なんか大したことない「夢」ばかり書いてしまったので、ここではやっと他人にも認められそうな夢をご紹介します。
芝生の管理人になりたい
「衛星中継の快楽」でも書きましたが、私はテニス好きです。特にウィンブルドンには格別の思い入れがあり、あそこのセンターコートの「ファミリーボックス」に座るのが夢でもありますが、そのためには、一流テニスプレーヤーの嫁になるか、もしくは子供を一流テニスプレーヤーに育てるしか方法がなくて、友人に「ロイヤル・ボックスの方が簡単なんじゃない?」とも言われましたが、そっちはそっちで、英国王室と血縁関係を結ばなくてはならないのでなかなか難しいです。
やはり一番てっとりばやいのはランキング上位のテニス選手と結婚するということでしょうが、その為にはスーパーモデルになったり、女優になったりするのが近道のようなんですが、それはそれで別の夢になってしまいそうです。
ナブラチロワが活躍していた当時は、よく彼女のガールフレンドがファミリーボックスに座っていて、「うーむ、その気はないんだけど、あそこに座れるんだったら、しばらく宗旨替えしてもいいかもしれん」などと妄想を膨らませたものです。
スポーツの大きな大会になると、そのテレビ中継用にスポーツ用品メーカーが大会向けのCMを放映します。ナイキなんかが近年得意としていて、アガシとサンプラスが出演しているCMや、サッカーW杯のときにはブラジルチーム総出演の「空港で球蹴りCM」などが流されましたが、ある年に私の心を捉えたのは、「ウィンブルドンの芝生の管理人」が登場するCMでした。
テニス好きの方はご存知でしょうけど、ウィンブルドンの芝生のコートは普段は主催するテニスクラブが使用していますが、センターコートだけは、年に一回、大会のときにしか使用されません。
年にたった2週間の大会のために一年間丹精込めて育てられるのです。
これは私の勝手な想像ですが、英国は他にも芝生スポーツが有名ですし(ゴルフなど)、ガーデニングに関しては世界のリーダーなわけで、芝生の管理人というのはとても大切で尊敬される職人なのではないかと思います。
その中でも、ウィンブルドンという長い歴史を持つ大会の「芝生責任者」というのは職人中の職人なんだと思います。
大会期間中はあの芝生の上で様々なドラマが展開されます。そして、世界中のテニスファンがあの芝生をずっと見つめつづけるのです。しかも、その上で活躍する選手の姿は心に残っても、その芝を育てた人のことなんて考えることはありません。思いっきり裏方です。
なんてすばらしい仕事なんだ!
と、私はそのCMの中で、本人なのか役者なのか知らないけど、気難しそうなおっさんが愛しげに芝生をなでる姿を見て、えらく打たれてしまいました。
どんな姑息な手段を使えば、あの人の弟子になれるんだろう。と、妄想がめぐります。
この話を友人にしたところ、「そんなになりたいんだったら、目指せばいいじゃん」とあっさり言われましたが、その通りなんですけど、たとえイギリスに「芝留学」して造園専門学校などに入って、どこかに就職できたとしても、ウィンブルドンの芝生に触わらせてもらえる可能性は低いと思うのです。アメリカ人が宮大工修行をして、桂離宮の修理したいなんていうのと同じくらい難しそう。宮大工は近年、数が少ないようなのでなんとなく可能性はありそうですが、英国で「芝生管理」を目指している人の人数は多いと思います。
それに、ウィンザー城の庭の芝や全英オープンゴルフの芝じゃあ嫌なんです。だいたい別に「芝職人」になりたいわけではなくて、あそこの芝じゃないとだめなんです。
とりあえず、「生ウィンブルドンが観たい!」という基本的な夢は、2年前叶えました。雨のために試合が行われなかったのが残念でいたが、それでも感激して涙目でセンターコートを見学しました。まだ「ウィンブルドンで試合を観る」という夢が残されました。それが叶ったら次は「センターコートで決勝を観る」(現地で知合いになった日本人のプレスをしている女の子からいろいろ情報をもらい、そのためには会員になって、さらに厳しい抽選があるのだそうです)という夢も控えています。
ああ、夢多きかな人生!なのでありました。
なかなか我ながらいい夢だと思うのですが、次回はさらにロマンチックな夢をご紹介します。