シニファンは、パルフォじいさんの部屋でだまって立ちつくしていまし

た。

 さっき見たおもかげのとおり、ベッドであおむけにねているパルフォじ

いさんは、とてもしあわせそうに笑っています。

(パルフォ、さん)

 そっと近づいて、シニファンはパルフォじいさんをゆさぶりました。

 パルフォじいさんの体には、まだぬくもりが残っていました。でもそ

れは、生きているネコのあたたかさからは、やはり遠いぬくもりなので

す。

 シニファンは体中がしめつけられるように、切なくなりました。

 しかし力をふりしぼって、もういちどかけだします。

 先生を呼びに行かなくてはなりません。

 そして、ルーニャも。

 走るシニファンの耳に、どこかから小鳥の声が聞こえてきました。

 すべるように流れるシニファンのかげが、廊下にわずかずつはっきり

としてきます。

(パルフォさん、みんなみんな、あなたのことが大好きだったのに)

 そうして朝の光がはっきりと窓からさしこむころ、シニファンはやっ

とたどりついたミルドラ校長先生の寝室のドアを、何度も何度も強くた

たいたのでした。