[×]
ウィンドウを閉じる
No.01
EXHIBITION ON THE WEB #08 [ ちょっとしたもの考 No.01
1/11
]
「ちょっとしたもの考」の背景
お客様、それも自分の要求を表現しかねているお客様と接しているとき、結構面白いテーマに出会うときがあります。この「ちょっとしたもの」もそうした中で得たテーマです。
かって信州蓼科で2年ほどの短期間でしたが、自作の家具を並べるお店を開いていました。その時に、直接お客様と接する中でたくさんの刺激をいただきましたが、もっとも掴み所のない厄介な刺激がコレでした。
だいたいどのお客様も同じパターンなんですが、特定の商品に固執するでもなく・・・でも何か探している、といった感じがするとき、「何かお探しですか?」と声をかけると、「ちょっとしたものをねぇ・・・」と後細りで返事が返ってくる。たとえば、「ちょっとしたものを入れる抽斗がほしい」とくれば、何か現物を示して「こんなのはいかがでしょうか」と返せるのですが、そういう場合のお客様は、ちょっとした何かが欲しいわけで、その何かが分からない。たぶん、お客様自身も具体的に分かっていないんだと思います。
それでも何とか探って、「ちょっとした台」とか「ちょっとした箱・・・みたいなもの」とかまでなんとかたどり着いても、その次が分からない。優秀な店員ならこんなときサッと一つの商品を差し出して「お客様の欲しいのはこれ!」と一気に畳み込んで、その場で早々に商談を成立させるんでしょうが、素人店員の私はダメ、毎度お客様と一緒になって考え込んでしまうばかりで、ほとんど商売になったためしはありませんでした。
さて、「ちょっとしたもの」っていったい何なんでしょう? あの2年間、いつも頭を抱えていましたが、今、私はこの言葉ににすごく魅せられています。いまだに意味が分からないんですが、とにかく魅せられています。この言葉の中にはみずき工房らしい何かを強く感じています。この言葉を形にできれば、たぶん無限のデザインが後からついてくる・・・とはオーバーかもしれませんが、そういうウキウキした気持ちです。たぶん、答えのない、たぶん、エンドレスな、そして、自分なりの答えを見つけたとしてもその結果出来上がるものが、たぶん、何の変哲もなくごく日常的な、でも、すごくみずき工房的な・・・たぶん、そんなテーマです、これは。
というわけで、今回、というか、これから当分の間、この謎解きに挑戦したいと思います。 形?・・・姿・形は当分出てこないでしょう。みずき工房のモノ作りは、ま、そんなもんです、いつものことですが、先に形はありません。地味で気長で眠い展示会・・・いや、ワークショップ? どっちでもいいけど、お暇な方、どうぞ気長にお付き合いください。
[×]ウィンドウを閉じる