シチュエーション1深夜の電話中。酔っ払って絡む私と絡まれて迷惑そうな友人。
私 そういえば、この間ある本読んでて衝撃受けたんだけどさあ。「超ひも理論」ってあるじゃん。
友人 ああ、あるねえ。くわしくはわかんないけど・・・
私 あれの英訳じゃなくって・・・元の英語が「スーパー ストリング」だって知ってた?
友人 ふーん?まあ、直訳だねえ。
私 たしかにそのまんまなんだけどさあ、でも、「ストリング」って「ひも」?
友人 いいじゃん。「ひも」で。
私 でも、その本に簡単に触れられていた「超ひも理論」の話しによると、その「ストリング」は共鳴したりしているらしいんだよ。あとどうもくるくる回ったりしているらしい。でも「ひも」は共鳴しないでしょう?
友人 「ひも」っつうと、やっぱ「まだらのひも」だなあ。
私 ・・・私もまっさきにそう思った。私たちがそう思うということは、かなりの人がそれを思い浮かべるということだな。
そんでもって、ついでに恥をさらすと、「ひも」っつうからなんかグニャグニャしてるんだろうと思っていて、最近はやりの「ヒトゲノムの解読」とかとごっちゃになっていたらしくて、勝手に「らせん状」だと思ってた。友人 それはかなり強引・・・・
私 でもさあ、「ストリング」っていうと、やっぱ「弦」でしょう?バイオリンとかギターとかの。「ひも」ってかんじじゃないよ。
友人 まあねえ・・・
私 「ひも」っていうと「ロープ」かなと思うじゃん。
友人 「ロープ」はちょっと違うでしょ
私 でも、どういう英単語があったら「ひも」って訳す?
友人 うーん・・・
私 「糸」でも「綱」でも「弦」でもなくて、何で「ひも」なんだろう?
友人 まあねえ
私 そもそも、こういう用語の訳って誰が決めるの?
友人 さあ?
私 「学術用語審議委員会」とかあるのかなあ?
友人 聞いたことないねえ
私 それとも、「日経サイエンス」とか「ニュートン」なんかの編集部が懇親会して飲みながら「今度出てきた、スーパーストリングどうしますう?」とか話し合って決まっちゃうのかなあ?
友人 ははは・・・まあ、たしかに最近は映画でもお役所用語でも「英語をそのままカタカナ表記」だから、無理に「ひも」にしなくても「スーパーストリング理論」でもかまわなかったよねえ。
私 それを「超ひも理論」にしたの誰なんだろう。おかげで、私がこんなにはまっているわけだから、お礼にピンポン・ダッシュくらいしてさしあげたいぞ。
友人 ・・・・・
私 でも、たしかに「特殊相対性理論」なんかだと、そもそも元の英語がなんなのか考えもしないよねえ。どうせ、それがわかったところで、理解が進むとも思えないし。
友人 そうだねえ。「スーパーストリング理論」だったら、それが何なのか、それ以上考えなかったかもねえ。「ひも理論」だと、内容は同じでもとっつきがいいよね。
私 うーん、そう考えると、「ひも」に決めた人は偉いのかもしれない。
友人 うん。きっとそうだよ。だってミヤノがこんなに考えているくらいだから・・・
私 うん。だって「ひも」がなんなのか気になって仕方ないから、とりあえず入門書のひとつも読もうと思ってるし。でもさあ・・・
友人 なに?
私 別に私みたいのが引っかかっても、あまり向こうにはメリットないじゃん。
友人 まあねえ・・・そうかもねえ・・・
私 引っかけるのは文部省だかの予算配分するやつらとかじゃないと、意味ないじゃん。「超ひも理論」よりも「スーパーストリング理論」のほうが、なんだか予算とりやすそうというか、役人魂はつかみそうじゃないか?
友人 うううん・・・そうなの・・かなあ?
私 それに、予算じゃなくても、たとえばギャルをひっかけようとしても「超ひも理論の研究をしているんですよ」というよりも「専門はスーパーストリングです」って言ったほうが、ひっかかりやすくないか?
友人 まあ・・・人それぞれだから・・・
私 そういえばさあ、下北のモスのとなりの本屋が携帯電話屋になっちゃったでしょう?
友人 そうそう、私もびっくりしてさあ・・・
私 あそこわりと品揃え渋かったのにねえ・・・