Lolita
エドリアン・ライン監督
キャスト
ハンバート・ハンバート(ジェレミー・アイアンズ)
ロリータ(ドミニク・スウェイン)
シャルロット(メラニー・グリフィス)
クレア・クルティ(フランク・ランジェラ)
スタッフ
脚本:スティーブン・シフ
原作:ラウジーミル・ナボコフ(新潮文庫「ロリータ」)
<あらすじ>
ハンバートは13歳の時、一つ年下のブロンドの美しい長い髪の少女に初恋をしました。彼女もハンバートに恋をしたと思えました。でも、その美しい少女は1年後に発疹チフスで死んでしまいました。その時、彼の心の時計の針は壊れて時を刻まなくなってしまったかのように、子供の心のまま彼は知的でハンサムな大人になったのでした。失恋の深い傷を負ったまま。そして、ロリータに出会うのでした。
<感想>
私、この映画を見て、男の人がとても可愛そうに思えてしょうがなくなりました。主役のハンバート役のジェレミー・アイアンズはとてもハンサムで素敵な男性なんだけれど、以前にもイギリス映画「ダメージ」で息子の婚約者に恋をして肉体関係を持ち失恋してボロボロになってしまうという役を好演していたのでした。「ダメージ」でも可愛そうだったけれど、今回の「ロリータ」でも、恋に落ちてボロボロになっていくジェレミー・アイアンズもまたまた可愛そうが故に、私はこの中年男性に虜にならざるをえないのでした。
男の人にとって生涯で本当に恋におちてずっと胸に残るのは一人だけなのかも知れないけれど、その後、性欲と恋だけではない恋愛を知って結婚したりするのだろうと思う。でも、ハンバートは13歳の時アナベルとの恋が突然終わってしまってから、私の部屋のMDステレオの上の置き時計のように恋愛の針は止まったままだった。だから、自分と同世代のロリータの母親には興味を持たず、ロリータに恋をしてしまった。二度目の恋なのに、初恋のような恋をしてしまう。気まぐれで、無邪気で、いたずらっ子で、我が儘で、まだまだ子供のくせに大人ぶってみせたかと思うと、大きな瞳をクルクルさせて笑うロリータ。ロリータも子供だけれど、ハンバートも恋に関しては子供だった。そして、とても簡単にロリータの無防備な魅力の奴隷になりさがる。
本当の恋愛とは愛する人の幸せを願ってやまないことで、不幸にしてしまってはいけないのだと思う。そう、病めるときも、健やかなるときも、永久に愛していたいと思う。とても、大切なもので、守りたいと思うものだと思う。いい年をして、いつまでも片思いばかりしているのだけれど。