colony

「作間敏宏『colony』」(1999/4) 神戸アートヴィレッジセンター「COMPACT DISC / V.A.」会場パネル用テクスト/作間敏宏


 他者と「接着」されなければ生きられない存在であることや、他者と「交換」可能な存在であることを承認するのは、近代以降の「個人」には屈辱だろう。ただ、たとえば家族や知人の死を体験する僕らのふるまいからは、蟻や蜂などがその巣に「接着」され、次々と生まれる若い生命と「交換」されるように、他者/家族/社会と「接着」され「交換」される存在としての姿が浮かび上がるのを感じることがあるし、そのことが、「個人」を起点としたパースペクティヴの画面には現われてこないものを感じさせてくれるようにも思う。
 『colony』というタイトルで今回発表するのは、たくさんの人たちにそれぞれの「名前」を連呼してもらいながら、それら「個人」の個性や差異が、集合=colonyのなかでどういった存在や意味として現われるのかを、音によって眺め考えようとした作品である。