共感的理解と基本的態度の形成

 

福祉の仕事に従事する者は、何よりも一番に素直でなければならない。そして、どんな時も寛容で、優しさを忘れてはいけないと思う。尚かつ、冷静で時には機敏な判断と行動を必要とする。また、自己覚知、自分の性格を初めとして、自分に出来ることと出来ないことをよく分かっていて、不可能な事は断る勇気も持っていなければいけない。それから、自分の勝手な価値観で利用者の考えや価値観を決めつけることなく、常に利用者の言葉に耳を傾け、言葉のない人であれば、表情やしぐさをよく観察し、絶えず頭の中で疑問を抱えているものだと思う。そして、利用者の価値観を尊重しなければならない。

 利用者と信頼関係を作るには、unconditional positive regard無条件の肯定的配慮で、相づちを打ちながら利用者の話に聞き入る事がまず第一であり、それがコミュニケーションの基本である。介護をする事以外のスキンシップとして、握手や肩を撫でることも必要で、利用者がすぐに喜ばれるのは、にっこりとした笑顔であると思う。また、利用者本人にもその家族に対してもどちらにも公平であり、利用者が家族の事について批判的な事をヘルパーとの会話で話したとしても、その秘密は絶対に守られなければならない。また、誠実に接しなければならない。

 福祉職の仕事のやりがいとは、利用者とその家族の生活向上や、利用者の自立心が芽生えた時であり、利用者や家族の感謝の言葉ではないと思う。もちろん、感謝されれば嬉しいであろうが、感謝されるための仕事では決してない。

 利用者やその家族との会話を広げるためにも常に新聞、雑誌等いろいろな物から新しい情報を入手しておかなければならないし、利用者の人生の時代背景も知っておくといいと思う。介護の仕事の面だけでなく、人格的にも自分自身の人生においても前向きで向上心を持っているべきである。積極的に新しい物に挑戦するような精神的に若々しい心をいつまでも持っていることも大切だと思う。