■ 出品 NO.04 パイテーブル

 最近、ホームページを通じて、以前とはちがうタイプのお客様からのお問い合わせをいただくことが多くなりました。その違いというのは、素材が木であることをあまり意識されないというか、木自体にそれほどこだわりを持たず、単なる素材として見ていて、逆に「木のくどさ」を嫌う傾向があるようなお客様です。木よりも家具を見ているといった感じです。
 みずき工房としては、開房以来15年近く掲げてきたテーマでようやく仕事をさせていただくチャンスが増えてきたわけですが、その到来を身近に感じだした頃、意気込んで制作したのがこのパイテーブルです。全体的に余分なボリュームを可能なかぎり削いで木の余計な存在感を隠し、精いっぱいの透明感を出しています。みずき工房なりに考え抜いた「使い手を邪魔しないデザイン」です。

 ところで、このテーブルの第一号は、構造的な欠陥を克服するために随分と悩まされました。この構造は、非常に揺れの出やすい形なのです。今ではその欠陥をほぼ克服していますが、俗にシンプルという言葉の裏側にある技術的な難しさを思い知らされたテーブルでした。「形」にするということは簡単ですが、「使える」ものにするということはむずかしい。このテーマのもとでお客様のニーズに応えていくということは、今後さらにデザインと製作技術の一体化した向上を求められることだと認識し、また、覚悟した一品です。

*EXHIBITION ON THE WEB #05 [ テーブル ] に既出



「 パイテーブル」の仕様
サイズ
直径:900〜1200mm
高さ:700mm前後
甲板の厚み:30mm前後
材 料 くるみ
塗 装 
ウレタンクリアー