「生きない」
1998年 100分
第51回ロカルノ国際映画祭 アキュメニカル・プライズ(全キリスト教会賞)
監督 清水 浩
脚本 ダンカン
原案 中原文夫 小説 すばる 「不定期バスの客」
音楽 MAYA
CAST ダンカン 大河内奈々子 尾美としのり 左右田一平
温水洋一 グレート義太夫 岸博之 三橋貴志 研丘光男
春木みさよ 小倉一郎 石田太郎 村野武範
【あらすじ】
沖縄を舞台に保険金を目当てに自殺願望の人達参加の初日の出バスツアーに、間違って女子大生が一人紛れてしまう。サトウキビ畑、マングースとハブの対決、ひめゆりパーク、座喜味城跡、エイサー舞踏、沖縄の美しい海、・・・・。
【感想】
まず、何と言っても、登場人物のキャラクターがそれぞれに面白い。シリアスな内容の映画で胸に響く台詞もあったけど、思わず吹き出して笑ってしまうシーンが何度かあった。自殺をテーマにした本を読んでもそうだし、ラストシーンが主人公の自殺で終わってしまう映画は見終わって暗い気持ちにさせられるが、この映画はそうではない。そして、女子大生の美つきがカラオケで歌う「手のひらを太陽に」の「ぼくらはみんな生きている。生きているから歌うんだ。・・・」の歌詞が沖縄ののんびりした風景ととても美しくマッチしていた。
【心に残った台詞】
「この人達には帰る場所がないんですよ。」
「帰るところ」つまり、その人の存在場所。ある人は、会社であり、家庭であり、恋人の部屋、気の休まる飲み屋。それを絶えず意識しているのではなく、ふとした瞬間に存在場所だと感じるのかも知れない。その場所にはあまりたくさんの人は必要ないのかも知れない。たった一人でも愛する人がいれば、そこが帰る場所なのだと思う。何よりも一番恐いのは、愛することを怖れること。