「どれどれ、パニエになにをくれるって?」
袋からは『B』の刻印が打ってある、おいしろうなソーセージがでてきま
した。
「おおっ、ビリジバンのウサギソーセージじゃないか! こんなめずらし
いもの、よく手に入ったなあ。国中の金持ちたちが、三年先まで予約を
いれてるってはなしだろ。ファンの人がくれたのかい?」
「ちがうよ。ビリジバンはおれの幼なじみなんだ。だからいつも季節にな
ると、真っ先にソーセージを送ってくれるのさ」
ドミニクが得意気にいうと、ルーニャはニタッと笑いました。
「幼なじみってほんとうに? ドミニク、きみはむかしから『はったり』の名
人だからな」
「なにをいうんだ。ビリジバンは正真正銘、おれの友だちなんだぜ。信じ
ないなら、おまえは食うな。おれがじかに病院のパニエさんにわたしてく
る」
ソーセージをひょいととりあげられ、ルーニャはあわてていいました。
「わ、わかったよ、信じるよ」
「よーし、これからむやみに、おれをうたがうなよ」
ルーニャはドミニクからかえされたソーセージを、あわててソファとせな
かの間におしこみました。