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「PORTFOLIO」(1986/11) [東京デザイナーズスペース推薦新人展] テクスト/馬場雄二+作間敏宏


ヒョンなことから、岩手大学の特設美術科に年1度行くことになって、気がついたらもう十数年続いたことになる。
多摩美で数年教えた頃に、はじめて岩手大と関係しはじめたこともあって、盛岡の学生は素直で、のんびりしていて、しかし粘っこい感じが強く、こちらも興味深くのめり込んだ記憶がある。
そんな学生の中に作間君はいた。何が求められているかののみ込みが早く、ユニークな切り口で表現する力はなかなかのものだったことを覚えている。
その後、東京芸大の大学院に進み、あまり会わなくなっているうちに、最近は、ハイテクノロジーアート展や視覚サーカス展で認められ、個展も頻繁に開いている。クールな面をもちながら、ホットな瞬発力も兼ね備えている、貴重な存在の作家だと思っている。/馬場雄二(グラフィックデザイナー)

光を素材にしているので、暗い環境づくりに頭を悩ませることが多い。それでいつもそんな空間を想像しているものだから、心の中にその理想的な空間が具体的にできあがってしまった。生命の記憶が見せる太古の風景のDeja-vuなのかもしれない。 作品づくりはだから、この大いなる暗環境を完成させる部品づくりというような意味あいになってきている。作品ができると、それはそこに置かれて一本の草や何かの生きものになり、ゆるやかに生命活動のダンスを踊る。それを眺めていると次の部品が感じられ、風景がまた少し具体的になる。
現実にも、そんな風景、僕の作品の動きだけが時間が流れているのを感じさせるような空間の中で作品のスイッチを入れたいものだ。/作間敏宏