ラスト・ウェディング(UNDER THE LIGHTHOUSE DANCING)

 

監督  グレーム・ラティガン

ジャクリーン・マッケンジー/ジャック・トンプソン主演

音楽  ネリダ・タイソン=チュー

オーストラリア映画/1時間34分

 

 

【あらすじ】

珊瑚礁と青く澄みきった海に囲まれた西オーストラリアのロットネス島に3組のカップルが週末を楽しむためにやって来る。その中の一組のカップル、エマとハリーはこの島で結婚式を挙げると宣言。ハリーは結婚の手続きのために教会に行くが、神父は手続きに8週間かかると言い、牧師はキャンプに出かけるので結婚式はできないと言う。そこで、友人達の手作りの結婚式を行うことに。そして、エマの癌の告知。

 

【感想】

映画の開始時間に20分程遅れてしまったこともあるが、映画の終了がとても早く感じられた。もっともっとエマの柔らかな笑顔を見たいと思った。エマの笑顔がずっと永遠に見ることが出来そうな気がしたのに、ふいに乾いたナレーションとともに白い肌のエマはたくさんの白い花に包まれて棺の中に横たわっていた。哀しすぎるラストのはずなのに、オーストラリアを思わせる明るい音楽のせいかあまり哀しいと思わなかった。

この映画を観た帰り道、ヘルメットの中で佐野元春の「ガラスのジェネレーション」のサビの部分ばかりがぐるぐる回っていた。夜が来る度にこの歌を聴いていた頃、私は学校を卒業したら素敵な恋をして結婚をして夫に尽くすタイプの妻になりたいと思っていた。恋をしたら、その向こうには必ず結婚が約束されていると思っていた。あれからいくつの恋をしただろうか。片手の指で数えられるだけの恋。そのごくわずかの恋人達の誰も結婚の約束をしてはくれなかった。思春期の終わる頃、恋をしたらその後必ず別れが来ることを知った。恋の初まりの頃はその恋のパワフルさに自分自身驚く程なのに、いつのまにか私の恋心は次第に疑問と不安とで溢れていき、自分から愛することをやめてしまった。何故、やめてしまったのだろう。赤信号がにじんで見えた。ヘルメットのシールドをあげて目を乾かしたかった。もう一度夢見るような恋をしよう。この人生には限りがあるのだから。今しかできない恋があるはず。花火のような・・・・。