猫4姉妹物語
第1話 自由 ・・・ 3
第2話 平等 ・・・ 9
第3話 理想 ・・・ 15
第4話 欲望 ・・・ 21
第5話 身体 ・・・ 26
第6話 自在 ・・・ 33
キャスト
長女 チャコ
次女 あかつき
三女 たま
四女 サクラ
本舞台に緞帳はなく、開演前よりセットは客の目に晒されている。
舞台奥の背景は黒布で覆われているが、センター下部に大きな丸い穴があり、
その部分から奥のホリゾント幕がみえている。
本舞台はその穴を土管の出入り口と模し、土管内部で場面が展開される。
ホリゾント幕とその穴の間が通行可能であり、土管の外を通行する人物の胸より下あたりが
その穴を通して見える。
登場人物はその穴より内部への出入りが可能。
舞台には以下のものが無造作におかれている。
ホワイトボード、ちゃぶ台、ルービックキューブ、フラフープ、テレビ、
壁にかけられたエコバック、
古びた六角形の箱3つ積み上げられ、箱には「タ」「ン」「ス」と書かれている。
頭上を紐がのび、たくさんの携帯電話や鈴がぶら下げられている。
開演時には客電、舞台照明ともにフェードアウトして1度暗転。
短い音楽とともにスクリーンにタイトルアニメーションが映し出される。
第1話 自由 〜アジの開きの便りに載せて〜
舞台中央に寝そべって、手紙を書くチャコ。
手紙はアジの開きに書いている。
すぐ横にはちゃぶ台があり、その上にスルメの山が載っている。
チャコ フン、フン♪
あ、間違った。(指をなめて消す)
時折、ちゃぶ台のスルメに手を伸ばして、かじりつきながら、手紙を書いていく。
チャコ できたーー!
(目の前の3通のアジをもって)3通ともオッケー!
3通のアジの端をなめて、順番に閉じていく。
チャコ (1通目をなめて)あ、うま・・・あー駄目だめ(閉じる)
(2通目をなめて)あ、うま・・・あー駄目だめ(閉じる)
(3通目をなめて)あ、うま・・・あー駄目だめ(閉じる)
(4通目を取ろうとするがない)
(閉じられ手紙を見て、自分のお腹を見て、壁に貼られたダイエットの張紙を見て、スルメの山を見て、自分のお腹を見て、壁に貼られたダイエットの張紙を見て)ま、明日からってことでーー
スルメにかじりつくチャコ。呼び鈴がなる。穴の外に郵便局員がたっている。
チャコ はーい。
郵便局員 チャコさん、お届けものでーす。
チャコ あ、いつもご苦労様。
郵便局員 こちら(スルメを差し出す)
チャコ わ、また!?あ、そうだちょうどよかった。
部屋の中から先ほど書いた手紙をもってくる。
チャコ はい、これお願い
郵便局員 またですか?
チャコ またなのよー。いくら出しても全然返事がないんだもん。
ホントに届いてんの?
郵便局員 さあ・・・届いてると思いますけど・・・それじゃ。
チャコ あ、はい、よろしくー。
郵便局員去る。チャコそれを見送って
チャコ まったく、みんな姉からの手紙を何だと思ってるのかしら
届いたスルメを思い出し、しげしげと眺める。
チャコ うーん。この前からスルメがじゃんじゃん届くけど・・・・
何かで当たったかなあ? ・・・ま、いっか。
再び、ちゃぶ台のスルメをかじるチャコ。穴からそっとあかつきがはいってくる。
あかつき、ちゃぶ台の上のスルメをよけて、代わりにウニを置く。
気づかずに手を伸ばすチャコ。
チャコ いてーーーーーーーーー!!!!
飛び上がって、振り返り、あかつきに気がつく
チャコ あ、あ、あ、
あかつき ひさしぶり
チャコ あかつきーーーーー
ウニをもったまま抱き合う二人。あかつきの背中に刺さる。
二人 いてーーーーーーーーー!!
チャコ もう、何なの・・・(ウニをとって、客席へなげる)
あかつき あ、それ、お土産
チャコ お土産?
あかつき 北海道の
チャコ 北海道!?あんた、そんなとこまで行ってたの?
あかつき まあ、日本全国とびまわってたから。
チャコ そっか。(あかつきを見て)何年ぶりかなあ・・大きくなって
あかつき (手を振り払って)何言ってんの、たった半年じゃない。変わってないって。
(チャコの体を見て)ま、チャコネエは随分・・・
チャコ 何よ
あかつき 太った?
チャコ はあ!?あんた、わたしが一番気にしてることを
あかつき (チャコの怒りは無視して、部屋を見回し)ねえ、たまは?
チャコ え?ああ、出てったのよ。あんたが出たすぐあとに。
あかつき あれ?じゃあ、今はチャコネエ一人?
チャコ そう、気楽極楽ひとり暮らし。
でもよかった、手紙は届いてたってことね
あかつき 手紙?
(チャコの言葉は気に留めず、部屋を物色して)
しかし、あいかわらず汚い部屋・・・
何このガラクタ、
チャコ ガラクタじゃない!リサイクルよ。
あかつき リサイクル?
チャコ そう、最近人間たちがさあ、なーんでもそこのゴミ捨て場に捨てかえるから、
その中から使えそうなものは拾ってきて再利用してんのよ。
見てこれ。携帯電話。
すごいでしょ、いっぱい捨ててあんの。まだきれいなのに。
あかつき 使えるの?
チャコ (首をかしげるポーズ)まだ一度もかかってきたことはないわ。
あとこれこれ、(テレビを指して)
あかつき あ、テレビまで
チャコ なんか最近急に増えたの、なんかの影響、えっと、キレジ?
あかつき 地デジ! すごい、見れるのこれ?
チャコ ううん、もっぱら鏡がわり。(テレビに向かって化粧のしぐさ)
あ、これなんかさ、どこかの劇団のゴミ捨て場にあったタンスよ。
もったいない、まだ使えるのにね。
(そういって、積みあがったタンスの箱に触ると、箱が崩れる)
あと、最近のヒットはこれかな。じゃーん、作りすぎて捨てられたエコバック。
結構丈夫で使い勝手いいのよ。
あとは、ほら(フラフープを取り出し)こいつで、お腹周りのダイエット、
で、疲れたら、今度はこれで(ルービックキューブを取り出し)頭の体操よ。
ルービックキューブに夢中になるチャコ。
あかつき、あきれて見ているが、チャコからキューブをとりあげる。少し触ってチャコに
投げ返す。キューブは完成している。驚くチャコ。
あかつき 馬鹿みたい。そんな人間のおこぼれをもらうようなマネしないでよ。
チャコ えーそうかニャー。
あかつき 私はこの半年間、人間社会をわたりあるいきて、こんなもの嫌っていうほど
見てきたわ。もうたくさん。
流行にながされて、作っては捨て、作っては捨て、で、結局
資源を使い果たして苦しんでんの、人間は本当馬鹿。
だけど、それをありがたがって拾ってきてるチャコネエも同じよ。
チャコ だってー、もったいないじゃないー
あかつき もったいない、もったいない、チャコネエの口癖だったわね。
で、こうやってどんどん部屋が汚れていくわけ?ちょっとは捨てたら。
チャコ それが、(あかつきも一緒に)捨てられないのよー、
あかつき はあ、チャコネエくらいのセコさが人間にもあったらねえ
チャコ でしょー
あかつき 別に褒めてないよ。
チャコ (ムッとする)もう、あいかわらず口うるさいなあ。大体何よ、さっきから。
私はひとりで暮らしてんだから、何やったって自由でしょ。
いちいち口ださないでよ。(スルメをとって、かみちぎる)
あかつき ・・・・それもそうね。自由にできるのが猫の特権だもんね。
(首を振って)ああ、いかんいかん、人間の世界に長く居ると、ついつい
口うるさくなっちゃうのよ。それが嫌でここに帰ってきたっていうのに。
チャコ あら、反省するなんて珍しいじゃない。
って、待って! それが嫌で帰ってきたって!?
あかつき そうよ、やっぱり猫は猫らしく自由きままに暮らすのが一番。
そう思ったからここに帰ってきたの。
(わざとらしく)今日からよろしくお願いします。
チャコ え、ちょっと、そんな、突然来られても・・・
あかつき 出してたでしょ。手紙。
チャコ 手紙? きてないよそんなの。
あかつき (チャコの持ってるスルメを指して)それ
チャコ え、こ、これ!?
だって、字なんてどこにも
あかつき あぶってみた?
チャコ え?
あかつき あぶりだしに決まってるでしょ。スルメなんだから。
チャコ そ、そんな・・・、そんなことしたら益々おいしくなっちゃうじゃない!
あかつき 食べたでしょ、私の手紙。
チャコ だって・・・
あかつき さすがチャコネエ、食べ物には目がないとこもあいかわらずね。
チャコ うるさいわねえ。
え、じゃあ今日は、荷物とりに来たんじゃないの?
あかつき 荷物?誰の?
チャコ あんたたちのよ!
(崩れたタンスのなかから順に取り出す)
あんたは本。たまは服。サクラはおもちゃ。邪魔なの、こんなにたくさん。
これこそ、あたしにとっちゃ単なるガラクタよ。
あかつき ひどい!
面白いのに。これも、これも、これも。
まあいいわ、そんなにじゃまなら捨ててもいいわよ。
チャコ だ・か・ら、(あかつきも一緒に)捨てられないのよー
って、知ってんでしょ。あたしの性格。
だから取りに来いって、手紙に何度も書いたでしょ。
あかつき 届いてないわよ。
チャコ 嘘だあ。さっきも出したんだよ。
あかつき 嘘ついてどうすんのよ。最近うちに届いたものといえば、
(かばんの中から出していく)変な勧誘のチラシと、NTTの請求明細と、
何かで当たったアジの干物と、
チャコ (アジを指して)それそれ!
あかつき え!?これ?嘘、だって字なんてどこにも
チャコ ひらいてみた?
あかつき ひらくの!?
チャコ ひらくでしょ、アジなんだから!
あかつき 知らないわよ!!
チャコ ・・・食べたでしょ?
あかつき ・・・・・(口を押さえる)
チャコ 人のこと偉そうに言って、結局あんただって同じじゃない。
残念でした、兄弟だから似るのよ、結局。
あかつき 私は・・・チャコネエとは違うわ。
部屋だって、私はもっときれいにしてるし・・
携帯電話の着信音がなる。
二人、携帯がぶら下がっている木に注目。
チャコ かかってきたーーー
(携帯にかけよって、ひとつひとつ確かめる)
これじゃない、あれ、これでもない、あれ?
あかつき (自分の尻尾を持ち上げて)
あ、ごめん私だ。
(尻尾の先を耳にあてて)もしもし
チャコ (驚いて)ええ?
あかつき (電話に)そう、今日から住所変わるから・・
チャコ (あかつきの体を見回して)どうなってんの?
あかつき ニャンコ・テレフォン・テクノロジー、略してNTT。
猫には、こんなわずらわしい電話機なんていらないの。
この体が電話機よ。これ都会の猫の常識。
ほらみて、アンテナ3本感度良好。
チャコ なんか・・・ついていけないわ・・・
あかつき もしもし、あれ、もしもし、
ああ、アンテナがたってない。ここそんなに田舎なの?
あ、ここたった。
アンテナをたつ場所をさがして、部屋中をかけまわるあかつき。
それをながめるチャコ。
照明フェードアウト
第2話 平等 〜2匹の魚を3匹で分ける方法〜
おどろおどろしい音楽。暗闇の中、ろうそくのあかりがともる。
ホワイトボードに「きれいきれい教」
エプロンをつけ頭から布をかぶったあかつきが神木を振り回している。
その前でひさまずいているチャコ。
あかつき 汝の罪をここに懺悔なさい。
チャコ は、はい。昨日も体重が1キロ増えました。
あかつき よろしい。ではそなたの罪をここに浄化させ、キレイキレイにしてしんぜよう。
再び、神木を振り回すあかつき。
チャコそれを見て、神木の紙切れに思わず飛びついてしまう。
あかつき (素に戻って)あ!ちょっとせっかくいいとこなのに。
チャコ ごめーん、そんなのが目の前でゆらゆらなっていると、つい。条件反射にゃ。
あかつき まあいいわ。これが今都会で流行ってるキレイキレイ教ってやつ。
で、次が、
チャコ いや、もういい、いいって。
あかつき ええ?チャコネエが今都会で流行ってるもの教えてっていったのよ。
チャコ あんたに聞いた私が間違ってたわ。
あたしは、流行の音楽とか、ファッションとかそういうのが聴きたかったの。
あかつき そういうのってさあ、(部屋をみまわして)チャコネエが拾ってきたガラクタと
同じで、作っては捨て、作っては捨て、でどうもありがたみがないのよね・・・。
じゃあ、何が一番流行ってるかって、考えたら、やっぱりこれ。
二人 宗教
チャコ ふーん、ほんとに流行ってんの?
あかつき だってさあ、発明されたのはもう何千年も前だよ。そこから今までずーーっと
続いてるんだから、大流行じゃん。
チャコ 発明って言うの?
あかつき そりゃ、人間が作ったんだから、発明でしょ!
私は人間のこと嫌いだけどさ、これだけはすごいと思うの。
チャコ そう?
あかつき (また神主風になり)汝は何のために生きておるのじゃ?
チャコ わ、何?急に
あかつき 何のために生きておるのじゃ?
チャコ そんなこと、突然聞かれても・・・考えたことないよーー
あかつき (素に戻って)そう、普通そんなこと考えないでしょ、誰も。
でも、人間だけは考えたの、すごいでしょ。
チャコ そう?
あかつきの台詞の間に、たまがそっと穴から入ってくる。
たまは派手な衣装、サングラスをつけ、ボストンバックを持っている
あかつき で、考えて、考えて、神や仏を作っちゃったの。
チャコ 誰それ?
あかつき 誰にも見えない人。でも、その辺にいるかもよ。(誰もいないところを指差す)
チャコ もう、やめてそういうの
あかつき あ、そこ(たまの居るほうを指す)
チャコ やめてって(振り向く。と、たまに気がつき)
二人 わ、で、でたーーーー
二人、驚いて部屋のすみに隠れる。
たま ひどい!!! ひどすぎる!!!(泣き崩れる)
あかつき あ、あれ?あんた・・・
たま それが、久しぶりに会った妹に対する態度?
チャコ たま?
たま ほほほ、たま様とお呼び
あかつき (ふきだす)
たま 笑うな!お店ではこれで通ってんの!
チャコ お店?
あかつき しかし、何なのこの格好
たま アカネエに言われたくないわ!いつからこんな趣味になったの?
あかつき いや、これは、たまたま・・・
チャコ (たまのつけているアクセサリーを見て)すっごーい、どうしたのこれ。
たま そりゃ、男からの貢物に決まってんじゃない。毎晩、たま様、たま様って、
ひくてあまた・・・もう、猫の手も借りたい。ほっほっほっほーーー
間
あかつき (チャコと顔を見合わせ)で?
たま そんな生活に嫌気がさして辞めてきたの。
ともかく今日からここに住まわせてもらいますから。
チャコ えー、たまも?
たま しかしまあ(部屋を見回して)あいかわらずきったない部屋。
チャコ はあ?突然押しかけてきて何よ!
大体あんたたちのせいでしょ。ほら、あんたの服。
(タンスの中から出して投げつける)ほらほらほら。
たま わー、もう、余計ちらかってるじゃない。ちょっとどけて、これ、
(バックの中から位牌をとりだす)これ置かなきゃ。
あかつき あ!それ
たま 懐かしいでしょ?
チャコ なにそれ?
たま 位牌じゃない、母ちゃんの。忘れたの?
チャコ (首をかしげる)
あかつき あんたが持ってたんだ。
たま ここにあったって、ゴミと一緒に捨てられるかと思ったから
あたいが持って出たのよ。
あかつき チャコネエ、ほんとに覚えてないの?
チャコ うーん、何するもの?
たま ここに母ちゃんがいるの
チャコ ええ?(位牌をとりあげて)だって、ただの木の板じゃない
たま これ、罰当たり!(位牌をとりあげる)やっぱりあたいが持ってて正解ね。
部屋の隅を片付けだし、位牌を箱の上におく。
たま さ、ここでいいわ。今日から一緒に拝んでもらいますから。
チャコ えーーー。
たま 何よ?そんなことより、あたい、お腹減った。何かない?
チャコ ちょっと、何、その偉そうな態度。
たま だってー、お腹と背中がくっつきそうなんだもん。
チャコ どこがよ!
たま があああ、もう、お腹減ったーーーー、死ぬーーーー(のたうちまわる)
チャコ ああ、もう、わかったわかった
たま わーい、チャコネエちゃん、だあーい好き♪
チャコ、袖に去る
あかつき あいかわらずね
たま まあねえ
荷物を整理するたま。袖からあかつきがお盆を持って登場。
お盆には魚が2匹のっている。
チャコ はい、じゃあお昼にしましょ。
たま (お盆をみて)え・・・
チャコ 何よ?
たま (魚を持ち上げて)なんで2匹?あたいたち3人。
チャコ えーー、だ、だって仕方ないじゃない。もともとあかつきと二人で
食べようと思ってたんだもん。
たま (泣きまね)ひどい!
チャコ 2匹を分け合えばいいじゃない。
たま そういうけどさあ・・・はい、じゃあいただきまーす。
3人が一斉にお盆に飛びつき、争う。
たま はい、ストーーーップ。
ほら、3匹ないとこういうことになるの。猫の性ね。
チャコ うーーん。あかつき、あんたの知恵でなんとかして?
あかつき えーー、もう、仕方ないなあ。
(エプロンを正して)あかつきの3分クッキングーー!
キューピー3分クッキングの音楽がかかる。
何がなんだかわからない、たまとチャコ
チャコ え、何?
あかつき はい、じゃあ今日の材料は、(魚を持ち上げ)魚2匹。
ではまず、一匹目を3分の2のところで切ります。あちゃー。(手刀で切る)
たま わあ!
あかつき もう一匹も同じように切ります。おちゃー。
で、ここに並べて(切った魚をホワイトボードにはりつけて)
こうやって線を引くと・・・・
ほら、3匹になっちゃいましたーーーー!
チ・た おお!(拍手)
あかつき (素に戻って)と、まあ、こんな感じ・・・
チャコ さすが、あかつき
たま うまいことするわねえ。
じゃあ、今度こそ、いただきまーす。
3匹、結局身の多い2匹に飛びつき争う。
あかつき ちょ、ちょっと、(とめる)何でこうなるわけ?
チャコ だって、これ、おいしくなさそう。(頭と尻尾だけの魚を持ち上げる)
顔を見合わせ、うなずく3人
たま はあ、なんだ、あか姉ちゃんの頭もたいしたことないわねえ
あかつき ちょ、ちょっと待ちなさいよ。(チャコから魚をとりあげ)じゃあ今度は
これをもう3分の1づつ切って・・・
舞台前方であかつきを囲んで固まる3人。
そのあいだに穴からサクラが魚の匂いにつられてはいってくる。
サクラはかなり衰弱している様子。
3人に気がつき、物影にかくれる。
あかつき (2匹目の魚をホワイトボードからとって)
今度はこれを256分の1にするでしょ。
たま 大丈夫なの?
その間に、3匹目の魚をサクラがホワイトボードからとって、隅のほうで食べる。
あかつき で、最後の魚を・・・・あれ?
(たまをみて)食べた
たま 食べないわよ、失礼ね。(チャコを見る)
チャコ あたしじゃないわよ。
3人、サクラに気がつく。
チャコ わ、ど、泥棒!
サクラ (土下座して)ご、ごめんなさい!何でもするから、許してください!
チャコ あ、あれ?あんた・・・サクラ?
サクラ へ?(チャコの顔をじっとみて)あーーー、チャコネエちゃん!
(あかつきをみて)あかつきお姉ちゃん!
(たまをみて)知らないおばさん!!
たま ゴラ!誰がじゃ!(サングラスをはずす)
サクラ たま姉ちゃん。
たま サクラちゃーん。
抱き合うたまとサクラ。
たま どうしたの、こんなにやつれて
チャコ そう、サクラ、お金持ちに飼われてたんじゃないの?
サクラ 僕、逃げ出してきたんだ。もう人間の言いなりになるのは嫌!
あかつき そう(サクラの頭をなでる)
サクラ だけど、家をでたあと、どこに行っていいのかわかんなくて・・
お腹が減って倒れそうなところに、おいしそうな匂いがしたから、つい。
(土下座して)ご、ごめんなさい。お姉ちゃんたちのご飯食べちゃって。
チャコ (あわてて)ああ、もう、いいって、(たまに)ねえ
たま そうよ、ほら、久しぶりに4人そろったのよ。すごいじゃない!
そうだ、せっかくだからみんなで母ちゃんにお祈りしましょ。
あかつき ええ?
たま はい、こっちに並んで並んで
たまにせかされ、位牌の前に並ぶ3人
たま はい、じゃあ、いくわよ。にゃにゃにゃにゃにゃー。
あかつき 何それ?
たま はんニャーしんきょう
あかつき そんなの聞いたことない。
たま 何だっていいの、祈る心が大切よ。さあご一緒にー
にゃにゃにゃにゃにゃー
たまにあわせて、何だかわからないままお祈りする3人。
照明フェードアウト。
第3話 理想 〜これがニャンコの生きる道〜
雑誌を顔において、仰向けのまま寝ているたま。
さくらがはいってきて、たまにいたずらする。
触られてることに気がつき、飛び起きるたま。
たま わ、びっくりしたー。
サクラ たま姉ちゃん、何してんの。
たま え、ああ、読んでる途中でねちゃったみたい。
サクラ 何の本?
たま そこのゴミ捨て場にあったの色々拾ってきたの。見る?ほい。
サクラ (バイクの雑誌)うおー、かっけー、ジャンジャンバリバリ
たま ほい
サクラ (文芸雑誌)わー、字ばっかりでわかんないー
たま ほい
サクラ (エロ本)きゃ、
たま (すぐ取り返して)って、これはあんたには早すぎた。ほい。
サクラ (アイドル雑誌)わあ、かわいい、いいなあ、アイドル。
たま (サクラの横からのぞいて)いいわよねえ、青い海、白い砂。
サクラ トロピカルフルーツ食べ放題。
たま 素敵な男と、アバンチュール。
二人 素敵よねーーー
チャコがはいってくる。
チャコ 何盛り上がってんの二人で。
二人 (聞いてない)フラダンス・・・・
チャコ ちょっと、聞いてる?
たま あ、チャコねえちゃん、お腹すいた。
サクラ 僕もー
チャコ はあ?ちょっとあんた達、何様のつもり?
そうやって、何もしないで、食べ物がでてくると思ってんの?
サクラ でてたよ、3食おやつつき。
たま あたしは、男たちが貢いでくれたから。
チャコ へえ・・・じゃ、そんな、優しい人間様のとこに帰れば?
サクラ 嫌だ!せっかく逃げてきたのに。
チャコ じゃあ、自分でなんとかしなさい。
一緒に住むのはかまわないけど、養ってあげるなんていった覚えはないわよ。
たま (甘え声で)えーそんなーおねえちゃーん
チャコ もうその手にはのりませーん
サクラ 自分でなんとかするったって、どうすんのさ?
あかつきが外から帰ってくる。釣竿とえさ箱をもって、魚のはいった網を肩にかけて。
少し足をひきずっている。
チャコ あ、お帰り。
わあ!すっごーい。
サクラ お魚いっぱーーい
たま どうしたのよ、これ。ぱちってきたの?
あかつき 馬鹿、釣ってきたに決まってるでしょ。
チャコ ほらほら、あんたらもあかつきを見習って
たま おほほほ、釣りなんて、野蛮なこと、やったことございませんわ。
一体どうすればよいのかしら?
あかつき どうって、針にえさつけて
たま えさ?
あかつき これ(えさ箱をひらいて見せる)
たま うぎゃーーーー
逃げるたま。チャコとサクラはえさ箱をのぞく。
サクラ わー、虫さん虫さん♪
たま えー、サクラあんたよく触れるわね・・・、えんがちょー
あかつき はあ、なさけないわね、あんた。それでも猫?
たま にゃーーー
あかつき いい、たま、あんたが大好きな魚のえさは、この虫なの。魚を食べてるって
ことは、間接的に、この虫の命もいただいてるってことよ。
たま ええ、もう、やめてよー、そんなこと言われると魚も食べれなくなっちゃう。
あかつき もう、重症ね。人間みたい。
たま へ?
あかつき 人間て、動物も魚も植物も、世の中のありとあらゆるものを殺して
食べまくってるくせにさあ、きゃー虫こわい、とか言ってるわけ。
動物の死骸を見ると、わーかわいそうー、とか、
あんたさっきお肉おいしそうに食べてたじゃん。って。
血を見ると倒れちゃう人とかいるでしょ、信じられない。
命を食べるってことは、血を見るってことじゃないの!?
チャコ まあまあ、そう、あつくならないの。
あかつき え・・・ああ、ごめんごめん。ついね。
はあ・・・ちょっと休んでくるわ。
少し足を引きずりながら、袖へ向かうあかつき
チャコ あんた、足どうしたの?
あかつき え、あ、さっき、外でほかの猫とやりあっちゃって
チャコ どこ?大丈夫?(あかつきに近づき、けがしているところをみる)
あ、結構ひどいじゃん、しかもここ、昔の傷のとこ・・
あかつき うん、大丈夫大丈夫
チャコ おいで、ちゃんとしてあげるから
あかつき いいって
チャコ いいから
チャコとあかつき退場
サクラ 昔の傷って?
たま さあ・・・。
(ため息)あーあ、また、あかねえ怒らせちゃった。
なかなか難しい性格なのよねえ・・・
サクラ でも、あかつきお姉ちゃん、かっこいいよねえ・・
頭いいし、難しいこと色々知ってるし。
たま ま、昔っから、勉強好きだったからネエ。本ばっかり読んでさあ。
かしこい人間にあこがれてたのよ。
自分も大きくなったらこんな風になるんだって、よく言ってたわ。
サクラ そうなの!?今はあんなに人間のこと嫌ってるのに。
たま ま、若いころは誰しも夢を見るってこと。
サクラ ふーん、でもわかるなあ、僕も人間にあこがれるもん。
たま あんたの場合は(雑誌を取り出して)アイドルでしょ!
サクラ そう!(たまから雑誌をうばって)
こんな風に本の表紙にばーんと写真がでてー、みんなからキャーキャー
言われてー、笑っていいともとか呼ばれてー
たま いいわねえ、若いって
サクラ え?何が?
たま あんたにはまだわからないのよ。理想と現実。このハザマでゆれる微妙な
乙女ご・こ・ろ。
サクラ うん、わかんない。たま姉ちゃんの夢は?
たま え?あたい?
そりゃあ、絶世の美女。
数多の男を従えて、スポットライトのシャワーを浴びる。
サクラ シャワーシャワー、ひゅーひゅー(えさ箱から虫をたまに向かってふりかける)
たま げ、わ、ちょ、それ虫、ぎゃー
たま、その場に卒倒し、動かなくなる。
サクラ (たまに近寄り)ちょっと、たまねえちゃん?(動かないのでほっておく)
(置いてある雑誌をめくりながら)いいな、アイドル。
(雑誌の間にある一枚のチラシを手にして驚く)あーーーーー!!!
(テレビをのぞき自分の顔とチラシを何度も確認する)えーーーーーー!
わーーーーーーきゃーーーーーー(そのまま退場)
チャコ、袖より登場
チャコ ふう。(たまに)ちょっと、何寝てんのよ
たま (びくっと飛び起きて身構える)む、虫は?
チャコ はあ?何言ってんのよ。
あかつき、昔の傷もまだ完治してないみたい。ひどくならなきゃいいけど。
たま そう
チャコ ま、サクラには内緒で・・・(キョロキョロあたりをうかがい)
サクラは?
たま さあ、夢を追っかけていったんじゃない?
チャコ 夢?
突然、派手な音楽と照明
チャコ な、何?
舞台中央にスポットライト、サクラ登場。
ファッションショウのようにセンターを歩き、モデルポーズ。
何度か繰り返す。やがて照明普通に戻る。
チャコ 何やってんの?
サクラ ふふーん。チャコネエちゃんの夢は何?
チャコ え?
サクラ 夢だよ、夢。将来なりたいもの。
チャコ 別に、ないわよ、そんなの・・・
サクラ えー、昔はあったんでしょ?
チャコ もう忘れたわ
サクラ 駄目だよ!あきらめちゃ。夢は見続けてたらかなうんだから。
ひひひひ。
チャコ 何なの?さっきから。
サクラ だって、僕、夢、かなっちゃったもーーーん。
たま は?
サクラ ほら、見てよ!こんなの出てたんだよ。僕もう有名人。
(先ほどのチラシを広げて見せる)
たま 何よ。
チラシを真ん中に3人が囲む。
スクリーンにチラシの内容が投影される。
それは、サクラの写真つきの飼い猫捜索願い。
しばしの間
チャコ あんた・・・・さがされてるわよ。
サクラ え?
照明フェードアウト
第4話 欲求 〜眠たいときには眠るのだ、ニャーゴ〜
高校野球の音楽。
おもちゃのバットを持って、素振りをするサクラ。
部屋の隅で、雑誌をみながらうずくまるたま。
時折袖から、「バシッ」と物をたたきつける音がする。
あかつき登場。足には包帯。
あかつき (サクラに)あれ、なにやってんの?
サクラ そりゃ、かきーん!野球の練習だよ。僕野球選手になるんだ!
あかつきお姉ちゃん、そこのボールとって
あかつき え?あんたアイドルじゃないの(部屋のすみからボールをもってくる)
サクラ やめたの。やっぱ野球選手のほうがかっこいいもん!はい投げて
あかつきがボールをなげて、サクラが客席に向かって打つ。(やわらかい球でしましょう)
時折、袖からする音に、全員体で反応する。
あかつき 何、あの音。
サクラ チャコネエちゃんがおかし作ってんの。花嫁修業。
あかつき 花嫁?
サクラ チャコネエちゃん、将来なりたかったもの思い出したんだって。
キレイなお嫁さん。
で、急にやる気になってるみたい。
あかつき はあ。(また袖から音)
でも、おかし作るのに、こんな音する?
サクラ しーらなーい
あかつき あんた、今日はおやつにありつけないかもよ
サクラ えーーーーそんなの嫌だ!
(たまに)たま姉ちゃん、どうしよう、おやつないかも!
たま (反応うすく)そう・・・、あたいは別にいいわ。
サクラ えーーなんで!?
たま 食欲ないのよ・・・
サクラ えーーーー
あかつき めずらしいわね、あんたが。
夏バテ?
たま いや・・そうじゃないけど・・・(お腹を押さえる)
サクラ わかった!くさったもの食べてお腹壊したんでしょ!
あかつき えーそうなの!?
たま ちがう・・・
うーん、あのね、(袖をうかがう)実は・・・
たま、あかつきとサクラを近くに引き寄せ内緒話を始める
あ・サ えーーーーー
サクラ あ、あ、赤ちゃん!?
たま し、しーーーー(袖をうかがう)
サクラ (たまの肉をつまみ)どこどこ?お肉ばっかりでわかんないー
たま こら!
あかつき 相手は?
たま え・・・それが・・・、よくわかんなくて・・・
あかつき は?
たま いやー、(照れて)アノ頃は色んなやつと遊んでたから・・・
あかつき あらあら
たま お願い、チャコネエちゃんにはまだ内緒にしといて
あかつき うーん、確かに、チャコネエは、純粋だから、そんな話きいたら
刺激が強すぎて倒れちゃうかもねえ・・・
たま なんか、チャコネエちゃんには、言いづらくって・・・
あかつき で、どうすんのよ!?
たま 何が?
あかつき だから、赤ちゃん(そういって、たまのお腹をさわる)
袖からチャコが、スキップで飛び込んでくる
チャコ おまたせーーー
あかつき (あわててお腹を触ってた手を隠す)わわわ
チャコ あれ?どうしたの?
あかつき いやー、その、たまが自分のおへそがちゃんとあるかどうか
見えなくて心配だっていうから、確かめてあげてたの、太ってると大変ねえ
チャコ 何それ?
そんことより、見て、じゃーん、チャコ特性のイカせんべい!
袖より、イカの形をしたおおきな紙を引っ張り出す
サクラ わあ、大きい!
だって、もとのイカはこんな小さかったのに
チャコ すごいでしょ。たたいて、たたいて、こんなにぺらぺら
あかつき それであんな音。どこが花嫁修業よ。
チャコ まあまあ、とりあえず食べてみ。おいしいから。
サクラ わあい!いただきまーす。
(かぶりつく)ん!お、おいしーーーーい!
チャコ そうでしょーーー
あかつき (食べる)あ、意外と・・・
チャコ ほらーー。
たま、食べないの?
たま あ、あたいは、パス。
あかつき ダイエット中なんだって
チャコ え!?今更ダイエット?
もう、せっかく作ったんだから味見くらいしてよーー(たまに近づいて)
大体こんだけ太ってんだから、ちょっとぐらいいいじゃない。
(いつものようにたまのお腹を勢いよくたたこうとする)
サクラ (あわてて止めにはいる)わ、駄目、赤ちゃんが死んじゃう!!
間
サクラ あ(口を押さえる)
チャコ あかちゃん?
サクラ いや・・・(たまを見て)ごめーん
チャコ (たまに)何よ、あかちゃんって
たま あ・・いや、だからね、赤ちゃんが・・・・できたの・・・・
チャコ へ、あんたに?(たまのお腹を見て)あかちゃん?
たま (うなずく)
チャコ すごーーーーい(拍手)おめでとーーーーー!!
みんな知ってたの?
しぶしぶうなずく、あかつきとサクラ
チャコ もう、何?そういうおめでたいことは早く教えてよーーー
で、相手は誰なのよ。早く紹介しなさいよーーー。
たま いやー、それが・・・ね
チャコ 何?
たま わかんないの
チャコ へ?
・・・・どういうこと?
たま だから・・・・お店にいたころに、色々と・・・・
チャコ 色々って・・・
たま まあ・・・そういうことよ
チャコ ちょっと・・・ホントなの?
あかつき 若かりし日の、火遊び
チャコ (あかつきに)あんたは黙ってて!
そんな・・・・うそ・・・信じらんない!!!
たまって、そういうところは、もっとちゃんとしてるのかと思ってたのに!!
たま だって・・・
チャコ だってじゃない!
何考えてんのよ・・・まったく・・・
後先考えずに欲求のまかせて遊びまくって、
子供ができました、でも相手はわかりませんって、
よくまあそういうことを軽々しく・・・一体どういう神経してるの、馬鹿!
あかつき まあまあ、落ち着いて
たま ごめん・・・・なさい・・・・
ちょっと、気持ち悪いから、寝てくる・・・
たま、お腹を押さえて袖に退場
サクラ チャコねえちゃん、そんなに怒らないでよ
チャコ 怒るわよ!当たり前じゃない!
あかつき いいじゃない、別に
チャコ 何が
あかつき だって、子供つくるのって、私たち動物の本能でしょ。欲求にしたがって
子供をつくる。素敵なことじゃない。
チャコ そういうことを言ってるんじゃないの!
あかつき わたしやチャコネエみたいにいい年して、子供もつくらないでいるほうが、
間違ってるんだって。
チャコ あたしは・・・まだ、花嫁修業中。
あかつき それに比べれば、たまは、本能に従って、ちゃんと子孫を残そうとしてるのよ。
一番正しい生き方ね。
サクラ じゃあ、僕は?
あかつき あんたはもう少し。大丈夫、体の準備ができたらわかるから。
チャコ いや、だから、正しいとかそういうのじゃないの。
生まれてくるこどもはどうすんの?父親がわからないのよ!
サクラ じゃあ、僕たちで育てよう!
チャコ ほら、結局そうなる。だったら、それなりの順序ってものがあるでしょ。
突然子供ができました、面倒見てくださいって、甘えるんじゃない!
あかつき あ、そこに怒ってんの?
チャコ え、もう、わかんない、色々よ。
大体うちにそんな余裕ないし・・・
あかつき じゃあ捨てちゃえば
チャコ はあ?
あかつき だって、そんな子猫そこらじゅうにいるでしょ。
大丈夫、放っといたって生きるやつは生きるし、死ぬやつは死ぬ。
それは運命。
チャコ そんなの無理。
あかつき そっか、チャコネエは捨てるの苦手だったね。
チャコ は?
あ・サ (一緒にポーズをとって)捨てられないのよー
チャコ ちゃかさないで!
あかつき 私は自然の摂理を言ってんの。大量に生むだけ生んで、後は運命にまかせる。
そういう繁栄の仕方もある。
チャコ そうかもしれないけど・・・私は、そんな割り切った考え方はできないよ。
私は、小さいころお父さんがいないの嫌だったもん。寂しかったもん。
あかつき チャコネエ・・・
チャコ そりゃお母ちゃんは女手ひとつでがんばって私たちを育ててくれたから、
何の文句もないわ。でも、ほんとはお父さんがほしかったの!
だから、父親がいなかったり、ましてや、両親がいないなんて、そんな子猫を
自分の手で増やすのは嫌なの!
あかつきだって、サクラだって、この気持ちはわかってくれるでしょ。
サクラ 僕は・・・、お父さんいなくっても、代わりにお姉ちゃんたちがいたから、
ちっとも寂しくなかったよ。
あかつき そうね・・、じゃあ、やっぱり今回も私たちが、
生まれてくる子供の父親がわりになるしかないんじゃないの?
チャコ え・・・
あかつき 食料だって、みんなでがんばって取ってくればいいでしょ。
チャコ あかつきも協力してくれるの?
捨てるなんて言わない?
あかつき それは、そういう選択肢もあるって言っただけで、私だって、
できれば捨てたくはないわよ。
サクラ やった、じゃあ、決まりだね!
チャコ うん、みんなでがんばって育てましょ。
サクラ よし、まずは僕がお父さん役するから!えーっと、お父さんだから・・・
よれよれのスーツとネクタイつけて、あと、加齢臭もつけないと・・・
ぶつぶつ言いながらサクラ退場
その様子をあきれて見ているチャコとあかつき、顔を見合わせて笑う。
あかつき その代わり約束して。もうあんまりたまに怒鳴らないこと!
ストレスをかけると、お腹の赤ちゃんにもよくないの。
それから、もう少し部屋をかたずけて、(落ちてるゴミをひろって)
こんなの赤ちゃんが食べたらどうするの?
チャコ えーーー
あかつき 何よ。がんばるんでしょ。
たま、お腹を押さえて入ってくる。
チャコ あ、聞いて、たま。その赤ちゃん、みんなでがんばって育てようって
たま あ・・・あの・・・ちがった・・・みたい・・・・
チャコ へ?
たま なんか・・・ただの便秘だったみたいで・・・
今、トイレにいったら、すっきり・・・・
チ・あ はあ????
たま ご心配、おかけしました(ポーズ)
チャコとあかつき顔を見合わせ、かたまる。
袖から、よれよれのスーツを着て、ネクタイを頭にまいたをサクラ登場
サクラ おーい、ひっく、今、帰ったぞー、ひっく
照明フェードアウト
第5話 身体 〜雨とくしゃみと秋の空〜
雨音。
部屋でひとり、外を眺めながら物思いにふけるたま。
たま 雨はあたいに似合う。雨の音をきいていると、うっとりしちゃう。
思い出すわ、色んな男との思い出。
初めて付き合った、物静かなあいつ。別れた日は雨だった。
次に付き合った、筋肉質のあいつ。雨の日は、いつもあいつの腕の中で
雨の音を聞いたっけ・・・・あああ、もう、たまらーーーん。
ひとり悶えるたま。袖からサクラが入場。
サクラ 何やってんの?
たま わ、もう、何でもないわよ。
サクラ ああ、また雨か・・・
たま 雨もいいわよ。
サクラ 僕雨きらーい。外で遊べないもん。
たま ふふふ、子供ね
サクラ いいもーん、子供で
穴よりチャコがはいってくる。
チャコ ひゃーもうびしょ濡れ。
サクラ あ、お帰りー。大丈夫。
チャコ まったく、こんな日に集会するかー?勘弁してほしいわ。
あら、あかつきは?
たま 釣りだって。
チャコ え、この雨の中?大丈夫かしら。
あ、そういえば
穴より外をうかがう
サクラ どうしたの?
チャコ いや、何かね、帰る途中、誰かにつけられてる気がして
たま まあ、ストーカー!
チャコ え、(照れて)やっぱそうなのかな?
たま 喜ぶなよ。
チャコ だってー、それってあたしが魅力的ってことでしょ
たま 気のせいじゃない?
チャコ いや、ホントなんだって
穴よりあかつきが入ってくる。片足がかなり不自由になっている。
チャコ あ、お帰り。
あかつき もう、今日はさっぱりだわ。
チャコ 仕方ないよこんな天気だし。
あかつき うう、寒い。
チャコ 大丈夫?
あかつき あ、そういえばさあ
あかつき、部屋の中を見回し、穴から外の様子をうかがう
サクラ (楽しそうに)何なに?
あかつき いや、なんかうちのまわりにたくさん人間の足跡がついてたから、
何かあったのかと思って
サクラ きゃーやっぱりストーカー!
チャコ ほら、やっぱり。
あかつき ストーカー??誰の?
チャコ あた
たま (さえぎって)そりゃ、あたくしに決まってるでしょ。ほほほ。
チャコ は?何でそうなるのよ?
たま 追いかけられるといえば、あたくし、たま様。(ポーズ)
あかつき (しばしたまを見て)何か、よくわからないけど、ちょっと寝てくるわ・・・
あかつき退場
サクラ たま姉ちゃん、なんか心当たりがあるの?
たま そりゃ、たくさん。罪作りな女ですもの。おほほほほ
チャコ し!誰か来る
穴の外を人間が通り過ぎる。何度か往復。
たま こりゃ、間違いないわね
チャコ (たまに)ちょっと、あんた見てきなさいよ。
たま ええ?あたい??
チャコ あんた、心当たりがあるっていったじゃない。
たま いや、それはそれ
チャコ ほらほら
そういって、無理やりたまの体を押して、穴のほうへ。
たま、しぶしぶ穴から外をのぞいて、戻ってくる。
チャコ どう?
たま 知らない人、っていうか男じゃないし。
チャコ そうなの?
サクラ 僕も見る!!(穴のところへ)
たま ちょっと、気をつけないさいよ。
サクラ穴から外をのぞいて、ゆっくりと帰ってくる。
たま 見えた?
サクラ うん・・・・・・あの・・・
チャコ 何よ
サクラ 知ってる、人だった・・・・
チ・た ええ??
サクラ 僕の・・・飼い主だった人・・・・
チャコ あ、じゃあ、サクラを探して
たま あんた探されてたもんね
サクラ ど、どうしよう!見つかったら、連れ戻されちゃう。
たま んーーー(穴をしばし眺めて)ま、そのうちあきらめるでしょ。
しばらくおとなしくしてなさい。
照明フェードアウト。雨音だけは鳴り続ける。
しばらく暗転の後、照明フェードイン。
雑誌を広げるたま、部屋のすみでうずくまっているサクラ、
毛布にくるまっているあかつき。
あかつき はくしょん!!(豪快なくしゃみ)
たま わ!もう、静かに。
あかつき 大丈夫よ、これくらい。
たま 知ってる?くしゃみってねえ、自分が思ってるより結構大きい音が
してんのよ。あかねえって見かけによらず豪快・・・
あかつき (話をさえぎって)し!また来たわよ。
穴の外を人間が通り過ぎる
たま しかし、しつこいわねえ、何日目?
いいかげんあきらめると思ったけど。
(サクラに)あんた、相当気に入られてたのね。
あかつき 戻ってあげたら?
サクラ 嫌だよ!絶対
あかつき そう、じゃあ、もう少し表にはでないことね。根くらべよ。
チャコ袖より入場
チャコ 今日もいるの?
あかつき (立ち上がって)さて、私は隙を見て獲物を取りに(釣竿をさがす)
チャコ ちょっと、雨降ってるし、やめときなって
あかつき いいの、いいの(といいながらふらつく)
チャコ もう、大丈夫?(あかつきの体を支える)
わ、あんた、すっごい熱!ちょっと、駄目よ。寝ときなさい。
あかつき 大丈夫だって(無理に行こうとする)
チャコ 大丈夫じゃないわよ。はい、ここに寝とく。(無理やり寝かせて毛布をかける)
あかつきもサクラも、当分はおとなしくしておくことね。
照明フェードアウト。なり続く雨音とピアノ曲が重なる。
照明フェードイン、4人が部屋にいて、穴の外を人間が往復する。照明フェードアウト。
これを何度か繰り返し、日時の経過を現す。照明がつくたびに、4人は位置はかえず、ポーズだけを変化させる。3回目の照明フェードインの時にあかつきが消えて、毛布だけが残っている。
たま (穴を見て)来なくなったね。ようやくあきらめたか
チャコ (空の毛布に気づいて)あれ!? ちょ、ちょっと、あかつきは!?
たま、サクラ顔を見合わせ首をかしげる。
チャコ あの、馬鹿!
チャコ穴から外に飛び出す。照明フェードアウト。
雨音、一層はげしく。
あかつき ゴホゴホ(咳き込む)
部屋の隅でたまに押さえつけられているあかつき。チャコがあかつきの足にロープを結んでいる。部屋のすみでその様子をじっとみるサクラ。
チャコ よし、これでいいわ。
あかつき 普通ここまでする?
チャコ 逃げ出すあんたが悪いのよ。
あかつき もう、ゴホゴホ、放っといてよ
チャコ 放っとけるわけないでしょ!さっきだって、あのまま道で倒れてたら、
車にはねられてたわよ。
あかつき だったら、それが私の運命だったってことよ。
チャコ (あかつきの顔をにらみ、頬をたたく)かっこつけないで!
何?だったらさっきあたしが助けたのは余計なお世話だったってこと!?
あかつき 別に、ゴホゴホ、そこまでは、言わないけど・・・
たま あかねえ、ちょっとはチャコネエちゃんの気持ちも考えてあげなさいよ。
あかつき だったら、私の気持ちも考えてよ!こんなとこに縛り付けられて、
死ぬのをただ待てっていうわけ!?
たま 死ぬだなんて、そんな、大げさな・・・(あかつきの顔を見て)ええ!!
チャコ (あかつきの顔をじっと見つめて)あんた・・・そんな・・・悪いの?
あかつき わからない・・・でも、足もどんどん動かなってきてるし・・・
息だって・・・ゴホゴホ
チャコ そんな・・・わ、わかった・・・とにかく安静にしてなさい・・・
私が、私がなんとかするから・・
あかつき (チャコを遮って)だけどね、体が・・・私の体が外へ出よう、出よう、
っていってるの。猫は自分でエサガとれなくなったら終わりだって、
このままここにいちゃいけないって・・・、
(チャコにすがりついて)ねえ、これって猫の本能よね!
チャコ 駄目!今外に出たら、あんたホントに死んじゃうよ・・・・
あかつき 死んだっていいの!
チャコ いいわけないでしょ!!
あかつき 私はね・・・うれしいの・・・・私の意志とは関係なく、本能のままに体が
動いてるって・・・・ああ、わたしやっぱり猫なんだって、・・・
初めてそう実感できるの・・・。
チャコネエ、私、猫よね、猫だもん、猫なんだから、最後までちゃんと
猫らしく生きさせて!
チャコ 何で・・・・(首を横に振り)私には・・・あんたの気持ち・・わからない。
猫らしくって何?ここでいいじゃない!
4人しかいない兄弟だよ!最後くらいちゃんと頼ってよ!
死んだっていいなんて・・・そんな寂しいこと言わないで・・・
たま チャコネエちゃん・・・
チャコ (あかつきに)ねえ、もう一回あれ言って。
あかつき え?
チャコ (かけてあるメイド服を指して)キレイキレイ教。
あかつき 何言ってんの・・・こんな時に。
チャコ あんた、あの時あたしに聞いたよね?何のために生きてるのかって。
あたし、今なら答えられるよ。
あたしは、あたしを大切に思ってくれてる人のために生きてる。
生きていてほしいって、そう思ってくれてる人が一人でもいるなら、
あたしは一日でも長く生きよう。ってそう思えるの。
あたしはあかつきに一日でも長く生きてほしい・・だから!
突然、人間の足音。穴の外に再びサクラの飼い主が通る。
しばしそれを無言でみつめる4人。
ゆっくりとサクラが立ち上がり、穴のほうに近づく。
たま サ、サクラ?
サクラ 僕、あの人のところに戻る
たま え、なんで・・・
サクラ 今のチャコネエの話きいてて・・・僕、あの人の笑った顔思い出したの。
僕といたときはいつも幸せそうな顔してた、
(穴の外を指して)あんな、つらそうな顔なんてしてなかった。
だから、こんな僕でも、あの人にとっては大切だったのかな・・って、
それなら、あの人のために生きるのも悪くないかなって・・・
チャコ サクラ・・・
サクラ ごめんなさい、こんなときに・・・・
あかつき いいの?ほんとに
サクラ うん。大丈夫!
お姉ちゃんたちのおかげで、僕、自分の居場所がわかった気がする。
あかつき そうか・・・、なら何も言わない。
サクラ (あかつきの前に立ち)あかつきお姉ちゃん、
僕もお姉ちゃんには一日でも長く生きていてほしい。
あかつき (しばし顔をみつめ)・・・行きなさい
サクラ、うなずき、チャコとたまの顔も見て、ゆっくりと穴の前へ。
振り返り、笑顔をみせて、穴の外へ。四つん這いになり、本物の猫のような歩き方で。
そこへ飼い主がかけよってきて、頬擦り。できればシルエットで。
そのまま飼い主とサクラ退場。
チャコ 行っちゃった・・・
たま 大丈夫かしら
あかつき きっと大丈夫。今度は自分の意思で行ったんだ、前とは違うよ。
チャコ うん。
(思い出したようにあかつきを見つめて)で
たまとチャコ、あかつきに注目。しばし間。
あかつき (豪快に)ハクション!!
たま (びっくりして)わあ、もう
あかつき ああ、もう、なんかサクラのせいで出て行くタイミング逃しちゃったな
チャコ え、じゃあ
あかつき とりあえず、居ることにするよ。もう少し。
ああ、別にあんたらのためじゃないわよ。
そう・・・・猫は、きまぐれなのよ。
チャコとたま顔を見合わせ笑う。
チャコ あ、見て、雨やんだよ。
空を見上げる三人。照明フェードアウト
第6話 自在 〜どこにでもいる、どこまでもいる〜
少し長い幕間のあと、木枯らし吹きすさぶ音。穴の外に雪がちらつくのが見える。
ちゃぶ台の上に手紙(アジ)がおいてある。
チャコ、震えながら袖から登場。
チャコ ああ、さむ・・
立ち止まり何かに気がついて、穴の外を見る。
チャコ わあ、雪!
(部屋の中をたまを探して)ねえ、たま、たまー、た・・・
ちゃぶ台の上の手紙に気がつく。ゆっくりそれを読んで
チャコ (穴の外を見つめ)たま・・・
穴から外を見ようとすると、外から防寒着に身を包んだたまが入ってくる。
チャコ (おどろいて)わ、わ、わ・・・・
たま、部屋にはいって防寒着を脱ぎ捨てる。
チャコ ちょっと、出て行ったんじゃないの!?
たま 寒すぎ・・・・・
チャコ はあ?
たま 出て行くの、明日にします・・・(毛布を取り出してくるまる)
チャコ あきれた、書置きまでして。(手紙を示す)
たま だってーーー(外を指す)猫はこたつでまるくなる、でしょ。
たま、毛布にくるまる。
チャコ、穴の外から雪をとってきて、たまにかける。
たま ひゃあ、ちょっと、何すんのよ!
チャコとたま、雪をかけあう。
チ・た 寒!
二人で毛布にくるまる。
チャコ なつかしいな。
小さいころも4人でひとつの布団にくるまって寝てたよね。
たま ああ、そうだったわね。
チャコ でも、最初に一人で寝るって言い出したのは、一番小さいサクラ。
それから、あかつきも一人で寝るようになって・・・最後まで一緒だったのは
あんただったわね。
たま え・・・そうだっけ?
チャコ とぼけちゃって! お姉ちゃん、ひとりで寝るのこわいーーって。
たま もう、やめてよ。
チャコ あ!
たま 何?
チャコ その順番って、そのあと、この家を出て行った順番とおんなじ!
たま ああ・・・・、そういわれれば・・・
あ、それ、今回もまたおんなじよ!
チャコ おおーーーほんとだ。
・・・・まあ、あかつきは出て行ったわけじゃないけど・・・
たま あ、うん・・・・
二人で位牌のほうを見る。しばし間
たま アカネエちゃんの足のケガってさあ・・・あの時のでしょ。
チャコ そう、サクラが人間に無理やり連れて行かれたのを
ずーっとずーっと追いかけていって、そのときに。
それでも走るのを止めずにさあ。でも結局追いつけなくって・・・。
たま あの時からよね、アカネエちゃん、人間嫌いになったの。
チャコ うん・・・・
しばし間
チャコ あかつき、幸せだったのかなあ・・・・最後までここにいて・・・
顔を見合わせるが、無言で首をかしげる。それぞれ思いをはせる。
チャコ ねえ!あんた、何で出て行くことにしたの?
たま え!何でって・・・まあ、その、何となくよ!
チャコ 何よ、何となくって!
たま やっぱ、あたい、都会のほうが合ってるわ。ここにいると、なんだか
張り合いがなくってさあ。
チャコ ふーん。
たま それに・・・、やっぱり、出来てたみたいなの、赤ちゃん。
チャコ ええーーー!!
たま っていうか、わかるでしょ!こんなにお腹出てんのよ!
チャコ ・・・・わかんない
たま とにかく、父親のあても、いくらかあるから、訪ねてみようとおもうの。
チャコ そっか・・・
たま ごめん・・・、チャコネエちゃん、また一人になっちゃうわね。
チャコ え!?いいのよ、あたし一人の方が気楽だし。
あんたらがいたら何かと面倒見ないといけないから大変だったわ。
たま そりゃ、失礼いたしました。
笑いあう。
しばし間。
たま やっぱ、もう行くわ。
チャコ え?もう?
たま なんか、チャコネエちゃんの顔見てるといつまでも出ていけそうにないから。
チャコ ・・・そう。(うなずく。外を見て)あ、雪止んだみたいよ。
ちょうどよかったじゃない。
たま (出て行く準備をしながら)お母ちゃんの位牌は、ここに置いていくわね。
チャコ いいの?
たま ここが私たちの実家だもん。ここにあるのがふさわしいわ。
それに・・・(位牌の方を見て)今はアカネエも一緒だし。
チャコ うん。
たま いい?ちゃんと毎日拝むこと。忘れちゃ駄目よ。
チャコ えっと・・・はんニャー信教だっけ?
たま 何だっていいの、言ったでしょ、祈る心が大切よ。
チャコ そっか・・・
たま それじゃ、いくね。
チャコ うん・・・・がんばって
たま、黙ってその場から動かない。
チャコ 行かないの?
たま チャコネエちゃん
チャコ ん?
たま 長女だからって、泣いちゃ駄目なんてことはないのよ。
チャコ え・・・・、もう・・・何言ってんの。
あんたの前でね、涙を見せるほど、まだ弱っちゃいないわよ。
行くんでしょ、さあ、早く行きなさい!
たま ・・・はい、いってきます。
たま、穴から退場。
チャコはその場にたったままたまの出て行ったほうを見つめている、
肩を少しずつ揺らして、泣き出す。そのままうずくまる。
ひとしきり泣いた後、立ち上がって涙をぬぐう。
チャコ はあ、泣いたらお腹減った。
ちゃぶ台のところにいき、置いてあるアジをかじろうとして、手を留め、
アジをひとつ、位牌のところに供えて、その前に座って自分もアジをかじる。
チャイムが鳴る。
郵便局員 チャコさーん、お届け物でーす。
チャコ あ、はーーーーーい。
チャコ立ち上がる。
照明カットアウト
同時にエンディングテーマが流れる。
カーテンコール