[ オーダー家具 #3 ]


 オーダーで作る家具はいろいろありますが、オリジナル商品として開発するもの以外はみんなオーダー製作といっていいかもしれません。そういうわけで、第一回、第二回は、箱物中心になりましたので、今回は椅子を始め、ちょっと特殊なもの、他デザイナーから受けたの試作品などもオーダーの仕事として取り上げてみました。

 さて、その種類や大小に関係なく、みずき工房では、オーダーを大きく2つに区別しています。
 一つは、企画から製作のすべてを任せていただく場合、もう一つは、依頼者が企画に参加していただいて製作をみずき工房がする場合です。ようするに依頼者とのコラボレーションということになるでしょうか、「オーダー」の本来あるべきかたちだと思いますし、みずき工房でやってる日々の仕事の大半はこれです。定番オリジナル商品に変更を加えるセミオーダーも、やはり同じことだと思います。完成した後は依頼者自身の物となり日々使っていただくわけですから、他社のコピー等でない限り、これはごく当たり前のこととして対応させていただいています。
 具体的には、まず、必要な条件、要望などを出していただいて、それをもとに打ち合わせを進め、もし、考えている形や機能があれば、それに対して構造的、技術的に可能かどうかを私どもで判断させていただく、あるいは、私どもからの提案なども聞いていただく。それで話を煮詰めて作業に入る。作業途中でも可能であれば、修正していく・・・というような感じです。理想としてはそういう参加を通して、依頼者自身が自分自身のものを作っているという実感を持っていただきたいわけです。モノを作る楽しさは、ただ道具を使って材料を刻んで・・・というだけでなく、その前の段階がさらに面白いのだということを知っていただければ幸いです。

 ところで、作る側としては、確かに自分の思い通り最初から最後まで仕事が進む、というのもそれなりにおもしろいのかもしれませんが、いろいろ出される条件を頭抱えながらひとつひとつクリアし、かつ、その中に自分のオリジナリティーを出していくというのも、なかなかおもしろいものです。それに、所詮われわれは人のものを作るわけですから、本当に大切なことは使う人のオリジナリティーで、作る側のそれはせいぜい10%も入れば十分と思ってます。

 さあ、どうぞ、ご自身のオリジナリティーあふれる家具をオーダーしてみてください。そして、みずき工房もそれにぜひ参加させてください。
みずき工房/西 文和