2001年6月
潔く決断下し仰ぐ空 トン子
仰ぐ空神も微笑み助け舟 ゆきお
誰が何と言おうと正しいと考えて決断したことには自信を持ってよ、小泉さん。神は必ず正しいものを助けてくださると信じてね。
渚でて愛語り日を懐かしむ
猪之介
懐かしむ声を消し去る波の音
ゆきお
あの人と渚を散策したのがついこの前だったような、玉をころがすような声で心から楽しく笑ってくれたっけ。波よ、静かにしておくれ。心の余韻を消さぬよう。
おさな顔同窓会ではおやじ顔
雅洋
親父顔百年の恋も消え去りて ゆきお
「ねぇ、郷君って結婚したんだってぇ」「らしいわよー」「でも昔と顔少しも変らないわね」「本当格好いい」「あら!あれゆきちゃん違うの」「やだー老けてるー」
藍の炎静かに燃やす二上の眉月
トン子
眉月がホールに来たら満月に
ゆきお
一人の青年が工房で黙々と藍染めの研究に没頭されていた。そして、作品は陽の目を見て展示場で花ひらくのでした。めでたしめでたし。
流されて雲風に乗りゆっくりと はぎ
ゆっくりと二人三脚夫婦坂 ゆきお
時はゆっくり流れていきます。それは雲のように。人もまたゆっくりと歳をとります。老いた妻をいたわる老いた夫は妻に歩調をあわせます。二人で人生確かめるように。
玉の汗清水に流す山路かな トン子
山路から涼風吹いて鳥の声 ゆきお
吹き出る健康な汗。山路はやがて林間に。冷たき川にタオルをつけて体をふく。風が労をねぎらう如く通り過ぎさわやかな鳥のさえずりを運んできます。
紗を透かし見えるつもりの肌のいろ 紫苑
肌のいろまぶしき白さ夏の夜
ゆきお
新婚初夜。淡い光の向こうからとまどい恥かしげに新妻は夫に体をあずけます。更紗がそっと解かれる時、眩しく感じたのです。夏の夜の夢だったのかも。
十六夜の月が見ている逢瀬かな 雅洋
一時の逢瀬を過ごす影ふたつ ゆきお
もう夏祭りもおわったのでしょうか 川べりに都会から帰省した青年と街の名士の娘が語り合っていました。青年の願いは十六夜の月が叶えてくれるでしょう。
あればこそ家族恋しい戻り梅雨 紫苑
戻り梅雨あいたい気持ちに水を差す ゆきお
広島美原に新工場が出来るのですが誰も行きたがりません。私におはちが回ってこようとしています。じつは実話(^^; 単身赴任になります。広島は遠いよー。
露草にもまれて生きる藍の草 元さん
藍の草日々精進で青々と ゆきお
鮮やかな青色の露草に藍は負けているように見えるけれど隠れた藍の根性を誰が知りましょう。あすなろの精神で育った藍はそれは見事な色を布に託すのです。