屋上の幽霊




街中を歩いていた。ふとビルの屋上に目をやると男が飛び降りようとしている。大変だ!止めないと・・・!!あ、あ、飛び降りた・・・・!

「どうした、兄ちゃん?」

慌てる私に道路工事をしていたオヤジが声をかけてきた。ビルの上の男のことを話すと、

「ああ、兄ちゃんも見たのかい。気にしないことだ。あの男はあそこで死んで以来、毎日ああやって飛び降り自殺を繰り返しているのさ。ここの名物みたいなもんだ。」

私は落ちた場所に目をやった。誰もいない。また明日、彼は飛び降りるのだろうか。

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死に切れず、自分の最後の時を繰り返す幽霊話です。繰り返し電車に飛び込んで迷惑をかける幽霊とか、何度も海に飛び込む幽霊とか、バージョンはさまざまですが、ビルの飛び降りが最もポピュラーでしょうか。ゴールドエクスペリエンスレクイエム!な感じで、ちょっと切なさを感じてしまうRです。