可燃物な日々

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6月30日(木)

●「空白を満たしなさい」NHK 土10

 初回放送は「パンドラの果実」の最終回と重なっていたのでリアタイで見てなかったのだが、やっとオンデマンドで見た。
 そういや「パンドラの果実」は、けっこう好きだったけど、ラスボスだと思っていた安藤政信が全然ラスボスじゃなくて肩透かしだった。続きは有料動画配信らしいので、そっちで活躍するのだろうか?
 代わりに終盤で突然出てきた加藤雅也がラスボスを勤めていたが、加藤雅也が何をやりたいのかイマイチよくわからなかった。せっかくディーン様と加藤雅也が対決するんだったら、もっと派手にバッチバチにやってほしかった。
 (私は昔から加藤雅也が大好きなのだが、なんかいつも上手く料理されてない感じがするのよね。きっと、難しい素材なんだろう)

 で、「空白を満たしなさい」であるが、柄本佑主演ってだけで100億点なんだけど、妻役が鈴木杏、元上司が渡辺いっけい、怪しい警備員が阿部サダヲって、キャスティングが通好みに濃いぞ。
 この枠の去年の佳作であった「今ここにある危機とぼくの好感度について」を匂わせるキャスティングだ。(渡辺いっけいと鈴木杏)
 そこに一昨年の佳作であった「心の傷を癒すということ」の柄本佑を足しているという贅沢。

 話は「死んだ人が数年後に突然蘇る」というファンタジーなのだが、ニュースで「本日の復生者は東京6人、大阪4人、全国で48人でした」と、まるでコロナ陽性者みたいな扱いになってるし、保健所のスタッフがすぐに駆けつけて事務処理するくらいになっている世界観なのである。

 その保健所の職員が岡部たかしだった。
 岡部たかしが突然現れるドラマは傑作になる確率が高いのだ。

 最近は岡部たかしが出世してしまい、事前に出演が発表されることが多くなったので、映画では「あ、岡部たかし出てきた」ということがまだあるけど、ドラマだと久々である。

 と、思っていたら、主人公が「自分は自殺じゃなくて殺されたんです」と訴えに行った警察に奥田洋平がいた!

 これは凄いぞ!

 阿部サダヲも、なんだか全然よくわからなくて気色悪いし、萩原聖人なんて、全く何にもわからない初回だった。
6月29日(水)

 休みだったので、昼ごろ外を歩いていたのだが、やっぱし暑かった。
 この暑さの中で外で仕事する人は本当に大変だと思う。
 すれ違ったバイクに乗った郵便局員がマスクをしていたので「この暑いのに、マスクなんてして暑苦しい」って苦情でも送ってあげた方がいいのだろうか?

●舞台「室温 夜の音楽」@世田谷パブリックシアター

 数年前に「徒歩で行ける劇場があるのに、全然入ったことがなかった」という勿体無さにやっと気が付き、それ以来、何度か足を運んでいたのだが、コロナのおかげで公演中止になっていたりしたので、久々に入った。
 ケラの2001年作品で、なぜか関西テレビ主催。
 主演が古川雄輝なので「パブリックシアター公演にしてはキャストがやや地味だな」と思っていたが、やはりチケット完売はしなかったらしく、私も「行けたら行こう」程度だったので、最初から当日券狙いだったんだけど、平日のマチネということもあり、2階席、3階席は空席が目立っていた。
 当日券は2階席正面でした。

 音楽劇で、在日ファンクがライブ演奏するんだけど、2週間の公演の客席埋めるのって、やっぱ大変なんですね。

 さて、開演してすぐ在日ファンクの演奏が始まり、「ライブ演奏聴くの何年ぶりだろう」と泣きそうになった。
 舞台は2階建で、2階で演奏していたので、2階席だと見上げることもなく、普通にライブ見ているかのような気分になって良かった。

 ホラー・コメディと銘打っていたが、ホラーっていうよりも「エグい話」って感じだった。
 話のベースが「女子高生コンクリート詰事件」だと思うんだけど、拉致監禁されて陵辱暴行された末に放置された家屋を放火されて女子高生が亡くなってから10年後の話。リアルな「コンクリート詰事件」が1989年らしいので、この劇の初演が2001年ということは、当時だとけっこうリアルな設定だったのだろう。

 その被害者の父(堀部圭亮)と被害者の双子の姉妹(平野綾)が暮らす家で、警察官の坪倉由幸が任務をサボって油を売っており、そこにオカルト作家である堀部圭亮のファンだという女性(長井短)が東京から訪ねて来る。
 そして、なぜか、たまたま体調が悪くなったタクシー運転手の浜野謙太がいて、前半はずっとその5人でワチャワチャやってて、けっこうグロい話をしているんだけど、掛け合いが面白くて、ずっと笑っていた。

 そして、伊藤ヨタロウですよ。
 その姿を見るのは何十年ぶりなんだろう?メトロファルスのボーカルである伊藤ヨタロウが元気で活動しているのを見られてホント楽しかった。

 で、主演である古川雄輝は「女子高生を殺した犯人の一人」だが主犯格ではなかったので、10年の刑期を終えて、被害者宅に焼香に来たののだが、双子の姉妹に「そんなの絶対ムリ!」と拒否されるものの、被害者父は「どーぞ、どーぞ」という雰囲気で、すっごく重い話なのに、なんか妙に軽くて、その掛け合いでまた笑ってしまうのだが、中盤以降、だんだん笑えない話になっていくのだが・・・・

 登場人物全員が犯罪者だったという、ありがちな話ではあるんだけど、「え?なにこれ、怖い」と思ってても、掛け合いがコメディだから「アハハハハ」って声出して笑ってしまうのですよ。

 なので、舞台上で展開されるホラー的というか「全員サイコパスなの?」ていうことよりも、それで「アハハハハ」って笑ってる自分が一番怖かった。
 舞台ならではの悪趣味を楽しむ、っていう趣向なんだろうなあ。

 劇中でセリフで語られた話で、「後ろを走っている車が激しくパッシングしてくるので、ムカついて車を止めて文句言おうとしたら、自分の車が死体引きずっていることに気がついて、後ろの車の運転手がそれを教えようとしてくれたのがわかって、それが縁で二人は結婚したんです」って、映画やドラマの映像作品でやられたらドン引きするシーンだが、演劇のセリフでサラっと言われると「いい話だなあ」って思ってしまうけど、そもそもなんで死体引きずってるの?っていうことは回収されないのが演劇的演出。

 ハマケンが2役で演じる子供は、死んで井戸の底に沈んでいたのだが、雨で井戸水が増水してやっと発見されたので嬉しくってしょうがないのだが、お父さんとお母さんは何で泣いてるんだろう?
 そして、自分を殺したオジサンは、「お前の父親が悪い」と言うけど、お父さんは優しかったよ?

 というわけで、かなり悲劇的なエピソードがテンコ盛りなのに、ずっと声出して笑ってる自分が一番サイコパスというなかなか巧妙な戯曲でした。
 どの登場人物も裏表があり、その出し入れが難しいと思ったけど、その「主観と客観の狭間で」みたいなところ、どのキャストも頑張っていて、見終わった後「結局、何がいけなかったんだろう?」とキョトンとしてしまった。

 ワイドショーねたをエンタメとして消費していることをちょっとだけ反省させられる芝居でした。

 河原雅彦演出だったんだけど、実は8月のパルコ劇場の「VAMP SHOW」のチケットもとっていて、そっちは1992年の三谷幸喜脚本のホラー・コメディで、また河原雅彦演出作品なので、なんか続くなあ。
6月28日(火)

 6月としては記録的な暑さになっているのだが、私・・・・それほど暑さを感じていない。
 年なのかね?
 26日の日曜日は早朝から夕方までイベント仕事でずっと屋内にいたし、昨日も今日もずっと会社にいたので、本当に暑い時間に外を歩いていないだけなのかもしれない。

●映画「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」

 ドラマ版が大好きだったので、この映画はイマイチな予感がしたけど、せっかくだから見てみました。

 そしたら、けっこう前半は面白かった。
 シシオ(ディーン様)と若宮(ガンちゃん)の掛け合いも「こんなテンポ良かったっけ?」と思うくらい面白かったし、こういう映画のお約束である「出てくる人が全員怪しい」っていうのも過剰なくらい豪華だった。

 一つ文句言わせていただきたいのが、私はドラマのシシオの衣装が大好きで、あのスナフキンみたいなコートをヒラヒラさせてるのがホント好きだったので、映画版の衣装はシルエットとしては踏襲しているんだけど、ヒラヒラ感がなあ?
 でも、けっこう野山を駆け回るから、スナフキン衣装だと合わないので、英国紳士の狩猟スタイルというかニッカーボッカーにしたの、わかるんだけどさ。

 そして、全然想定外に良かったのが、准教授役の小泉孝太郎であった。
 原作小説だと、この教授役が犯人なので、それを意識したであろう、学問バカの朴訥とした感じを捻って、無茶苦茶怪しい感じを醸し出しているのだが、その塩梅が絶妙というか、小泉孝太郎が得意とする「いい人」と「いい人に見せかけて相当な腹黒」の極上のハイブリットだった。
 変人シシオとガッツリ絡むので、その掛け合いも素晴らしく、あの変な間のディーン様が引き出したちょっとキモかわいい小泉孝太郎だったのだろう。

 だから「もう、事件解決はどうでもいいから、ディーン様、ガンちゃん、小泉孝太郎の3人でずっと飲み会でもしてろ」と本気で思った。

 この映画見ながら「原作をどこまで改変しているんだろう?」と原作を思い出していたのだが、変えた箇所より、寄せた箇所挙げた方がたぶん早いな。
 「犬の呪いという伝承を背負った旧家」「当主が犬に襲われて死ぬ」「靴が無くなる」それくらい?

 まあ、原作もけっこうベタな話なんですが、この映画も後半は完全に「2時間サスペンス」でした。

 個人的にツボったのは、亡き当主が坑道に残した金庫を開いた時、同席していた「廃墟ユーチューバー」が金庫いっぱに詰まった札束を見て「あー、この家の子になりたかったな」とツブやいたところで「でも、この家の子、一人はもう殺されたし、もう一人は・・・」

 「幸せは金では買えない」という話でもあった。

 そして、シシオと若宮は、何のためにこの島に来たのか、よくわからなかったんだけど、そこはどうでもいいっていうことでいいんですよね?

 スッキリ解決って話でもなかったので、「月9ドラマの映画版として、これでいいのか?」って思ったけど、監督の西谷弘は「モンテ・クリスト伯」の演出でもあったので、ああいう世界観の継続として見るのなら、アリなのかな。稲盛いずみの起用法は被っていたし。

 あと、一つ文句言わせてほしいのだが、この映画の舞台は「瀬戸内海の孤島」らしいが、キャバクラやショッピングモールもあって、孤島というよりは、地方都市みたいな感じだったので、そこはチグハグだったかな。
 まあ、そんな細かいこと、どうでもいい話だったんだけどね。

 そして、見終わった後に「あ、あの演技派の可愛いハスキー犬がタイトルロールだったんか?」って気が付きました。名前も「ビル」だったし、「ハスカベ家の犬 ビル」でした。
 主人公たちと一緒に駆け回るあの犬の名演見ただけで映画代の元はとった。


6月24日(金)

●「先輩、断じて恋では!」毎日放送 ドラマシャワー

 「チェリまほ」の映画化に続き、「美しい彼」も映画化決定したので、「ここから、雨後のタケノコがニョキニョキ生えてくるだろう」と予想していましたが、当然そうなりました。

 そして、この「先輩、断じて恋では!」の何が凄いって、「どんだけ仮面ライダー俳優ぶっこむんだ?」ってことです。
 主演の内藤秀一郎と瀬戸利樹は、それぞれ、セイバーとエグゼイドだし、その上司の松田悟志は龍騎の2番手だったんだっけ?さらに、同僚役の渡部秀はオーズである。

 なので、ニチアサ系腐女子をあからさまに釣りにきているのだが、この話は、恋愛ドラマにありがちなオフィスものなので、そのコッテコテというか、使い古されすぎて、もやは男女では古臭すぎる設定を「仮面ライダー俳優二人でコッテコテに再現してみました」という、なんか存在自体が二次創作。

 業界内が今、どういう雰囲気なのかは知る由もないが、少し前まで仮面ライダー俳優の出世の階段は朝ドラだったけど(菅田将暉とか竹内涼真とか)、赤楚衛二の躍進で「仮面ライダー→BL→朝ドラ」になってしまったのかもしれない。

 つーか、役者さんにとっては、女優さん相手にキラキラ恋愛ドラマでキュンキュン・シーンやるよりも、男相手にキラキラキュンキュンしたほうが、もしかして、ラクなのかもしれないな?
 そして、瀬戸利樹も内藤秀一郎も今のところポジショニングが難しい役者さんで、「自分の色」を探している最中だと思うので、このBLブームに乗って弾みをつけたいという欲が感じられるので、ドラマの内容的には今のところ「ベタだなあ」としか言いようがないけど、熱は感じるので、こういう雨後のタケノコもタケノコなので、美味しくいただいております。

●「オールドファッションカップケーキ」FOD

 こっちは、もっとすごくて、やはり仮面ライダー俳優の武田航平と、舞台が中心の木村逹成のカップリング。

 アラフォーとアラサーの年の差オフィスラブなんだそうです。

 木村達成は、最近ずっとNHKの実験枠ドラマによく出ていたけど、BLに首突っ込んでくるとは予想してなかったので、びっくりよ。

 でも、BLでアラフォーが出てくると、「こ、これはもしかして、私の脳内だけで展開されている、40歳すぎても童貞だったら魔法使いになれるらしい、が実現する?」という期待に胸が高鳴る。

 ハイスペック・イケメンのディーン様と、冴えない童貞のタカハシでアラフォーBLやってほしいと、ずっと妄想していたが、なんか、もしかして、実現の芽があるのかも?

 BLドラマは7月からも「みなと商事コインランドリー」っていう、チェリまほで六角役だった草川くんと、「ドラゴン桜」でヤンキー役だった西垣匠くんのが控えていて、それもけっこう楽しみです。

 草川拓弥は作品ごとに妙に堅実というか、目立ちはしないけど、しっかり爪痕残すタイプの子で、その仕事ぶりがなんか好きだし、西垣匠は東宝が久々に力入れて売り出している男子なので、大手事務所が密かに大プッシュする二人のBL展開に期待してしまうし、どんな役だかまだわからないが、オレの福士誠治がキャスティングされているので超楽しみ。

 4月期が全体的にイマイチだったのだが、7月期は期待できるドラマが多いので、忙しくなりそうだ。


6月23日(木)

●「ナンバMG5」最終回

 美容院で美容師さんが「今クールで一番面白いのは、あのヤンキーのヤツですね」って言っていたし、会社でも「柴犬が可愛いから」って見てる人がけっこういて、4月期ドラマで一番人気あったのは、これだったのかもしれない。

 個人的には、「ファイト・ソング」でやっと恋愛ドラマの一番手に上り詰めた間宮祥太朗が「ええええ?ヤンキー役やるの?」って不安しかなかったし、本広克行演出っていうのも私にとってはマイナス要素だったんだけど、蓋を開けてみたら、非常によく出来たドラマになっていたので、よかった、よかった。

 終盤は敵役で、鈴之助と東啓介と岩永洋昭が出てきて「平均身長高っ」って思ったし、東啓介は「ファイト・ソング」では間宮祥太朗のヒモみたいな役だったのにぃぃぃぃとか思ったけど、そんなキャスティングも面白かった。

 そして、なによりも「ヤンキーであることを隠して、普通の進学校に通ってる」って設定が、7月に公開される間宮主演の「破戒」じゃんかね?

 「破戒」の予告編が上がっていたので見てみたが、「あれ?ナンバMG5の方が切実じゃね?」って思ってしまったのだが、「破戒」は上映館も少ないし、それにしてはかなりの豪華キャストなんだけど、商業作品というよりも「水平社100年記念」っていう内輪受け作品なんだろう。

 だから、「破戒」にはあまり期待してなかったんだけど、「ナンバMG5」で、「ヤンキー一家に生まれてしまったが、俺はフツーの高校生活したいんだ!」って熱量の間宮祥太朗があまりにも素晴らしかったので、「破戒」でもあのテンションを期待しちゃうな。

 いかん、いかん、ハードル上げちゃいかん。

 間宮の袴姿眺めてデュフッって気持ち悪く笑うのが目的なんですっ。


6月22日(水)

●映画「恋は光」

 神尾楓珠主演の恋愛映画だが、これを見ようと思ったのは、監督の小林啓一が「殺さない彼と死なない彼女」の監督だったからである。
 「殺さない彼」も不思議な映画だったが、間宮祥太朗の土下座級の美しさにハマってリピートしたっけ。
 そういや、あの時「さすがに間宮の学ラン姿はもう最後だろう」と思っていたのだが、今放送中の「ナンバMG5」でも学ラン着ていますと、あの頃の自分に教えてあげたい。

 さて、この「恋は光」も不思議な映画だった。
 あらすじ的には、よくある話というか、恋をしたことがない男(神尾楓珠)がちょっと風変わりな女子(平祐奈)に興味を抱き、二人で「恋の定義は?」を探るのだが、神尾楓珠の幼馴染の西野七瀬はそれを応援しつつも、内心は複雑なのであった・・・・
 ネタばれでもなんでもないと思うが、幼馴染とハッピーエンドになるタイプの話である。

 主人公の特殊能力である「恋する女性が光って見える」という描写も控えめだったし、その設定以外は、よくある恋に不器用な男女の話だし、神尾楓珠が「無表情、メガネ、オタク喋り」なので、「オタクに恋は難しい」の映画版を思い出してしまった。

 その神尾楓珠が無茶苦茶美しかったので「この監督は裏切らない」と確信したのだが、西野七瀬や平祐奈もほんとキレいで・・・というか、全員、肌がすっごいキレいなんだが、映画見ていてそういう感想を抱くことが今までなかったので、たぶん意図的にそういう撮影しているんだと思う。
 よくある、光を強くあてて白く飛ばしているわけでもなく、あくまでも自然光(に見える)で超美白って感じだったのよ。

 なので画面も変に陰影つけてなくて、全体的に淡々とフラットなのが特徴的だった。
 撮影技術のことよくわからないけど、あえてメリハリつけてないんだと思う。

 絵のメリハリは「すごくキレいな大学キャンパス風景」と主人公の古めかしい下宿や、平祐奈の住む古い日本家屋で表現していた。
 そして、神尾楓珠が着る大学生カジュアルも地味ながら、かなりオシャレだったし、西野七瀬の今風女子大生コーデも目立つことなく溶け込んでいて、なによりも平祐奈が少し古臭いけど可愛い服を取っ替え引っ替えしていたのが目の保養だった。

 さらに、そこに絡んでくる「他人の男を略奪するのが趣味」という馬場ふみかが完全に浮いているのだが、浮いているけど馴染んでいるという、まあ、それもよくあるっちゃあるんだけど、完全に馴染んでいるわけでもなく、存在する次元が違うんだけど、そこにいるっていう不思議な存在だった。

 この原作って少女漫画じゃなくて、青年誌に掲載されてたみたいだし、平日の昼間だというのに、けっこう男性客がいたので、女優目当てなのか原作ファンなのかわからないけど、ほんとにこういう原作なんだろうか?って思って、さっき、原作試し読みで冒頭だけ読んでみたら、雰囲気的にはそのまま映画にしたっぽい。

 「美人の幼馴染にずっと想われてるのに、それに全く気がついてない主人公」っていうところが、男性向けアピールポイントなんですかね?

 というわけで、キラキラ恋愛映画でもないし、キュンキュンさせるシーンもあまりなかったし、でも、美男美女が地味にワチャワチャしていてあのビジュアルでしたから、すごく楽しい映画でした。

 「殺さない彼」は原作がそうなので、彼が死んでしまうのですが、この「恋は光」は、神尾楓珠と西野七瀬がこれからも、二人のペースで一緒に過ごすのだろうし、平祐奈も馬場ふみかもきっとそのうち本当の恋をするのかもしれないし、しないのかもしれないけど、みんなそれなりに幸せに生きるのであろう。

 あと、終盤で「神尾楓珠と同じ能力を持つ女子高生」として、映画「空白」や朝ドラ「おかえりモネ」で印象的な役を演じた伊東蒼が出てきたので、「お?」と思った。
 伊東蒼は、これからも引っ張りだこになりそうなので、要注目だ。河合優実ポジションになるかも。

 その伊東蒼の「憧れの先輩」としてモデル体型の美少女が印象的だったが、宮下咲っていうアミューズの新人らしい。
 この役が、主要登場人物がカフェで話をしている時に、外のベンチでずっと待機していてピントもほとんど合わないのに、「後輩が心配だから」ってずっとそこにいるという存在感が素敵だった。
 メタ視点だと、カメラのピントはずっとカフェの中にあって、何テイクも重ねてるんだろうに、ずっと外で役割果たしていたので、若い女優さんにとっては大変な撮影だっただろうけど、「その絵、良かったよ」と言ってあげたくなる。

 というわけで、何かが際立った作品ではなかったけど、岡山ロケも美しかったし、話のキモは実はよくわからなかったんだけど、映画館で見て良かった作品でした。

 ところで、西野七瀬って何歳なんだ?と思ってググったら、28歳なんだ。
 「あなたの番です」の女子大生役も違和感なかったし、間宮祥太朗がまだ高校生役全然やれてることを考えると、彼女はしばらくは20代前半の役柄になるのかなあ?

 どこかでアラサーにチェンジするんだろうけど、そこからが本当の勝負なのかな?

 いや、すごく上手い子だと思っているので、どこでクラスチェンジするのかなって見守っておきましょう。


6月20日(月)

 一部を除いて、全国的にコロナ陽性者数が下げ止まってる感じだけど、東京はちょっとリバウンドしてきたかなあ?
 それでも、飲食店の様子はすっかりコロナ前になっているので、「なのに、みんな外ではちゃんとマスクつけてるのはなんでなんだろう?」って不思議に思うくらいだ。

 あと、学校の校庭で体育の授業するのに、もうマスクは要らないというか「熱中症の方が怖いだろう」と思うし、実際、ニュースでも学校で大勢が熱中症で救急搬送されたとかやっているので、あれは文科省からちゃんと通達したほうがいいんじゃないかなあ?

 東京も、陽性者は増えてきているが、重症者はゼロになっているのが凄い。
 東京の重症者カウントは他とは違うみたいだけど、それでも、去年の11月くらいに、びっくりするくらい陽性者が少なくなった頃だって、ゼロにはなってなかった。

 これから、国内旅行が活発になり、海外からも旅行者受け入れていくと、またさらにリバウンドするのかもしれなけど、これだけ重症者が少ない現状を医療現場の皆さんはどう捉えているんだろう?
 でも、老人ホームではまだまだクラスター発生しているみたいなので、高齢者への4回目接種が済んでから、って感じなのかねえ?

6月17日(金)

●舞台「パンドラの鐘」@シアターコクーン

 シアターコクーンに入るのは10年以上ぶりだと思うが、中に入っても「こんなんだったっけ?」って全然記憶がなかった。
 それよりも、入場時の検温が「こちらに立って、あのカメラの方向を見てください」と言われ、1メートルほど離れたカメラの横に座っている係員が「○」って書いた札を掲げる方式で、「ク、クイズかよ?」って笑ってしまった。
 カメラは2台あったが、シアターコクーンの座席数は700ちょいあるので、あの係員は開演から上演までの45分の間に350回も「○」を出しているのかと思うと「ごくろーさまです」としか言いようがない。

 さて、「パンドラの鐘」であるが、成田凌と葵わかなのW主演で、成田凌は初舞台ということで、朝ドラ「わろてんか」では親子を演じた二人であるし、私は葵わかなちゃんが大大大好きなのである。
 成田凌は、そこまで好きでもないのだが、マイナー系の映画によく出ているので見る機会が多く、少し前から「もしかして、成田凌は天才なのかもしれない」と思っていて、舞台でそれを確認してみたかった。

 というわけで、20年前の野田秀樹の脚本だということは知っていたけど、内容に関してはほとんど予習せずに見てみたのだが、「いや、これ、当時でも相当な問題作だったでしょうよ」と見終わって思った。
 この戯曲は蜷川幸雄が野田秀樹に依頼して、二人の演出でそれぞれ上演されたらしく、当時の演劇界としては、相当インパクトのあるイベントだったと想像できる。

 今では、すっかり野田秀樹が蜷川幸雄の後釜みたいなことになってるけど、今「野田秀樹VS」っていう人はいるのだろうか?
 それはいいとして(演劇界に疎いのでよくわからん)、20代の頃は「夢の遊眠社」をよく見に行っていたので、この「パンドラの鐘」も「はいはい、おなじみの二つの時空が絡まるやつね」となんとなく思い出した。
 そして、登場人物がけっこうコミカルでテンション高いのも「ああ、懐かしいなあ」

 そんで、思ったんだけど野田秀樹の戯曲はコミカルでハイテンションで、セリフに意味があるようで全然意味がなかったりするので、テンポやリズムも重要だから、役者は大変なんだなあ。
 上杉祥三とか段田安則は、この世界観を極めてから、テレビドラマに進出したんだなあ。

 成田凌は、初舞台がこんな大舞台なのに、頑張っていたと思います。
 でも「若き女王が、恋心を抱いてしまう、魅力的な葬儀屋」ってところまでたどり着けてなかった。

 逆に舞台役者はさすがというか、大鶴佐助とか片岡亀蔵とか白石加代子とか。

 白石加代子なんて、うちの母親よりも年上なのに!
 白石加代子は、うちの母親の幼馴染というか、「近所のおねーさん」だったらしい。
 もしかしたら、亡くなった伯父と小学校の同級生だたのかもしれないけど、伯父は2年前に亡くなり、うちの母は「昼ごはん食べたら少し昼寝」っていう感じなのに、白石加代子は2時間半の舞台を昼夜公演やってるんですよ。

 しかも、白石加代子が演じた役は1999年野田秀樹演出版では、野田秀樹が演じた役だ。

 それもね、上演中ちょっと気になっていて、「20年前は野田秀樹はどの役だったんだろう?」って。
 今回の雰囲気的に大鶴佐助が演じたオズなのかなあ、と思っていたけど、白石加代子の方だったんですね。
 てゆーことは、たぶん、大鶴佐助が一番「ノダっぽさ」を再現していたんだと思います。

 現代パートと古代パートで配役が分散しているし、古代パートでの成田凌率いる葬儀屋チームもけっこう目立っていたので、脇役の見せ場もたっぷりあって、シアターコクーンらしい「テレビで活躍している役者がこんな贅沢に」って感じでした。

 そして、圧巻だったのは、最初と最後の演出だった。

 入場した時、舞台を見て「なにこの、極限まで何もない舞台」って驚いた。
 舞台って、全部取り払うとこんなんなんだって。
 一番奥の機材が置いてある棚まで剥き出しだった。

 「何もない舞台」を見ると「ストップ・メイキング・センス方式か?」って思うのだが、主演の成田凌が、このスケルトンの極みの舞台に客席から歩いてきて、舞台中央の床に耳を寄せたところでガンっと紅白の幕が降りて、舞台裏が全て隠される演出に驚いたのだが、ラストで「生き埋めにされるヒメ女とヒメ女に思いのたけをぶつけるミズオ」という壮絶なラストシーンでウルウルしていたら、舞台を作っていた紅白の幕が剥がれ、また剥き出しの劇場が現れたと思ったら、後方にあった扉が開いた。

 最初、何が起きたのかわからなくて、「スクリーンに映した映像?」って思ったんだけど、それが、舞台後方にある搬入口を開いたので、すぐ外にある東急百貨店の搬入口というか駐車スペースみたいなところで、その奥で動いているのは、東急百貨店の裏を歩いている人や車だった。

 ものスゴくシュールというか、こっちは2時間半、「数千年前の古代と、戦前の長崎」を往復していたのに、いきなり現れた「現在」に激しく戸惑った。
 しかも、あっちの現在の通行人は、数十メートル先で成田凌がうずくまってるのに、それに気がつくことなく、淡々を歩いているんですよ。
 こっちが暗いから見えないのと、あっちからすれば、ただ毎日通る百貨店の搬入口の前を歩いているだけなので、その奥でこんな世界が展開してるなんて、思ってもみないんでしょう。
 つーか、そもそも、歩いてて、あそこに目線がいかない。

 終演後、その「向こう側」を確認してみましたが、たしかにそこにシャッターがありましたが、あれが劇場のセット搬入口だってわからないし、あの向こうで日々、なんかの演劇が繰り広げられていることなんて、通行人は知るよしもないでしょう。

 というわけで、「こっちはこんなに真剣に見ているに、あっちは全く関心がない」という、世間ではよくある構図ですが、それをこうやっていきなり提示されて、ほんと鳥肌たったというか、「ふわあああああああああああっ」ってなった。

 意識が全部そっちに持っていかれたので、その最中も成田凌がクライマックスのセリフ言っていたと思うのだが、全然入ってこなかった。

 そもそも私はあまり耳が良くないので、映画やドラマに没頭していると音楽が全然聞こえなくなるのだが、久々に「視覚に集中しすぎて、音が全く聞こえない」状態になった。

 あのラストになんだか全部持っていかれたけど、こんだけ「わー、テレビでよく見る役者さんがいっぱい!」っていうのを見たのは、久しぶりだったので楽しかった。
 ただ、休憩無しの2時間半はちょっと長かったかなあ。後半けっこう集中力が途切れてしまった。
 映画だと、このくらい長尺でも「風景流してるだけ」みたいな緩い時間があるんだけど。

 あと、一つだけ不満だったのは、葵わかなちゃんは舞台用の発生だとけっこう太い声になってしまうので、あのテレビの鈴のような声を舞台用に出来たら最強だと思う。

 そして、この舞台には全然関係の無いことだが、「美しい彼」の続々編である「悩ましい彼」では、舞台俳優を目指すキヨイがやっと憧れの舞台演出家の作品に出ることになるのだあ、その演出家のモデルが野田秀樹なのである。って、作者が明言しているわけではないのだが、だって「上田秀樹」っていうんだもん(笑)

 なので、演出家は違うけど、野田戯曲で初舞台を踏んだ成田凌に、なんとなくキヨイを重ねてしまい、デュフッって笑が込み上げていたのでした。こんな豪華キャストの大舞台に出ているキヨイを客席から見ているヒラが、どれだけ誇らしく、どれだけ幸せだったのか、リアルに体験できて嬉しかったです。


6月15日(水)

 朝のニュースショーでも「気象病」をよく取り上げるようになったが、私の職場にも気圧の変化が苦手な人が何人かいるので、その人たちが調子悪そうだと「ああ、気圧が変化してるんだな」って「人間気圧計」のように思ってます。

 その一人である同僚M嬢は、気圧の変化に弱いのに加え、更年期障害と婦人科系疾病のトリプル・パンチで最近はとても調子悪いことが多いのだが、この間も調子が悪かったのでネットで自分の症状を検索していたらしい。

 そしたら「コロナのワクチンのせいで体調不良になった」というサイトを見つけてしまい、読めば読むほど自分の体調不良と似ているので、引き込まれそうになったらしい。
 元々、彼女はコロナのワクチンには不安を抱いているけれど、「でも、コロナになった方が後遺症とかが怖い」と判断して、でも毎回、そこそこの副反応があるので辛いけど、それでも「コロナになった方が怖い」とリスクヘッジしているのである。

 だが、根底に「コロナのワクチンが本当はどうだったかって、10年後にならないとわからないだろう」って、将来的に重大な副作用がある可能性も飲み込んでいるのである。
 この「ワクチンによる重大な副反応の可能性」については、かなり多くの人が不安に思ってるらしい。会社で、最近、帯状疱疹になった人がいたのだが「ワクチンのせいかも」と言う人がけっこういたので。
 あと、40代社員の父親が、心筋梗塞だかで急逝した時も「ワクチン接種のせいじゃね?」って言う人がいたし。

 話を戻すが、M嬢は、そのアンチ・コロナワクチンのサイトに引き込まれそうになったが「これは、いわゆるアンチだ」と判断して「ヤバい、ヤバい」と正気を取り戻したようだが、「自分がもっと弱っていたら、あそこに行きそうで怖い」と言っていた。

 私はどう対応していいのかわからなかったが、「まあ、あの界隈って、たぶん、ちょっと前までは電磁波アレルギーとか言ってたんだろうね」とテキトーに言ったら、M嬢が「電磁波?もしかして、私もそれなのかな?」と、まさかのマジ受け?

 よくわからないんだけど、こういう人たちって「原因」をはっきりさせたいんですよね。

 そして、自分の体調不良の原因がわかれば、それを治療することができるって思っているようだ。

 「バランスのいい食事、適度な運動」って正論を提示すると「ああ・・・」って思うみたいだけど、そういうのじゃなくて、もっと、どこかに「根本的な悪」があるのを探してるみたいな。
 だから私は冗談で「電磁波アレルギー」って言ったのに、真面目に食いつてくるから驚いた。

 そういや、この冗談が通じない感じ、少し前に実家でも思ったなあ。

 親がガラケーからスマホになって、簡単に動画検索できるようになっていて、でも老親はユーチューブ見てるって意識がなくて、ただ音声で「折り紙の折り方」って言うと動画が出てくるので便利に使っているようだった。

 なので、今のところ心配はないが、「偏った政治的思想の動画もいっぱいあって、高齢者が簡単に洗脳されてるらしいので、動画でそういうの出てきたら警戒してね」と言ったけど、そういう動画がどういうものがわかってない親に説明するのが難しくてて、つーか私もあまり詳しくないので、テキトーな例を捏造した。

 私「例えば、知床の遊覧船の事故で、あの遊覧船の会社の社長や船長は韓国人だと・・・」
 母「え?そうなの?」
 私「そうなの?じゃなくて・・・・いや、なんでもかんでも韓国人のせいにする人がいるんだよ。だから、なんかの事件があって、その犯人を韓国人だとか中国人だとか特定するような話は要注意」

 こういうデマの話って、時々そのデマ部分だけが記憶に残ったりするから難しい。

 前にも、うちの母にではないが「あの事件の真犯人は、あの家の息子だってデマが流れていたが、その家には息子はいなんだって」という笑い話をしたつもりが、しばらくして、「あの事件の真犯人は、あの家の息子って噂があるんだって」と言われて、「いや、その話したの私なんだけど、それは明らかにデマだっていう話だったんだけど」となったことがある。

 そんな大事な話でもなかったので、インパクトのある部分だけ記憶に残ってしまうのだろう。


6月14日(火)

●朝ドラ「ちむどんどん」

 先週、ヒロインの妹役である上白石萌歌の会社の同僚として、すっごい気持ち悪い感じの細田善彦が登場したので「なんなんだ?こいつと結婚するのか?」と思っていたら、あっさり他の子と結婚を発表したので「ほんとに、いったいなんだったんだ?」

 この朝ドラ、こういうのが多くて、絶対わざとやっているのだが、ここまで徹底的にやられると「フツーはなかなかここまでできないよなあ」と逆に感心してしまうようになってきた。

 ドラマの登場人物に「存在する意味」を求めてしまう、こっちがダメなんじゃないか?ってことをうっかり考えてしまうのだ。

 なので「この登場人物は、あなたを納得させるために存在しているのではないのですよ」という強い意志を感じてしまう。

 なので、とても古い言葉だが「脱構築」という言葉を思い出してしまった。

 褒めてないけど、凄いとは思ってます。


6月12日(日)

●大河ドラマ「鎌倉殿の13人」23話

 やっと、俺たちの泰時が登場だ!

 (10年後の自分に解説。坂口健太郎は少し前の朝ドラで「#俺たちの菅波」と盛り上がっていたので、この大河ドラマでも活躍が期待されている)

 しかし予告編でも「これ、前髪あるし、元服前の少年設定なんだな」と思っていたけど、30歳の坂口健太郎が演じる「元服前」に期待していたら、「成長著しい金剛」っていうテロップがついてた。
 え?大河ドラマで、そんなバラエティみたいなテロップありなの?

 視聴者が「成長しすぎだろ!」って突っ込むところを先に公式っていうか本編が「成長が著しいのです」って言い訳かましてきたので、倍笑ったよ。
 こういう、少年期も大人の俳優が力技で演じるのが大河ドラマの醍醐味でもある。

 元服前の源頼家(金子大地)と同時に登場させることで、「この二人の対比を少年時代からしっかり描く」ということなんでしょう。
 金子大地は、あまりテレビドラマ出てなかったので「どういう戦略なんだろう?」というか、たぶんアミューズにも派閥があって、本流じゃないところにいるのかなあ?って思っていた。

 そしたら、このトライストーンの小栗旬が主演で、主役の息子というか「おんな城主直虎」だったら井伊直政だった菅田将暉的なポジションの北条泰時もトライストーンの坂口健太郎で、坂口健太郎といえば、朝ドラで当てて、その後の火10はちょっとイマイチだったけど、その後の映画「余命10年」は興収が良かったので、今一番勢いがあるアラサー俳優の一人なのは間違いないと思うんだけど、そこに投入されるアミューズの金子大地!

 いや、頼朝役の大泉洋がアミューズなんだけどさ(笑)

 金子大地は7月期のドラマでも、トライストーン間宮祥太朗のライバル的な役をやるみたいなので、いったい何を背負わされているのでしょうか?

 つーか、間宮祥太朗もいつのまにか、すっかりプライムタイムの人になっていて、「働きすぎじゃろ」と思いますが、役者の世界も、プロ野球の「酷使される中継ぎ投手」みたいなことあるよな。

 さて「鎌倉殿」に話を戻すと、ここんとこ毎週主要登場人物が死ぬので、もはや「今週は誰が死ぬのかなあ?」って感じになってますが、いよいよ頼朝のカウントダウンが始まったみたいですね。
 私は歴史オンチなので、頼朝がいつどこで亡くなったのか全然知らないんですが、「鎌倉幕府は源氏が立ち上げたのに、なんか執政の北条になってた」ってことを知ってる程度なんですが、身内で相当血みどろだったらしいとのお噂はかねがねですので、どうぞお手柔らかにお願いいたします。

 頼朝が死んでからが見せ場だとはわかっていますし、それは「真田丸」で秀吉が死んでからを体験しているので、最初は小役人みたいだった主人公が、数々の試練に揉まれ、「あれ?もしかして俺が最高権力者?」って話だと思うので、後半戦が楽しみです。

 つい先日、追加キャストが発表されて坂口健太郎の妻役が福地桃子だったので「俺たちの夕見子じゃん!」と個人的に盛り上がった。
 朝ドラ「なつぞら」の主人公の義姉?であった夕見子は、「あたしは好きにする、だから、みんなも好きにしろ」という痛快なキャラで大変人気があったのがだ、その後、あんまり出ていなかったので心配していたのだが、来ましたね。

 私は「女子高生の無駄遣い」での、重度中二病ヤマイ役の福地桃子とイケてない教師ワセダ役の町田啓太の絡みが大好きで、「ヤマイとワセダだけで永遠と見てられるわ」と思っていたので、「俺たちの夕見子」と「俺たちの菅波」のセッションを楽しみにして、この夏を生きていこうと思います。
6月11日(土)

●「インビジブル」9話

 4月期ドラマもそろそろ最終回を迎えようとしている。
 この間、「モンテ・クリスト伯」と「コンフィデンスマンJP」が同じクールだということに気がついて、過去の日記読んでみたら「おっさんずラブも同じクールだった!」ってことがわかり、その頃の日記を読みふけってしまったので、この日記が「未来の自分のため」に書いていることを改めて思い出した。

 なので「最近、ドラマや映画の感想しか書いてないなあ」と思っていたけど、それ、重要だからな!

 というわけで、タカハシと柴咲コウが共演しすると聞いて大興奮したこのドラマですが、「なんか好みじゃない方向に話がカッ飛んでいる」と置いていかれそうになったけど、タカハシの芝居は面白いので我慢して見てましたが、後半になって「悪い永山絢斗」が出てきて、それもなかなか楽しかったので良かったのですが、最終回直前になって「やっぱり桐山健太も悪かったんかい!」とズコっ。

 いや、「悪い桐山健太」も最高なので、いいのですが、もう、こうなったら、「本当のラスボスは高橋一生でした」って「悪いタカハシ」も出してもらえませんかね?

●「未来への10カウント」

 こちらはもう最終回を迎えましたが、終盤になって急に雰囲気変わったりして、制作現場にいろいろ混乱があったんだろうなあ。
 キンプリ高橋海人の扱いとか、途中から投入された村上虹郎の扱いとか、いろいろ不思議だったし、職員室に馬場徹と富田靖子がいるのに、特に何もしなかったりと、ほんと、いろいろ不思議だった。

 なので統一感のないドラマだったんだけど、最近のキムタク主演ドラマでは一番楽しかった。

 たぶん、満島ひかりのおかげなんだろう。
 この枠は、なんといっても「ドクターX」の枠なので、あと「緊急取調室」の枠でもあるので、そのノリで学園ものやってみたということに価値があるのかもしれない。

 7月からは、この枠で「六本木クラス」だそうで、元ネタの韓国ドラマ見てないからよくわからないけど、キャストは豪華なので、どうなんでしょうねえ?


6月10日(金)

●映画「わたし達はおとな」

 今日も休みだったので、初日に見てしまった。
 加藤拓也長編映画デビュー作である。

 加藤拓也が作・演出だった舞台は、去年の10月にKAATで「ぽに」を見て、すごく面白かったのだが、あれが非常に映画的な舞台だったので、「わたし達はおとな」は、あれを映画でやった感じであった。
 舞台「ぽに」はファンタジー要素があったけど、「わたし達はおとな」は完全リアルな若い男女の会話劇である。

 クズい彼氏役は、どちらも藤原季節。藤原季節は最近、犯罪者かクズ男しかやってないのでは?ああ、去年の深夜ドラマ「それでも愛を誓いますか?」は、いい奴だった。

 話は、同棲している(というか男が転がり込んできている)若いカップル(ヒロインは大学生)が彼女の妊娠が発覚して、「どうするの?」ってだけなんだが、このカップルの「妊娠発覚した時空」から、「出会い」や「一度別れた」という過去がシャッフルされて断片的に出てくるので、大した話では無いのだが、だんだん全容がわかってくるサスペンス的な構造になっているので、ものすごく集中して見ることになり、この「どこにでもありそうな辛い恋の話」にのめり込んでしまうのだ。

 そして、何度か見ると時系列がわかるのかもしれないが、意図的にそれをわかりやすく提示していないので、「これは今?」「これは過去?」と混乱するのだが、そもそも時系列で謎解きする話でもなく、見る人が「今」だと思っている時空よりもっと先みたいな断片もあったので、ええと、こういうの何て言うんだっけ・・・・コラージュだ、どこにでもいそうなカップルとその友人達の一場面をコラージュして「わたし達はおとな」という題名の大きな絵を作ったみたいな。

 それにしても、藤原季節演じる「将来劇団を作りたい」っていう演劇青年と彼女役の木竜麻生の会話のヒリヒリ具合が見事で、舞台であれをやられた時には「ダイレクトすぎる」と思ったけど、映画だとカメラというワンクッションがあるから、「作り物」として楽しく見ることができた。
 彼女の話を聞いてあげているようで、「彼女の話をちゃんと聞いてあげている俺」感が絶妙で、ちゃんと理屈で話しているようで、ぜんぜんそうじゃない小物感といい、素晴らしい脚本と素晴らしい演技のマリアージュでした。

 彼女の造形も、ちょっと人に流されるところがあるけど、変なところで頑固だし、感情的になりがちなのは「つわり」のせいなのかもしれなくて、一言で「こういう子」と表現できないようなリアリティがあった。

 そういや「今日はつわりが大丈夫だから、どっかに出かけたい」と彼女が言い出して、彼が連れていったのが先輩が主宰する舞台で、舞台の途中で彼女が気分が悪くなって中座してしまうのだが、それを彼氏が「大丈夫じゃないならそう言えよ」と責めるので、彼女のほうは「途中で急に気分が悪くなったんだからしょーがないじゃない」と反論し、彼氏が「大丈夫じゃなくなりそうなら、それをちゃんと予想しろよ」と無理を言うので、「あー、ダメだこりゃ」と思ったのだが、演劇人である加藤拓也がこんな場面を描くのは皮肉というか自虐すぎる、と思った。

 もしかすると、知人の実話なのかもしれない。
 「どっかに出かけたい」という妊娠中の彼女を小劇場に連れていく場面で、心の中で「ねーよ」と思った。
 小劇場は客席も密集しているし、中座もしにくいので、妊娠初期の女性を連れていく場所ではない。
 いつでも、休憩できるような場所を選ぶべきなのに、そんなこと全然考えてないし、「どういう場所なら大丈夫そうか」って彼女と相談もしてないんだよね。ダメだそりゃ。

 と、ダメなところが満載の映画なので、口コミで広がると「愛はなんだ」みたいにヒットするかもしれない。
 20代女子同士で見に行くと後の飲み会が盛り上がること必須です。

 個人的には、全然モテない桜田通が気の毒で面白かった。あれ、そんなにダメですかね?

 ・・・あ、そっか、桜田通に関しては一つミスリードがあって、あれが途中で覆ったから、桜田通が単なる気色悪い奴になるって仕掛けだったんだ。
 そのミスリードのための桜田通だったんですね。

 この映画は大学生が主要人物なのに、藤原季節も桜田通も、もう30歳なんだけど、あえて「大人」の役者に「おとな」を演じさせたんだろうなあ。
 これを20代前半がやったら、また違う印象だったと思う。


6月8日(水)

 なんか、みんなちゃんとマスクしているだけで、コロナのことどうでもよくなってきてないか?
 朝のニュースショーでも全然取り上げなくなったし、会社でも全然話題に上らなくなった。

 それでも、屋外でみんなマスクしてるから「さすがわ日本」と思う。
 私は、住宅街の道ではマスク外して歩いているが、オフィス街でコンビニ行くときはやっぱり着けている。だって、その距離だと外すほうが面倒だから。
 この間も帰りの電車で、私が乗った車両には他に二人しかいなくて、距離も十分にあったので私はマスク外していたんだけど、他の二人はしっかりマスクしていた。

 どのくらい感染者数が下がれば、この状況が変わるのか、ひっそり観察しましょう。
 「普通」が変化する過程を観察するのが趣味なので。

●映画「シン・ウルトラマン」3回目

 今週は土日出勤の変則勤務なので今日が休みになったが、水曜割引デーだったので、また見てしまった。
 IMAX上映が今週で終わるので、またIMAXにしてみました。
 それほどIMAX向きの映画だとは思わないが、あの音響で響き渡るタカハシの声がまた聴きたくて。

 もう2回見てるし、あちこちのネタバレ感想も読んだし、「オタクにしかわからないポイント」もだいたい抑えたし、そもそも「あの音響で響き渡るタカハシの声がまた聴きたくて」という動機だったので、すごく緩い気持ちで見ていたし、字幕にもセリフにも集中せず「斎藤工はやっぱりいいなあ」って、漠然と絵と音響を楽しんでいたので・・・・そうそう、テレビ版を見たので、ウルトラマンが出現している時に出ているノイズが「あれは元ネタに忠実な表現だったんだ」とわかったのも良かった。

 あと、画質が時々変わるのが気になっていたのだが、「スマホでも撮影している」とわかったし、「だから、そういうもんだ」とわかって見ていると、画質の違いや過剰なカット割りも気にならなくて、3回目鑑賞が一番「素直に楽しめた」のでありました。

 何度見ても、斎藤工がクンクンするところで笑う。

 俳優オタとしては、西島秀俊にも見せ場が欲しかったかなあ。

 興収30億は突破したみたいだけど、この先、あまり伸びる要素は少ないが、ちらほらと子供連れの客がいたので「子供には難しい内容だけど、雰囲気だけでも味あわせてあげたい」いうニーズはありそうなので、「お子様お喋り可能上映」とか開催してみたら面白そう。

 つーか、子供がどういう反応するのか、私もその上映回に同席したい。


6月7日(火)

●朝ドラ「ちむどんどん」

 炎上商法か?ってくらいツッコミどころが多すぎるので呆れていたのだが、東京編になって、主人公がちゃんと修行しているようなので、少しだけ面白くなってきた。
 でも、やっぱ、きょうだい4人の群像劇スタイルなので、主人公パートが薄いんだよなあ。

 あと、レストランの同僚である井之脇海は、なんのためにいるの?
 井之脇海だったら、十分「主人公の相手役」になれると思うのだが、このドラマでは主人公の幼馴染が宮沢氷魚と前田公輝の2名が配置されており、フツーに予想すると宮沢氷魚なんだけど、その恋人役として飯豊まりえが配置されているので、先の予想が全くできない・・・・というか、正直どうでもいい感じになっている。

 もしかすると、「ヒロインの恋人には誰が?」って盛り上がると思って、こんなに配置してるのかね?

 と、思っていたらヒロインの妹の上白石萌歌の前に、細田善彦が登場して「え?またこのクラスが出てくるの?」と驚いた。
 ヒロインの姉の川口春奈の時も、渡辺大知と山田裕貴が出ていて、「濃いなあ」と思ったけど、女子が2人いるから、その周囲の男子が多くなるのはしょうがないけど、そのせいで女友達が出てこないんだよね。

 朝ドラで群像劇やるの難しいんだなあ、と思いながら見てますが、そもそも、「ちむどんどん」はたぶん意図的に、登場人物の誰にも感情移入できないような作りにしている・・・というか、どっちかというと、視聴者の反感買うようなことばかりやるので、「いったい、何の実験しているんだろう?」と思います。

 こういう、イマイチ心にヒットしない朝ドラを見ていると逆に「あれだけハマった作品は何が良かったのだろう?」って考えてしまう。
 好みもそれぞれなので、私がハマった「おかえりモネ」は主人公が暗すぎるという批判があったし、「半分、青い。」も着いていけない人が多かった。なによりも、今の朝ドラと同じく料理がテーマだった「ごちそうさん」なんて、「主人公がバカすぎて無理」と炎上しまくっていたのだった。

 そういや、この「ちむどんどん」は地方から東京に料理修行に来るという設定が、「まれ」を思い出させるのだが、「まれ」も一部では評判悪かったからなあ。私はけっこう面白く見ていたんだけどね。

 私が「合わないなあ」と思ったのは「花子とアン」と「わろてんか」だったなあ。
 「花子とアン」は翻訳者の話だったのに、肝心の翻訳のことをあまり描いてくれないのが不満だったし「わろてんか」は、主人公の活躍があまり描かれないのが不満だった。

6月6日(月)

●映画「太陽とボレロ」

 水谷豊監督作なんだが、もう3本目だそうで、そんなの全然知らなかったってことは、この映画も町田啓太が出ていなければ上映されてることすら知らなかったのだろう。
 実際、行きつけのシネコンではやってなかったし。

 解散することになった市民オケの話だし、予告編観る限りでは、コメディっぽいので「クラシックが流れる映画ならそこそこ楽しめるだろう」と予想していたのだが、観る前に上映時間確認したら133分もあって「え?なんで?」と思っていたら、冒頭の西本智実の演奏会のシーンがすごく長くて、「ああ、そういう映画なんだ」と納得した。
 西本智実の指揮をライブビューイングしている気分になって私は楽しめました。

 その演奏会の会場が中も見事なオペラハウスみたいなんだが、外観が「こんな立派な西洋宮殿なんて、どこにあるんだ?海外ロケ?」って一瞬思ったんだけど、「たぶん、迎賓館だ」と気がついて、エンドロール見たらやっぱり迎賓館でした。中はどこなんだろう?

 舞台は地方都市なのに、あんな立派なコンサートホールある設定って、と思いましたが、主要ロケ地は松本だけど軽井沢なども組み合わせて、架空の地方都市を作り上げていました。

 しかし、よくわからなかったのは、檀れいがオーナー?である地方楽団だけど、アマチュア楽団なわけで、資金難なので解散します、って、どういうことなんだろう?
 そりゃ、演奏会の会場費や練習場所にお金はかかるんだろうけど、それは市民ホールや公民館で安く賄えるのでは?うちの父は合唱団に所属しているけど、けっこう頻繁に市民ホールで演奏家やってるけど?
 この映画では「客席も埋まらない(チケット収入が減っている)」という話だったが、うちの父の演奏会は客からチケット代なんでもらってないし、要するに子供のピアノの発表会みたいなもんである。

 なので、前提である「資金難なので解散します」っていうのがよくわからないのがキツかった。

 本筋がそれだったので、物語全体も上手く噛み合ってない感じだったが、こういう人情モノの割には、驚かすカットが多くて、例えば檀れいが慌てて信号を渡ろうとしたら、まだ信号が赤だったので、車に轢かれそうになるとか、指揮者の水谷豊が、演奏中に吐血するとか。

 かと思っていたら、団員が川辺で優雅にバーベキューしていたり、一つ一つのシーンはけっこう工夫されているのだが、物語の核がどこにあるのかわからないまま、まとまらない群像劇になっていた。

 というわけで、途中で「久々にキツいな」と思っていたのだが、町田啓太は最高でした。

 これ、ほんとは2020年に撮影する予定が、コロナで2021年に伸びてしまったので、この町田啓太はたぶん「チェリまほ」の後なんですよね。
 なので、キャスティングされた時は、イケメンだけどちょっとダサくて天然のイマドキの若者だったのかもしれないけど、撮影された時は「今一番注目されてるイケメン俳優」になっていたので、役の設定とビジュアルにかなりのギャップがあるのだが、そのギャップも面白いんだけど、町田啓太の役って、この映画の中ではそれほど重要な役ではなかったはずなのに、編集で切れなくなってしまい、結果、町田啓太ファンは大満足してしまう映画になってしまったのって、ダメだったのでは?

 この映画の試写見た記者が「次の相棒は町田啓太なのでは?」って思う気持ちが、よーくわかりました。

 そういう、部分的にはすっごく面白かったんですよ。
 まず、檀れいの母親役が壇ふみって??????

 原田龍二と河相我聞が「異母兄弟」っていうオチも面白かったし、河相我聞演じる「嫌なヤツ」がほんとに嫌なヤツだったのも良かった。

 あと、水谷豊を担当した医師が小市慢太郎と渋谷謙人だったので「二人とも医師役のイメージないぞ?」と驚いた。どっちかというと医療ドラマでトラブル起こす患者役だろう。
 なのでどうしてもニセ医者にしか見えず、それが逆に面白かったんだけど。

 というわけで、この映画の見所はどうやら、ラストコンサートで吹き替えなしで演奏していたシーンみたいだけど、確かに俳優さんたちの真剣な顔は演技を超えていたのかもしれないが、「別に吹き替えでもよかったのでは?」とも思った。

 だが、映画館の大音響でクラシックコンサートを見ることができたので、「コンサートのシーンをもっと短くすれば2時間以内に納まったのに」と思ったけど、そこが一番やりたかったことみたいだったので、しょうがないか。

 と、全体的にはよくわからない映画だったが、「町田啓太がタキシード着てトランペット吹いてる」だけで、私は大満足でした。
 だからといって、もう1回見たいとは思わないんだけどさ(笑)


6月5日(日)

 なんか6月に入ってから急に「バカっぽい若者」が増えてないか?

 きっと、今までは私の目のつくところでは大人しくしていた人たちが、コロナ制限解除になって、だんだん解放されてきているんだと思う。周囲の感染者も減っただろうし。あと、季節が夏になってきたのもあるのだろう。

 まあ、今までが異常だったんだから、コロナ前に戻ってきているのはいいことなんだけど、こっちがまだ慣れないから目につくだけかも。

●ドラマ「モンテ・クリスト伯」2018年 フジテレビ

 あっという間に全部見終わった。
 5話から先はギアがどんどん上がるので、「やめられない 止まらない」状態でした。

 いやー、やっぱディーン様の最高傑作よね。
 闇を抱えさせるとピカイチなのが、この作品で証明されて、それ以降もそういう役が多いけど、やっぱこれは別格だわ。

 話ももちろん面白いのだが、通しで見ると「コンフィデンスマンと同じ話だ」って思ったのだが、恐ろしいことに、「コンフィデンスマンJP」が月9でやっていた同じクールで「モンテ・クリスト伯」は木10だったのだ。

 それに気がついて、当時の日記を読んでみたら「おっさんずラブ」も同じクールだった!あと「シグナル」もやっていたし、当たりクールだったんですね。あと、朝ドラ「半分、青い」にも夢中になってたし。

 そんで、前年に高橋一生沼に落ちて、更年期障害だかなんだかよくわからなくて超ハイテンションだったので、そんな時に見ていた「モンテ・クリスト伯」の記憶が確かなのかよくわからなかったが、やっと見直すことができて、堂々と「ディーン様の代表作」と言うことができた。

 「コンフィデンスマンみたい」と思ったのは、モンクリもディーン様が子猫ちゃん集めて、ターゲットである「お魚」を料理する話で、「えー?この人も子猫ちゃんだったんだ?」ってひっくり返っていくのが娯楽作として楽しいのである。

 そして復讐計画が時々狂うところも。

 やはり稲森いずみパートが素晴らしい。
 リアタイの時にも、すげえな、って思ったのが、稲森いずみの役って「なんで今、そのポジションなの?」がよくわからない役で、元銀座のホステスだったらしいが、高級官僚や政治家の愛人として消耗されて、野心家な実業家である新井浩文に払い下げられてて、「愛の無い家庭」での生活に疲れた女性なんだが、たぶん、この役の醸し出す感じが一番原作に近いんじゃないなのかなあ?

 「男の庇護の元でしか生きられない女性」という、昭和的価値観を稲森いずみは見事に演じていたし、その彼女が「死産だと思っていた息子が生きていた」ということを知って、ムクムクと元気になっていくのを見守るディーン様が「え?そういう反応なの?」って戸惑うシーン、ほんと好き。

 だから、稲森いずみと、岸井ゆきのは、ディーン様の最初の計画ではひどい目に遭うはずだったんだけど、後半は二人を救済する方向に走るので、そのあたりが本当に面白い。

 で、結果として、本当に復讐というか、「もう二度と今のポジションに上がれない」ってくらい全員を引きずり落としたんだけど、それは「自分を陥れたのとは別の理由で」ってところも面白い。

 つーか、物語的には、主人公があんなひどい目にあったきっかけって、けっこう些細な「嫉妬」なだけで、明確な悪意は無いんですよ。
 イジメの構造と同じで、イジめてる方は、イジめてる意識がなかったみたいな。

 全編見て思ったのは、2話くらいで主人公がほんと出口の無い壮絶な拷問を延々と受けているんだけど、視聴者はそれを知っているけど、彼を陥れた友人たちは、それを知らないんですよね。

 だから、主人公にそれほど悪いことをしたと思ってない、というラストが怖い。

 まあ、ツッコミどころもいっぱいあって、桜井ユキの役は少女の時にマフィアに誘拐されて、半年前まで娼館にいたのに、いきなり日本で大物芸能人カップルのマネージャーになってバイク乗り回してるのって、なんで?とか、あの捨て子を拾ったのがなんで土屋だとわかったのか?とか、いろいろあるんだけど、細かいところはどーでもよくなるくらい全体的な世界観が素晴らしいのである。

 そして再見して思ったのだが、母性愛を妄信的に賛美している話なのは、主人公と母との関係が土台になっているんだけど、主人公の父の話は一切出てこないんだよね。もちろん、牢獄での「育ての父」になった田中泯がいるんだけど。
 そのあたりのバックグラウンドはけっこう意図的にボカされていて、一番曖昧なのは事件の発端となった「テロ組織」も、今は新政権にそう認定されているが、後の世では「解放軍」みたいな扱いになるのかもしれない。

 田中泯や伊武雅刀は、旧政権を支援していて、クーデターを起こした新政権からは犯罪者扱いされてるだけなんですよね。

 これ、原作だと流刑にされていたナポレオンの話なので、うまく原作を現代に落とし込んだなあと。
 原作読んだことあるはずだけど、たぶん、10代の頃なので全然覚えてないんだけど、ウィキペディアで原作の登場人物の説明読むと、すごく上手く現代に落とし込んでいると思う。

6月4日(土)

●庵野秀明セレクション「ウルトラマン」4K特別上映

 昔のテレビ番組を映画館で見るという不思議な体験だった。

 当たり前だけど、画面が昔のテレビサイズなので、スクリーンの両端が大きく開いている光景が新鮮。

 ウルトラマンなんてこんなに真面目に見るの何十年ぶりだけど、「やっぱ、チャチいな」って思う部分もあったけど、美術とか全部作ってると思うと、相当な手間がかかってるよなあ。

 あと、出てきた小学生のランドセルが今よりも薄型で、しかも濃茶だったので、へーって思った。
 その6年後くらいの私の時代だと、黒と赤が当たり前で、今と同じくらいの厚みがあったから、あの型はいつ定着したんだろう?

 そして、例の有名な「ハヤタ隊員が間違ってスプーンで変身しようとする」って回も上映されたんだけど、その第34話「空の贈り物」がけっこうコメディ調で客席から笑いが起きていた。
 そして、科特隊が「ジャイロ作戦」とかいろいろな作戦を試みるんだけど、そのたびに白テロップで作戦名が表示されるので「これ、シン・ゴジラの元ネタなんだろうなあ」って思った。

 幼稚園児くらいのお客さんがいて、上映中もけっこうきゃっきゃしていたけど、終映後に「スカイドンがっ」って興奮気味に語っていて、微笑ましかったです。

 CM抜いただけで、オープニングも全部流すので、4回もオープニング見ることになったが、あの怪獣の切り絵みたいなバックって、ほんとオシャレで、何度見ても見飽きないなあ、と思った。

 映画館で見ても、音は昔のままなので「ぜひ、映画館で」っていう作品ではないが、家だとあんなに集中して見ないと思うので、なかなか面白かったです。

 そういや、「シン・ウルトラマン」ではビームの音が「ああ、昔の音だ」って感激したけど、今回の4本はあまりビーム出してなくて、怪獣との戦いは、ほぼプロレスだった。科特隊の方がビムビムビームしていたくらい。

 あと、カラータイマーがけっこう早くピコピコ言うので「忙しいなあ」と思ってしまった。
 あそこのハラハラ感がヤマなので、30分枠のテレビでは重要な設定だが、やはり映画には馴染まないと思ったので「シン・ウルトラマン」であれを外したのは正解だったと思う。

 ウルトラマンといえば毒蝮三太夫だと思っていたが、最初の出演者テロップに名前がなかったので「あれ?別のウルトラマンだったっけ?」と思ったけど、当時は石井伊吉名義だったのね。知りませんでした。


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