ノストラダムス予言集 百詩篇補遺第七巻 |
ノストラダムス予言集の百詩篇第七巻は1557年アントワーヌ・ドゥ・ローヌ版(ユトレヒト標本)のテクストは42篇しかそろっていない未完成であった。そのために未刊の部分である43番以降のナンバーに割り当てられた四行詩が後に出現している。実は補遺七巻は初出の異なる二つの部分に分かれている。ナンバー73、80、82、83の四篇はエドガー・レオニによれば、テクスト初出は1589年のピエール・メニェ版とされる。しかし予言者の死後23年もたってから新しいテクストが出現したというのはかなり不自然といえるだろう。 一方ダニエル・リュゾは、メニェ版は1560年にパリで刊行されたバルブ・ルニョー版の複製と見ている。ただし、残念ながらルニョー版の標本は現存していない。現在参照可能なメニェ版を見てもこれらの四行詩の出所は示されていないが、明らかにアルマナ(暦書)の四行詩から転用されたものである。7-73は1561年2月の予兆、7-80は1561年9月の予兆、7-82は1561年11月の予兆、7-83は1561年12月の予兆と同じ内容の四行詩である。なぜこれらの四行詩に第七巻のナンバーが当てられたのか、理由は不明のままである。また、エリザベート・ベルクールが『裏切られたノストラダムス』で複製した1605年版(実際は1660年に出版されたもの)では7-73,7-80,7-82,7-83のナンバーが7-45〜7-48に変更されている。これはただ単に7-43,7-44の四行詩に続けて番号を連番にしただけで出版社の判断によるものだろう。 7-43,7-44の二編について、レオニは最初に出現した日付を1643年のマルセイユのクロード・ガーセンによる複製の中にあるとしている。ところがリュゾによれば、さらに遡って疑わしい年代1627年の版本に現れたもので実際に刊行されたのは1630年頃であろうと推測している。1643年ガーセン版はその再版ということになる。テクストの真偽に関しては、ジャン・エメ・ド・シャヴィニーさえ引用していないもので出所はまったく不明である。そのため予言者の手によって書かれたものか未だに懐疑的である。とはいえ後年予言集に組み込まれノストラダムスの補遺の四行詩として受容されている。 |
43 | Lors qu'on verra les deux licornes, L'une baissant, l'autre abaissant, Monde au milieu, pilier aux bornes S'en fuira le neveu riant. |
二頭のユニコーンが現れるとき 一頭が後ろ足で立ち、一頭が身を屈めるとき 世界の中心、ボルネオを支配し 新たなる光の拡散により周囲を燃え上がらせる (北周一郎+ダリオ・オルシーニ訳『ノストラダムス新世紀予言』90頁) |
44 | Alors qu'un bour sera fort bon, Portant en soy les marques de justice, De son sang lors portant lon nom Par fuite injuste recevra son supplice. |
それから一人のブルボン家の人間が、大変善良であることが 判明するだろう。彼は明らかに正義の人だ。 しかし彼は、ひどく憎まれやすい血と名前を持っている。 そのため彼は、逃亡のあげく不当にも死刑を宣告されるだろう。 (淡路誠訳『1987年悪魔のシナリオ』38頁) |
73 | Renfort de sieges manubis et maniples Changez le sacre et passe sur le prosne, Prins et captifs n'arreste les prez triples, Plus par fond mis, esleve, mis au trosne. |
包囲 略奪 獲得物の保給は 聖なる日に変わり プロンスンは通過し 取られ とらえられ 三重の野にとどめることもなく さらに底から一人の人物が王位をもちあげるだろう (大乗和子訳『ノストラダムス大予言原典諸世紀』) |
80 | L'Occident libre les Isles Britanniques Le reconnu passer le bas, puis haut Ne content triste Rebel corss. Escotiques Puis rebeller par plus et par nuit chaud. |
西方は自由になり 英国の島々は 発見者は低く 高く通りすぎ スコッチ・ピレイトは悲しみにみたされることはなく 暑い雨の夜に (大乗和子訳『ノストラダムス大予言原典諸世紀』) |
82 | La stratageme simulte sera rare La mort en voie rebelle par contree: Par le retour du voyage Barbare Exalteront la protestante entree. |
いつわりの策略はまれにあり 死はいなかから反抗的な方法で 異国の航海からもどって かれらはプロテスタントの入口をひろげるだろう (大乗和子訳『ノストラダムス大予言原典諸世紀』) |
83 | Vent chaut, conseil pleurs, timidite, De nuit au lit assailli sans les armes: D'oppression grande calamite, L'epithalame converty pleurs et larmes. |
暑い風 忠告 涙 恐れ 彼は夜 武器なしで寝床で襲われ 圧迫から不幸を起こし エピタラムは涙で放心するだろう (大乗和子訳『ノストラダムス大予言原典諸世紀』) |
このページの最終更新日は 2004/07/19 です。 |