colony

「作間敏宏『気配』」(1995/3) アートフォーラム谷中「MUSEUM IN METRO」会場リーフレット用テクスト/作間敏宏


閉鎖された地下道。
埋葬された空気にはどんな気配が宿っているだろう。
ここを通ったおびただしい数の人たちの、わずかに残った呼吸や体臭や体温は、閉鎖されたあとの静かな時間のなかで、どんなふうに育っているのだろう。
それらの人たちがふれた壁や歩いた地面では、止まった空気にまもられながら眼に見えない気配が息づいているかもしれない。
ここが開けられてこの場所で何かをするのなら、僕はその気配を見えるものに置き換えるだけの仕事をしたいと思う。