隙間女(すきまおんな)




一人暮らしの青年が部屋の中で視線を感じた気がした。見渡しても、部屋の中には彼しかいない。そのときは気のせいだと思った青年だが、その日以来、ずっと部屋の中で誰かに見られている気がする。部屋にはやはり彼しかいないし、ここはマンションの4階だ。カーテンも引いてるので外から覗かれてるわけもない。念のため部屋に誰か隠れていないか探してみるが、誰もいない。やはり気のせいか・・・・。

ふと部屋の隅の箪笥に目をやると、箪笥と壁の間のほんの少しのすき間に、女が立ってこちらを見ていた。

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現代妖怪として少しは名が知られてきた彼女ですが、実は江戸の昔から家具のすき間から現れるペラペラ女の話は存在するようです。案外古株だったり?基本的には見てるだけぽいですが、目を合わせるだけで異次元に連れ去られてしまう凶悪バージョンもいるようです。ところで、すき間にどうやって立って見ているように見えるのでしょうか?すっごい細長く見えるのか、それとも独自の見え方があるのか・・・?(Rの話ではすきまを結構広げて細長く見せましたけど、ミリ単位のすき間の細さだったらそもそも人間ぽいと判別できませんよね)そのシュールでかなりお気に入りの話です。