お断り：この物語はフィクションです。私「ゆきお」が加筆編集しておりますm(_ _)m

嫁取り橋(よめとりはし)伝説

昔、大和郡山の筒井にある茶店に「こまの」という18歳になる娘がいたそうな。

その茶店の前の道を通って、毎日大坂へ通う24,5歳くらいの飛脚がいたんじゃ。なかなかの美男子であったので、毎日見ていた「こまの」は、いつの間にかこの飛脚に恋慕の情を抱くようになったそうな。

ある日の夜、ここを通りかかったその飛脚に、この先の道がこわれて通りにくいから、ぜひ泊まって行きなさいといって無理矢理に泊まらせたんじゃ。

夜がふけたころ、娘は異様な姿で飛脚の部屋に忍び込んだので、飛脚は驚いて一目散に逃げて行ったそうな。八条町の淵(ふち)のところに1本の松があったので、男はそれによじ登ったそうな。

娘はそこまで追っかけて来たが、男の姿は見えなかったが、ぬぎ捨ててあった1足の下駄が目についたので、はっと驚いて淵を見たところ、月の光で男の姿が、ありありと池の中に映っていた。

さては、淵に入ったかと娘は淵に飛びこんだが、松の木にいる飛脚に気付かんかったんじゃな。で、娘はそのままとうとう大蛇になってしまったんじゃ。

ある時、籠に乗った花嫁が通りかかったところ、にわかに大雨が降り出したんで、籠かきは籠を木陰に置いて、雨具を借りに行ったそうな。そして、引き返してみると、籠の中にはもう花嫁の姿は見えなかったんじゃ。

大蛇が雨を降らせて、その間に花嫁を、淵に引きずり込んだんじゃな。今も淵の前の小川にかかっている橋を「嫁取り橋」といって、花嫁はその橋を通らないということじゃ。

そして「こまの」の墓も、その南側にあるそうな。