[ キットな気分 ]について


 子供の頃、プラモデルを作ることがどんなに楽しいことだったか!  そして、いい年になった今も同じです。たぶん私だけでなく、男女を問わずみんな同じだと思います。もしかすると、ものを作るというのは人間の本能じゃないか・・・なんて思ったりもします。とにかく楽しい。
 私の場合は本職ですから、まず材料を選んで刻んで加工して・・・と部品作りから始まるわけですが、全部の工程の中で何が一番面白いかと考えてみたら、やっぱり、組立の段階だろうと思ってます。なんというか、バラバラの部品が一つのモノに化ける瞬間の緊張感・・・でしょうか。最終的にどんな形になる・・・ということはすでにわかっているんですが、何度やってもこの瞬間は、いつも同じ緊張感が走ります。たぶん、「作る」に対する興味というのは、ある意味、「組み立てたい、完成したい」という憧れに等しいのではないかと思ってます。ま、屁理屈はいいとして、とにかく最後の組立の時はかなり興奮気味になります。これを私、「キットな気分」とよんでおります。これがあるかぎり、この仕事からは手を引けません!

 さて、キット家具については、随分以前から商品化したいと思っていました。ただ、同時に、どうせ組立キットなら釘どめ、ビス止めだけでなく、本格的なホゾ組みなども経験できるものにしたいと考えていました。 その方が絶対楽しいからです。
 ところが、そういう作業をするためにはどうしてもある程度の道具が必要です。キットは買ってもらったけど道具は・・・?  そんな心配をして、それがいつもネックになっていました。でも、最近の手作りブームやホームセンターの充実などあまり気にしなくてもいい時代になってきたのかな、と考えだした次第です。
 そんなわけで、今回出品のキット家具にも組むためにはもちろん道具が必要です。ただ、最低限の道具で、しかも特殊な道具は必要としないよう工夫しています。ちょっと重めの金槌、木工ボンド、メジャー、ドライバー(できれば電動ドライバー)、作業台(なければコンクリート土間の上にベニヤ板や厚紙を敷いてもOK)、鉛筆、直角定規(付属)、古歯ブラシ、雑巾、バケツ・・・そんなもんでしょうか。 道具好きの方には、物足りないかもしれませんが、これだけあれば十分です。

 どうぞ、ご自分の手の中でモノが出来上がっていく過程を眺めてください。たぶんキットな気分になっていただけると思います。そして、完成後はしっかりした使える家具になるようにデザインしていますので、それを見て使って、いつでもキットな気分を思い出していただけると思います。それでは、レッツゴー キット家具! ・・・です。
みずき工房/西 文和