音楽学校のある町は、ルーニャの住む村から山をふたつ越えたとこ
ろにあります。そして音楽学校の建物は、町でいちばん大きな建物で
す。
見るもの聞くものすべてがめずらしく、ルーニャはあたりをきょろ
きょろ見まわします。
音楽学校には赤い屋根の時計台がありました。
(もうすぐシニファンに会えるかもしれないんだ)
高い時計台を見上げながら、ルーニャの胸は高鳴ります。
「いらっしゃい、ルーニャ。遠いところをたいへんでしたね」
学校につくと、白いふわふわした毛並みのミルドラ校長先生が、
ルーニャをむかえいれてくれました。
石つくりの大きな音楽学校の建物に入ると、体がみるみるちぢんで
いくような気がしてとても心ぼそかったのですが、やさしそうなミル
ドラ校長先生にお会いすると、そんな気分もどこかへふきとんでしま
います
「校長先生、これからお世話になります。どうぞよろしくお願いしま
す」
ルーニャはおかあさんに教わったとおりに、あいさつをしました。
「よくごあいさつできましたね。では、ルーニャに新しいお友だちを
紹介しましょう。次の演奏会でいっしょにバイオリンを弾く、パルフ
ォとドミニクです」