[ オーダー家具 #2 ]


 大きなオーダー家具・・・とはちょっと語弊があるかもしれませんが、この第二話では、規模の大きなものはもちろん、設置に現場作業を要したものや、制作に時間的な要素が絡んだものなどもを紹介しています。

 さて、家具の分類の方法については、置き家具と取り付け家具というような分け方もあるかと思うのですが、取り付け家具にはさらに、建築中に取り付ける先付けと、すでに生活している中で取り付ける後付けがあります。みずき工房の場合、取り付け家具というとこの後付けがほとんどで、これが結構緊張をする仕事になることが多いようです。普通、置き家具を作る場合は、寸法的な注意は内側にむかって、つまり、その家具そのもの自体に集中するんですが、後付けの取り付けの場合は、設置場所の寸法に大きく左右されますから、結果的に寸法的な注意は家具の外側に向かうわけです。そして、外側で大きく制約を受けた融通のきかない寸法をもって、内側の寸法をまとめなければならない。大きなオーダー家具の場合、取り付けか、それに近い状態になることが多いので、ただ単にボリュームがあるからというだけでなく、この寸法的な葛藤がデザインの当初から納品設置の最後まで続くわけで、ま、これがそういうオーダーを受けたときの家具屋の醍醐味ということになるんでしょうか。こんなときの納品設置完了時の最後の喜びはなんともいえません。さらに、お客様がそれを喜んでくれたとき、もう有頂天というわけです。
 ところで、大型家具といっても、ものすごく大きなモノを全く一つの単体で作るというわけではありません。大きくなればなるほど、分割化して制作するのが普通です。そうしないとまず第一に家の中に入らない。ただ、その分割されたものを現場で組み上げた後、いかに一体的なものにみせるか、です。そこには椅子などとは一味違ったデザインの楽しさがあります。
  こんなふうに大型家具を制作することで、私たち作る者は多くの労力と同時にそれに勝る大きな満足感を得ます。この満足感をオーダーをくださるお客様に何倍にもしてお返しできるようこれからも取り組んでいきたいと思っています。
みずき工房/西 文和