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日本のノストラダムス現象


 日本においてノストラダムスが一般に知られるようになったのは、言うまでもなく空前のベストセラー『ノストラダムスの大予言』以降である。その後、多くの関連書が出版されて日本の特異なノストラダムス現象が形成されていった。ノストラダムス現象とは、ノストラダムス本人あるいは主著である予言集(その注釈を含む)に影響を受けた事件または社会現象を指すものとして定義づけする。20世紀に入ってから、主としてノストラダムスの解釈本がノストラダムスの予言と同一視されて、様々な物議を醸し出したケースが世界中に見られた。一番記憶に新しいところでは2001年にインターネット上に流布された米同時多発テロ事件に纏わるデッチ上げの予言であろう。メールという手段を用いてあっという間に偽情報がばらまかれ、専門知識を持たない人々がこれに騙されて動揺したこともあった。

 ここでは、日本のノストラダムス現象について年代順に追ってみたい。まず最初のブーム以前のノストラダムスに関する僅かな言及については、著者の知りうる範囲ですべて盛り込んだ。ノストラダムスの名を日本中に知らしめた1973年を日本のブームの元年とし、第一次ブームと位置づけた。当時は米ソや中ソ対立がもたらす全面核戦争の恐怖といった破局的なイメージを初め、東京直下型地震や富士山大爆発などといった局所的破局ヴィジョン、日本沈没などがバックグランドにあった。そのなかでノストラダムス現象に大きな影響を与えたと思われる関連書を取り上げ、簡潔な注釈を付記した。その後についてはいろいろな見方があるだろうが、主なエポックを第二次、第三次、第四次ブームと分類して、今日に至るまでのノストラダムス現象を年代順に追った。

 第二次ブームの80年代に入ると、1982年の惑星直列、1986年にはハレー彗星の到来によって地球はとてつもない破滅的な出来事が起こるはずであった。しかしながら、この頃は同時にバブルが始まった頃でもあり、少しずつ浮かれ気分も蔓延した。むしろ一転、ニューエイジ系の明るいポジティブなヴィジョンが広がり始めた。1985年当時「オウム神仙の会」を立ち上げた麻原彰晃は川尻博士のノストラダムス解釈の愛読者でもあったが、10年後にはわが国の犯罪史上凶悪な事件を見ることになるとは想像もつかなかった。第三次ブームの80年代末からは、ソ連解体、ベルリンの壁の崩壊などの激動が走り、冷戦は終わったものの民族問題の深刻化、環境汚染の悪化、世界同時不況など、先行きの見えない複雑な事態が明らかになり始めた。その隙間に忍び込むかのように予言解釈から世紀末的なシナリオを描く関連本が増えていった。

 その後の成り行きは、ロサンジェルス大地震、阪神淡路大震災、さらにはオウム事件などのカルト犯罪、神戸の猟奇少年殺人事件など、混沌とした象徴的事件が続出し、オカルトに対する批判的な風潮が漂った。世界的な不況を背景に、中東、ロシアの混乱、東南アジアにおけるさまざまな激動が続き、ユーゴ空爆へいたる混沌たる状況が繰り広げられ、世紀末に最後の第四次ブームを迎えた。日本では1999年7月までノストラダムスがテレビ、新聞、雑誌あるいはインターネット上で様々な形で取り上げられた。現在となっては、一番の目玉であった1999年人類滅亡の年も過ぎ去ったことで、関連書も書店から消えて脈々と続いていたブームも完全に終焉を迎えた。こうして日本におけるノストラダムス現象には、一応のピリオドが打たれたと見ていいだろう。

主要参考文献
『ダイヤモンド・ボックス』1991年8月号、ダイヤモンド社、「特集 はっきりわかるノストラダムス」
神田文人『昭和・平成現代史年表 大正12年9月1日〜平成8年12月31日』小学館、1998年
ザ・20世紀
山本弘『トンデモ ノストラダムス本の世界』洋泉社、1998年
山本弘『トンデモ大予言の後始末』洋泉社、2000年
田窪勇人『ユリイカ』 1999.2月号、青土社、「日本におけるノストラダムス受容史」1999年、2000年には完全版がアップされたが現在はリンクが切れている。nostradamusLAB.info

年代 日本 政治・文化・関連事項
1923
(大正12)
カミーユ・フラマリオン、高瀬毅訳『此世は如何にして終るか』(改造社出版)。ノストラダムスの百詩篇(実はフラマリオンの創作詩)が終末のアイテムとして引用されており、日本において名前が紹介された最初であると思われる。 ・関東大震災(M7.9)。
・虎の門事件。
【流行・話題】丸ビル。
1928
(昭和3)
ゲーテ、森林太郎訳『フアウスト第一部』(岩波文庫)。第一部に「ここにノストラダムスが自筆で書いて、深秘を伝えた本がある。」という記述が見られる。 ・初の普通選挙による総選挙。
・張作霖爆殺事件。
【流行・話題】モン・パリ、ダンスホール、ラジオ体操、マネキンガール。
1949
(昭和24)
渡辺一夫『ルネサンスの人々』(鎌倉文庫)。「或る占星師の話―ミシェル・ド・ノトルダム(ノストラダムス)について―」で日本で最初にルネサンス人として紹介を行った。初稿は1947年11月で文芸雑誌「人間」(鎌倉文庫)。 ・下山事件。三鷹事件。松川事件。
・湯川博士にノーベル物理学賞。
・北大西洋条約機構(NATO成立)。
・中華人民共和国成立(主席毛沢東)。
【世相】竹馬経済。
【流行・話題】ビヤホール復活、サンドイッチマン、紙芝居、カルメ焼き、ゴム風船、フジヤマのトビウオ。
【海外】ヘンリー・C・ロバーツ"The Complete Prophecies of Nostradamus"(ノストラダムスの全予言)第二版。後年邦訳が出たがテクスト自体に問題が多い。
1957
(昭和32)
黒沼健『謎と怪奇物語』(新潮社)。「七十世紀の大予言」で日本で最初にノストラダムスの予言の解説を行った。戦後最初に書いた原稿で、1939年に入手したジョン・コブラーの解説書を底本として使ったらしいが、実際はヘンリー・フォアマンの著作からの引用が多い。なお第二次大戦のシナリオ部分はエミール・リュイアの著作、奇妙な図形はピエール・ピオッブの著作からの引用である。 ・勤評反対闘争 。
・ソ連、史上最初の人工衛星「スプートニク1号」の打ち上げに成功。
【世相】天照景気、なべ底不況(〜1958年)。
【流行・話題】サイクリング・ブーム、ホッピング、ロカビリー・ブーム、カリプソ(ラテン・アメリカ系のリズム)、パートタイマー。
1961
(昭和36)
カート・セリグマン、平田寛訳『魔法 その歴史と正体』(平凡社)。「七人の肖像」のなかで簡潔に紹介している。Centurieを「諸世紀」と訳出している。原著は1948年発行。 ・第2室戸台風で被害。
・米、ジョン・F・ケネディが、史上最年少の43歳で第35代大統領に就任。
・レンツ博士(西ドイツ)により、新生児の四肢奇形の原因が、母親のサリドマイド服用にあることが確認され、世界各国に伝えられた。
・ソ連、ユーリン・ガガーリン少佐(27)を乗せた「ウォストーク1号」を打ち上げた。
【世相】岩戸景気、レジャー・ブーム。
【流行・話題】マイ・カー時代、六本木族、睡眠薬遊び、学力テスト競争、コカコーラ街に出まわる、ガン・ブーム、不快指数。
【海外】エドガー・レオニ"Nostradamus:Life and Literature"(ノストラダムス、生涯と文学)初版。良質な研究書で1982年に再版された。
澁澤龍彦『黒魔術の手帖』(桃源社)。「星位と予言」で占星術に関するエッセイとして紹介している。初稿は「宝石」1961年4月号。
1962
(昭和37)
黒沼健『未来をのぞく話』(新潮社)。「ノストラダムス余録」で1949年のヘンリー・C・ロバーツの本から予言解釈の紹介と肖像画を転写している。 ・北陸トンネル開通。
・キューバ危機。
【世相】青田買い、スモッグが問題化、サリドマイド奇形児の問題、住宅難、高度経済成長。
【流行・話題】ツイスト、無責任時代、当たり屋、テレビ放送。
1963
(昭和38)
荒木俊馬『西洋占星術』(恒星社厚生閣)。「§18.ルネッサンス初期の占星術界」でクリチンゲルの説を引用する形で紹介している。 ・吉展ちゃん誘拐事件。
・ケネディ大統領、ダラスで暗殺。
【世相】新1000円札、三ちゃん農業。
【流行・話題】小さな親切運動、ハッスル、初のテレビ長編アニメ「鉄腕アトム」、バカンス。
黒沼健『古代大陸物語』(新潮社)。「ノストラダムス落穂集」でヘンリー・C・ロバーツの第二次大戦に関わる予言解釈を引用している。
1964
(昭和39)
澁澤龍彦『世界悪女物語』(桃源社)。「カトリーヌ・ド・メディチ」でアンリ二世の不慮の死の予言に触れている。初稿は「新婦人」1963年5月号。 ・東京オリンピック開催。
・トンキン湾事件。
【世相】海外旅行、自由化。
【流行・話題】ウルトラC、根性、マンション、ワッペン、切手ブーム。
1965
(昭和40)
ジェス・スターン、宇土尚男訳『予言 未来をのぞいた人々』(弘文堂)。「予言者の中の予言者」でスチュアート・ロブの取材を盛り込んで紹介している。 ・日韓基本条約成立。
・アメリカがベトナム戦争に直接介入、北爆開始。
・中国、文化大革命始まる。
【世相】公害。
【流行・話題】オバQ、エレキ・ブーム、スモッグ、ピンク映画。
1966
(昭和41)
門馬寛明『西洋占星術 あなたを支配する宇宙の神秘』(光文社)。自分の死に場所を予言した占星術師として紹介している。作家の高木彬光が推薦文を書いているが、後年自分がノストラダムスの本を書くことになるとは思いもよらなかったろう。 ・ビートルズ来日。
・総人口一億人突破。
【世相】いざなぎ景気、黒い霧、交通戦争。
【流行・話題】丙午(出生率が前年より25%減少)、ビートルズ旋風、グループ・サウンズ、3C(カラーテレビ、カー、クーラー)が新三種の神器。
ホッブズ、水田洋・田中浩訳『リヴァイアサン<国家論>』(河出書房新社)。「第二章 宗教について」の未来の予言に関する項でノートルダムの予言について言及している。
1969
(昭和44)
  ・米アポロ11号、人間をのせ初の月面着陸に成功。
1970
(昭和45)
黒沼健『世界の予言 日本・世界の危機と著名人の生死』(八雲井書院)。「十六世紀の大予言者ノストラダムス」でそれまでの原稿をまとめた形で紹介している。黒沼のノストラダムス物語の集成。 ・大阪で日本万国博覧会開催。
・日航機よど号乗っ取り事件。
・三島由紀夫、自衛隊乱入、割腹自殺。
【世相】公害問題(大気汚染、ヘドロ、光化学スモッグ) 。歩行者天国。
【流行・話題】電子オルガン教室、SLブーム、ハイジャック。
1971
(昭和46)
澁澤龍彦『妖人奇人館』(桃源社)。「ノストラダムスの予言」で四行詩と解釈の紹介を行っている。初稿は「別冊小説現代」1968年1月15日新春特別号。 ・ニクソン、金-ドル交換停止などドル防衛策発表(ドルショック)。
・全日空機、自衛隊機接触墜落。
【世相】環境庁発足。ゴミ戦争宣言。ノーカーデー。
【流行・話題】ボウリングブーム、アンノン族、スマイルバッジ、Tシャツとジーパンが爆発的流行、脱サラ、ラジオ深夜放送人気。
佐藤有文『世界のなぞ世界のふしぎ』(学習研究社)。「世界最大の予言者」で子供向けに予言の紹介をしている。
クルト・リース、西城信訳『ゲッベルス ヒトラー帝国の演出者』(図書出版社)。第二次大戦中に予言が宣伝活動に利用されたことに触れている。
南山宏『超現実の世界』(大陸書房)。超自然現象、いわゆるオカルト読み物であるが一部で簡潔に予言を紹介している。恐らく五島はこういった雑文を手掛りに資料を持っていると見当をつけてロバーツとロブを借りに行ったのだろう。
1972
(昭和47)
  ・浅間山荘事件。
・沖縄返還。
・米、ウォーターゲート事件発覚。
【世相】土地ブーム、ゴルフ会員権。
【流行・話題】同棲時代、オセロ、パンダブーム、電卓、三角大福(ポスト佐藤)。
【海外】セルジュ・ユタン"Les Propheties de Nostradamus:Edition integrate etablie et commentee par Serge Hutin"(ノストラダムスの予言、セルジュ・ユタンにより確立され注釈された完全版)初版。後に五島によりユタン秘蔵本と命名された。
1973
(昭和48)
4月。コリン・ウイルソン、中村保男訳『オカルト 上巻』(新潮社)。「魔術の歴史」で原文を併記し、四行詩の予言解釈を行っている。 ・石油ショック・モノ不足・大手商社の買い占め。
・ベトナム和平協定調印。
・第四次中東戦争勃発。
【世相】ベトナム和平、デタント(緊張緩和)、ウォーターゲート事件、物価急上昇、買い占め騒ぎ。
【流行・話題】終末論の出版盛ん、ツチノコ(幻の蛇)、 省エネ、バイコロジー、PCB汚染、東京ゴミ戦争。
小松左京『日本沈没』(光文社)400万部
雑誌『終末から』創刊(筑摩書房)。
雑誌『UFOと宇宙』創刊(ユニバース出版社)。1983年7月号(No.96)で廃刊。
【海外】エリカ・チータム"The Prophecies of Nostradamus"(ノストラダムスの予言)初版。改訂版が1981年に出たがそれが邦訳された。
1973
(昭和48)
11月。五島勉『ノストラダムスの大予言 迫りくる1999年7の月、人類滅亡の日』(祥伝社)209万部。445版まで発行されたのは確認した。ノストラダムス第一次ブーム(1974〜1975)の始まり。大方の日本人はこの本で人類滅亡=ノストラダムスの名が胸に刻み込まれた。1999年のブームの終焉までこれが消えることはなかった。
1974
(昭和49)
2月。渡辺一夫『ノストラダムスの「魔法鏡」の話』渡辺一夫著作集14(筑摩書房)。当時の異常なブームについて触れている。『大予言』を特集した雑誌記事のなかにもコメントが見られる。

4月。スチュワート・ロッブ、小泉源太郎訳『オカルト大予言』(大陸書房)。当時のオカルトブームに便乗した形で多くの本が出版された。

7月。フェニックス・ノア『神の計画 ハールマゲドン・人類最後の日』(日新報道出版部)。海外文献を要領よく参照し『大予言』とは別の視点で予言が捉えられている。ロバーツ本以外の予言集(1668年)の復刻版の表紙が掲載されている。

8月。高木彬光『ノストラダムス大予言の秘密 1999年7月 はたして人類は滅亡するか!』(日本文華社)。人類滅亡説のブームに対するアンチテーゼの役割を果たした。翌年、角川文庫より文庫化された。

【映画】ノストラダムスの大予言(東宝映画)。舛田利雄監督。五島勉のベストセラーを映画化したもの。
・田中首相退陣、三木内閣誕生
・三菱重工業爆破事件。連続企業爆破続く。
・米大統領ニクソン、ウォーターゲート事件で辞任。
【世相】便乗値上げ、狂乱物価、金脈。
【流行・話題】ベルばら、超能力(ユリ・ゲラー)ブーム、オカルトブーム、ストリーキング、丸山ワクチン。
1975
(昭和50)
3月。ヘンリー・C・ロバーツ、大乗和子 内田秀男監修『ノストラダムス大予言原典諸世紀』(たま出版)7.5万部。予言集の本邦初の全訳だがテクストと訳文に問題が多い。後に数多く出現する信奉者の原典となった。 ・南ベトナム崩壊、ベトナム戦争が終結。
・第一回先進国首脳会議。
【流行・話題】暴走族、ツッパリ、赤ヘル、紅茶きのこ、がん保険、カタログ雑誌、BCLラジオ、乱塾。
有吉佐和子『複合汚染』(新潮社)
1976
(昭和51)
4月。桜井邦朋『地球に急接近するハレー大彗星 宇宙科学が予言する1986年、悪夢の日』(祥伝社)。予言とハレー彗星を結び付けており、このテーマは彗星到来までの10年間用いられた。 ・ロッキード事件。
・田中角栄前首相逮捕。
・中国、天安門事件。
・南北ベトナム統一。
【世相】灰色高官、ピーナッツ。
【流行・話題】偏差値、もんちっち、ジョギングブーム。
雑誌『エニグマ』創刊(ユニバース出版社)。1977年8月号(No.5)で廃刊。
雑誌『オカルト時代』創刊(みのり書房)。1977年4月号(No.8)で廃刊。
1977
(昭和52)
2月。アンガス・ホール、船戸英夫訳『大予言と謎』(学習研究社)。子供向けに予言を紹介したものだが当時としてはわりとオーソドックスな内容である。 ・日航機、日本赤軍ハイジャック事件。
・青酸コーラ事件。
・エジプトのサダト大統領、イスラエル訪問。
【世相】円高、魚ころがし。
【流行・話題】焼酎ブーム、電線音頭、落ちこぼれ、カラオケ、平均寿命世界一。
1978
(昭和53)
2月。フランシス・キング、澁澤龍彦訳『魔術 もう一つのヨーロッパ精神史』(平凡社)。予言を魔術として位置付けしている。放浪するノストラダムスの版画が見られる。 ・日中平和友好条約調印。
・ベトナム、カンボジア侵攻。
・米中国国交正常化発表。
【世相】サラ金地獄、古米あふれる。
【流行・話題】ディスコ、家庭内暴力、もぐらたたきゲーム、マイコン、郊外レストラン、竹の子族。
1979
(昭和54)
12月。五島勉『ノストラダムスの大予言U 1999年の破局を不可避にする大十字』(祥伝社)92万部。ノストラダムス第二次ブーム(1980年代)の始まり。破滅のアイテム(グランドクロス、惑星直列、ハレー彗星、ポールシフト、黙示録)をすべて盛り込み、後の予言解釈のフォーマットを完成させた。 ・第二次石油ショック。
・米、スリーマイル島原発放射能漏れ。
・ホメイニ師指導のもとイラン革命成立。
・ソ連軍、アフガニスタンへ侵攻。
・中国・カンボジア・ベトナム紛争。
【世相】地方の時代、省エネ。
【流行・話題】インベーダー・ゲーム、天中殺、ジョギング。
和泉宗章『算命占星術入門』『天中殺入門』(青春出版) 2冊で250万部。
平井和正『幻魔大戦』(角川書店)
雑誌『ムー』創刊(学習研究社)。
1980
(昭和55)
3月。レニ・ノーバーゲン、中山善之『ノストラダムスの予言した第三次世界大戦』(パシフィカ)。予言から世界大戦の詳細なシナリオを描いた海外の翻訳物の草分け的存在。以後多くの海外文献の邦訳が続いた。 ・イラン・イラク戦争勃発。
・モスクワ五輪、不参加。
・米大統領にレーガン当選。
・韓国、光州事件(光州民主抗争)。
【世相】和の政治。
【流行・話題】漫才ブーム、ヘッドホン族、イエスの方舟(はこぶね)、マイコン、圧力なべ、校内暴力・家庭内暴力急増。
【海外】ジャン・C・フォンブリュヌ"Nostradamus, Historien et Prophete"(歴史家、予言者ノストラダムス)初版。10月に発売された当時はさほど話題にならなかったが翌年のローマ法王狙撃事件後、6月には爆発的に売れ始め、フランスにノストラダムスブームをもたらした。
1981
(昭和56)
2月。五島勉『ノストラダムスの大予言V 1999年の破滅を決定する「最後の秘詩」』(祥伝社)67万部。かなり安直にノストラダムス以外のテーマを多く扱っており、ネタ切れの感が否めない。

5月。チャールズ・バーリッツ、南山宏訳『1999年運命の日』(二見書房)。これ以降、終末予言と危機要因を概括し、その文脈に予言を置くものが増えた。

9月。五島勉『人類滅亡の鍵を握る ファティマ・第三の秘密 法王庁が封じ続けた今世紀最大の予言』(祥伝社)。ノストラダムス以外の終末予言への展開といえる。
・神戸ポートピア81。
・仏大統領選挙で、社会党のミッテラン当選。
・ポーランドで戒厳令施行(「連帯」弾圧、ワレサ軟禁)。
・ローマ法王ヨハネ=パウロ二世来日。(2.23)
・ヨハネ=パウロ二世、サン・ピエトロで銃撃されるが一命をとりとめる。(5.13)
【世相】ロッキード裁判。
【流行・話題】なめネコ、ノーパン喫茶、宅配便、蜂の一刺し。
1982
(昭和57)
4月。中村恵一『ノストラダムス予言の構造』(思索社)。一ツ橋大学の助教授が書いた予言解釈本だが注釈自体はとても学術的とはいえない。五島に代わる研究家として一時期マスコミに登場した。

5月。J・C・フォンブリュヌ、高田勇訳『新釈ノストラダムス』(講談社)。フランスでは左翼のミッテラン政権が誕生したと同時にブームが起きたが、日本では五島に徹底的に批判されて売り上げが伸び悩んだという。

7月。五島勉『ノストラダムスの大予言W 1999年、日本に課された”第四の選択”』(祥伝社)50万部。フランスのブームに対する恣意的な攻撃といえる。ユダヤ陰謀論の先駆けとなったとされる。

10月。ダニエル・レジュ、佐藤智樹訳『聖マラキ悪魔の予言書 法皇庁不出の謎の秘伝書』(二見書房)。ノストラダムス以外の終末予言への展開。
・日航機、羽田沖墜落。
・ホテル・ニュージャパン火災。
・フォークランド紛争。
・反核運動頂点に達す。
【流行・話題】エアロビクス、マントル(マンショントルコ)、森林浴、豆乳、宅配便、パソコン、カプセル式ホテル、ネクラ。
少女向け占い誌『マイ・バースデイ』(実業之日本社)創刊。
【海外】ダニエル・リュゾ"Le testament de Nostradamus"(ノストラダムスの遺言書)仏訳、初版。スペイン語原書は1975年に出版された。

この年惑星直列が起こり、引力変化により地球に地震や火山の爆発などの天変地異や異常気象などの気候変動をきたすといわれたが特別な異変は起こらなかった。
1983
(昭和58)
3月。ダニエル・ルゾー、流智明 監修『ノストラダムスの遺言書』(二見書房)18万部。原書とは内容がかけ離れた陳腐な邦訳だが、1985年7月に救世主が誕生するという珍説がサブカルに支持されていった。巻頭に現地取材した写真が載っている。シェイネ氏のノストラダムス・ギャラリーのサイン帳に二見の取材者のコメントがあった。

4月。五島勉『ノストラダムスの大秘法 ついに解読された至高の運命予知学』(祥伝社)20万部。予知の秘密を解明するというテーマのはずが、まったくもって看板に偽りありで三巻の予定が一巻に終わった。
・大韓航空機撃墜事件。
・グラナダに米軍侵攻。
・核戦争の恐怖を描いたテレビ映画『ザ=デイ=アフター』全米で40%の視聴率。
【流行・話題】貸しレコード、カフェバー、愛人バンク、瞬間芸、焼酎ブーム、ディズニーランドグッズ、パソコンとワープロ、おしん。
雑誌『トワイライトゾーン』創刊(KKワールドフォトプレス)。「UFOと宇宙」を引き継いだが、1989年12月号(No.170)で廃刊。
【海外】ジャン・デュペーブ"Nostradamus : Lettres Inedites"(ノストラダムス未刊書簡集)初版。
1984
(昭和59)
4月。ミッシェル・ド・ロワザン、吉野博高訳『悪魔の啓示 最後の審判』(二見書房)。ノストラダムス以外の終末予言への展開。 ・グリコ・森永事件。
・「投資ジャーナル」グループを摘発。
・レーガン大統領、「強いアメリカ」を強調。
・アフリカで飢餓深刻化。
【世相】財テク。
【流行・話題】ロス疑惑、ニューメディア元年。
大友克洋『アキラ』(講談社)
1985
(昭和60)
2月。川尻徹『滅亡のシナリオ 今も着々と進む1999年への道』(祥伝社)。「週刊プレイボーイ」1984年10月16日号-12月25日号に連載された記事をまとめたもの。当時は斬新な暗号解読とスリリングな謎解きにファンが多かった。以降、続々と予言解釈本を世に送り出した。後年、オウム真理教の起こした事件に影響を与えたとされる。8年後の1993年に死去。

6月。浅利幸彦『神の正体 神は未来の地球人である』(時の経済社)。以降1999年までノストラダムスの解釈本を6冊出版したが、その内容はSF的な主観的妄想のため読者に受け入れられなかったためか本はほとんど売れなかったという。

10月。クルト・アルガイヤー、淡路誠訳『1987年−世界大戦を予告する悪魔のシナリオ ノストラダムス大予言の新しい解釈』(光文社)。ドイツの解釈本からの邦訳だが訳者がところどころに五島解釈の批判を挿入して翻訳の問題点を提起した。
・日航ジャンボ機が御巣鷹山山中に墜落。
・メキシコ大地震。(9.19)
・コロンビアのネバドデルルイス火山噴火。
・AIDSの恐怖、世界に広まる。
【世相】内需拡大。
【流行・話題】ファミコン、ハレー彗星、おニャン子クラブ、いじめが横行。
『スーパー・マリオ・ブラザーズ完全攻略本』(徳間書店)
小松左京『首都消失』(徳間書店)
荒俣宏『帝都物語』(角川書店)
「北斗の拳」連載で『少年ジャンプ』(集英社)が400万部突破。
1986
(昭和61)
2月。五島勉『ノストラダムスの大予言X ついに解けた1999年・人類滅亡の謎』(祥伝社)43万部。「マガジン・ノン」1985年8月号-12月号に連載された記事をまとめて増補したもの。五島にとって初めてロバーツ以外のテクスト(セルジュ・ユタン版)を紹介している。一応完結編と銘打っていたが、その後も出版社の事情か、同シリーズを続けざるを得なかった。 ・三原山が209年ぶりに大噴火。
・日本のAIDS患者25人となる。
・スペースシャトル「チャレンジャー」爆発。
・チェルノブイリの原子力発電所で大事故。
ハレー彗星が地球に大接近。(4.11)
・レーガン大統領とゴルバチョフ書記長がアイスランドのレイキャビクで会談。
【世相】円高差益、地価高騰。
【流行・話題】家庭内離婚、アスベスト(石綿)、ミニ4駆第1次ブーム、朝シャン、新人類。
細木数子『運命を読む六星占星術入門』(ごま書房)、『大殺界の乗り切り方』(祥伝社)ほか。
1987
(昭和62)
6月。ミシェル・C・トゥシャール、千葉茂隆訳 河合浩三解説『大予言者ノストラダムスの謎』(大陸書房)。フランス語の良質な解説書が翻訳されて、それまで知られていなかった予言の時代背景やフランスの研究家の諸説が明らかになった。

9月。川尻徹『ノストラダムス暗号書の謎』(二見書房)21万部。

12月。五島勉『ノストラダムスの大予言スペシャル・日本編 人類の滅亡を救うのは「日の国」だ』(祥伝社)44万部。予言の中で日本を特別な存在として取り扱ったことが、後年、新興宗教系の研究家に大きな影響を与えることとなった。
・地価の異常高騰。
・ニューヨーク株式市場の下落率22.6%、史上最大。
・米ソ首脳、INF(中距離核戦力)全廃条約に調印。
【世相】財テク、NTT株、NICS(新興工業国・地域)、バブル。
【流行・話題】レトロ、酸性雨、外国たばこ、海外旅行、電子手帳。
シャーリー・マクレーン『アウト・オン・ア・リム』(地湧社)。
広瀬隆『危険な話』(八月書館)。
雑誌『AZ』創刊(新人物往来社)。1995年3月号(No.35)で廃刊。
1988
(昭和63)
1月。エリカ・チータム、山根和郎訳 流智明監修『ノストラダムス全予言』(二見書房)18万部。予言集の英訳からの重訳。一部の四行詩を除き原文は省略されている。以後、スタンダードな日本語訳として信奉者に利用された。ロバーツとは異なる伝統的な予言解釈(ほとんどがレオニの転用だが)が初めて紹介されたといえる。その後、チータムの『ノストラダムスのさらなる予言』も同じ出版社から邦訳された。

9月。川尻徹『ノストラダムスメシアの法 「諸世紀」戦慄の新解釈』(二見書房)15万部。
・リクルート疑惑。
・なだしお事故。
・イラン・イラク戦争、停戦協定成立。
・米大統領選挙で、共和党のブッシュ候補当選。
【世相】ペレストロイカ、インサイダー取引、フリーター。
【流行・話題】ドライ戦争(ビール)、下血、自粛、濡れ落ち葉、輸入牛肉、リゾートマンション、ミニ四駆(プラモデル)、101(中国育毛剤)、遠赤外線。
雑誌『マヤ』創刊(学習研究社)。1992年2月号(No.19)で廃刊。
雑誌『ワンダーライフ』創刊(小学館)。1992年3月号(No.22)で廃刊。
雑誌『エルフィン』創刊(学習研究社)。1996年8月号(No.82)で廃刊。
1989
(平成1)
8月。藤島啓章『ノストラダムスの大警告』(学習研究社)。オカルト雑誌「ムー」の総力特集に発表したものを膨らませて単行本にまとめたもの。これ以降、90年代「ムー」ではノストラダムスをテーマにした特集記事が急速に増えていった。 ・消費税スタート。
・リクルート事件。
・昭和天皇死去。
・バブル経済。
・ベルリンの壁崩壊。
・第2次天安門事件。
・ルーマニアのチャウシェスク独裁政権崩壊。
【世相】濡れ手で粟、内外価格差。
【流行・話題】エスニックブーム、みつぐ君、トレンディー、マスオさん現象、一杯のかけそば、テトリス、コードレス留守番電話、イカ天(「平成名物テレビ・いかす!バンド天国」)、第2次交通戦争。
【海外】ミシェル・ショマラ"Bibliographie Nostradamus, XVIe-XVIIe-XVIIIe siecles"(ノストラダムス書誌16,17,18世紀)初版。
1990
(平成2)
6月。川尻徹『ノストラダムス最後の天啓 「諸世紀」戦慄の新解釈』(二見書房)8.5万部。

11月。五島勉『ノストラダムスの大予言・中東編 中東危機は人類破局への序曲だ』(祥伝社)39万部。ノストラダムス第三次ブーム(1990〜1994)の始まり。東欧、ソ連の共産主義崩壊と湾岸戦争に予言解釈を重ねた研究家が続出した。

12月。加治木義博『真説ノストラダムスの大予言 「1999年人類滅亡」は絶対にない!』(KKロングセラーズ)38万部。ブームに乗じた予言解釈本だが独自の翻訳が目新しい。一応人類滅亡を否定しているが、内容は学術的とはいえないサブカル的発想が満載されている。このシリーズは短期間に矢継ぎ早に出版されていった。最新刊は2002年、米同時多発テロ事件の便乗本である。
・東西ドイツが統一。
・イラク軍がクウェートに侵攻。
【世相】バブル経済崩壊。
【流行・話題】カラオケボックス、ダイヤルQ2、ファジー、メセナ、あげまん、ヒーリング、ランバダ、ティラミス、3K(きつい、汚い、危険)。

【海外】ロベール・ベナズラ"Repertoire chronologique Nostradamique (1545-1989)"(ノストラダムス年譜目録1545-1989年)初版。
1991
(平成3)
2月。ヴライク・イオネスク、竹本忠雄訳『ノストラダムス・メッセージ ソ連体制崩壊 第三次大戦編』(角川書店)。事前にソ連の崩壊を予言より読み取った(1991年6月にソ連崩壊と解釈)ことで爆発的に支持された。その後『一九九九年七月―二十一世紀篇』が続刊として出版されたが、遂に『フランス革命―第二次大戦篇』は日の目を見なかった。イオネスクは2002年2月に死去。

2月。大川隆法『ノストラダムス戦慄の啓示』(幸福の科学出版)。霊言の名の下に信者の獲得のため新興宗教が予言を行った好例といえる。後に映画化された。

6月。加治木義博『真説ノストラダムスの大予言2 詩編に隠された未来予知の秘法』(KKロングセラーズ)15万部。『人類最終戦争第三次欧州大戦1991−1995 真説ノストラダムスの大予言』(KKロングセラーズ)12万部。

12月。麻原彰晃『ノストラダムス秘密の大予言 1999年の謎』(オウム出版)。後に世界を震撼させる大事件を起こすことになるオウム真理教の教祖の著作。「マハーヤナ」1989年3月号-4月号に掲載された「ノストラダムスの大予言”最後の真実”が今明かされる!」をまとめたもの。そこには文献学者のショマラ氏との会談が載っており、1995年春に日本の警察より事情聴取を受ける原因となった。

12月。志水一夫『大予言の嘘 占いからノストラダムスまでその手口と内幕』(データハウス)。多彩な資料を基づいて五島の『大予言』シリーズを的確に批判している。具体的な内容について数多くのウソを指摘しているが単行本としては初めてである。

12月。加治木義博『真説ノストラダムスの大予言日本編 詩編が告げる世紀末日本の運命』(KKロングセラーズ)12万部。
・雲仙・普賢岳で火砕流。
・湾岸戦争勃発。(1.17-2.28)
・エリツィン、ロシア共和国初の大統領に当選。(6.12)
・ワルシャワ条約機構解体。(7.1)
・ソ連保守派、ゴルバチョフ大統領を軟禁しクーデター起こすも失敗。(8.19-8.21)
・ゴルバチョフ大統領辞任。(12.25)
・ソ連崩壊。
【世相】多国籍軍、損失補填、チャネリング。
【流行・話題】地球にやさしい、ヘアヌード。
雑誌『パワースペース』創刊(福昌堂)。1995年8月号(No.22)で廃刊。
雑誌『ゾディアック』創刊(ダイヤモンド社)。1992年1月号(No.8)で廃刊。
1992
(平成4)
2月。あすかあきお『ノストラダムスの大真実』(講談社・コミックス)。ノストラダムスの伝記を描いた漫画。以降、飛鳥昭雄名でほとんど同じ原稿を使いまわした大量のノストラダムス本を世に送り出した。

2月。五島勉『ノストラダムスの大予言・残された希望編 世界破滅を防ぐ日本の使命』(祥伝社)。旧ソ連の崩壊をテーマとしているが後追いの感は否めない。日本に大きな希望があるとする、読者受けを狙ったご都合主義の解釈もワンパターン化している。

7月。飛鳥昭雄 文 大野心作 写真『ノストラダムスの謎 Les Propheties de Nostradamus 大予言者の生涯を初めて明かす実録写真集』(講談社)。ノストラダムスの写真紀行。現地を訪れる際のガイドブックにもなる貴重な写真が多い。
・佐川献金疑惑で金丸議員辞職。
【世相】国際貢献、複合不況、NGO、カルト、PKO。
【流行・話題】ミンボー、冬彦さん(テレビドラマ「ずっとあなたが好きだった」の登場人物)、ジュリアナ東京(ディスコ)、カロリーハーフ、もつ鍋。
1993
(平成5)
8月。ヴライク・イオネスク、竹本忠雄訳『ノストラダムス・メッセージU 1999年7月−21世紀編』(角川書店)。ソ連崩壊以降の世界情勢を予言から読み取ったとしている。日本に関する予言解釈は単に読者向けのサービスか。イオネスクが来日した際の講演内容が収録されている。ここにも三部作の第V巻(近刊)の予告があるが刊行されることはなかった。 ・細川連立内閣発足。
・EC12カ国、単一市場発足。
・パレスチナ暫定自治に調印。
【世相】政権交代。
【流行・話題】Jリーグ、サポーター、マインド・コントロール、ナタ・デ・ココ(デザート)、屋台村、ポケベル。
【海外】ピエール・ブランダムール"Nostradamus astrophile"(占星愛好家ノストラダムス)初版。
1994
(平成6)
4月。五島勉『ノストラダムスの大予言・地獄編 1999年未知の超エルニーニョが地球を襲う』(祥伝社)11万部。1555年版予言集(アルビ標本)のテクストを引用しているが、以前書いた自説と相反するためか呆れた事に初版本を異本と解説している。90年代に入ってもこまめにこのシリーズは書かれていたが、翌年のオウム事件を機にずっと沈黙を守ることになる。

12月。五島勉『ノストラダムスの超法則 死活の書 <迫り来るシレーヌの大破局>を覆す恐るべき未来バイブル』(青春出版社)14万部。デュペーブの未刊書簡からの引用のように見せかけているが、完全に五島の創作である。

【映画】ノストラダムス戦慄の啓示(幸福の科学出版)。栗屋友美子監督。大川隆法のベストセラーを映画化したもの。

【映画】ノストラダムス(東宝東和配給)。ロジャー・クリスチャン監督。米英独合作映画。日本ではオウム事件に配慮して1999年に公開された。
・中華航空機が名古屋で着陸失敗。
・松本サリン事件、マスコミの誤報。
・非自民政権崩壊、「自社さ」で村山政権誕生。
・ロサンゼルス地震。
【世相】ゼネコン汚職、価格破壊、就職氷河期。
【流行・話題】屋台村、地ビール、輸入ビール、ゴーマニズム、ヨーグルトきのこ。
1995
(平成7)
2月。池田邦吉『ヨーロッパ大崩壊 ノストラダムスの預言書』(ういずゆう)。恐怖の大王をベスビオ火山と直感した著者は、その後も具体的な日付とともに夢想を書き連ねた大量の予言解釈本を出版したが、その予測はすべて外れてしまった。

11月。池田邦吉『未来からの警告(メッセージ)ノストラダムスの預言書』(成星出版)。この本の出版イベントにフランスよりショマラ氏とノストラダムスの家の館長アルマン女史を招待したが、後の著書で単に権威付けに利用しただけであったことが判明した。
・阪神淡路大震災。
・地下鉄サリン事件発生、オウム事件摘発。
【世相】官官接待、無党派、金融破綻。
【流行・話題】NOMO(野茂投手)、トルネード、戦後50年、キムタク、ライフライン、オウム(ポア、サティアン、ホリーネーム)、減肥石鹸、スヴェルト(塗るだけで痩せるという化粧品)、抗菌グッズ、スノーボード。
雑誌『マーダーCASEBOOK』創刊(デアゴスティーニ)。1997年8月号(No.96)で完刊。
1996
(平成8)
1月。五島勉『1999年日本ノストラダムス「大予言」からの脱出 終末を覆す「来るべきものたちの影」』(光文社)。ウェルズのSF小説を予言書に見立てて予言解釈を行っており、ノストラダムスとは直接の関わりはない。

11月。池田邦吉『ノストラダムスの預言書解読T宇宙からの警告篇』(成星出版)7万部。
・列島襲ったO-157。
・ペルー日本大使公邸人質事件。
・オウム裁判。
・英皇太子夫妻離婚。
【流行・話題】インターネット、携帯電話、PHS、プリクラ、ミニ4駆第2次ブーム、新世紀エヴァンゲリオン、オヤジ狩り、有機栽培、ロンバケ。
雑誌『ボーダーランド』創刊(角川春樹事務所)。1997年9月号(No.16)で休刊。
雑誌『エヴァ』創刊(サンマーク出版)。1997年12月号(No.14)で休刊。
【海外】ピエール・ブランダムール"Nostradamus: Les premieres centuries ou propheties"(ノストラダムス初版百詩篇集或いは予言集)初版。
1997
(平成9)
3月。五島勉『ノストラダムス†幸運の秘法赤い糸黒い糸の書 見えない「愛と運命の糸」をひき寄せられる』(青春出版社)。ノストラダムスの名をだしにした五島の恋愛指南書で内容的には価値に乏しい。 ・地球温暖化防止京都会議。
・ヘール・ボップ彗星接近。
・ダイアナ元英国皇太子妃の事故死。
雑誌『X-ZONE』創刊(デアゴスティーニ)。1999年1月号(No.84)で完刊。
1998
(平成10)
2月。竹下節子『ノストラダムスの生涯』(朝日新聞社)。日本で初めて本格的な伝記を紹介した。

7月。山本弘『トンデモ ノストラダムス本の世界』(洋泉社)。日本におけるノストラダムス本とノストラダムス現象を概括している。翌年、文庫改訂版が出版されている。ノストラダムス研究家の批判本として様々なメディアに登場した。

7月。五島勉『ノストラダムスの大予言・最終解答編 1999年、"恐怖の大王"の正体と最後の活路』(祥伝社)。ノストラダムス第四次ブーム(1998〜1999)の始まり。1999年直前にまさかと思われたシリーズ最終巻が書かれたのは、最後のブームにあやかろうとした出版社の商売魂が見受けられる。

12月。五島勉『ザ・ラスト・イヤー 「死海文書」・ノストラダムス・アインシュタイン日本人への最後の警告』(光文社)。最終解答編の直後に刊行されたもので一部その言及も見られるが、全般的には時事ネタと様々な予言を強引に結びつけただけの五島節に終始している。

12月。ピーター・ラメジャラー、田口孝夫・目羅公和訳『ノストラダムス百科全書』『ノストラダムス予言全書』(東洋書林)。竹下と並んで基本情報が満載されているが翻訳にはかなり難がある。予言集のテクストに1555年、1557年、1568年版があることを一般読者に知らしめた功績は大きい。
・長野オリンピック開催、日本「金」5個。
・和歌山カレー毒物混入4人死亡、保険金疑惑。
・インド、パキスタンが核実験。
・米大統領の不倫もみ消し疑惑で報告書公表。
【世相】貸し渋り。
【流行・話題】中学生のナイフなどを使った殺傷事件相次ぐ、バタフライナイフ、ノーパン・シャブシャブ、バイアグラ(性的不能治療薬)、老人力、冷めたピザ、ショムニ、岡ちゃん。
1999
(平成11)
1月。ディヴィッド・オーヴァソン、阿部秀典訳『ノストラダムス大全 誤解と誤訳の400年を検証する』(飛鳥新社)。神秘学の観点より予言解釈を行ったものだが原書と比較するとかなりの部分が省略されている。

4月。ショマラ氏来日。ショマラ・コレクション(ショマラ氏が収集したノストラダムス文献)の本邦初公開のイベントの準備のため。「たま」1999年7-8月号と「週刊文春」1999年5月13日号に谷崎テトラ氏によるインタビュー記事がある。

4月。名古屋のアストロドームでノストラダムスのイベント。大阪のフェスティバルゲートで「ノストラダムスと不思議体験」。本邦初公開の予言集の古版本が展示された。

5月。ジェイムズ・ランディ、皆神龍太郎監修・望月美英子訳『ノストラダムスの大誤解』(太田出版)。信奉者に対する批判本の決定版といえる。日本で知られていなかった未刊書簡の一部を紹介している。

7月。P.ブランダムール校訂、高田勇 伊藤進 編訳『ノストラダムス 予言集』(岩波書店)。学術的研究の決定版ともいえるのだが、出版時期を7月期限とした関係か、残念ながら1555年版予言集353篇が全訳されていない。
・東海村の核燃料工場で国内初の臨界事故。
・全日空機乗っ取り、機長刺され死亡。
・神奈川県警の不祥事相次ぐ。
・NATO軍、ユーゴスラビアを空爆。
【世相】地域振興券、商工ローン。
【流行・話題】だんご3兄弟、宇多田ヒカル、藤原紀香、サッチー騒動(熟女対決)、カリスマ、ヤマンバ、たれパンダ、ミレニアム、着メロ、2000年問題。
【海外】ベルナール・シュヴィニャール"Presages de Nostradamus"(ノストラダムスの予兆集)初版。

この年は8月11日にヨーロッパから中東にかけて皆既日食が起こった。また、糸川博士のコンピュータ計算によれば、8月18日に全惑星が大十字架を形成するというグランド・クロスが起こり地球規模の異変が発生するといわれたが特には何も起こらなかった。同日に土星探査機カッシーニが地球スイングバイを行う際に事故が起こるのではないかと噂されたが、何事もなく通過し土星の探査に向かった。
2000
(平成12)
2月。樺山紘一 高田勇 村上陽一郎 編『ノストラダムスとルネサンス』(岩波書店)。ルネサンス人として位置付けた学術的な論文集。注目度は高い。

4月。五島勉『アザーズ 別のものが来る』(青萠堂)。1999年のバッシング後に刊行されたもの。ケーシーの予言を引っ張り出して恣意的な解釈を行っている。

7月。五島勉『聖母マリア悲しみの大予言』(青春出版社)。再びファティマの予言を取り上げているが新味はなく、第四の予言なるものを創作している。
・新潟で不明少女が9年ぶりに見つかる、県警不祥事に発展。
・雪印乳業製の乳製品の食中毒菌汚染が発覚。
・三宅島付近で火山噴火、島民らが避難。

この年の5月10日には大惑星直列が起こり世界的な異変を引き起こすといわれていたが、特別な異変は起こらなかった。
2001
(平成13)
12月。竹本良『テロとUFO 世界貿易センタービル 「あの瞬間」に現れた謎のUFO』(徳間書店)。Takubo論文「米国旅客機同時ハイジャックによる無差別大量殺人とノストラダムスの予言」を無断引用して、インターネット上に大量に流れたテロ関連の捏造詩を紹介しているが、それ以上の発展はなく見るべきものはない。 ・9・11米中枢部に同時多発テロ 。
・アフガニスタンを爆撃。
・原潜事故。
・歌舞伎ビル火災。
・国内初の狂牛病。
・自衛隊海外派兵。
2002
(平成14)
1月。五島勉『イスラムvs.アメリカ「終わりなき戦い」の秘予言』(青春出版社)。タイトルにノストラダムスの名はないが明らかに米テロ事件に便乗した予言解釈本。エリカ・チータムの解釈を強引に捻じ曲げてさらに解釈しているのは五島の常套手段。 ・牛肉偽装事件 雪印に続き日本ハムも。
・日朝首脳会談。
・モスクワで劇場占拠事件。
・ユーロ現金流通開始。
2003
(平成15)
6月。池田邦吉『21 ノストラダムスNO.1』(明窓出版)。1999年から4年後にまさかと思われた新刊が出た。その後NO.3まで次々と出版されたがその内容にはまったく進歩が見られない。 ・自衛隊を戦地へ派遣。
・少年・少女絡みの凶悪事件が続発。
・失敗続く日本の宇宙開発。
・米軍がイラクに侵攻。
・SARS集団発生。
2004
(平成16)
9月。エルヴェ・ドレヴィヨン、ピエール・ラグランジュ、伊藤進監修 後藤淳一訳『ノストラダムス―予言の真実』(創元社)。欧米を中心としたノストラダムス現象を手際よくまとめている。 ・59年ぶりに戦地へ派兵。
・イラクで日本人が人質。
・ロシアで学校占拠 犠牲は500人以上。
2005
(平成17)
今のところ、特に目立ったノストラダムス関連本は出版されていない。 ・JR福知山線脱線事故。
・ヨハネ・パウロ二世逝去。コンクラーベでベネディクト十六世を新教皇として選出。

このページの最終更新日は 2006/09/10 です。

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