禁断の愛に溺れて 第3話

2001年2月24日
2月21日(水)

 最近の映画館は水曜日に女性1000円サービスをするところが多い。いいことです。
 なかなか頭の中の混乱が治まらないし、なんか疑似失恋モードが、そのままゴリ押しで恋愛モードになるのも気に入らなかったので、「ここはいっちょ、きれいな男の子でも鑑賞しよう」と、窪塚洋介君が出演している「溺れる魚」を観に行く。
 月曜夜のNHKのドラマも佳境に入っていて、昨日もテレビの前にしがみつくようにして観ていた。

 タバコと自分の関係も一方的ではあるが、これと似たようなものに「芸能人と自分との関係」というのがあることに気がついた。
 こういうときにまたキムタクを使用してしまうのは単なる癖だが、静香と結婚したからって「ムカツク〜、じゃあもうファン辞める」と言ったところで、キムタクには何の関係もない。相手はタバコと同じで商品である。雪印乳業みたいな事態になって「販売中止」とかにならないかぎりは。キムタクだったら、覚醒剤で逮捕でもされないかぎりは。

 というわけで、「タバコは吸えないし、窪塚君のことは吸ったことがない。けけけ」とかいうわけわかんないこと考えつつ映画を観た。(禁煙中に下品になりがちなのは私だけなのでしょうか?)

 わかってはいたのだが、「ケイゾク」で「え?こんな映像をお茶の間に流していいのですか?」と私を困惑させた堤幸彦監督の作品なので、かなりまた「飛ばして」くれるのだろうとは思っていたが・・・・・ほんとに「ぶっ飛んでた」
 それが、すでにかなり「飛びすぎでスカスカになっていた」私の脳みそと上手く馴染んだようで・・・・おもしろかった。

 窪塚君の女装姿はかなりスレスレだったが、わりと美青年系が女装するともっとグロになるはずなのだが、ギリギリで踏ん張っていた。あれはもっと上手く撮影すれば、そこそこになるのだと思うが、わざとスレスレにしているのだろう。比較すると苦情が出るかもしれないが、「地獄に墜ちた勇者ども」でデートリッヒの仮装をしたヘルムート・バーガーを思い出してしまいました。

 ストーリーも目茶苦茶だし、登場人物も皆オカシイし、そういえばああいう感じって「ビリー・ザ・キッドの新しい夜明け」以来かなあ。あれは、高橋源一郎の世界を上手く映像にして、おもしろかった。

 なんだか伏線めいたものがバラ撒かれるのだが、それが結局なにもまとまらないまま終わってしまうのだ。
 「なんなんだよーいったい!」と見終わったあと、かなり真っ白になるので、しばし自分の辛い状況を忘れることができた。そのまま座ってもう一回観たかった。(最終回なので叶わず)

 かなり機嫌がよくなったので、そのまま渋谷から歩いて帰った。
 三茶に着いたときには無性にまたお腹が空き、ラーメンを食べて帰った。

2月22日(木)

 周期的にやってくる「切なくなって、みぞおちのあたりがキュンと痛む」という症状はかなり緩くなってきて、回数も減ってきた。しかし、まだ食後は辛いし、「なにか大切なものを失ってしまった」という不安感も、日に数回やってくる。

 夜は久しぶりにプールに行った。久しぶりのせいか、嗅覚が鋭くなったのか、塩素臭を強く感じた。
 50分のアクアビクスに参加したあと、だらだら泳ぐ。いつもだと、10分くらい泳ぐと休むのだが、呼吸が楽なので、息があがらないのでいつまででも泳いでいられる感じだった。
 これも久しぶりのプールだからなのか、粘膜が敏感になったのかわからないのだが、いつもはそんなことないのに、鼻が出たり、痰が出たりした。

 呼吸機能が高まるのはいいのだが、別に低くても何も困らなかったし、人並みよりは上だったわけで、これ以上運動能力が高くなってもあまり意味はない。今まで、30分も泳ぐと「ふえええ、今日は泳いだぜ」とそれなりにゼーゼーいっていたので、充実感があったのに「なんか、物足りないな」になってしまうと、どっちがいいのか考え物だ。

 特に健康上の理由もなく禁煙しているので、こういうときには「別にやめても何もいいことないよな」と思いたくなるが、これが罠なのだと思う。
 
 これも変な話だが、結果的に5日間もやめられたのは、これと言った動機がなかったからだとも言える。
 たとえばこれが「健康上の理由」だったら、「いいや、もう具合悪くてもいいから吸っちゃおう」となりそうだし、「死んでもいいや。死んでから後悔しよう」ともなりそうだ。
 
 しかし、自分の目的が「エンジョイ・禁断症状」なので、とりあえず一週間が山みたいだが、最低でも3ヶ月くらいやらないと真の勝者にはなれないみたいだ・・・・・3ヶ月?それをやる意味がなにかあるのだろうか?

 だれかスポンサーになってくれて、「3ヶ月達成したら、フグをご馳走する」とか「ロネマ・コンティ飲み放題」とか賞品付けてくれないかなあ。ピンクの電話の子が減量に挑戦したときはタモリが「痩せたらシャネル・スーツ作ってやる」と約束して、たしかほんとに作ってもらってたよな。

 いかんいかん。人頼みはいかん。

2月23日(金)

 脳細胞が「ニコチン・プリーズ!」と大騒ぎする段階はたしかに過ぎたようだし、まだ集中力はあまり持続しないものの、意識が散漫になること事体に慣れてきたようである。
 小康状態かなと思っていたのだが、甘かった。

 得意先への請求書をできれば今日中にFAXしたかったのだが、DTPの部長の出す資料が揃わなくて、夕方になってやっと部長が外出先から帰ってきて内線してきた。
 「今帰ってきたんだけど、どうしよう?」
 「・・・・(どうしようって言われても)」
 「どうしても今日欲しい?」
 「できれば、今日のほうが・・・・」
 「じゃあ、30分くらいあればできるから」
 「・・・・・(最初からそう言えよ。つうかさっさとやれよ)じゃあ、お願いします。お待ちしております」

 この会話が5時ごろ。なので多少残業になるのは仕方ないと思っていた。しかし、5時50分になってもうんともすんとも言って来ない。様子を見に行くと、まだエクセルで作業中だった。30分っていうのはなんだったんだ?
 「もうちょっと待ってて」
というので、そのまま部長の前に陣取っていたら、すぐに表ができたので、持って帰る。
 しかし、予定に入っていたものが抜けているので「この分はいいのですか?」と確認しにいったら「そうだった!忘れてた」となぜ忘れたかといういい訳を散々聞かされ(それはいいからさっさとやってくれ)、追加されたファイルを手にいれたのは30分後。

 さて、請求書に入力していると・・・・あ・・・また違う。いつも言っているのに、小数点以下が隠しで残っているから合計が違うゃないの〜〜〜〜と内線したら「え?違う?おっかしいなあ。ちゃんと値で貼り付けたよ」「でも電卓でやってみてください」「ほんと〜だ。なんでだろう?」
 こっちはプリントアウトを貰っているので、どういう数式が入っているのかわからないのだよ。

 結局、訂正されたのを受け取ったのが7時過ぎ。
 なんだかもう、イライラしてきて、無性にタバコが吸いたくなる。
 その考えを忘れようとすると、入力する手も止まってしまい、またぼーっとなる。
 いけない、仕事、仕事と気を取り直すと、また吸いたくなる。
 いけない、タバコはダメ!と思うと手が止まる。

 しばらく繰返しているうちに、もう泣きそうになってきた。

 それでもなんとか仕事は済ませ、タバコも耐えて、8時過ぎに会社を出て、なんとかスポーツクラブのパラパラに間に合う。

 さあ、これであとは土曜日を乗切れば一週間だ!
 一週間経つと、禁断症状よりも行動記憶に悩まされるらしい。


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