可燃物な日々

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6月28日(水)

 イベント対応のため、土日出勤して水曜日休みであった。

 そういえば、ヒロスエの不倫話は「過去に示談にしたのは成河(ソンハ)だ!」という週刊誌報道があり、「うわ、意外な方向に飛び火してしまった」と思ったが、会社では全くその話題にならなかったのは、みんなもう飽きてしまったのと、成河さんのことを誰も知らないからだと思う。

 しかし、ちょうど主演舞台をやっている最中なので、まるで売名行為みたいであるが、成河さんは売名なんてする必要がないほど演劇界では超売れっ子なので、週刊誌報道は迷惑なだけだろう。
 と、言いつつも私はまだ成河さんの舞台見たことないのよね。
 チケット入手しにくくて、頑張れば買えるんだろうけど、最近、またチケット優先予約とかできないでいる。
 申し込んでもハズレが続くと萎えてしまって、「映画は気軽だし公平だし、やっぱいいなあ」と、最近全然観劇してない。平日休める予定が先に組みにくいということもあるし。
 平日休めないわけではないが、舞台のチケットだと2ヶ月前くらいに発売されるので「うーんと、この辺だといつ休みとれるかなあ」って悩んでいるうちに先行販売が終わってしまうのである。

 なので、当日券が出るような舞台だったら、「お、明日休めるじゃん」って急遽休みにして平日マチネを狙ったりしていたんだけど、最近そういう気力もなくてさ。
 高橋一生がまだ出る野田秀樹のは、前回、何度も先行予約にチャレンジしたのに、全部ハズレたから「いいよもう、タカハシは映画で見るから」と諦めました。

 なので、今日も映画サービスデーだし、映画見に行った。

●「リバー、流れないでよ」

 ヨーロッパ企画と下北沢トリウッド製作なので、トリウッドで上映しているのだが、なぜかTOHOシネマズでも上映していたので、「水曜日だし日比谷で見るか」と思っていたら、けっこう席が埋まっていた。小さいシアターだからなあと、ふと、なぜか立川立飛でも上映していたので見てみたら、「なにこの、広いシアターは?」

 300人収容の立川立飛でも指折りの大シアターで上映していたのである。
 日比谷も下北沢も小さいシアターなので、私みたいに「両側に人が座ってるのヤダなあ」って人向けに、平日の昼間だから大きいところを用意したのかもしれない。

 TOHOシネマズは時々こういう「この映画に謎の大スクリーン」をやるのだが、その宣伝があまり届かないので、後で知ったりするのよね。
 「美しい彼」の時には、「日本橋がレイトショーだけ大スクリーン。今週の木曜日まで」っていうのを他のファンの呟きで知って、駆け込んだりしたけど。

 そんなわけで、初めて立川立飛に行ってみました。
 前からちょっと興味はあったのです。

 立川には「シネマシティ」という独立シネコンがあって、爆音上映やオタク向けライナップで映画ファンには人気のある映画館で、私も「シン・ゴジラ字幕上映」とか「あー、他ではもう上映終わってしまったのに、立川だけ今週いっぱいやってる!」とかで何度か行ったことがあるけど、大手シネコンには無い絶妙な味わいのある映画館なのよねえ。

 例えば、上映前の「携帯電話の電源をお切りください」みたいな注意事項をスタッフが直に話すという、まるで演劇みたいなスタイルだったりとか。

 なので、その立川シネマシティという強豪のすぐ近所にTOHOシネマズ立川立飛をオープンさせたっていうのは、けっこう強気だなあと思っっていたんです。

 で、行ってみてわかったのだが、ららぽーとがメインなので、自動車で移動する家族連れにはありがたい施設なんだろうなあ。
 私がよく行くショッピングモールは、港北のノースポートなんだけど、あそこよりもトイレの数が多くて、しかも広い「おしめ替えスペース」とか授乳室とか、子連れ様大歓迎な感じだった。
 雨の日でも、あそこに行けば、マリオの映画みて、フードコートでご飯食べれば、半日潰れるだろう。

 さて、肝心の映画ですが、結論から言うと「シネコンの大画面で見るような映画じゃなかったwww」

 でも、ロケ地である、京都貴船のふじや旅館やその周辺がとても美しく、それを堪能できたのは大画面だったからなのかもしれない。

 「2分間をタイムループ」ということはわかっていたが、実際見てみると「うわ、これ撮影大変だったろうなあ」

 数えてないが、何十回と「同じ時間」を繰り返していて、しかも、登場人物の記憶は残っているので、同じ時間で毎回芝居が違うのである。
 しかも、順撮りじゃない!

 この映画の一番凄いところは、「積雪がある時」と「無い時」に故意なのか偶然なのか時系列バラバラに撮影しているので、タイムループするたびに、雪があったりなかったりするのだ。
 映画内では、それを「時空の歪み」みたいに雑に説明していたけど、これ、狙ってやっていたのなら天才だなあ。

 そして、「2分」という時間の縛りも後半で効いていて、「このタイムループを阻止するためには、あの神社の長い階段を駆け上がって、このミッションをこなす」っていう結論が出てたけど、実際に階段を駆け上る役者さんたちは本当に息が切れていた。

 なかなか楽しく見られたけど、オチがちょっとトンデモだったし、良くも悪くも小劇団ノリというか、すごく良くできた自主制作映画って感じでした。
 比べるのもなんだが、やはり「カメラを止めるな」は別格だったなあと。

 しかし、おかげで普段行かない所にプチ遠出できた。コロナで旅行にも行ってなくて、元々超出不精だから、そろそろ意識的に「遠征」とか計画しよう。
 日ハムの新しい球場に行きたいなあ。


6月23日(金)

●「ペンディング・トレイン」最終回

 ツッコミどころが多いのは最初からだったし、終盤でなんか笑っちゃうくらいのワームホールが出てきて、現在?に戻ってきてからが本番ですっていうのも「ええええ?」って感じだったが、こんだけ、話としては支離滅裂でも、「訴えたいことはなんかわかる」っていうドラマも珍しいというか、なんか勢いだけでやりきった感があって、それはそれで清々しいというか・・・・正直、これをやりたかったんなら、もうちょっと脚本練った方が?

 って、思うんだけど、「丁寧に伏線回収するのが目的ではない」とすると、こういうのもアリかと思う。

 なんといっても、ジワジワと階段を登っている山田裕貴と、短い期間で階段3段飛ばしくらいでホップステップしてきた赤楚衛二の遠回りなバディものという、この二人のキャリアにおいては通過点かもしれないけど、「フツーだったら、赤楚衛二のキャラの方が主演だったが、あえて、山田裕貴が主演だった」って回りくどさは、後で効いてくるのかもしれない。

 赤楚くんモンペの立場からすると、ブレイクしてから、やや内向的で文化系な役柄が多かったので、ここで仮面ライダー俳優的な「体育会系」をやってくれたのは良かったと思う。

 あと、間宮祥太朗の無駄遣いな!

 赤楚くんの事務所の先輩だからこその友情出演ってところなんだろうけど、「東京リベンジャーズ」の山田裕貴との兼ね合いもあってだと思うけど、そういや「チェリまほ」からは鈴之助が、「みなと商事コインランドリー」からは西垣匠が出ていたので、メタ的にもいろいろあった。

 そして、やはり、間宮祥太朗の無駄遣いであるが、主演の山田裕貴との「東京リベンジャーズ」からの特別ゲストでもあり、赤楚衛二の事務所の先輩というか、バーター的な友情出演でもあったわけだけど、個人的には、「赤楚くんの事務所の先輩として出てきた」っていうほうがしっくりくる。

 赤楚くんがロケットみたいに急上昇してきた時「あ、間宮が抜かれる」と思ったのよ。
 でも、間宮もプライムタイムのドラマで「2番手」やりはじめて、「ん?なんか本気出してきた?」って思っていたら、「ファイト・ソング」でやっと1番手になり、「ナンバMG5」で主演、「魔法のリノベ」で波留の相手役と、ここしばらく続いている「トライストーン黄金時代」をしっかり担っていてとても頼もしい。

●「ニーチェ先生」2016年

 そんな間宮の出世作だが、私は間宮を意識したのが2017年の「帝一の國」だったので、「ニーチェ先生」は見てなかったのだが、TVerに上がったのでやっと見ることができた。

 「あ・・・・・・福田雄一作品だったか・・・・・」

 福田雄一といえば、「斉木楠雄のΨ難」や「ヲタクに恋はむずかしい」で山崎賢人の無表情キャラを笑わせることだけに全力をかけているという謎の趣味があったが、「ニーチェ先生」ですでにそれを極めていたんだ・・・

 つーか、主演が浦井健治だったことに一番驚いたんだけど、役の設定的には25歳くらいなのに、この当時の浦井健治は30代で、すでにミュージカル界ではかなり活躍していたはずなのに、なんでこんなドラマに出てるの?

 まあ、当時の状況はよくわからないけど、「勇者ヨシヒコ」で成り上がってきた福田雄一がメジャー進出する踏み台になった作品だったんだろうけど、そんなことはどーでもいーくらい、間宮祥太朗が美しくて驚いた。

 このドラマでの間宮の役は、目の前でずっと佐藤二朗が延々と寒いギャグかましているのを冷めた目で見ている役なんですが、当時23歳くらいであろう間宮祥太朗が作る「冷めた顔」が美しすぎる。
 たまに耐えきれなくてフって笑っちゃうのも可愛いんだけど、そういうシーンは少なくて、けっこう「ゴミを見るような目つき」をちゃんとキープできているから、だから、福田雄一の寵愛を受けなかったのかもしれないし、ファンとしてはそれで良かったと思う。
6月22日(木)

●映画「水は海に向かって流れる」

 大西利空くんが、年上の広瀬すずに恋する話みたいだったし、高良健吾が売れない漫画家というのにも惹かれたので、見てみました。

 不機嫌で謎めいた広瀬すずはとても良かったんだけど、その原因が親のダブル不倫で、映画内でも「ダブル不倫」が連呼されるので「このタイミングでwww」とけっこう引いてしまった。

 そして、「唐突に高級牛肉で雑な牛丼を作る」という広瀬すずのちょっと不思議に豪快なキャラと「思春期の時の親の不倫でダメージを受けている」っていう設定が、なんか私の中で噛み合わなかった。
 でも、要所要所は面白いのよ。
 大西利空の不倫した父役の北村有起哉は元に戻っているのに(10年前の事件だから、大西利空は知らなかった。ただ、その当時、祖父の家に預けられていて、叔父の高良健吾に遊んでもらった楽しい記憶しかなかった)、不倫相手だった広瀬すずの母は、それっきり戻らず、広瀬すずも母親と一度も会ってなかったのだが、それを知った北村有起哉が興信所を使って居場所をつきとめる。

 そしたら、広瀬すずの母(坂井真紀)は、子連れの再婚相手と幸せに暮らしてましたって、残酷な話だなあ。

 でも、残酷な話なんだけど、いわゆる「愉快なシェアハウスもの」でもあり、「高校生男子が美しき大人の女性、広瀬すずに惹かれる」っていう話でもあるし、大西利空の同級生がモテ系女子役の當真あみで、當真あみが大西利空のことを好きになって、っていう、けっこうラブコメ的に美味しい伏線が散りばめられてるんだけど、別に恋愛映画じゃなかったんだよな。

 かといって、「文芸作品です」って感じでもなかったし、とにかく、広瀬すずは美しく撮られていたってだけ?

 だとしたら、ちゃんと大西利空目戦で統一して、「この人に恋をしたけど、親が不倫した同士の恋などありえない。それ以前に、10歳も年下の自分なんて」っていう、切ない初恋ものにまとめたら良かったのに。

 というわけで、つまらなかったわけではないが、「単館向き」な題材を豪華キャストでやってたので、どこが核なのか逆にわからなくなってしまった感じで、ちょっと珍しい感じで暴走してしまったシネコン映画という印象だった。

 そして、このまま順調に行くと、広瀬すずは、綾瀬はるかに続く「吉永小百合の道」を歩むんだろうなあ、と思った。

 それが、いいことなのか、悪いことなのか、私にはよくわからない。

 でも、なんとなく「広瀬すずのマネージャーにはなりたくないな」と思ったし、もし、どこかの酒場で広瀬すずのマネージャーの隣に座ったら、テキーラを3杯奢ると思う。


6月21日(水)

 えーと、また日記サボっていますが、なんかいろいろあった。

 まず、永山絢斗の大麻所持ね。

 「うわー、東京リベンジャーズは?来年の大河は?」と大騒ぎになりましたが、大河ドラマはさすがに降板したけど、「東京リベンジャーズ」は予定通りに公開されることになった。
 北村匠海は「とんかつDJ」でも伊勢谷の薬物逮捕と、伊藤健太郎の交通事故で公開が危ぶまれていたが、あれも予定通り公開したが、「とんかつDJ」と東リベじゃ、公開規模が全然違うし、東リベの客って小・中学生がメインなので大丈夫じゃろか?と心配したが、もう前編は公開済みだし、予定通りに後編も公開することになった。

 それでいいんじゃないかな?
 テレビと違って、金払って見に行くものだから、嫌な人は見に行かなければいいだけだ。

 で、先にW不倫騒動で騒がれていた広末涼子と永山絢斗が共演していたNHKドラマの「聖女」のことを思い出して、NHKオンデマンドで探してみたら、あった!

 2014年当時にリアタイで見てたと思うんだけど、個人的にはこの「聖女」が永山絢斗のファーストコンタクトだったと思う。「へえ、これが瑛太の弟か」って思いながら見ていた。
 その後、2016年の「重版出来」で天才漫画家役をやった後、朝ドラ「べっぴんさん」でヒロイン夫役になり、瑛太よりも活躍していたと思っていたんだけどなあ。

 まあ、ここんとこ伊勢谷とか沢尻エリカが復活の気配を見せているし、数年後にまた戻ってきて欲しい役者さんである。
 そういうイメージが全く無かったので、びっくりしたけどさ(笑)

 さて、W不倫の広末涼子であるが、私には何の関係もないので静観していたら、ヒロスエの夫のキャンドル・ジュンが会見を開いたので、それが会社の雑談の話題に上った。

 それちゃんと見てないのでわからなかったのだが、どうやら「こういうことは前にもあって、自分が相手側に乗り込んで示談にした」っていう過去の不倫話の相手が佐藤健ってことになってるらしく、エビワカちゃんが「タケルがあああああああ」って嘆いていたので、「え?キャンドルが佐藤健を名指ししたの?」と驚いた。

 そもそも「過去には佐藤健との不倫疑惑があった」というのも最近知った話なので、「それ、いつの話?」ってエビワカちゃんに聞いても「さあ?でも前から噂はあったんでしょ?」と、曖昧な情報で勝手に傷ついてるのって、私にはよくわからないんですけど?

 そして、帰りの電車で佐藤健で検索しても、確定情報として炎上している気配はなかったので、「なんでエビワカちゃんは、佐藤健で確定だと思い込んでるんだ?」と思って、キャドル・ジュンの記者会見を動画で見ようとしたが「げ、これ、2時間もある」

 途中、けっこうスキップしたけど、全部見ました。

 それでわかったんだけど、この会見は「自分の客」向けにやったんだなってこと。

 「広島追悼」とか「福島復興」とか、そういう活動の話がほとんどだった。あと、反原発とか。

 確かに、この人の活動は、ヒロスエと結婚してなければ、一生私の目に触れなかっただろう。

 あと、家族や自分のスタッフを守りたかったのだろう。
 それは伝わったが、ヒロスエを弁護するつもりだったのか、彼女が強いストレスを受けると「発散」することが度々あったというようなことを話したのは余計だったと思うけど、そのビョーキは前からあって、相手とキャンドル氏が直接対峙して示談にしたという話も、この会見で話さなくてもよかったのでは?

 それが佐藤健だとは言っていないけど、たぶん、エビワカちゃんが見ていたニュースショーでは「過去には佐藤健との交際報道もあった」と繋げられていたのをエビワカちゃんが鵜呑みにしたようだ。

 なので、この会見を見た翌日「会見全部見たけど、佐藤健の名前は一切出ていなかった」とエビワカちゃんに言ったのだが「でも、だからって佐藤健となんかあったという疑いはゼロにはならないですよね?」と言われて、うーん、「なかったこと」を証明するのは難しいのよねえ?

 そして私は、当時の佐藤健との交際疑惑を調べることになった。

 もう10年くらい前の話らしく、佐藤健が住むマンションにヒロスエが出入りしていたのは事実みたいだが、ヒロスエ側は「このマンションに住んでいる友人を訪ねただけ」と否定していたようだ。
 一緒に高級エステのカップル部屋に入ったというのは目撃者の証言だけなので、それもグレーである。

 って、私は何をやってるんだ(笑)

 でも、職場の同僚たちが、好き勝手にワーワー言っていたので「ソースは?」って、マジになってしまったが、あー、これ、映画「怪物」そのものだよなあ。

 まさに「怪物だーれだ?」である。


 エビワカちゃんに「まあ、斉藤由貴も今じゃドラマに出まくってるから、ヒロスエもそんな感じになるんじゃないかな?」と言ったら「え?斉藤由貴も不倫してたんですか?」って言われて、「え?そういう世界観なの?」と、「ワイドショーを鵜呑みにして騒ぐけど、すぐにそんなこと忘れてしまう」という善良な人々の残酷なまでの善良さに打ちのめされた。

 いろいろ真面目にリサーチしてしまった私がアホでした。

 いや、「みんながあれこれ言っていたので、キャンドル・ジュンの会見全部見ました。2時間かかりました」って言ったら「えー、マジ?」「ウケるー」とか笑われて、なんか、そいうのは求められてないことに気がついたんですが、こっちとしては「映画の悪口言う権利があるのは、映画館でその映画を見た人だけ」っていう信念があるので。

 そして「で?ヒロスエは離婚するんですか?」って聞かれても「知らんがな」としか言いようがなかったけど、あのキャンドル・ジュンの会見も「見る人の数だけ解釈がある」っていう「怪物」のテーマの見事な具現化だったと思う。


6月15日(木)

●映画「岸辺露伴ルーヴルに行く」オーディオコメンタリー版

 すごく面白いし、美しいし、音楽も素晴らしいのだが、重い話だし、2時間とやや尺が長いので、気軽に何度も見るような映画じゃないのだが、コメンタリー版が始まってしまったので、3度目の鑑賞。
 しばらくコメンタリー版なんて無かったのに、「美しい彼」といい「岸辺露伴」といい、私、なんかターゲットになってる?

 コメンタリーは、高橋一生・飯豊まりえ・木村文乃・渡辺監督の4人で、木村文乃は冒頭ではほぼ存在感が無かったが、露伴の青年期で長尾くんのことをかなり喋っていてバランスが良かった。
 そして、やはりタカハシがベラベラとウンチク語ってました。ウンチクじゃないけど、撮影秘話として面白かったのは、イカがダブルキャストだった話。
 そもそも荒天で漁船が操業してなかったので、イカが入手できないというハプニングが起こったのだが、なんとか撮影ギリギリにイカが漁港に上がり、露伴先生の仕事場の水槽に入れられたが、すぐにヘタってしまい、急遽、別の種類のイカと交代したとか。
 その話を聞きながら、チラリとしか映らないイカの水槽にずっと注目してました。

 あと、いっぱい出てくる蜘蛛はほぼ「本物」で、タカハシは蜘蛛苦手だったのだが、共演を重ねているうちに手に乗せても平気になったらしい。前半だけ出てくる前原滉は、もっと蜘蛛が苦手だったらしいが、やはり何度も蜘蛛とテークを重ねていたら、平気になってしまったらしいので、ほんと役者さんて大変ですね。って話をしていたら、木村文乃が「私はわりと平気なんで」とサラリと言っていて笑った。

 ルーブルで露伴にサインを求める若者の役者さんたちは、本当にジョジョの大ファンで、露伴の映画に出るのでテンション上がっていたとか。あと、エキストラにもジョジョにちなんだ格好してくる人もいて、露伴と泉ちゃんがカフェにいるシーンの後ろに写ってるんだけど、ジョジョに疎い私には、あの帽子のどこがジョジョなのかわからんかったけど。

 音楽の話も多くて、印象に残ったのは、青年期パートの古い旅館で流れる曲が長唄だったりガムランだったりするのだが、どちらも同じスタジオに入って録音していたらしく、長唄とガムランが同時に流れるシーンの録音は、かなりシュールな光景だったとか。

 あと、ロケ地な。
 ルーヴルの地下は、日本で撮影していたんじゃないかなあ、と初見でも思ったけど、やっぱそうで、廊下は大森で、倉庫は大谷石の採掘場だったとか。

 撮影秘話盛りだくさんなコメンタリーだったので、こういうの聴くと、また見たくなっちゃうんだよなあ。(思う壺)


6月12日(月)

●大河ドラマ「どうする家康」22話

 戦国時代音痴の私でも知ってる「長篠で、信長の銃で波状攻撃作戦」だけど、もしかして私が大河ドラマでこれ見るのは初めて?
 「真田丸」では、やらなかったもんな。

 それよりも、眞栄田郷敦の武田勝頼が美しすぎて素晴らしいのですが、眞栄田郷敦は絶好調だよなあ。
 みんな、忘れてるかもしれないが、この子、2019年がデビューで、まだ4年目なんですよ。

 そういや、ゴードンはこのように「すごい勢いで出世してるなあ」って感心しますが、兄のマッケンの映画は大コケと言われていたけど、見た人は「面白いんだよ!」と訴えていたけど、でも、私は予告編の時点で「聖闘士星矢の実写版って、需要があるの?」と思っていた。
 自分が「聖闘士星矢」を全く知らないので、どの辺がターゲットになってるのかわからなかったのだが、公開されてみたら客入りは少なくて「どういうマーケティングしたの?」と思った。

 見た人の感想だと、アクション映画として素晴らしかったらしいが、あのCGバリバリの予告編だと、例えがアレだが「幸福の科学」の映画みたいな印象だったんだよね。
 「でも、聖闘士星矢だし、好きな人には刺さるのかも」と思っていたら、刺さってませんでした。まあ、スラムダンクも「いまさら?」って思っていたら、大ヒットしていたので、こーゆーのホントによくわからないんだけど。

 それに、せっかくマッケンが日本を捨てて(言い方)アメリカ進出したのに、この結果というのは切ないし、弟のゴードンが「エルピス」に続いて大河ドラマでも爪痕を残して、東京リベンジャーズでも活躍してるので、「マッケンもアメリカでちゃんと仕事選べよ」としか言いようがない。

 まあねえ、いつも思うけど、映画だってドラマだって、みんな一所懸命作っていて、「絶対にいいものを作る」って頑張ってるんだろうけど、売れる/売れない、はホント水物だからねえ。

 逆に「スーパーマリオブラザーズ」とか、ここまで売れると思ってなかったんじゃないかなあ。

 うちの妹も家族3人で見に行ったらしい。妹曰く「見てる最中はすごく楽しかったけど、終わったとたん、何も覚えてなかった。何が面白かったのか全部忘れたが、楽しかったのは事実」

 こういうファミレス映画は強いよね。

 で、大河ドラマ「どうする家康」ですが、毎回ゲスト出演する役者さんが素晴らしくて、「スピンオフだけで本編やります」みたいな実験志向がなんとなくわかってきた。

 でも、ムロツヨシの秀吉もジワジワと進化しているし、この秀吉を倒さないと徳川の世は来ないわけで、岡田准一の信長亡きあとも楽しみだなあ。


6月11日(日)

●母と妹の白内障手術

 しばらく前に母からラインが来て「白内障の手術無事終わりました」って言うのはわかるが、「●子も同じ日だったけど、日帰りだからお父さんが付き添いに行った」と続いたので、「え?妹のは聞いてねー」と言うわけで、さっそく詳しい話を聞くために実家に集合しました。

 母は、もう10年くらい前から「いつか手術しなくちゃ」って状態だったけど、「怖いから」って先送りしていて、「そろそろやろうと思ってる」と病院選びしていたらコロナ下になってしまい、心情的に白内障どころじゃなくなったが、今年になってやっと決心がついたらしい。

 そして、手術後「人の顔が全然見えてなかった」ことに気がついたそうだ。「色白としか思ってなかった知人が、シワだらけだとわかってしまい、がっかり」とか。あと、自分の顔がシミだらけだったことが一番がっかりしたとか。
 それでも、普通にスーパーで買い物して、ちゃんと料理作っていたんだから、慣れってすごいなあ。
 なかなか手術しなかったのも、老眼鏡かければ本やスマホは見えていたからなんだろうけど。

 逆に妹は、まだ50歳そこそこなのだが、メガネが見えにくくなったので新しいのを作りに行ったら「これ以上、度を上げられないから、これで視力が出ないのなら、一度眼科に行った方がいい」と店員に言われたらしい。
 妹曰く「店員さんは、たぶん白内障だってわかってたんだろうね」
 それで、去年、眼科に行って「白内障なので、不自由を感じるのなら手術をお勧めする」と言われて、しばらく考えてたんだけど、そのうち、伝票の数字が読めなくなって」

 妹は飲食店でパートしているのだ。そして「数字が読めないのも困るけど、見えないっていうか、5と6を間違えたりして、会計でミスするようになったので、これはもう無理だと思って手術することにした」そうだ。

 そして、妹は2日かけて両目手術したのだが、日帰りだから帰路が心配で父に応援を頼んだのだが「別に一人でも歩けたけど、駅の階段とか片目だと(手術した方の目は1日眼帯をあてられる)さっさと歩けないから、お父さんと腕組んでると、周りの人もなんか不自由な人なんだろうなあ、って避けてくれるので安全だった」らしい。

 そして、手術は「最初の目の時は、とにかく怖くて、何をされるのかわからないけど、視界は光で真っ白で、とにかく怖かったが、それでも必死で秒数数えていたら、10分ちょっとで終わった」
 「なので、次の日は、恐怖心はなかったので、見えないけど、今たぶんこういう作業してるんだろうなあ、ってわかるようになったし、やっぱし10分くらいで終わった」

 そして、妹は近視の眼鏡がいらなくなったし、母は老眼鏡がいらなくなり、一週間洗髪できないから、美容院で髪洗ってもらったりしたり、1日に何度も目薬さすのは面倒だが、視力が戻って気分爽快のようだ。

 私も片目が白内障になっていて、かなり視力が落ちているんだけど、もう片方はコンタクトレンズで矯正できているので、今のところなんとかなってるが、いずれ手術することになるから、二人の話を真剣に聞いていたので、夜更けまで話が盛り上がってしまった。

●母がグループラインにうんざりしている話

 母が少し前から始めた習い事があるのだが、そのお師匠さんには何人か弟子がいるので「連絡はこのグループラインでまとめてしたい」と言われて、そこに入ったのだが、そのメンバーの中の、母が会ったこともない弟子の一人が、そのグループラインをまるで自分のインスタアカウントみたいに「今日はこの店でランチしました」とか、習い事に関係の無い投稿を連発するので、母は「なんなのこれ」と困っていた。

 私と母と二人で話している間にも、頻繁に通知音が鳴り、見せてもらったのだが、観光地の写真が連投されており、「こういうのに、先生は、素敵ですねー、とか返事していて、他の弟子も素敵ですねーって返事してるんだけど、その返事のたびに通知が来るのがうるさいんだけど」と言うので、そのグループラインの通知がこないように設定してあげた。

 女子中高生とか、こういうのがウザくなってライン離れしてるっていう話聞いたことがあるけど、高齢者も同じなのが面白い。

 でも、これって、仕事でもこうなんだよなあ。

 仕事で「進捗管理」みたいなのに勝手に入れられてしまい、「いや、この仕事、私には全く関係ないんですが?」って思うんだけど、「作業A終了しました」「ありがとうございます」「作業B終了しました」「ありがとうございます」ってやりとりがずっと上がってきてウザい。

 そして、私に関係のある仕事でも、たとえば、それで「振込お願いします」っていうのは私の仕事なので、「振込しました」って返事すると、その部署の人たち数名がそれぞれ「ありがとうございます」「ありがとうございました」ってレスするたびに「未読」に上がってくるので、休み明けとか、そういう意味の無いレス読んでるだけで1時間くらい経ってしまうのだ。

 困るのは、そういう意味の無い、挨拶の応酬みたいのを読むのが面倒になり、読まないで放置していると、たまに大事なメッセージが紛れていて「あそこに書き込んでいたのに、読んでくれてないんですが?」って言われて、「えー、あんな、どーでもいー書き込みの中から、重要な情報を拾わないといけないの?」って驚く。

 で、一番驚くのは、ああいうどうでもいい情報ばかりなのに、ちゃんと全部読む人がいることだ。
 で、そういう人って「他の人も全部読んでいる」と思い込んでいるので、自分が発信したら「他人はこれを全部ちゃんと読む」と信じて疑わないし、だからこそ発信する文書に完璧を求めるのが、「いや、これ、全部は文章で説明できないし、これで疑問を持つ人は直接聞いてください、で、いいと思う」って意見しても、「絶対に文書だけで完璧に伝える」って譲らないし、そして案の定ちゃんと読んでない人から質問の内線が来るので「ちゃんと書いてあるのに」って零すけど、だから、全員がちゃんと読むわけ無いんだし。

 話を戻すと、いまや高齢者もスマホを持つようになったけど、そもそも高齢者がガラケーを持ち始めた頃「電車の中で電話しているのは高齢者」っていう状況になった時、「あんだけ、若者のケータイのマナーを指摘していたのに、高齢者がケータイを使い始めた頃、若者は通話をしなくなっていた」っていうの、面白かった。
 そして、高齢者がスマホを持つと、今度は「LINEがウザい」ってなってるのがまた面白い。

6月7日(水)

●「unknown」8話

 リアタイしてなかったけど「やはり町田啓太だった!」と盛り上がっていたので、TVerで追っかけたら、あああああああ、推しが吐血しているううううううううううう!

 このドラマの町田啓太は序盤では「なんのためにいるんだろう?2番手ってわけでもなさそうだし?」と不思議に思っていたんだけど、やっぱ、そういう要員だったんだ。

 出世したなあ・・・・

 不思議な世界観のドラマなので、何度も脱落しそうになったが、町田啓太がサイコパス演技して、しかも吐血してくれたので、ここまでついてきた甲斐がありました。

 しかし、今クールはドラマそのものよりも「この部分だけは超好き」っていうのが多くて、なんか不思議なクールだった。

●「Dr.チョコレート」

 手術描写のリアリティの無さにドン引きしてたが、「耳元で囁く坂口健太郎」は最高で、しかも幼女相手に拗らせてる感じが「おかえりモネ」にも通じる萌えがあり、とにかく坂口健太郎を愛でるドラマとしては最高なのである。
 「いや、それでいいのか私?」と自分を問いただしてしまうが、楽しんでいるのでいいのです。

 あと、私は葵わかなちゃんが大好きなので、朝ドラ女優なのに、こんな脇役やってるのも楽しんで見てます。

 坂口健太郎と葵わかなでラブコメやってほしい。


 他にも「わたしのお嫁くん」は、竹財輝之助と古川雄大の「兄ズ」目当てだし、「王様に捧げる薬指」は2番手の坂東龍汰目当てだし、「ペンディング・トレイン」も話としてはのめり込めないけど、山田裕貴と赤楚衛二が「ファイト!一発!」してるだけで見られるし、ほんと「ストーリーよりも、推し俳優」という珍しいクールみたい。


6月6日(火)

●映画「怪物」2回目

 うううう、2回目で「全く別の映画」になるのも珍しい。

 初回では、話追うのに夢中だったので、皆が泣いたという3部のシーンでは全く無反応だったのに、2回目はずっと泣きっぱなしでした。

 しかし、物語に集中してしまうと音楽が全く認識できなくなる自分は、坂本龍一の音楽を全く堪能できませんでした。

 それにしても、レイトショーにこんなに客入ってるの久しぶりに見たよ。
 けっこうカップル客が多いので「やっぱ、サイコ・サスペンスだと思って来てるんじゃね?」と思うが、やっぱ、カンヌは宣伝効果高いんだよなあ。

 さて、2回目だったから、初回とは違う目線で見ていたが、やっぱり田中裕子の校長先生の造形は謎だった。
 あと、やはり「黒川くんがキャバクラに放火したのか?」っていうのも、どっちでもアリな描写だったと思う。
 そして、ホリ先生のキャバクラ通いだとか、校長先生の孫殺しのすり替えとか、根拠不明の噂をバラ撒いていたのはホリ先生の同僚教師でした。

 そんなに新発見はなかったけど、初回でも感じた「母親の安藤サクラが息子の異変に気がついた時には、子供二人の中ではかなり濃い時間が流れていた」っていうのは2回目でより強く感じたし、学校でマスコミを巻き込むほどの事件になっているのに、子供パートではその描写が全くなかったのは、主人公のミナト少年は自分の中の怪物と対峙するのに集中していたので、母と学校があんなことになっていることに気がついてなかったんだろうなあ。

 そーいや、私も小学校の時、通ってる小学校がマスコミに取り上げられていたらしいけど、親はそれを子供には見せないようにしていたので、詳細はよく知らない。

 成人してからも、20代前半の頃、勤めていたテレビドラマ制作会社の社長をモデルにした「企業小説」が発表されたらしく、社内のオジサン、オバサンたちは「これ、部分的には妙に正確なんだけど、誰が情報源なんだろう」とヒソヒソ話していて、私が「どの小説なんですかあ?」って能天気に聞いたら、「あなたは知らなくていい」って真顔で言われてビビったが、どうやら、その当時流行ったの企業小説のトップ作家らしいことはわかったので、書店で立ち読みしてみたら、「ドラマ界の大物プロデューサーで、スポンサーが気に入った女優を見抜くと、素早く枕営業に持ち込む」みたいな設定は「嘘」だったけど、その他のディテールがけっこう「本当」で「彼がパトロンになってる銀座のクラブがあり、そこのママがフィクサー的な役割をしている」っていうのも半分本当だったが、お抱えタレントのスキャンダルを火消しようと、銀座のママに週刊誌記者紹介してもらったが、その記者がさらに炎上させたので、銀座のママが「いくら、私の紹介だからって週刊誌の記者を信用しすぎwww」と笑っていた。

 銀座はほんとうに得体が知れなかった。

 さて、この「怪物」という映画は、「この映画を見て、好き勝手言ってる人こそ怪物である」という入れ子になっているので、まさに「深淵を覗く時・・・」みたいなことになってるのだが、だからこそ、「最後が美しかった」と言ってる人を「読みが浅い」と責めるのではなく「うらやましい」と称えるしかない。

 でも、2回目で、素直にその美しさに感動したんだけど「美しければ、いいってもんじゃねーだろ」とも思った。

 初回の時は、嵐の夜にミナトくんがヨリくんの家に駆け込んだら、ヨリくんが浴槽でぐったりしていたシーンがよくわからなったんだけど、「是枝作品において、入浴シーンは家族の表現」と知って、「だったら、あのシーンは最悪に残酷なシーンだ」と思って見てみたら、ヨリくんの背中にアザがいっぱいあって、「あの父親(中村獅童)、むっちゃ折檻しちょるが!」

 それがわかると世界が変わる。
 ヨリくんが学校でイジめられてもニコニコしているのは、「机の上にゴミを置かれたり、上履きをゴミ箱に捨てられた」くらいでは、もはや何も感じないのだ。

 そして、ヨリくんが親から虐待され、学校でもイジめられているのは、LGBT的なことではなくて、「ちょっと異質だから」と私は解釈している。
 そこんとこ、あまりはっきりした描写は無いんだけど、学習障害らしいので、たぶん学校の成績は良くないだろう。読み書きが苦手みたいだから。(鏡字とか)
 でも、理科系の知識は豊富で(ビッグクランチとか)「読み書きもまともにできない」ってだけでイジメの対象になりそうだが、実はIQが高そうなところとか、ルックスが超可愛いのに「親からの虐待」って陰引きずってるとことか、からかっても平然としているところとか、彼が「イジメという娯楽」の標的になるの、なんかわかってしまって辛い。

 つーか、まさに「いじり」でやってるんだよね。
 そして、男子たちが全力でイジってるのをウザそうに受け止める女子の感じもリアルだと思った。

 女子たちは、これを「よくないこと」だとわかっているけど「悪いこと」だと声をあげる勇気もなくて、そこに罪悪感があるから、「この学校で教師による体罰があったと思いますか?」ってアンケートとられた時に、自分にとっては「大人」なホリ先生に不利になること書いてしまうんだよね。

 それにしても、瑛太演じるホリ先生のキャラ設定が2回目でも謎だった。

 20代半ばの年齢的にも「青二才」の俳優にやらせるべき役だったけど、永山瑛太の当て書きだったらしいから、そこはしょーがないというか、そもそも田中裕子が校長先生っていうのも、実年齢設定がかなりオーバーしてるからね。

 なので、無理やり、永山瑛太のキャラ設定を考えると、二浪して大学に入り、大学院まで進んだけど研究者の道は閉ざされ、一般企業に就職したけど、上手くいかず、30歳超えてから教員試験に合格して、35歳で初めてクラス担任になった感じ?それだと「彼女が高畑充希」の整合性がとれないんだけど(笑)

●「怪物」シナリオ・ブック

 ノベライズが先に出ていたのは知っていたが、シナリオ本が別に出ていたのは知らなかったので、2回目鑑賞前に映画館の売店で買って、さっそく帰りの電車の中で読んでみた。
 いわゆる「最終稿」で、映画ではカットされた部分がかなり多かった。

 一番驚いたのは、映画での私の解釈と違い、脚本はより明確に「ふたりともそっち」として書いてあったことだ。
 だとしたら、是枝監督はかなりその部分を曖昧にしたんだと思う。

 あと、田中裕子も、もっとセリフが多いのだが、脚本を読んでもやはり学校にクレームを入れてきた親に対して、あんな不誠実な対応をしたのかわからなかった。
 誰かが言っていたが、「あの校長は部下を犠牲にしてるので許せない」っていうのはほんとそう思う。
 孫の写真をアピールするとか、ちょっとズルい印象もあったけど、孫の事故の件で頭おかしくなっていたのかもしれないと感じた。

 あと、気になっていた瑛太の役の年齢が「37歳」となっていたので、瑛太ありきの当て書きらしいので、教師としてあまりにも未熟であることの整合性はあまり気にしてないのか、一応それなりに変人設定にはしているので、それでバランスが取れると思っていたのかなあ?

 でも、「本や雑誌の誤字を探すのが趣味」っていう先生の悪趣味のおかげで、少年たちの作文の「縦読み」(原稿用紙だから横読みだけど)に気がついたっていう設定は無茶苦茶上手いと思った。

 あとBL本読んでいた女子は、脚本ではもっと直接的に腐女子発言していたが、それでもやはり「猫の死体」の話は謎だ。
 脚本読んでやっとわかったのだが、女子が先生に猫の死体の話をした時には、もうそこに死体は無いんだよね。ミナトとヨリが埋葬したから。
 だとすると、「ミナトくんが猫で遊んでいた」っていうのは、猫の死体を持ち去ろうとした時のことを言ってるのかもしれないが、それは定かではないし、そもそも、けっこう前の話を先生に言ったのはなんでなんだろう?

 シナリオ・ブックには日付も記載されているので、何度も前後捲ってみたが、女子が先生に猫の話をした日と同じ日付で、女子とミナトがファストフード店で話をしていて、「私応援してるから」と言う女子にミナトが「バラしたら殺す」と脅しているので、それでミナトのことが怖くなって先生に猫の話したのならわかるんだけど。

 もしかしたら、本当にそういう流れにしていたが、日付の間違いなのかもしれない。
 自分がミナトのことを怒らせてしまったので不安になり、前に見た「ミナトが猫の死体を持ち出していた」っていう「事実」を先生に告げて、先生の注意をミナトに向けておこうということだったら不自然ではない。

 さて、問題のラストシーンだけど、シナリオでも明確に書かれていないが、シナリオでは「現実に戻り、水路に投げ出される二人」という記述があるので、土砂が流れ込んだ廃車両から脱出できたような感じである。
 しかし、その前にシナリオでは、嵐の夜にミナトがヨリの家に駆け込むと、浴槽の中でぐったりしているヨリを見つけて、やっと浴槽から引っ張り上げるが、そこで二人とも力尽きて動けなくなっていると、少し前にミナトを見かけた校長が追いかけてきて、二人の意識を戻して、ずぶ濡れになった服を着替えさせるという、映画には全く無かったシーンがあった。

 映画見た後だと、「え?なんでここに校長先生が?」って驚くシーンだが、校長は二人を乾いた服に着替えさせると、家を出て行く二人を見送るのである。

 映画だと、私は浴槽のシーンで、もうヨリは死んでいたんじゃないかと思っていて、そこから先はミナトの夢なんじゃないかって解釈もできると思ったけど、シナリオだと、校長先生がそこで二人を看取ったみたいな解釈もできる。
 事故の後、しばらく息があった孫を抱いていた時(これもシナリオ版オリジナル)みたいに。

 もしくは、あの時、孫は助からなかったけど、目の前にいる二人は助けたいと思った、という解釈もできる。

 でもさ、どう考えても、家の中でずぶ濡れでぐったりしている子供がいたら、事情を聞いて保護するのがフツーというか、ましてや校長先生なんだし、台風接近している夜に家を出るのを送り出すのありえないんだけど。
 でも、孫を不慮の事故で亡くした時から、校長はずっと生と死の境目を漂っていて、ああそうか、だから「本当のことはどうでもいいから、とにかく謝れ」っていうのも、孫を轢いたのは夫でも、「とにかく、ごめんなさい」って気持ちだったのかもしれない。

 そう解釈すると、「うちの息子が先生に暴力を振るわれました」と学校に乗り込んできた安藤サクラに対する態度は、息子が死んだ母親に対する態度なのかもしれない。

 シナリオ読んでいると、その「取り返しのつかない不慮の事故で孫を失った田中裕子」と「なんか改善してほしいと訴えてるのに、わたし、なんか変なこと言ってる? 」という安藤サクラの立ち位置の違いが不謹慎ながら面白いのだが、シナリオはそういう方向なので死神的立ち位置な田中裕子が嵐の夜に、二人の少年をリリースするって、そうとう不気味な話でした。

 で、私はドラマ好きなので、坂元裕二の大ファンでもあるのですが、坂元裕二が描く「嫌な話」の嫌な部分を受け入れる心の広さは無いので、「ほんと、やーね」としか言いようがないが、ほんと、この「怪物」で言えば「坂元くんが、猫の死体で遊んでた」って感じです。

 それでも、「怪物だーれだ?」のアイデアといい、泥の入った水筒の使い方といい、管楽器の音といい、仕掛けが明確なところはほんと素晴らしくて、「ベテラン技巧派が作ったカメラを止めるな」みたいな楽しみ方はできるので、坂元裕二には是非、一度でいいからコメディ映画作ってほしいんだよなあ。

 でも、けっこうコメディだったのが「カルテット」だったりするので、やっぱ鬱展開が作家性なんだろう。

 それにしても「花束みたいな恋をした」の次が「怪物」で、「映画で稼げる脚本家」ってイメージが定着したから、ドラマも書いてほしいけど、また映画の脚本も書いてほしいなあ。

 というわけで、すっかり「怪物」に夢中になっていましたが、こんだけあれこれ考え尽くしたので、満足いたしました。以上、解散!


6月4日(日)

 映画「怪物」の他人の感想漁っていたら、めっちゃ面白くて、休日が溶けた。

 こんだけ受け取り方が違う映画も珍しく、この映画を見た人の感想のドキュメンタリー映画作ったら、きっと面白いだろうと思った。

 一番面白いのは「全く事前情報なく見た人の感想」で、ユーチューブには「映画感想動画」がいっぱいあるけど、今まであまり面白いと思ったことが無かったが、「動画上げるために話題作を取り合えず見てみた」というフレッシュな状態の人がけっこういたので「そーよ、こーゆーのが聞きたかったのよ」と思った。

 私は「カンヌでクィア賞」ってことを知った上で見ていたので「それ、知らなかったら、どう感じたんだろう?」と思っていたんだけど、まさに「そんなの全然知らなかった」って人の感想があった。
 しかも、「本当の怪物探しの心理ミステリー」だと思って見ていた人の感想が。

 一人は、まさに「怪物だーれだ?」の気持ちで見ていたら、後半になって少年二人の美しい心の情景が出てきて「尊い!」になっていた。
 もう一人も「怪物だーれだ」って見ていたら、BLっぽくなったので、「え?」って頭真っ白になってしまったらしい。

 あと、やはり全然、前情報入れずに見ていた若い男性3人組の感想トークを聞いたら、一人が「後半が最高に美しくて、幸せな映画だった」と語ったので、あー、やっぱそう思うよね、と思った。
 しかし、もう一人が「いや、あれ美しかったけど、全然、幸せじゃねーじゃん」とネガティブ解釈を言ったら「あ・・・・そう言われるとそうかも」

 あのラストを「二人だけの自由な世界に行けたんだ」と、お花畑解釈する人はけっこういると思うし、それは間違いではないし、「君はそのままでいてくれ」って心から思う。

 で、面白かったのは、その男子3人組はBL描写については鈍感で、「ミナトくんは、たぶん、そうなんだろうなあ」ってだけで、それがネガティブ要素だと思ってないあたりが「イマドキの子」だった。

 彼らがどこまで理解しているのかわからないけど、11歳男子と比較的近い年齢なので、「性の芽生えが、そもそも罪」って感覚を持っているのかもしれない。
 で、バカ男子の雑談と思いきや、私が気になっていた黒川くんの「なんらかの学習障害」を「ウィリアムズ症候群じゃね?」と言っており、「なにそれ、初めて聞いたよ!」

 ググってみたら、アスペやダウン症に比べると発症率が低いので難病扱いだが、「あー、坂元裕二が子供頃に出会った子をモデルにしたと言っていたが、もしかして、これなのか?」と思った。

 映画内でも、この子の人懐こさは異常で、だから私にはBL描写より、「この子がなんな異質なのを他の児童が受け入れられないんじゃ」と思っていたけど、クイアよりも、発達障害の話だ解釈する側と、性的マイノリティー派で解釈が分かれますね。

 永山瑛太の役もけっこうグレーで、最初は「アスペか?」って思ったけど、高畑充希演じる彼女の前では「ちょっと変なこだわりがあるけど、フツーの人」で、つかみどころの無いキャラである。
 そもそも、子供にけっこう好かれてる先生だと思うんだけど、なんでああなっちゃったんだろう?
 それに、瑛太の年齢だと、教師としては中堅どころだと思うんだけど、けっこう若作りしていたから、まだ駆け出しの経験の少ない先生という設定なのだろうか?

 そう考えてみると、4月にこの学校に着任したばかりという会話があったので、たぶん、この物語は4月後半くらいから始まっているから、この学校の教師達とも信頼関係結べていないし、生徒はそれなりに懐いているけど「変わった先生」と思っていたかもしれないので、その脆い土台の上で起きた事件だったのかもしれない。

 話は4月から始まり、最後は台風接近だから7月くらいなのだろう。
 3パートは同じ時期を描いているけど、切り取る場面がそれぞれ違うので、どういうペースで時間が流れていたのか、いまいちわからないので、これはシナリオ本買うしかないな。


6月3日(土)

●映画「怪物」

 ネタバレ踏みたくなかったから、昨日の初日のレイトショーで見ようと思っていたが、台風接近で断念して今日見てきた。

 カンヌ受賞で話題になったから、けっこうな客入りで「みんな、万引き家族で懲りてないんだ」と感心した。
 私は坂元裕二目当てです。

 見終わった後、「なんか思っていたのと違う」と思った。なんだろう?何を期待していたんだろう?もっと視点が入れ替わる的な?
 予告篇からは「サイコ・サスペンス風だけど、これ、羅生門形式で本当の悪人はいなかったってヤツなんだろう」とは思っていて、やはり、そういう話だったのだが、何かがちょっと予想と違った。

 例えば、母親が息子の水筒の中に泥が入っているのをイジメの証拠として捉えるんだけど、息子のパートでは、泥が入った経緯をちゃんと映像でやっていたので「はあ、なるほど」と思ったし、スッキリしたので、ああいうわかりやすいのを求めていたのだと思う。
 もちろん、そういう「伏線回収」もいっぱいあるのだが、この映画の構成というか脚本は、最後の息子パートで前半のモヤモヤが全て解消しないんだよね。

 なんでなのか考えていたのだが、この話って、情報源がほぼ子供なので、子供の話の断片から大人が勝手に憶測しているから、本質からどんどん遠ざかってしまう、というか、曖昧な子供の話から、大人は勝手に「自分がそうだと思うこと」を拾ってしまう、ということを描いているようだ。

 あと、カンヌでクイア賞を獲ってしまったのが重大なネタバレになるのだが、本質はそこじゃないし、かなり前半でそれを仄めかす会話があり、ネタバレ知らなくても「ん?もしや?」って思っていただろう。知らなかったら、そこもずっとモヤっと引きずっていたのかもしれないが。

 それにしても、とてもカンヌらしい「文芸作」なので、娯楽作が好きな人はどう思うんだろうなあ。そういう人は「万引き家族」で懲りてるからもう来てないか(笑)

 私は子供が辛い思いをする話が好きじゃないので、是枝作品は心から楽しめないのだが、そういや同じ理由で「パラサイト」もダメだった。
 それでも、この映画の二人の少年、黒川想矢と柊木陽太の演技は素晴らしく、「誰も知らない」の時の柳楽優弥を思い出した。

 というわけで、すっきりと面白いエンタメ作品ではないが、「人間関係において絶対的な真実なんて無い」という話としては、とても繊細で素晴らしい映画だと思う。

 私がこの映画で一番好きだったシーンは、母親(安藤サクラ)と教師(永山瑛太)は、それぞれ別の場所である音を聞くのだが、息子パートになってその音の正体がわかり、母親と教師がドタバタしている同じ時間に、あんなシーンが展開していたんだ、と胸熱でした。

 そして、けっこう後で「ん?あのセリフはこのことを言っていたのか?」って巻き戻したくなる事がけっこうあったので、もう1回見ちゃうんだろうな。(思う壺)

 例えば、最初の母親パートで、キャバクラが火元のビル火災の話をパート仲間と話していたら「先生(永山瑛太)があのキャバクラにいたらしい」とパート仲間が言ったので、それおが母親の担任への不信ポイントの一つになるのだが、教師パートでは、その火災があった時、彼女と一緒に付近を歩いているのを火災を野次馬していた塾帰りの生徒たちとすれ違い、「女連れだ!」ってからかわれていた。
 あの生徒の中に、パート仲間の子供がいたんだっけ?パート仲間の子がどの子だかはっきりしてないが。
 もし、そうだとしたら、あの時、帰宅した子供が「ビルの火事を見た」「火元はキャバクラらしい」「先生が女の人と一緒にいた」って断片的な話が「先生がキャバクラに通っている」って話になっちゃったのかな?

 あと、猫の死体の話も「あれ?」って引っかかった。

 つらつら書いてて気がついたのだが、この映画は、母親目線と教師目線と息子目線の3つのパートがあるんだけど、田中裕子の校長先生目線のシーンはあったけどけっこう曖昧だったし、中村獅童のシングルファザーは他人の目線からしか描かれてないので、あの父と息子の物語がよくわからないので、こっちが頭の中で補完するしかない。
 そして、そういう断片から勝手に「こういう人だ」と思い込むことこそ、この映画のテーマなんだけど、でも、現実世界でも、その人のこと全部見ているわけではないから、多少なりとも「こういう人だ」って頭の中で形作らざるを得ないよなあ。


 と、自分の感想がまとまらないので、他人の感想を漁っていたのだが、腐女子が「エターナル!」になってて苦笑。
 確かに、あの映像だけならエターナルなんだけど、あれ、ハッピーエンドじゃないでしょ?
 ん?あのエンディングの解釈って分かれるのかなあ、と思って対談形式で感想語ってるところがあったので聴いてみたら、みなさんやはり形而下においてはバッドエンドと解釈してました。

 あと、私はクイア問題よりも、星川くん(柊木陽太)が識字障害のある描写の方が気になったというか、「あんだけ露骨にそうなのに、教師が気がついてない」ってことに驚いたし、星川くんがイジメられているのは発達障害でちょっと変わった雰囲気だったからと私は思ったんですが、そう思っていたから、黒川父(中村獅童)が息子を放棄しているのも、そっちの理由の方が強いんではないかと。

 あ、あと2回目見たら確認するポイントは「キャバクラの火事は結局なんだったんだ?」と、そもそも、なんであんな嵐の中、あそこに行ったんだっけ?

 この映画、面白いなと思ったところは、最初の母親や教師パートは短いシーンというか断片の積み重ねが多くて、時間の経過がよくわからないんだけど、最後の子供パートになったら、ゆったりとエモーショナルなシーンが続いて「大人がドタバタ騒いでる裏で、子供は豊かな時間を過ごしていたんだ」ってわかり、大人は子供たちの断片しか見てなかったって感じられるところで、「確かに小学生の頃って、1日が長かったよなあ」と思った。

 というわけで、今はまだネタバレになるから、みんな感想を言うのを控えているけど、一週間くらいしたら、ネタバレ感想がいっぱい出てくるだろうから、坂元裕二解析班のお仕事楽しみにしましょう。

 すでに一つ見つけたのは、「あの廃車両は箱舟で、主人公の少年の名はミナト(港)、面会室で田中裕子が作っていた折り紙も舟」でした。
 廃車両が出てくるので「銀河鉄道の夜」という考察も「おお、その通り」と思ったし、あと、クラスメートの女子がBL漫画を読んでいたそうです。

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