可燃物な日々

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3月31日(木)

 そういえば、「ドライブ・マイ・カー」は予想通り外国語映画賞だけだったけど、岡田将生が現地入りしてレッドカーペット歩いていたので、とても感激した。

 それで火曜日が今年度最後の有休消化で休みだったので、また映画館で見たのだが、平日の昼間だというのに、8割くらいの客の入りで、隣に人が座っていたのでちょっと落ち着かなかった。

 しかも、本編始まってからも6人くらい入って来るし、さらにメールだかラインだかの着信音が時々聞こえるので「あー、映画館慣れしてない人が・・・」と思っていたら、前の席の客が終盤になって電話の着信音鳴り響かせたので驚いた。

 アカデミー賞で話題になると、こういうお客さんが押し寄せるんだなあ・・・・・

 でも、途中でトイレに立つ人は少なかったので、「3時間」っていうことはみんな知ってて来ていたのだろう。
 そして、こんな長尺の文芸作品を見に来てくれたことに「ありがたい」と思った。

 もう二度と見に来てくれないかもしれないが、せっかくだから興収10億円は突破してほしいので、「見に来てくれてありがとう」と心から思う。

 会社で上司に「あれ見た?どうだった?やっぱ、長いの?」って聞かれたので「長いです」としか言いようが無かったし「たぶん、フツーにエンタメ楽しみたい人には、キツいでしょうね」と答えた。

 「ちゃんとした映画ファン」じゃないと良さがわからないと言いたいわけではなく、私は岡田将生ファンだし、西島秀俊のコートの裾が風でヒラヒラ舞うのを見るだけで至極満足だったけど、そういう趣味の無い人があの映画を見るとどう感じるかが全くわからないだけだ。

 そういえば、「ドライブ・マイ・カー」は旧型の赤いサーブが主要登場人物だったけど、「コントが始まる」は旧型の赤いシトロエンが「四人目のマクベス」だった。
 「ドライブ・マイ・カー」は、その車で広島から北海道まで唐突に行ったけど、「コントが始まる」は東京から博多まで唐突に行っていた。

 2021年は、あの赤い車の年であったと、10年後くらいに懐かしく思い出そう。

 
3月30日(水)

●苦手な仕草

 過剰なマナーがそもそも苦手だ。
 会社のエントランスのドアをずっと開けて待ってられるとか。
 けっこう距離があるのにそれをされると、こっちが小走りになってしまうではないか。
 さらに、お先にどうぞをされると「お前は高級ホテルのドアマンか?」と絶叫したくなるし、それが女性だと何に突っ込んでいいのかわからずモヤモヤする。

 私は性格が悪いので、そういうことされると「あら、ご親切にどうも」じゃなくて「え?私ってそんなに偉そうにしてるの?」って思ってしまう。
 つーか、ドア押さえてないで、先にエレベーターを呼べ。
 ドアは自分で開けるから、私が入ったタイミングでエレベーターが到着するようにしたほうが「親切」だと思うんじゃが?

 このように、無駄にホテルのスタッフみたいな対応されるの、ほんと好きじゃないんだけど、ああいうことされて本当に喜んでる人いるの?
 やってる方の「オレってジェントルマンだぜ」っていう自己満足なんじゃないの?

 で、そういうのはまだマシで、もっと意味不明なことする人がいる。

 エレベーターで一緒に1Fに降りて、エレベーターが開く前から「開」ボタン押す人。

 「手動じゃねーし、なんでお前がエレベーターのドア開くつもりなんだ?」って思う。

 でも、やってる本人は「とても気が回る自分」のつもりなんだよね。

 いや、無駄な動作でボタン押すと、ボタンが劣化するとマジで思うんだが・・・・

 つーか、「大切なあなた様のために、お早めに開ボタン押しますね」っていう雰囲気なの、ほんと嫌なので、全身全霊で「バッカじゃないの?」ってオーラ出すんだけど、残念ながらそのオーラは伝わらなくて、「こんな、ささいなことでイライラしている自分」だけが取り残される。

 こんなことでイライラしている自分悪いのではと思うんだけど、凪良ゆうの「美しい彼」や「流浪の月」に惹かれるのは、そういう、ありがちな「優しさ」をばっさり否定しているところなんだよなあ。

 キヨイの優しくないところ、というか「自分勝手で主観でしか動かない」っていうところに、ヒラが惹かれる気持ちは、ほんとよくわかる。

 私は親切な人よりも、不親切な人の方が好きだ。
 人は「自分がされたら嬉しいこと」をやりがちなので、過剰に親切な人からは「自分もこうされたい」って欲を感じてしまうから。
 つーか、正直「下手に出ておけば、こいつらチョロいから」まではいかないとしても「下手に出ておけば、間違いない」みたいな、大雑把な扱い受けてる感じするんだけどなあ。

 
3月29日(火)

 「コントが始まる」の最終話まで見て、「あー、やっぱ超面白かった」と大満足した。

 それにしても、放送時も「すごい朝ドラ布陣だな」と思っていたけど(朝ドラヒロイン2名を筆頭に)、神木隆之介が朝ドラ主人公やるって決まった今だと、さらにすごい布陣ですよね。
 モノローグが多いんだけど、これだけの布陣が繰り広げるモノローグ合戦も聞き応え十分で、脚本も好きだけど、これだけの演技合戦はなかなか無いよなあ、やっぱ円盤買ったほうがよかったかなあ、とか思った。

 そして、有村架純と菅田将暉が共演して、付き合わないラストって?と初見の時は思ったけど、最終回で有村架純が「私はこれからもずっとマクベスのファンです」って語るので、「あー、ファンには手を出していけないという掟が・・・」と思った。

 ファンと推しの最高に美しい形が描かれているのだが、「いや、でも有村架純だし」と思うんだけど、その有村架純がファンとして最上の形を提示してくれたので、「なんもいえねー」って感じでした。

 でも、初見の時にも「芳根京子の怖いお父さんがでんでんだった」で「マジこえええ」って思ったんだけど、1年後にまた見たらやっぱし「マジこえええ」って思ったり、「太賀の姉が木村文乃って遺伝子操作しすぎじゃね?」と思ったり、つーか、木村文乃がレギュラーではないあのポジションっていうのも驚きだった。

 数年後、小野莉奈がもっと出世したタイミングでまた見たら面白いだろうなあ。(スナックのアルバイトで中浜姉妹のアパートに一時期居候する役)


3月24日(木)

●映画「ウェディング・ハイ」

 予告編を見る限りでは「合わなそう」と思っていたけど、大九明子監督で、中村倫也が新郎役なので、暇だったから見てみた。(テレビドラマの空白期間なので)

 わかっていたけど、ほんと豪華キャストだった。
 私はバカリズム脚本と相性が悪いのだが、これだけのキャストで、散りばめられた伏線を見事に回収してくれたので、暇つぶしとしては十分に楽しめました。

 が、最後の下ネタというかウンコがちょっとキツかったなあ。小学生か・・・・

 あと、一応主演が篠原涼子なんだけど、それぞれの登場人物の事情がかなり深く掘り下げられているので、群像劇っていうかオムニバスものっぽい雰囲気になっていて、メインストーリーが薄かった。

 まあ、表の主役が篠原涼子で裏の主役がガンちゃんと解釈するればいいのだが。

 しかしガンちゃんもよくあの役受けたなあ。
 最初、温泉宿にいるので入浴シーンも含めて脱ぎまくりであった。
 そして、「元カノの結婚式に乗り込むぞー」って服着た時「え?なにこの服のセンス」と絶句したのだが、あの衣装に意味があることが後でわかった。

 この映画は、前半は「ドタバタ結婚式がなんとか無事に終わった」という話で、後半は「裏でさらに凄いことが起こっていた」という、いわゆる「カメラを止めるな」な構成である。

 なので前半では登場しなかったガンちゃんであるが、あの変な服だから、ピントが合ってなくても披露宴会場の中に時々チラっと姿が確認できるのだが、ちゃんと登場しないので「何をやっているのだろう?」と思っていたら、後半で「ああ、そういうことだったんですか」

 向井理も登場時に「なんで、こんなサイズ合ってないタキシード着てるんだろう」と思ったんだけど、そういうことだったんですね。
 向井理は最近、こういう残念なイケメン役に意欲的なのでバッチリでした。

 というわけで、ガンちゃんとムカイリという主演クラスのイケメン俳優が、残念な役に振り切っていたので、そこはけっこう楽しめたから良かったです。

 でも、大九監督は、今やってる深夜ドラマの「シジュウカラ」の不穏演出が無茶苦茶良くて、「こういう感じの映画見たいなあ」と思っていたので、いつかそういう映画も撮ってほしい。


3月23日(水)

 コロナのまんえん防止が解除されたけど、またリバウンドするんだろうなあ。

 それよりも、また飲食店がいっぱい閉店しそうで辛い。協力金があるから維持できていた店が、協力金無くなったタイミングで閉めるみたいで、去年解除された時も、「あ、この店、そのまま閉めたんだ」っていうのを多数見た。

 さて、会社では3回目接種を終えた人がちらほら出てきたので、まだ受けてない人が「どうしよう?副反応怖いなあ」って悩んでいるようだが、そんな中、厚労省が発表している「ワクチン接種後の死亡事例」の話題を持ち出す人がいた。

 正確な人数は忘れたが「ファイザーで1500人くらい、モデルナで300人くらい死んでる」と、その人が言うので、「えええええ?そんなに死んでるんですか?怖い!」と騒然となった。

 「え?でも、モデルナの方が少ないんだ、じゃあ、モデルナの方がもしかして安全?」という人がいて、「いや、モデルナの方が打った人数が少ないから」「あ、ああ、なるほど」とかいう会話が展開されるのを黙って聞いていた。少し離れていた場所での会話だったので。

 だから、あのデータって「ワクチンが原因で亡くなった人」のデータじゃないんだけどなあ。
 つーか、日本で1億人以上の人が接種してるんだから、たまたま接種直後に亡くなる人もいるだろうさ。

 しかし、今までも散々そういう話をしてきて「ワクチン未接種の人より、ワクチン済みの人の方が陽性者が多い!」なんて話に突っ込んで「割合」の話をしても、「わかるような、わからないような?」って反応されているので、もうなんか面倒くさくなっている。

 だいたい、あの人たち「ファイザーは薄めるけど、モデルナは希釈しないので副反応が強いのかもしれない」とか言うしな。原液の成分量が元々違うんだと思うんだけど。

 まあ、とにかく、1回目、2回目で副反応がけっこうキツかった人は、3回目を打つのが怖いみたいなので、「打たなくてもいい理由」を探しているんだろう。
 でも、それほどキツい副反応の報告も聞かないから、やっぱ根底にはワクチンに対する不安があるんだろうね。

 私は大規模接種会場でイベント気分を味わいたかったので、さっさと3回目受けたし「4回目があるのなら、今度は東京ドームでやりたい」とか言って、笑われているのだが・・・

 まあ、うちの両親は最速で3回目受けた人たちだし、あの頃まだ接種率が1パーセントくらいだったので、「え?もう受けられたの?超早いじゃん!」って驚いたが、そういう親に育てられているからなあ。

 そういや、会社で小さい子供がいる人たちに「お子さんに受けさせるんですか?」ってリサーチしてみたら、「子供はまだ体が未成熟だからねえ?」とか言われた。
 確かに今のところ基礎疾患もない幼児が重症化するって事例も無いので、様子見する気持ちはわかるけど、私は子育てしたことないからよくわからないけど、幼児の頃にいっぱい色んな予防接種受けさせてるんでしょ?

 私は学校での集団接種世代だったので、体育館で「はい、次、はい、次」って、なんかいろいろやったなあ。

 たぶん、日本脳炎だったと思うけど、打った夜に発熱したけど、元々発熱しやすい子供だったので、ただぐったりと寝ていた。
 翌年だか数年後にまた日本脳炎の打ったら、また夕方からダルくなってきて「あ、これ熱出る。日本脳炎のと相性悪いな」って風呂にも入らず早く床についた。

 破傷風の予防接種を受けた時が何年生の時か覚えていないが、たぶん低学年の時だったと思うけど、受ける前に担任の先生が「破傷風の恐ろしさ」を語ってくれた。
 凄まじい痛みが全身を襲い、破傷風で亡くなった人は、ずっと歯を食いしばっていたので、亡くなった後、歯が全部抜けていたという・・・・

 その話がすっごく怖くて、注射打った後「これで、破傷風で苦しんで死ぬことはなくなったんだ」と安心した。

 そうか、書いてて思ったんだけど、私にとってワクチンというものは「お守り」だったり「厄除け」なんですよね。
 10代の受験生の頃、天神様に合格祈願したみたいな。

 ああ、そうか、私の居心地の悪さはそこか。

 今の職場は「厄年原理主義」な人が多くて、真顔で「え?厄払いしなくて、厄年でなんかなかったんですか?」って心配されて「厄年ってそんな大事なの?」と逆に驚いた。
 うちの親は「厄年とか、だたの語呂合わせ」って人たちだったので・・・

 だから私が「ワクチン接種した方が安心」という気持ちと、彼らの「厄年に厄払いしないと怖い」って気持ちは多分同じなんだろうと思ったら、なんだかなあ?

 それとは別の、会社での雑談の愚痴。

 上司が「先祖帰り」と言っていたので、「何が先祖帰りしたんですか?」と聞いたら「トイ・プードルが大きくなってしまった話」だった。
 そしたら、そこにいた同僚が「えー?それって、先祖帰りって言う?」と言っていたし、私もトイプーが大きくなってしまうのは「トンビがタカを生んだ」くらいのことに思える。

 「じゃあ、どういうレベルだと先祖帰りって言うのか?」って話になり、私が「金魚がフナになっちゃうとか?」って言ったら、他の人はなんとなく理解してくれたが、一人だけ「金魚がフナ?」って爆笑している人がいたので「そこ、そんなに笑うところ?」って言ったら、「だって、金魚とフナって落差ありすぎ」と言うので、「え?だって、金魚ってフナを品種改良して作られたんだよ?」って言ったら「えっ、そうだったんですか?」

 ということは、グッピーとかクマノミみたいに「金魚」っていう魚がいると思ってたんですかね?

 いや、それを知らなかったのは別にいいのだが、私が「なぜそこで笑う」と突っ込んでしまったため、結果的に「え?そんなことも知らなかったの?」みたいな言い方になってしまったかもしれないので、軽く落ち込んだだけです。


3月21日(月)

 先に3回目接種受けた人で「3回目が一番発熱した」とか「3回目で初めて発熱した」という人が多かったので、「こりゃ期待できるな」と思っていたのだが・・・・

 結局、全然発熱しませんでした。
 何度か体温測ったので、いつもより、やや体温が高いのに気がついたくらいだが、それも平熱が6度5分なのが、たまに6度8分くらいになる程度だった。コロナ下で頻繁に体温測るようになってわかったが、平時でも、たまに一瞬だけ6度8分くらいにはなるのだ。

 副反応は、腕の痛みくらいで、それも寝る時に下にすると痛いだけで、起きている時には触れないと気がつかない程度。それは去年の1回目の時もそうだった。
 頭痛も倦怠感も無し。

 しかし、副反応を期待して、家でゴロゴロしていたので、TVer見まくりでした。

●「この男は人生最大の過ちです」2020年 テレ朝

 放送時には見ていなかったのだが、あとで評判を聞きつけ気になっていたドラマだったけど、やっと見ることができた。
 速水もこみちと松井愛莉の漫画原作ラブコメ。
 超ハイスペックすぎて、チヤホヤされることにうんざりしていた速水もこみちが、自分にキツくあたる松井愛莉に「あなたの奴隷にしてください」という、まあ、ありがちな話なんだけど、松井愛莉が足で壁ドンなどの荒技を次々と披露するので、「わー、パンツ見えちゃうじゃない?」ってゲラゲラ笑いながら見ていた。

 美女に暴力振るわれても「ありがとうございます!」って喜んでる速水もこみちも最高だし。

 つーか、松井愛莉は背が高いから、相手選ぶよなあっていつも思っていたけど、速水もこみちだとぴったりじゃん。185超えは、全部松井愛莉に任せようと思った。
 そして、途中から登場した速水もこみちの友人役の平岡祐太も超よかった。でも、あの役って別に「天然」じゃないよね?朴訥とした「いい人」なんだけど、スペックが「天才脳外科医」というだけなんじゃ?

 リアリティのカケラも無い話だが(新薬開発はあんなに短期間ではできません)、とにかく美女に荒技かけられまくる速水もこみち王子を鑑賞するのが楽しかったので、「王子の過去のトラウマ」がちょっと重すぎたところがマイナスポイントだったけど、「変形スパダリモノ」として十分に楽しめました。

●「コントがはじまる」2021年 日テレ

 去年の春ドラマで、放送時も夢中だったけど、また見ると本当に面白い。
 脚本が素晴らしいのだが、なにげない会話劇をあの豪華メンツでやっているところに目眩がする。
 いや、全然「なにげない会話」じゃないだけどさ。

 放送時は「これ、菅田将暉と有村架純は最後にくっつくのか?」ってことが気になっていたが、あらためて見ると、その線は匂わせつつ、丁寧に消してるんだなあ。
 つーか、主要登場人物の中で菅田将暉演じるハルトだけ、全く恋愛話が無かったと思うんだが、どうだったんだっけ?
 そもそもハルトの造形が次男っぽく無いんだよな。
 優秀だった長男がカルトにハマってコケたので、好き勝手している次男になり切れなかったのかもしれないけど。
 そう考えると「マクベス」の三人は、次男、長男(姉がいる)、一人っ子という属性なんだが、次男のハルトが「クールに見えるけど、一番の熱血で、しかもプライドは高い」という長男っぽい性格で、一人っ子のシュンタ(神木隆之介)が一番、空気読みキャラなのも一人っ子のイメージじゃないし、長男であるジュンペイ(仲野太賀)のムードメーカーぶりの方が末っ子気質っぽい。まあ、末っ子なんだけど。

 中浜姉妹も、時々どっちが姉だかわからなくなるので、そういうステレオタイプな「長男とか長女とか」を意図的に外したキャラ設定しているようにも思える。
 でも、要所要所で「ザ・長男」みたいなエピソードが出てくるので、泣いちゃうんだけど。

 菅田将暉の兄である毎熊さんが「親を大人しくさせておくのが長男の役目だから、次男のお前は自由にやれ」みたいなこと言うシーンとか。

 TVerにはまた「ゆとりですがなにか」が上がっているけど、あれは「岡田将生と松坂桃李と柳楽優弥が3人でワチャワチャってありえねー」って感じになっているけど、「コントが始まる」も数年後にそうなりますよね。って、どっちにも出てる仲野太賀www

 で、放送時にも思っていたんだけど、主要人物たちが通っていた高校っていうのが、自分の高校とカブるんですよ。
 ドラマ内では地理関係が曖昧だったけど、「首都圏の通勤圏内」って感じで、ドラマでは海が出てきたから、藤沢とか平塚あたりのイメージなんだろう。父親はそこにマイホームを建てて通勤していたけど、子供は社会人になるともっと都心で一人暮らしするっていう。
 なので、実家に帰る描写が「帰省」じゃないところが、個人的には「わかりみしかない」

 で、高校も、マクベスの3人は大学に進学しなかったんだけど、仲野太賀の彼女役の芳根京子は「いい大学出て、一部上場企業で広報の仕事している」って設定だったし、芳根京子の高校時代の元カノである浅香航大は、ITベンチャー立ち上げて成功しており、マクベスの三人が通っていた高校が「そこそこの進学校」であることがわかる。

 高校教師のマカベ先生演じる鈴木浩介のユルい感じというか、デモシカ教師ぶりも、ほんと、うちの高校の先生たち、あんな感じの人が多かったのよおおおおおお。
 教員目指して、教師になったわけでもなく、あからさまに「生活のため」って感じで、その最もたる事例が、のちにキューちゃんの恩師になる「マラソン小出先生」だったが、デモシカ教師の楽園で何が良かったかというと、「別にやりたくて教員やってるわけでもないので、生徒の上に立ちたくもない」って感じ?

 あの感じはなんて言うのか「友達以上、先生未満」と言うのか、あの感じを鈴木浩介がいい感じで演じてくれていて、ほんと好き。

 えーと、「コントが始まる」は7話までアップして、この次はまさかの中村倫也回だったんだっけ?

 そこ、ちゃんと回収されると思ってなかったんで、びっくりしたんだよなあ。

●大奥(有功・家光編)2012年

 こんなのも上がっていて「きえええええ、10年前?」

 よしながふみの原作の存在知らなくて、途中から見てみたら「ん?男女が入れ替わってる?」ってことに気がついたら、相思相愛だった多部未華子ちゃんと堺雅人が引き裂かれて・・・

 なので、最初の方は初めて見たのだが「あーーーーーー、あの小姓が田中聖!」

 田中聖、私は顔付きが好きじゃなかったけど、一時期けっこう出てましたよねえ。
 最近また覚せい剤で逮捕されてましてけど、TVerはオッケーなんだ。

 しかし、多部未華子ちゃん若いなあ。10年前かあ。当時、22歳くらいだったんだろうけど、15歳くらいに見えるのすごい。

 あの頃の多部未華子ちゃんに私は夢中だった。
 2008年の「鹿男あをによし」で落ちて、朝ドラ「つばさ」も完走した。

 その次の「デカワンコ」が、原作漫画のファンだったので「犬の出番が少ない」と不満だったからあまり見てなかったんだけど、この「大奥」で堺雅人のことが大好きなのに、他の男に抱かれる悲劇みたいなところから見て「未華子ちゃーーーーーーーーーーーん」になった時のことを思い出しました。

 ほんと、ひどい話なのである。

 徳川の世を維持するために・・・

 でも、ロシアがウクライナに侵攻している今見ると「あなた様がちょっとだけ我慢してくださったら」の重みが違うなあ。

 それにしても、堺雅人の京都弁、ネイティブにはどう聞こえてるのかわからないけど、関東人の私には凄く心地良くて、堺雅人って声色あまり作らないんだけど、なんかリズムで聴かせるなあ、って今更ながら感心しました。

 最近は全然舞台やってないみたいだけど、いつか舞台で拝見してみたい役者さんである。

●「夢中さ、君に。」2021年 ドラマ特区(毎日放送)

 これも、もう1年前の作品かあ。
 あの当時から「すごいメンツ揃えたぞ」と思っていたけど、高橋文哉くんが塚原監督に引っ張られたのか、「最愛」で一抜けしたもんね。
 彼は何がすごいって、仮面ライダーでデビューしてから、この3年間、一度も出演が途切れたことが無いんですよ。
 「最愛」の後、すぐ「ドクターホワイト」が始まって、4月からはまたプライムタイムの「悪女」に出演が決まっている。

 で、「夢中さ、君に。」は、ちょっと掴み所がない群像劇なんだが(原作漫画もそんな感じだし)、二階堂は「顔がいいから中学校の時は女子にモテモテで、それで怖い思いをしたため、ダサダサに身を固めて、逆・高校デビューした」というキャラで、漫画でも強烈なキャラだったけど、それを実写でやってる高橋文哉が、もう、ほんと、可愛くて(デレデレ)

 それに絡む、坂東龍汰も、トボけた感じがほんと良くて、この世界観好きだなあ。

 3年後くらいにまた見たら、みんなさらに出世していて驚くかもしれないな。


3月19日(土)

●自衛隊大規模接種会場でワクチン3回目接種した

 去年も「せっかくだから自衛隊のところで受けたい」と何度も予約に挑戦したけど、全然ダメで、結局予約をキープしていた地元でファイザー接種したのだが、今回は全然余裕で予約できました。
 ほんとは先週でも予約できたんだけど、仕事の都合で今日になった。

 竹橋の駅から最寄出口に向かう通路を歩いていたのは私だけだったので「あんま人気無いのかなあ?」と思っていたんだけど、敷地内に入ったらゾロゾロと人が歩いていて「みんな、どこから来たんだ?」

 で、門から受付までがけっこう遠くて、そこをゾロゾロ歩いていると「これは・・・・まるでロックフェス!」と気持ちが上がった。
 ほんとけっこう導線が長くて、受付というか、その手前の手荷物検査までの道のりはまるでネズミーランドのアトラクション待ち。

 うちの自治体では、ファイザーの予約はまだ先じゃないと空きが少ないが、モデルナだったら余裕だったので、この大勢の人たちは私と同じような「イベント感」を求めて来たんだろうか?

 いやー、ほんと、イベント感は最高だった。
 長い行列の先で手荷物検査受けてから、チケット(接種券)と身分証明書を確認するあたりの雰囲気とか、ジャニーズのライブみたいだったし。

 そして地上の仮設建物内をグルグルして、接種券の確認や健康状態の確認されてから、いよいよ庁舎内のエレベーターに誘導されたので、「タワー・オブ・テラーかよ」と思いました。

 そして、問診のドクターが千葉雄大みたいなイケメンだった。いや、マスクしてるから本当にイケメンかはわからないが、少なくとも「マスクをしている千葉雄大」みたいだった。
 そのドクターに「前の時にはほとんど副反応がなかったので、今回は発熱くらいしてほしいです」と言ったら返事に困った顔でフッって鼻で笑われたので「その感じも千葉雄大!」とテンション上がりまくり。

 そして、いよいよ接種ブースに入ったが、また針先見ていたら「見てたほうが安心します?」って言われたんだけど、筋注が珍しいので見たいだけです。あと、前も「全然痛くないなあ」と思ったし。今回も見てないと、いつ刺されたのかわからないくらいだった。

 15分の経過観察を経て、またエレベーターで地上に戻り、接種票に記載してもらうために椅子に座って待ち、最後にまた最終確認されて終了。
 門から入ってから出るまで約1時間かかったが、ほんとアトラクションって感じだった。

 でも、導線長いから足が弱い人には向かないね。
 そもそも年寄りはもう地元で受けているので、客は私よりも若い人ばかりだった。

 外に出て、皇居沿いを日比谷方面に歩いたが、天気が良くて気持ち良かった。
 お堀端の桜がチラホラ開花していたので、この連休中に開花宣言出るだろうな。

●映画「猫は逃げた」

 大手町から有楽町まで歩いて、丸の内TOEIにてこの映画を見た。ロビーに「破戒」のポスター貼ってあって、漲った。
 今泉力哉と城定秀夫のコラボ企画第二弾で、こっちは城定脚本で今泉監督作。

 「愛なのに」はゲラゲラ笑える映画だったが、こっちは笑いは控え目、猫は大盛りであった。

 「猫の撮影大変だっただろうなあ」って思ってしまい、ちょっと話に入り込めなかったところが個人的にはマイナスポイントだったけど、最初から最後まで煮え切らない、なんかボンヤリした毎熊さんが面白かった。
 一番の山場は、ダブル不倫の4人が勢ぞろいするシーンの長回しなんだけど、毎熊さんの存在感の無さに途中で気がついて「この芝居難しかっただろうな」って思った。

 あと一番笑ったのが、予告編にも入ってるけど、井之脇海が「旦那さんの不倫相手って同じ職場の人なんですか?公私混同じゃないですか」って真顔で言うところだった。だって、そっちは漫画家と担当編集者で、原稿取りにかこつけて関係を重ねているので「勤務中」だぞ?

 ただ、この企画は「R15+ラブストーリー」なので、「猫が逃げた」もベッドシーンがあるのだが、こっちは女優脱がす必要なかったんじゃ?
 いや、下着姿というか、パンツだけ履いてる後ろ姿だけで十分エロかったので、それで良かったんじゃないかと思った。

 そのあたり、ピンク映画で有名な城定監督と比べるとやっぱ弱かったなあ。
 「愛なのに」で瀬戸康史とさとうほなみのベッドシーンで、瀬戸康史の体温が上がってる感じが素晴らしかったので。(赤い照明を当ててたようだ)

 というわけで「愛なのに」のお下劣さがかなり好きだったので、「猫は逃げた」は上品にまとめすぎかなあと思ったけど、猫映画としてのレベルは高かったし、どっちも「夫が先に不倫していたので、じゃあ、あたしも」って話で、全く別のストーリーだけど、二つで一つみたいなところもあり、なかなか味わい深い企画だなあ、と思った。


3月18日(金)

 「流浪の月」は私には刺さったけど、これ題材が題材だし、特に男性にはウケないだろうなあ、私が村上春樹が苦手みたいに、と思って、アマゾンの書評を覗きに言ったら、さすがわ本屋大賞、2000件を超えるレビューがあったけど、低評価は意外と少なかった。

 そして、私が想定していた低評価と全く違っていた。

 低評価トップにあった「ただただ流されるメンヘラ主人公のお話」という題のレビューなんて「私の個人的に、主人公の女の子の自分がとにかく悲劇の主人公というか斜に構えてて他人と向き合わない感じが既視感があったので何だったかなと思い返してみたんですがわかりました。村上春樹の主人公に非常によく似てます。村上春樹が好きな人には刺さるんじゃないですか。」って書いてあって、「村上春樹から逃げてきたんだよ、私は」と思った。

 たぶん、ハルキストも「こんなライトノベルと一緒にすんな」って怒るだろうけど。

 他の低評価レビューもこういうのが多かった。
 なんだろう?すっごい、面白い。あの主人公って、こんなに嫌われるんだ。
 つーか、この主人公ってメンヘラなん?

 けっこう「なんでちゃんと本当のことを警察に言わなかったんだ」って意見があがってましたが、それを言えなかったことが話のキモなので、そこ否定されちゃうとなあ。

 そして、けっこう多いのが「周囲の人の書き方が雑」
 えー、かなり丁寧だと思ったけどなあ。そもそも主人公は「子供の頃、ロリコンに誘拐されて酷い目にあった可哀想な子」というレッテルから逃れられないので、とにかく目立たずやり過ごすことしかできず、だから他人に心を開くことができず、友人もいないのだ。

 その孤独と不安を餌にするのが「俺が守ってあげるよ」な男なんだけど、最初の彼氏は「普通の恋愛がしたい」と去っていったみたいだけど、その彼氏はかなりまともな人だったんでしょうね。

 主人公は、幼い子供を持つシングル・マザーのバイト仲間には、なぜか親しみを感じるのですが、それは、そのシングル・マザーが主人公の境遇に全然無頓着で、自分の都合しか考えてない身勝手さが楽に感じるからなんだけど。

 その身勝手さは主人公の母に重なるところがあるし。
 「主人公にも、その両親にも全然共感できない」という意見も多かったですが、主人公も両親のこと全肯定してないじゃん。「浮世離れした親に育てられた自分もヤバいかも」ってずっと思ってます。

 つらつらと低評価レビュー読んでて「被害者意識」という言葉が頻出していて、「あー、出る杭を嫌うんだ」と思った。
 なんつーか、「流浪の月」の低評価レビューの世界に本当の「流浪の月」があるという皮肉。

 面白いなあ。他の本のレビューもこんな感じなんだろうか?

 だって主人公はDV彼氏から逃げるために夜逃げ屋を手配するんだけど「そんな金があるのなら、弁護士でも雇えばいい」って思う気持ちがわからない。
 つーか、密室ミステリー読んで「殺人の動機がありえない」とか言ってる感じだし。

 私が思ったこの小説のキモは「善意が人を傷つけることがある」ってことで、「絶対に正しい善意というものは無い」ということだ。
 なのでたぶん「いい人」が否定的に描かれていることに(主人公はそれを否定していないのだが)反感を感じる人がいるのだなあ、と思った。

 って、私が「村上春樹がダメでした」って言うと「お前は何もわかってないし、ちゃんと読めていない」と思われるのでしょうが、こういうのはほんと人それぞれなんだなあ、と改めて思った。


3月17日(木)

 朝起きてテレビをつけたら「え?また東北で地震?」

 ええ、そうなんです。私は地震に気がつかずに寝ていたのです。
 昨日は何時に寝たのだろう?水曜日はドラマも見てないので、11時前には寝ていたんだろうけど、そんなにお酒飲んでたっけ?

 でも、あまり倒れている物もなかったので、世田谷区は震度4になってたけど、うちは震度3くらいだったのかもしれない。
 会社でも「うちのあたりは地盤がいいみたいで」という人が「もう布団に入っていたので、揺れてるなあ、けっこう長いなあ、と思ったけど、眠かったからそのまま寝ていた」と言っていた。

●映画「中村屋酒店の兄弟」

 本当は昨日の水曜日の割引デーに観に行こうとしていたのだが、木曜日の舞台挨拶に急遽主演の藤原季節が追加されてて、予約画面で確認したら、まだ半分くらいしか埋まってなかったので、「推しに空席を見せてはいけない」と予定を変更した。

 最近立て続けに藤原季節が出演している映画が公開されているが、どれも、撮影時期はけっこう前で、これも4年前に撮影されたらしい。
 若い監督のデビュー作で、映画祭で受賞していたらしいが、1時間未満の半端な尺なのに今頃なんで地味に公開されてるのか知らないが、「兄弟もの」ということで、斎藤工監督の「ブランク13」を思い出す。

 「ブランク13」は主演の高橋一生のブレイク時期と重なったので、本来ならミニシアターでひっそりと上映しているはずが、シネコンの一番大きい劇場で上映されていた。

 さて「中村屋酒店の兄弟」は、古い酒屋を継いだ長男の元へ東京に出て行ったきりの次男がひょっこり戻ってきて・・・という、まあ、けっこうありがちな話だし、イベントはそこそこあるのだが、全体的に淡々とした地味な映画だった。
 「思ったことを口にできないで、いろいろうやむやにしながらの会話劇」を楽しむ作品で、たしかに、こんな脚本を22歳の若い監督(白磯大知)が書いたのだと思うと興味深い。
 ミニマル小説のツボはきちんと押さえてあるし。

 しかし、映画の出来そのものよりも、冒頭の実家に帰った時の藤原季節が美しくて、「うわあっ」ってなった。
 重たい髪型も絶品で、私は藤原季節をイケメン俳優だと思っていなかったのであるが、この人、もしかしたら中村倫也コースに進む可能性あるぞ?

 というわけで、「青天を衝け」で大河デビューしたが、次は朝ドラ狙ってみようか?


3月15日(火)

 村上春樹を30年ぶりに読んでみたら、全然合わなかったことに軽いショックを受けてしまい、すでに3回リピーとしている「流浪の月」の好きな部分だけ激しく読み直して心の平静を保っています。

 BLである「美しい彼」のカップルの設定も凄く好きなんだけど、「流浪の月」は、あれだけBL小説で濡れ場バリバリに書いていた作家が、広い意味でのアセクシャル追求してるのが、ほんと面白い。
 そして、美麗な描写なのに、けっこう男性器の話でもあるので、女性読者としてはちょっと笑いたくなってしまうのだが、男性読者はけっこうゾっとする話なのかもしれない。

 高校の時に歴史の授業で「宦官の作り方」を説明した教師がいて、その授業を受けた男子生徒たちのハイテンションをちょっと思い出した。

●「ファイトソング」最終話

 岡田惠和の作家性と「火10」という枠の、いいマリアージュだったと思う。

 そして「恋です!」では、視覚障害者がラブコメの中で程よく教育的に描かれていたが、「ファイトソング」の終盤では聴覚を失った主人公が程よく教育的に描かれていて、高感度が高かった。
 登場するスマホのツールが実際にあるのかも知らないけど、音声入力は当たり前にあるので、それこそ同時通訳ツールに比べたら、ああいうのは本当にあるんだろう。

 意思疎通は、手話とか覚えなくても、今だったらスマホのアプリでいくらでも同時字幕できる。

 まあ、そこに至るまでフリップ芸とかやるのはご愛嬌で、あくまでドラマを盛り上げる要素だったんだけど、最後の最後で、「男が無口で、へー、とか、わー、とかしか言わなかったことが、相手の唇読むことに疲れている女には心地よかった」ってオチに「うわー」ってなった。

 結論として「本当のリアクション大事」ということで、これ、最初から見直さないとわからないかもしれないけど、間宮祥太朗はたぶん最初から「聞いてるフリのリアクション」はしてなかったんじゃないかな?
 つーか、人の話をテキトーに聞き流せるキャラじゃなかった。

 それにしても間宮は今までは彩度やコントラストが高い役・・・いわゆる濃い役が多かったと思うが、こういう薄い役をやらせてもイケるということを世間に周知させてことが何よりも嬉しかった。

 それなのに、次クールはまたヤンキー役なんだけど(笑)

 事務所の後輩である赤楚くんが先にプライムタイムの一番手になってしまったので、「間宮もがんばれ」と思っていたら、見事な火10一番手を勤めてくれて、大満足でした。


3月13日(日)

 またTVerが大開放されたので、「カルテット」や「コントが始まる」を見るのに忙しい。

 そして私は、なんと30年以上ぶりに村上春樹を読んでみた。

 「ノルウェイの森」が大ヒットしていた頃、会社で「あれって、面白いの?」という話題になって、脚本家志望だった先輩が「あれは好みが別れると思うから、あれの元になってる短編で試してみれば?それが面白くなかったら、たぶんノルウェイも読まないほうがいい」とアドバイスしてくれたので、その短編を読んでみたのだが、何がいいのかさっぱりわからなかったのでノルウエィも読まなかったのだ。

 あの先輩は、話題の本を自分の勉強のために読んでいたのだが、そういや吉本ばななも「私は病院の待ち時間に読んだから気軽に読めたけど、わざわざ読むほどでもない」と教えてくれたし、私が翻訳小説ばかり読んでいるのを知っていたので、話題の本を気軽に勧めてこなかった。というか、彼女に勧められた本ってあったっけ?
 日芸出身だったから、私みたいなアングラ系のことをよく知っていたんだろうなあ。

 というわけで映画「ドライブ・マイ・カー」にすっかりハマったので、「どこが原作部分なのか確かめてみよう」と思ったわけです。
 どうやら原作の短編集「女のいない男たち」から「ドライブ・マイ・カー」以外にも抽出されているようなので。

 読んでみて、びっくりした。

 目的が「映画の原作部分をチェック」であることを差し引いても、全然集中できない。
 つーか、退屈して、読み飛ばしてしまうのだ。

 なんつーか、私にはどーでもいーことをダラダラダラダラ書いてあるので、「先に結論だけ言ってくれ」と言いたくなってしまう。
 そして、読み飛ばしてしまうわけだ。

 そして、オチが無いことに呆然としてしまう。

 海外文学好きだから、こういう、よくわからん系の小説には馴染んできたつもりだが、こんなに読めないのも珍しい。
 この短編集だけで判断できるものでもないが、あんだけ売れていて評価も高いのに、私には全然ダメっていうの、「世界の中心で愛を叫ぶ」以来かもしれない。そういうや「世界の中心で」も修辞が苦手でだったけど、そうだ、村上春樹もこの昔のハードボイルド調というか、酒とジャズを愛する調が苦手なんだ。

 というわけで、原作が苦手だったので、よけいに映画版の素晴らしさを感じた。

 原作はほんと、屋台骨を借りただけなんですね。
 映画版の中の「妻のピロートーク」は短編「シェヘラザート」から拝借しているけど、先に小説を読んでいたら面白いと思ったかもしれないけど、映画だと小説の先の展開まで作ってあって、それを「妻の浮気相手だったのかもしれない」岡田将生が語り出すのが映画の山場の一つでもあったし、何かに支配されてたのかもしれない夫婦生活の暗喩にもなっていて、非常に素晴らしい構成だと思ったのだが、あのパートは映画オリジナルだったわけです。

 岡田将生の設定も、ほぼ映画オリジナルだった。

 ただチェーホフはちゃんと原作にあったんですね。
 もちろん、その掘り下げ方は映画版が圧倒的でしたけど。

 村上春樹の小説って、あまり映像化されてないというか、されてても、あまりヒットしてないと思うんだけど、この映画の高評価ぶりに村上春樹ファンはどう思うんだろう?

 でも、あんな分厚い長編小説があんなに売れる村上春樹なので、長編小説では、この映画くらいの緻密さと重厚さがあるのかもしれないから、あの映画も村上ワールドの延長として捉えているのかもしれない。

 でも、たぶん、村上春樹は女嫌いというか「女性は別の生き物」としている傾向があり、私はそういうタイプの作家が苦手なのだが、濱口竜介監督作にそれを感じたことが全く無かったけど、この映画で、村上春樹のそういう部分を見事に潰していたので、信頼が深まった。

 
3月10日(木)

●小説「破戒」

 やっと読了した。

 最初、「うわー、文章が古めかしい」と戸惑ったが、だんだん慣れてきて、後半、丑松が追い詰められていくところは「もう、やめてあげてー、丑松のライフはゼロなのよお」とハラハラして、けっこう没頭できた。辛かったけど。

 今読むと古めかしい文体だけど、当時の感覚だと相当くだけた文体だったんでしょうね。

 それにしても、穢多を「別の人種」として認識している世界観の恐ろしさよ。
 今の時代の黒人差別とか、在日差別とはまた全然違うレベルで、「劣等人種」という意識があった時代の恐ろしさよ。
 そして、善良な友人が「丑松君が穢多なはずがないよ、だって、彼にはそういう劣ったところがないから」と、畳み掛ける恐ろしさよ。

 40年くらい前、この小説を読んだ時には「部落差別っていうのがあることは知っていたが、こういうこと?」って衝撃を受けたと記憶しているが、今さら読んでみてもけっこうキツかった。

 でも、結末はけっこうハッピーエンドだった。まあ、あの思惑通りになるのかはわからないけど、世話をしてくれる人が出てきて、縛られていた土地を離れることができるようだったし、好きな女性は主人公が新平民だと知っても、そんなの構わないようだったし。

 話の主題とは関係ないが、この時代は師範学校で教員が量産されていたので、主人公もその流れに乗って、教師になることができたのだが、どうやら師範学校を卒業したら、10年くらい教員として勤める義務があったらしい。
 今の自治医大みたいなシステムなんでしょうね。授業料安いけど、医師になったら離島で勤務みたいな。
 せっかく教員育成しても、民間企業に流れてしまったら無駄になるので、「教員にならないのなら、授業料を払ってもらう」という縛りになっていたのでしょう。

 なるほど、その縛りがあるから、主人公は自分の身元が絶対にバレないような遠い土地、それこそ東京に出て働くという選択肢が無かったのね。

 それにしても、主人公を疎ましく思う校長の悪者ぶりが悪代官すぎてちょっと引いたが、今このテーマを描くのだったら、校長も善良な人にするだろうなあ。
 だって、やはり一番親身になってくれた親友が、さっきも書いたけど「丑松君が穢多なはずがないよ、だって、彼にはそういう劣ったところがないから」って言うのが一番キツい。

 そういや「流浪の月」も、そういう話で、子供の頃に誘拐された主人公のことを皆本気で心配してくれるのだが、その親切心が一番主人公を傷つけるという話だった。

 「女児誘拐事件の被害者」というデジタル・タトゥーから逃れられない「流浪の月」と、被差別民であることを隠していた「破戒」をなぜか同時に読んだのは面白い体験だった。

 「破戒」の巻末の昔の解説文も面白くて、今出てるバージョンは初版に近いものなんだけど、部落解放運動が盛んになった頃、そこを曖昧にしたバージョンに改変したことがあったらしい。
 それが逆に「改悪版」と評されたし、水平社の方でもいろいろ試行錯誤があったようで、昭和30年代にまた初版に近いバージョンに戻されたようだ。

 なんかイマドキの「政治的に正しいおとぎばなし」みたいである。

 そういうのって10年単位くらいで変わってきていて、過去のテレビドラマを見ても「あー、これ、今だとアウトだな」っていうのいっぱいあるし、そもそも一時期流行った「壁ドン」が、今では完全にアウトになってるし。

 話が逸れたが、私は現実世界では部落差別に直面したことがないのだが、今の若い人はどれだけ、「それ」を知ってるのだろう?
 ちょっと前に橋下知事が部落出身みたいな記事が出て、「そんなこと書く方が下衆だけど、それにどう反応するんだろうか?これ、対応難しいよなあ」と思ったけど、どうなったんだっけ?


3月9日(水)

●映画「その消失、」2回目

 9時からのレイトショーで、その前に渋谷で軽くご飯食べようとしたんだけど「行きつけの店が8時で終了だった」ということに気がついた。

 9時までやってる店に入ったんだけど、めっちゃ混んでて、怖かった。

 そういや、前回この映画見た時は、9時15分だったので、シアターに入る前に飲み物買おうとしたら「売店は終了しました」って言われて「そっか、映画館の飲食の売店も9時終了だった」と納得したんだけど、「なんで、レイトショー始まる直前までやってないんだろう?」と思ったのだが、「そっか、助成金か!」とやっと気がついた。

 助成金の使い方としては、ややアウトだけど、映画館にとっては貴重な収入源になってると思うので、「これで延命してくえれ」と思いました。

 さて「その消失、」だが、初見の時は、まさか7年前に撮影した映画だとは知らず、後半になって「板垣瑞生が若い!」ってことに気がついたのだが、そう考えると、泉里香とか藤原季節には全然違和感感じてなかったのが逆にすごいけど、あらためて見ると、二人ともピチピチのツルツルでしたね。

 全部わかった上で見ると、「前半の思わせぶりにどれだけ労力使ったんだよ」と思うし、終盤の「答えあわせ」は念入りすぎたと思うけど、そのバランスの悪さを差し引いても、やっぱり面白かった。

 まあ、例の電話のシーンで締めても良かったとは思うんだけど、その余韻を過剰に描いてしまうのも「若気のいたり」というか、構成が甘いのと、シーンごとの迫力が凄いのとのバランスが悪いのが逆に魅力なのかと。

 板垣瑞生ファンはちらほらいたけど、この映画は「このキャストで7年前」ってことをもっと周知できたら、もっと客入っていたんだろうけど、やっぱ上映館少ないし、これくらいが限界か。
 ディーン様の「Pure Japanese」だって、あんな感じだったんだから、映画もなかなか難しいですね。

 ただ、そういう作品を上映してくれる映画館があってこそだと思うので、助成金フル活用して生き残ってください。

 岩波ホールが閉館って聞いて、最近全然行ってなかったけど、あそこで見た長時間映画とか、ほんと半分苦行だったけど、あれは本当に贅沢な時間だったんだよなあ、って思ったので。


3月8日(火)

 月曜日にびっくりするくらい下がったコロナ陽性者数だが、今日は「先週よりちょびっとだけ減った」程度だったので、いったい昨日の数字はなんだったんだろう?

●映画「ドライブ・マイ・カー」2回目

 そろそろ空いてきたかな、と平日だったし、また見てみました。

 初見の時は、とにかく長かったので後半は尿意と戦ってしまったのと、岡田将生のあの「オチ」に驚いたので、自分の中での評価は高くなかった。
 そもそも岡田将生目当てで見に行ってるのに、ああいう役だったので当てが外れたのである。

 しかし、その後、アカデミー賞候補にまでなってしまい驚いたが、確かにチェーホフ絡みのところは素晴らしかったし、欧米のインテリ受けはいいだろうと思ったので、もう一度見てみたかった。

 そして、やはり私が岡田将生が好きなので、「やらかし俳優」っていうのを急には受け入れられなかったことがわかった。初見の時は「岡田将生じゃ、ちょっと年食い過ぎてるだろう」と思ったんだけど、ちゃんと「やっと最近売れてきた30歳くらいのイケメン俳優」って設定だった。

 そして、ある種の天才として描かれているのである。
 「美しい彼」の続編「悩ましい彼」では、だんだん俳優として売れてきたキヨイが「ただのイケメン俳優」という壁にぶち当たり、リミッターを外せない自分に悩んでいたが、この映画の岡田将生は「リミッターを簡単に外してしまう」というところが魅力であり、また最大の欠点であった。

 天才ゆえに、オーディションでは素晴らしい演技をしたのに、「棒読みの本読み」を延々と繰り返す、地味な作業の意味がわからずイライラする。

 まあ、他の演者もイライラしているんだけど、賢い人はだんだんと演出家の意図を理解していくんだけど、理屈で考えることが苦手な岡田将生は、自分だけが取り残された気分になって余計にイライラするんだよね。

 その平たい言葉で言うと「キレやすい」岡田将生に対して、西島秀俊は「もっと自制することを覚えなさい」と言うんだけど、西島秀俊と霧島れいかの夫婦関係は「自制しすぎだった」と解釈することもできる。
 たぶん、そこもたぶん欧米人に受けるポイントで、「完璧に見えた夫婦関係に実はあちこちヒビが入っていた」っていうの、欧米人好きだよね。

 この映画では、「亡き妻はなんで若い俳優との浮気を重ねていたのか」っていう答えは明示しないので、見る人の解釈に委ねられるのだが、私の解釈だと「なにか、一つ、徹底的にダメなところを残しておきたかった」

 そうしないと「幼い娘を失って、もう子供は持ちたくない」という夫婦のトラウマが「一番ダメなこと」になってしまうから。

 その亡き妻のたぶん最後の浮気相手だった岡田将生に対する西島秀俊の心境も複雑なんだけれど、嫉妬よりも演出家としての本能が優って、「ある意味、天才」である岡田将生を引っ張りあげようとするのだが・・・

 野生の岡田将生は、理性の西島秀俊には理解に苦しむことばかりで、それでもなんとか守っているつもりだったのだ、まさかの「ボクその話の続き知ってます」

 妻と自分だけの「寝物語」を車の後部座席で岡田将生が延々と語るシーンは、凄まじかった。

 ここも解釈が分かれて、岡田将生が妻の浮気相手だったと明示されてはいないので、「そうだったのかもしれないし、そうじゃなかったのかもしれない」という描かれ方だったのに、ここで決定的証拠が、と思うけど、そういう答え合せでもなかった。

 何かに取り憑かれたように「亡き妻の語った物語」を語る岡田将生は、妻の浮気相手というよりも、妻を口寄せしたイタコみたいだった。

 初見の時も、この展開にはシビれたが、「亡き妻の語った物語」は「イケないことをしている女子高生が、ついにその行いがバレるピンチになって観念していたのに、なぜかその行いはバレなかった」という話なんだけど、それって「何度も夫に浮気がバレそうになったのに、なぜか、夫は気がつかないフリをした」ってことに重なる。

 主人公は奔放な妻に振り回されてると思っていたが、「支配されてる」と思っていたのは妻の方?

 その答えは無いのだが、確かにあるのは、車の後部座席で見つめ合う、西島秀俊と岡田将生の熱演で、「亡き妻の語った物語」をベラベラ語る岡田将生は、私が求める岡田将生だった。

 あの岡田将生が世界に発信されたことを喜ばしく思う。

 あと、この映画の世界観は「テクストを読むとういこと」で成り立っていて、そういう意味ではカメレオン俳優の対局にいる西島秀俊という、高倉健商法な俳優を自分の分身的な役に配置した監督はよくわかってるなあ。

 そして、韓国ロケのラストシーンは初見の時も感動したけど、辛い過去に苦しむ西島秀俊を「もっと辛い過去」で癒した三浦透子演じる女性ドライバーは、「あ、人生、どこで生きても、何してもいいんだ」と深い気づきを得て犬と仲良く暮らしてるという・・・

 いろいろ難しく考えずに、今やりたい生活をしよう、という希望に満ち溢れたラストでした。

 うわあ、いい映画だったなあ。

 これだけ賞とりまくるのわかる。
 でも、アカデミー賞はさすがに無いだろうけど、カンヌ映画としてはかなりイケてると思う。

 そして、三浦透子の今の生活が、「古くても手入れされてる車と犬」だったの、やっぱ、ジワジワくる。

 あの韓国人カップル、ありえないくらい理想のカップルだったんだけど、そこから抽出したのが犬ってwww
 そっか、あの韓国人夫婦も流産した辛い過去があるので、主人公夫婦との対比でもあったのだなあ。
 つーか、私だったら、あの韓国人妻も岡田将生と浮気させたくなるwww(お下劣)

 ああ、なんかもう1度くらい映画館で見たいなあ。たぶん、見るたびに解釈が変わりそうな映画なので。
 車で北海道に行くところがけっこう長いので、あそこがトイレタイムだな。
 今回は、突然挿入されて初回では驚いたタイトルバックの時にトイレに行きました。

 ところで、この映画には全然関係ないんだけど、エンドロール眺めていたら挿入歌に「You're driving me crazy」というのがあって、家帰ってから調べてみたら、けっこう有名なスタンダードだった。

 あー、だから、ファンタスティックスの「Drive Me Crazy」に違和感アリアリだったのか。
 なんか「You」が付かないのが気に入らなかったんだよね。

 「Drive My Car」はビートルズの曲だが、そっか、性行為をほのめかす言葉でもあるんだ。
 そっか、そう考えると、若い女性運転手に自分の車を運転させるのを嫌がった主人公の気持ちがなんとなくわかる。
 妻の声で朗読される台本を聴きながら運転する時間は、夫婦だけの時間でもあったので、そこに他の女性を入れるのは浮気にも等しい行為だから。

 でも、運転手が死んだ娘と同い年だと知って、車の中が「亡き妻と亡き娘との、もしかしたら存在したのかもしれない今」という多次元宇宙的な異世界になるんだよね。

3月7日(月)

 日曜日の東京都のコロナ陽性者の年代別資料を見ていたら「なんか、高齢者が減った?」と気がついた。

 うちの親は1月下旬に3回目接種したけど、もう高齢者で希望する人はだいたい打ったのだろうか?って、調べてみたら、もう6割くらい打ち終わっていたので、その効果が出てきたんだろうか?

 と思っていたら、今日になって東京が5000人台で大阪が2000人台と「え?何かの間違いでは?」っていう数字が出ていて、他県も調べたら、東京や大阪ほどではないけど、ガクンと減ってるところが多かった。
 月曜日は元々少ないけど、それにしても少ない。
 後で集計を見たら、全国で4万切ったのは、1月中旬以来だった。

 去年の夏の第5波の時も、減るときは凄い勢いで減っていたけど、今回はもっとびっくりするような勢いで減る可能性があるなあ。でも、子供の感染は収まらないか。
 重傷者数もピークを超えてきたので、3回目接種の重症化予防が効いてくれば、少しホっとできそうだ。

●大河ドラマ「鎌倉殿の13人」9話

 土地と血縁に根付いた番頭武士の結束に対して、京都の貴族である頼朝の孤独が描かれたタイミングで「あにうえええええええ、ずっとお会いしたかったんでええええっす」って菅田将暉・義経が登場するって、すごい展開である。
 この、歴史物に弱い私でも知ってる、この兄弟の行く末だけど、たぶん、今までの解釈とは違うイメージで描いているんだろう。
 義経とか、ピュアで繊細なイメージだったし。
 大河ドラマ「義経」ではタッキーの所作が美しかった。

 しかし、菅田義経はこれまでの登場シーンでも、貴公子然としたところが全く無く血筋と世渡り上手で生き抜いてきた頼朝とは真逆の「空気読まないキャラ」だったし、さらに相当ヤバい奴だったので、今後のこの兄弟の「あれこれ」がとても楽しみだし、そこに挟まれる主人公の心中を今からお察ししてしまう。


3月6日(日)

 「流浪の月」を読んでいて「幸色のワンルームみたいな話だな」と思っていたら、TVerでまた配信されてた。

 「流浪の月」も「幸色のワンルーム」も家で虐待されていた少女がイケメンに匿われる話なのである。
 「幸色のワンルーム」は「少女の誘拐を肯定している」として、地上波放送されなかったのだが、それが逆に話題になったので、「どんなもんじゃろ?」って見てみたら、拉致監禁がどーのというよりも、虐待シーンが恐ろしかった。

 1話は初めて見たのだが、少女が床の上にぶちまけられた食事しか食べたことがなく、だから、箸もちゃんと持てなくて、「手作りの料理なんて初めて食べた」と喜ぶシーンが切ない。
 このドラマで初めて山田杏奈を知ったが、2018年放送ってことは当時18歳になるかならないかだったのか。でも、ほんと中学生くらいに見える。

 そして、少女を保護する怪しい「お兄さん」役の上杉柊平は、今だとまさかのコロナ仕様というか、ずっとマスクしているので、全然顔がわからないのである。今見ると横浜流星みたいだけど。
 当時も「このイケメンっぽいけど、全然顔がわからない人誰?」と思って調べたら、少し前に公開されていた映画「リバーズ・エッジ」でクズい役を熱演していた彼だと気がついて、「どーして、そーゆー、(役者として)報われない役ばかり引き受けちゃうんだよぉ」と、ひどく同情して、すっかりファンになり、今に至る。

 2年くらい前に一度、路上ですれ違ったことがあり、「上杉柊平に気がついた自分エラい」と自己満足に浸った。
 「家の近所で2回くらい横浜流星とすれ違ったんですよお」っていうのは、私の定番の自慢話というか、「自慢話のようで実は何も自慢してないので、雑談ネタとして重宝している」ので、上杉柊平にも、もっと出世してもらいたい。

 さて、「流浪の月」も3回くらい読んで、「次何読もうかなあ」と思って本屋をブラついていて、ふと「あれってもう出てるのかな?」って探してみたら、ありました。
 「破戒」です。
 特に映画化用になってるわけじゃなかったけど、本屋に並んでいたのは、映画化が発表されたから仕入れられたのかもしれない。

 なんか、けっこう分厚かったので「こんな長編だったっけ?」と思って中を見てみたら、文字がずいぶん大きかった。最近の新潮文庫ってこういう感じなんだ。助かる。
 そして、巻末に用語解説と部落差別の解説がたっぷりあって、だから記憶よりもずっと厚い本になっていた。

 しかし、読み始めて「え?こんなに読みにくかったっけ」と驚いた。
 会話も「馬鹿をいいたまえ」みたいな感じだし。

 つーか、中学校の時の夏休みの宿題で読書感想文書いた記憶があるのだが、ほんとにこの小説だった?
 こんなの、中学生の課題図書にする?

 でも「部落差別ってこういうことだったんだ」って衝撃を受けた記憶はあるので、やっぱ、中学生の時だったのかなあ?
 って、考えてみると、当時の児童書として人気があった「少年探偵団」とか「アルセーヌ・ルパン」とかも、けっこう古めかしい文章だったのかも。シャーロック・ホームズだって。

 そもそも、私が文学作品を読むようになったのは、親に「漫画ばっかり読んで」と詰られたので、「じゃあ、ちゃんとした小説も読めばいんでしょ」と「雪国」を読んだのがきっかけだった。
 そして夏目漱石とか読み始めて、太宰治とか三島由紀夫とか、「とにかく漫画と並行して新潮文庫読んでればいいんですよね?」って感じだったので、その当時はこういう文体に今よりも馴染んでいたのかもしれない。

 それに、島崎藤村が「破戒」を発表したのが、1906年らしいので、私が生まれるちょうど60年前で、私がそれを読んだのが、私が15歳くらいの頃だから「75年前の小説」であるが、あれから40年。今では「100年以上前」になっているのだ。

 私は明治時代が終わって、46年後に生まれており、だから私の祖母も明治生まれだったけど、あの当時の高齢者はみんな明治生まれだったのである。

 ああ、そうか、私は明治時代の46年後に生まれて、今55歳だから、私の人生はどっちかというと明治に近くなってしまったのだ。って、どういう計算なのか意味不明だが、今が戦後75年くらいだとすると、私が生まれた「戦後20年」っていうのはとてつもなく戦後に近いではないか。

 阪神大震災から20年とか言われた時「ああ、戦後20年ってこういうことか」って思ったし、そもそも昭和が終わった時に「ああ、これって、そのうち昭和が明治みたいな扱いになる」と思っていたけど、平成が終わって令和になった時に「本当に明治女みたいなことになってる」と思った。

 幸いにも、昭和が長かったので、20年分の後輩がいるから、心強いんだけど。

 で、「破戒」の話に戻るが、あらためて読むと、っていうかほとんど初見の気分だが、大人になってからインドのハリジャンっていうのを知ったけど、ほんと、そんな感じだったのね。
 でも、江戸時代では、士農工商という厳格な身分制度もあり、穢多にもきちんとした役割が与えられていて、身分は底辺だったが、経済的に貧窮していたわけではなかった。

 それが明治維新で、身分制度が崩壊して、士族も零落したが、穢多も既得権益が崩れて、ああ、そっか、今と同じ「自己責任」の世の中になったんだ。
 なんか、郵便局や大学が民営化された今の時代に通じるものがある。

 そして、教育ね。
 明治維新の功績はなんといっても教育で、その当時の身分の低い子でも、そこそこ頭が良ければ師範学校出て教師になるという、わかりやすい出世コースがあった。
 もっと優秀な子は、中央官庁に取り込まれて行ったんだと思うけど。

 なので、「破戒」の主人公・丑松は生まれた時は、穢多の出身で、ずっとそこで生きているはずだったのに、ご維新のおかげで高等教育が受けられて、「教師」というサラリーマンになった。

 しかし、自分の身分をひた隠しにすることに、だんだん耐えられなくなってくる。

 まだ、5分の1くらいしか読んでないけど、だんだん慣れてきました。

 何よりも、心の中で「この鬱陶しい主人公のビジュアルが間宮祥太朗」でニヤニヤしちゃいます。
 今放送中のドラマ「ファイトソング」でも、間宮の隠キャ最高だし。

 猪子先生が眞島秀和なので「穢多勢、イケメンばかりじゃんwww」と思ったが、大東俊介は役名が未定だけど、あの政治家役かしら?

 間宮は大河ドラマ「麒麟が来る」には出たけど、他に時代モノで見たことがないので明治時代のコスプレがとにかく楽しみです。


3月5日(土)

●映画「余命10年」

 前にも書いたが、私は余命モノというか難病モノが苦手である。

 昔はそれなりに楽しんでいたと思うが、「世界の中心で愛を叫ぶ」の小説を読んで「あれ?全然泣けなかったんだけど、どこが泣き所だったの?」って思ったあたりから苦手を意識した。

 なので、この映画もたぶんぜったい無理だと思ったのだが、朝ドラで私の心をあれだけ鷲掴みにした坂口健太郎の最新作なので、とにかく課金したかった。
 それに「このままだと写真集買っちゃいそう」と去年の暮れに思っていたのだが、今までそうやって買った写真集は部屋の散乱の役に立っているだけなので、買わなかった。
 つーか、坂口健太郎は好きだけど、私の中ではあまりランキングが高くないので、「そこまでしなくても」って思っているようだ。

 なので、この映画もスルーしようかと思ったが、岡田惠和脚本で藤井道人監督だったので、「苦手な題材だが、それほどダメではないかも」と淡い期待を抱いて見てみました。



 ・・・退屈した。



 泣く場面もなく、笑う場面もなかった。

 坂口健太郎のうなじがアップになったりしていたので、「坂口健太郎のうなじのホクロ」を数えたり、私が大好きな坂口健太郎の左耳の窪みを「ああ、やっぱ、あそこで暮らしたいなあ」ってニヨニヨしてみたり、あと、山田裕貴が安定のウザい同級生役だったので、「ほんと、ウザい役上手いなあ。つーか、この山田裕貴が実は坂口健太郎のことが好きだったら最高なのに」とか、BL企画を妄想してました。

 まあ、でも、小松菜奈と坂口健太郎のカップリングはビジュアル的には最高だったんだけど、ファッション雑誌のグラビアみたいに一瞬一瞬を切り取りすぎてて、「映画なんだから、もっとキュンキュンさせろよ」とボヤいた。

 あと、コロナの影響もあったのだろう。
 細かいことは忘れてしまったが、主人公は2011年頃に「あと10年生きられない」と覚悟していて、2013年に東京のオリンオピック招致が決まった時にも「私は見られるかなあ」って遠い目になるのだが、こっちも「コロナのことなんて全く予想してなかった自分」を思い出してしまう。

 えー、ってことは?この主人公が危篤状態になった時にコロナ禍になるの?それは泣く。

 さらに坂口健太郎はリリー・フランキーが店主の居酒屋で働いていて、独立しようとしていて「えー?ってことは、自分の店開いたら、コロナ禍になるの?それは泣く。」と盛大に身構えていたら、コロナ描写ありませんでした。

 なので、こっちが勝手に「コロナまでの10年間のカウントダウン」だと思ってしまい、ズっこけたけど、制作側も「2011年の震災から、2020年の東京オリンピックまでをベンチマークにしようとしていたのに・・・」って感じだったのかも。

 あと、よくわかんなかったんだけど、父親役の松重さんは、自宅に手すり作りつけていたり、介護用の椅子?みたいなのイジっていたりと、最終的には自宅でケアする準備していたような描写があったんだけど、その伏線は回収されなかった。

 ほんと、キャストもスタッフも予算もけっこう一流だったのに、なんでこうなった?と考えたのだが「原作が実話だったから?」と思い当たった。
 原作者がもう亡くなっているので、とにかく全体的に美化してしまったのではないか?

 って、原作のあらすじ見てみたのだが、原作だと主人公はコスプレしたり漫画描いているオタクだったの?
 さらに、彼氏は茶道の家元の息子とか、え?そっちのほうが映画にしても面白くない?

 よくわかってないのだが、これ、実際に難病に侵されて「余命10年」と闘ったオタクの夢小説なんですよね?

 なので、この映画は「それを小松菜奈と坂口健太郎という人気モデルかつ実力派俳優で実写化します!」という最高のプレゼントなんだけど、そのプレゼントは原作者にしか届かないし、原作者もう死んでるし。

 よって、私のと同じ列に座っていた、ずっとポップコーンをシャリシャリ食べていた女子高生二人組が終映後「寝た?」「いや、さすがに寝なかったけど、ポップコーンの粒がだんだん小さくなってくるのが切なかった」って会話が全てを物語っていたと思う。

 こっちは「難病モノ」で泣こうと思って映画館に来たのに、なーんも泣くとこなかったじゃん。

 ほんと、泣ける映画作るのって、超難しいんですよね。合掌。


 いつも言ってるけど、面白い映画を見ると語彙力失うのに、つまらないのを見ると、なんで饒舌になるんだろうか?
 ネットでアンチが活発なのもよーくわかるよ。


3月4日(金)

 この年になって「私って不思議ちゃん?」な自慢したい気持ちは全くないのだが、「コロナのワクチン接種で全然副反応なかったので、3回目に超期待してるんです」っていう私の素直な気持ちが全く理解されないのでヘコむ。

 今週、3回目受けた人がちらほらいて、「1回目も2回目も全然なんともなかったのに、3回目で38度の熱が出た」などの報告を受け、「えー、それはワクワクしますね」と笑顔で言ったら真顔で引かれた。

 そんな雑談をしていたら、「やっぱ3回目怖い」という人がけっこういて、でも、その人たちも、1回目2回目でそれほど強い副反応出てないはずなんだけど、「あれよりも強い副反応出たら怖い」っていうことなんだろう。

 ちょっと熱が出るくらいで何であれだけ怯えるのか、私にはよくわからないんだけど、自分が子供の頃しょっちゅう発熱していたので発熱に抵抗が無いというか、大人になってから発熱くらいで医者に行ったことがないって話しても理解されないしなあ。

 そもそも3回目接種って、「感染予防」よりも「重症化回避」みたいで、それは、3回目接種が進んでいても感染者数は減ってないけど、重症者数は明らかに横ばいになってるので、このまま進めば少しは落ち着くのかも。

 個人的な意見としては「早く基礎疾患のある子供に打ってやれ」

 糖尿病とか白血病とか、ぜんそくとか詳しくは知らないけど、基礎疾患のある子供は怖くて学校に行けないという話もあるようなので、そっち優先だろうと思う。

 だから、40代以下のもう2回目接種済んでる人は、それほど3回目接種に拘らなくてもいいと思っている。

 なーんて話していたら、副反応に怯える同僚が、ちょっと低音の震えた声で何やら本音を語り始めた。

 彼女はコロナワクチンの安全性については不安だったが「コロナに感染したほうがもっと怖い」と判断して、ちゃんと1回目2回目は受けていたのだが、今年になって腸に炎症が起きて入院したことで不安が高まっていたらしい。

 「去年の健康診断で白血球の値が高かったので、どこかに炎症があるかもしれないと言われていたんだけど、救急車呼ぶくらいの劇症になったのは、もしかしたら、コロナのワクチンの影響だったのかもしれない」

 えっと、あの、コロナのワクチン打ってから、半年経ってからの「腸炎の悪化」って?

 医学のシロートながら、「それは関係ないんじゃ?」って思うし、どっちかというと、彼女が他の病気(婦人科系)でけっこう強い薬を投与さてるのを知っているので、そっちの副作用じゃ?って思うのだが、そっちは全く不安に思わないのが不思議だ。

 いや、たぶん、彼女はその持病への治療薬にも不安を感じてるのだが、それを打ち消すために「コロナの予防接種ヤバい」ってところに逃避してるんでしょうね。

 そして、たぶん彼女が本当に訴えたかったのは「そろそろ接種票が届いて、3回目接種の話題で盛り上がっているけど、それがプレッシャーになって辛い」ということなんだろうと思って、「3回目接種は高齢者の重症化を防ぐのが第一だから、40代の人は、不安があるならやらなくてもいいと思うよ?その不安の方が体に悪影響及ぼすから」と言っておいた。

 治療中の病気を二つも抱えていて、私だったら「これも基礎疾患にカウントされるのか?」って、そっちを不安に思うけど、彼女は「今、いろいろ弱っているから、しばらく3回目は様子をみたい」と思ってるようで、ああ、だから基礎疾患があるのに接種してない人がけっこういるんだなあ、と、ちょっとだけわかった。

 そして、こういう状態の人をダマすのはけっこう簡単なんだろうなってことも。 


3月3(木)

●小説「流浪の月」

 2020年本屋大賞、2022年、松坂桃李と広瀬すずで映画化。

 いつもなら、そんな映画にも小説にも関心がないのだけれども、現在「美しい彼」沼にどっぷりなので、文庫版発売初日に買いました。

 凪良ゆうのBL小説は「ちょっと違和感のある言い回しが多いなあ」って前にも書いたけど、「流浪の月」はそういう違和感全く感じなくて「さすがわ文芸部門」って感激した。
 いや、たぶん凪良ゆうの魅力は、その違和感のある言い回しなんだろうけど、「流浪の月」は、それをギリギリ攻めていたので、だから「さすがわ文芸部門」

 そんで、話も予想以上に面白く、あまり本屋大賞の受賞作読んだことがないけど、生まれて初めて受賞に納得した。
  前半は彼女パートで「これ、美しい彼パターンで後半の彼パートでひっくり返るな」って読み進めていっても、なかなか彼女パートが終わらず、文庫本めくって彼パートを探したら「え?こんな最後のちょっとだけ?????」

 まあ、それで十分でしたけどね。
 最近のドラマの流行りだった「答え合わせ」みたいに。

 で、まんまと「これ、そういう解釈でまた最初から読まないと」ってことになりました。
 いや、最初からロリコンじゃないのはわかっていたんだけどさ。

 しかし、このキャラを松坂桃李がやるんだ・・・
 私のイメージでは杉野遥亮なんだけど。(植物みたいな男)

 でも、「流浪の月」のフミは「美しい彼」のヒラに重なるところがあるので、「松坂桃李版のヒラ」という私の想像が映像化されるかもしれないので期待が高まる。
 あと、もしかして、パディントンの声でやるとか?(若干、ネタバレ)

 松坂桃李は声作るの上手いから、どうやるのか楽しみです。

 いや、原作読んだ限りでは実写化がものすごく難しいキャラなので、これはやり甲斐ありそう。

 あと、成人した彼女の彼氏がDV野郎だったので「これは誰がやるんだ?」って調べたら、横浜流星!?
 うわ、そっちも超見たいじゃん。(サイコパスとDVは役者の華です)

 と、期待が高まるが、原作先に読んでると、結末わかってしまうから、初見のドキドキ感はもう得られないんだなあ、と思うとちょっと寂しい。
 そして原作のボリュームから、全部は映画に盛り込めないので、きっと設定が変更されたり、構成も変わってくるだろう。

 「美しい彼」は原作とドラマ版が互いを補完しあって、世界観が広がりましたが、さてこの「流浪の月」はどうなるでしょうか?

3月2日(水)

●映画「その消失、」

 藤原季節スランプラリー中なのである。

 これも、コロナ前に撮影された映画で、海外の映画祭で受賞していたが、やっと公開されたらしいことと「記憶障害を抱えた刑事が連続殺人の犯人を追う」という簡単なあらすじしか知らないで見てみた。

 そしたら冒頭の「電車が通過する線路脇の道を歩く男」のシーンで、心を鷲掴みにされた。
 「通過する電車」というのは映画やドラマではよくあるシーンで、それがバッチリとハマると「電車先輩名演技だ!」って心の中で呟いてしまう。
  交差する電車先輩は、恋愛ドラマで「二人の心が動いた」って表現になるし、高架を走る電車先輩は「不穏」を表していることが多い。
 海外の日本映画ファンは、「電車が走ってるのが日本映画」だと思っているかもしれない。
 鳩が飛ぶのがジョン・ウー作品みたいに。

 で、この映画の冒頭になんで惹かれたかというと、主人公が呆然と歩いている横で、ずっと電車がゴーゴーと走っていたからである。
 普通は、あんな長い時間通過していないので、テイク重ねたのを上手く編集してるんだろうけど、体感的にけっこう長かったので「とにかく、不穏不穏不穏なんです」という意気込みを感じた。

 そしたら、その後は、記憶障害を抱える刑事の記憶の断片?というか、夢とも妄想とも言える映像が続いて、「なにこの、映画版ツイン・ピークスみたいなのは?」と思った。
 その、なんちゃってデヴィッド・リンリみたいな精神世界映像が、かなりちゃんとしてたんですよ。
 って、上から目線で申し訳ないけど、こういう感じの欧州映画を20代の頃よく見ていたので、なんだか懐かしい世界観だったし、低予算映画だからそりゃ、ちゃちく感じる部分もあったけど、ロケ地の選び方が上手いのか、すごくオシャレにまとまっていた。
 イヤな感じだけど、おシャレってなかなか難しいだけど、それが出来てるのって凄い。

 ただ、前半、いろいろ情報量が多く「え?急に出てきた、この人誰?」って「難解だなあ」って思って食らいついていたので頭が疲れたが、後半になって2時間サスペンスみたいに全部回収してきたので「もの凄く気負ってゴテゴテにしていたけど、けっこうシンプルな話だったんだ」とわかった。

 藤原季節も岡山天音も登場したけど、あまり重要な役ではなかったので「あれ?」って思っていたんだけど、後半になって登場した男子高校生が、最初はわからなかったんだけど、途中で「そーだ、板垣瑞生くん出てるんだった」と思い出し、「いや、でも、これ、すっごく若い頃の板垣瑞生だぞ?」

 「精霊の守り人」のチャグム王子だった板垣瑞生は、「私はなんでこんな15歳くらいの男子の胸元がはだけてるのをニヤニヤしながら見ているのだろう」ってくらい私を下世話に魅了したが、いつのまにか成人した彼は、けっこうゴツい感じになっていて、まだ21歳なんだから、フツーだったらまだ全然高校生役やってるはずなのに、テレビドラマでは大人の役ばかりやっている。

 それで、映画見終わった後に検索したら、どうやらこの映画、7年前くらいに撮影されてるらしく、だから、岡山天音も藤原季節も無名時代なんですね。
 泉里香だって、今はよく見るけど、どこで認識したのかよく覚えてないし。

 さらに、すごいのは女子高生パートが平祐奈、久間田琳加、吉田凜音、森田想、芋生悠って、ちょうど今、20歳そこそこの売り出し中女優さんたちで、むちゃくちゃ豪華じゃん。

 主演の札内幸太は「誰?」って感じだったけど、とても良かったし、ほんと、かなり「掘り出し物」だった。

 現時点では、7年塩漬けされた珍品って感じだけど、平祐奈、久間田琳加、吉田凜音、森田想、芋生悠あたりが25歳くらいでプライムタイムでブレイクしたら「幻の名作」扱いされるんだと思う。


3月1日(火)

●映画「愛なのに」

 休みだったので、久々の新宿武蔵野館。ずっと楽しみにしていた城定監督と今泉監督のコラボ企画である。こっちは、今泉脚本で城定監督作。
 私は今泉監督が脚本を担当していない作品の方が好きだったりするので、「どうなんだろうなあ?」と思っていたのだが、めっちゃ面白かった。

 ラブコメ好きな私が大満足の大人のラブコメであった。R15でこんなに笑ったの初めてじゃなかろうか?あ、「娼年」は別格です(そもそもR18だし)

 まず、最高に残念なイケメンの中島歩が素晴らしかった。ちょうど、アカデミー賞候補になった濱口監督作品である「偶然と想像」でも、「中島歩の使用法はこれが正解なんじゃないか?」って感激したけど、同じ時期に中島歩の棒読み演技が見られるなんて、なんかブーム来た?
 棒読みの大御所になっている東出くんが失脚している間に、中島歩の時代が来るのか?

 主人公は古本屋の店主である瀬戸康史で、16歳の女子高生(河合優実)に告白されて、困っている。
 そして、瀬戸康史には過去に告白してフラれた女性がいて、それが、さとうほなみで、その婚約者が中島歩。

 セリフの掛け合いがとにかく最高なんだけど、「人は自分の気持ちを基準に相手の気持ちを推測する」ってところが私に刺さった。
 女子高生にコクられて、「いや、ちょっと・・・・」とお断りするしかないのだが、あの時の彼女もこんな気持ちだったんだろうか?
 そして、彼女とはあの後気まずくなってしまって、交流が途絶えてしまったが、この女子高生とはあまり気まずくならないのは、彼女が少しは自分に気持ちがあったからではないか?

 彼女←僕←女子高生 という図式が、だんだんと、彼女(婚約者あり)←僕←女子高生(手だしたら即アウト)という、全然そういうんじゃないのに、図式としては「禁断の関係」に挟まれて、古本屋の奥で本を読みながら店番していた瀬戸康史の激動の日々が描かれる。の、だが、大した話じゃないんですよね。

 って、最近見た瀬戸康史は「ルパンの娘」だったり「コンフィデンスマンJP」だったので(笑)

 変則的な三角関係に巻き込まれて、アワアワしてる瀬戸康史は最高に愛らしかった。

 以下、念のため、ネタバレですが、



 さとうほなみと濡れ場があるのだが(まあR15だから)、「絶対に間違いがあってはいけないから」って瀬戸康史が念のためコンドーム2枚重ねようとするシーンで大爆笑してしまった。
 場内も笑いが起きており、たぶん、私と同世代の人は、イカ天の「2枚でどうだ!」を思い出したはず。

 城定秀夫監督って、私は「アルプススタンドのはしの方」が初めてだったのだが、ピンク映画で有名な監督らしいけど、たしかにベッドシーンの撮り方が上手かった。
 今まで見た、R15映画とは違った。

 そういえば、城定監督って過激BL映画の「性の劇薬」も撮ってるんだよね。
 あれ、映画館のポスターで見て「ええええええ?」って興味惹かれたんだけど、コロナ禍だったので、なんか見逃してしまって残念だったんだけど、見てみたいなあ。

 また話がとっちらかってますが、ちょいエロなラブコメで、「え、ここで笑うのちょっと勇気いるな」って場面で声出して笑うの、ちょっと勇気が必要でしたが、他の観客もけっこうゲラゲラ笑っていたので、なんか楽しかった。

 コロナだったりロシアだったり、ほんと気が滅入ることばかりだけど、「えええ?オレってセックスが下手だったの?」っていう場面で、「ぐはっ」と声出して笑うの超楽しかった。

 今泉監督と城定監督の「こんな時代だけど、ちょいエロで、ちょっとだけ発散しようぜ」という優しさが伝わってきて、映画見終わったあとちょっと泣いた。

 そして「やっぱ他人の気持ちはよくわからないが、自分が他人を好きだと思う気持ちには正直にいよう」というメッセージを感じたし、いや、それが作った側の意図なのかもわからないが、とにかく私がそう感じたことが重要なのである。

 3月中旬には、城定脚本・今泉監督作の「猫は逃げた」が公開されるが、「愛なのに」にもチョイ役で出ていた毎熊さんと猫がスライドするみたい・・・・って、熊と猫って、パンダかよ(笑)

 そっちも2組のカップルの話みたいだが、予告編だと全くR15ポイントないので、どうすんの?
 まあ「愛なのに」も、まさかの瀬戸康史のベッドシーンだったので、「なんか地味に興奮するぜ」と思ったけど、「猫は逃げた」は毎熊さんと見せかけて、井之脇海くんになんか凄いことやらせたりするんだろうか?

 下世話な期待が膨らみます。


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