに落ちつかないシニファンは、練習をみてくださる先生にいっ

て、パルフォじいさんのひつぎが学校を出ていくところをそっと見送ろ

うとしました。

 裏門に出て行くと、そこにはもう門の前に立っているルーニャのうし

ろすがたが見えます。

(なんてさみしい、かわいそうな背中だろう)

 シニファンは出て行こうとする馬車と、ルーニャのうしろすがたをか

わるがわるながめました。

 そして、思い出しました。

 ルーニャのうしろすがたを、いったいいつ見たのかを。