可燃物な日々

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 日本酒8合飲んだ勢いで、新しい掲示板を作りました
2月15日(木)

 年末年始進行や繁忙期も終わり、自分の仕事に集中できるようになってきたので、最近はそれほど残業しなくても済んでいるのだが、それで少し気が緩んだのか、疲れが噴き出しているのか、夕方になると軽い頭痛と眩暈がするようになり、「アルコールで脳神経がやられたか?」と晩酌を止めていたのだが、そうなると寝つきが悪く、頭痛が悪化していたのだが(あと、なぜか左手の小指の付け根が痛くなり「♪あなたが噛んだ?」と頭の中でリフレインしていた)、昨日は「ぐっすみん」を飲んで早寝したら、今日はすっきり。頭痛も謎の「利き手でないほうの小指の腱鞘炎?」も消えた。

 要するに軽い睡眠不足だったのか?
 それにしても、「ぐっすみん」とは相性がいい。(ライオンの回し者ではありません)
 そんで、今日も帰りに「ぐっすみん」を置いているスーパーに寄って、まとめ買いをしようとしたら・・・・・無かった。
 しょーがないから、酒買って帰った弱い私である。

●普通の人々?

 S課長の不登校事件で、マスオさんもやや課長に不信感を持ったのか、それともただ単に忙しかったのか、けっこう気の合っていた二人だが、最近あんまし雑談してなかったのだが、マスオさんも仕事の山を超えたので、機嫌がいいようで、昨日は朝から課長と雑談で盛り上がっていた。
 つーか、「おめーら、昼食中のOLかよ?」と思うくらい。
 話題は「投資」だったり「保険」だったり「航空会社のマイレージ」だったりするのだが、「今後のユーロの展開はどうなんでしょうね?」というお天気の話題レベルのことを延々と雑談しているので、横で聴いててイライラしてしまう私も狭量の極みであるが、でも、女子社員のブランド物話よりも中味がないんだもん。

 そんで、私がイライラする理由は、課長はマスオさんが好きな「投資話」に興味深々で聴き入っているように見えて、実はそれほど興味がないあたりだ。
 彼の話術は、ひたすら「相手に合わせる」のようで、私にもいろいろ話題を振ってきて、食いつくのをじっと待っているようである。
 たぶん、「営業マン」としては、あれで正解なのかもしれない。
 私も、他社の営業マンと接する機会がたまにあるが、ああやって、無難な話題を散りばめて、相手が食いついてくるのをじっと待つ作戦の人はけっこう多い。そういうマニュアルなんだろうけど、あんまし好きになれない。たまにわざとノってあげると、相手が「してやったり」な表情を浮かべるあたりも気に入らない。

 まあ、そんなわけで、マスオさんと課長の「大人の男のお天気話」をじっと我慢して無視していたのだが、午後になってマスオさんが派遣のAさんに単純作業を頼み、マスオさんはそういうとこ妙にデキる奴だから(天然)、手が空いた隙に、Aさんの進行具合を確認すると同時にしばらく一緒に手伝っていた。

 Aさんは、午前中にマスオさんが課長と「マイレージ話」で盛り上がっていたのを聞いていたらしく、「マイルどれくらい溜めたんですか?」と話をふって、その後、二人でエラく盛り上がっていた。Aさん、ちゃきちゃき下町のオバチャン系なので地声がデカイのである。

 しばらく「J○Lはいろんなのでマイルがつくからハマる」という話題で騒然となっていた。
 マスオさんって、すごいなあ。
 課長と話していると「男同士の無難な話題」をおっとりと進め、Aさんと話していると、まるでパートのおばちゃん達の会話だ。
 彼は事務職よりも、他に天職があると思う。(新興宗教の教祖の付き人とか?いや、大物俳優の付き人でもいいんすけど)
 「無難に会話したい人」はもとより、ハイジみたいに「おれおれおれさっ」な人にもジャストフィット。

 ハイジは「オレがマスオに吹き込んだから、あいつFPとかに興味持つようになって、それで総務に来た」と言っていたけど、今じゃ、ハイジもすっかり株にハマり、親会社に出向中なのに、向こうの仕事が終ると、残業しているマスオさんのところに来て「オレが買った株が今日は上がった〜〜〜」「今日は下がった〜」と報告しに来る。
 他に楽しみはないのか?

 つーか、やっぱし、ハイジの嫁になれるような人材は、マスオさんの他はなく、私が知る限りでは、あんな女性はこの世に存在しない。つーか、そもそもああいう性格の人は珍しいのだ。超マイペースなのに、自己主張は感じなく、自然と他人に歩調を合わせる。

 で、話は散漫だが(平凡な日常風景であるが、突っ込みどころ満載で困る)、マスオさんとの雑談にノリノリになった課長は、夕方になったらなぜか、「面白かった映画の話」を始めた。

 たぶん、ネット・ニュースで拾ったのだろう「へえ、オーシャンズ12の次回作が・・・・」

 「はあ、そうですか」と、仕事しながらも返事するマスオさん。
 マスオさんは昨日また半日外出仕事に刈りだされて、夕方やっと自分の仕事ができたのだが、課長はその間、ずっと暇そうで「こいつを外出仕事にかりだせよ」と私は密かに怒り心頭だったのだが、そんなこと両者は知るよしもない。

 そんで「オーシャンズ11は面白かったけど、12もけっこう面白かったよ」と課長。
 はあ、そうでっか。貴重なご意見ありがとうございます。

 そんで、けなげなマスオさんは「あれって、ジョージ・クルーニでしたっけ?」とか相槌打ちやがる。
 相手が食いついてきたので、課長はエンジンかけてました「ほんと、豪華なんだよね〜、あれだけのメンツだとギャラは想像もつかないよなあ。ブラピまで出てるし、あと女性だって、ええと、誰だったけ?」

 しばし、課長とマスオさんで、オーシャンズ11に出てる豪華俳優の名前探し。
 山の手線ゲームか?

 そんで、「すごいメンツだし、すごいギャラだよねえ」って、ほっこりと盛り上がっているので、とうとう私はブチ切れて、うっかり会話に参入してしまった。
 「あれは、ジョージ・クルーニーがアニキだからできることで・・・・・」

 しかし、あっさりと流された。

マスオさん 「ジョージ・クルーニーってERで有名になったんですよねえ?」
S課長   「ああ、だから、テレビ界には顔が利くんだろうね」
マスオさん 「それにしても、すごいメンツですよね」

 ああ、そっから先には進まないのだな。
 その後、「スーパーマン」もよかったとか、なんだか忘れちゃったけど、メジャーな映画で「よかった」やつを羅列してました。そういうデジタルな話題進行苦手なのよ〜
 アカデミー賞にノミネートされたから、いい映画、いい役者に決まってるみたいな世界観は。

 監督の采配に苦言を呈しているトラキチの雑談のほうが、興味なくてもよっぽど面白い。
 カミさんがトラキチで、自分は巨人ファンの夫婦のシーズン中の気まずい雰囲気の話なんかもちゃんと普通に聴ける。
 そういうのだって、「無難な雑談」だけど、ちゃんと話している本人が「心から興味のある話題」であれば、それなりに耳を傾けたくなる。

 そうじゃないと、ほんとに「初雪もまだなのに、春一番とは異常気象ですねえ」「ほんとですねえ」で終わりだ。

 あと、ふと気が付いたのは、雑談していた相手が、ちょっとヒートアップしたときに、「へえ、詳しいですねえ」とか「博識ですねえ」と相槌打つのはあんましよろしくないらしい。

 今日、派遣のAさんが仕事のことでちょっとした質問をしてきたので、「それはね・・・・」と延々と語ったら、「ミヤノさんって、知識豊富なんですねえ」と言われたが、それは誉め言葉に聴こえなかった。
 それは例えば「配偶者はなんで収入を100万円以下に抑えなくてはいけないのか?」って質問に答えたら「へえ、博識なんですねえ」って言われたようなもので、私はそういうののプロなので、その程度の知識は当たり前である。

 誉められて、悪い気はしないが「へえ、よく知ってますねえ」という誉め言葉は実は誉め言葉ではない。

 例えば、私に「情報システム部」勤務のIT系な甥っ子がいたとして、「おばちゃん、パソコン買ったんだけど、インターネットが繋がらなくて」と「つなぐ君」をお願いて(弟の嫁が「ほら、おばちゃんのパソコンなんとかしてあげなさい」と送り出した)、甥っ子が易々と繋いでくれたら「へえ、すごいわねえ」と大喜びであるが、その甥っ子が「おばちゃんちの回線は、どうたらこうたらで、これはルータがどうたらこうたらで、だから、どうたらこうたらすれば、どうたらこうたら・・・・」、と今後のためにきちんと説明してくれたとしたら、私は「へえ、Aちゃん、すごいねえ。よく知ってるんだねえ」と言うだろう。

 要するにインターネットが繋がればいいだけで、「もし、今後、こうなったら」とか「こうやって繋いだから」なんてことはどうでもいいのである。で、私みたいな「おばちゃん」には、わけわかんないことを説明しはじめたので「へえ、すごいねえ」っていうのは「わけわからんから、テキトーに聞き流させていただきます」というのの言い換えである。

2月13日(火)

 今日は5回も再起動した。

 うーん。今話題の「湯沸し機で一酸化中毒」のニュースであるが、前の別のメーカーの時にも思ったけど「そりゃ、危険があるのかもしれないけど、その昔の練炭ブームのときには、もっと一杯死んでなかったか?」

 使用者が悪いのか、メーカーの責任なのか、けっこう難しいところのようだが・・・
 そんなことを考えていたら、今回のリンナイのケースでは、どうやら、着火がなかなかスムーズに行かないので、何度も何度もカチカチやっているうちに、不完全燃焼センサーに煤がついて作動しなくなるらしい。

 うーん。毎晩、マシンを何度も再起動している我が身と重なる。えーと、小三治君は不完全燃焼を起こしたりしませんよね?でも、漏電で火事になったりしそうか?

 うーん。世の中には私のように、使っている器具が多少調子悪くても、なんとかそのまま使おうとする人がけっこう多いのか、それとも年間数人の被害数を考えれば、それだけしかいないのか、よくわからんが、まあでも、メーカー側も「こういう無茶な使用をした死亡例があります」と警告を出してもいいのかもしれない。ほら、タンポンには「入れっぱなしにすると死ぬことがあります」ってちゃんと書いてあるでしょ。

 でも、そんな警告なんて読まない人も多いだろうしなあ。
 そういえば、隙間風とお友だちだった、私の生家では(窓枠は全部、木枠だった。増築部分はアルミサッシになったけど)、ガス給湯器が導入されたとき、ちゃんと台所の窓を少し開けて使っていた。風呂場もいつも換気することになっていた。そういや、学校でも、休み時間に強制的に窓を開けて換気させられてたっけな。

 エアコンが普及してから、なんとなく換気に気を配らなくなったのかね?

 まあ、さすがの「壊れていても我慢してなんとか工夫して使う」という癖のある私も、ガス・ファンヒータが古くなったのには「買うのも捨てるのも面倒だが、命には替えられない」と思って、去年やっと買い換えました。前のは15年くらい使用してた。調子が悪いわけではなかったが、けっこうホコリ溜まっていたし、音もうるさくなっていたし、臭いも少し感じるようになったので。
 でも、アパートの部屋に据付のガス給湯器だったら、けっこう我慢してしまっただろう。そういうのをすぐに大家にお願いしたり、自分で修理呼んだりをさっさとできる人もいるんだろけど・・・・。うん、お風呂のバランス釜が調子悪くなったら、ちゃんと大家さんに申し出よう、と決意した。

●「のだめカンタービレ」新刊発売日

 先日、コンビニで他の漫画雑誌(コーラス)を買うときに、となりに置いてあった「KISS」の表紙に「のだめ新刊 いよいよ2月13日発売」と大きく書いてあったので「ああ、新刊出るのか」と思っていたが、記憶力が悪いはずなのに2月13日っちゅうことはバレンタイン・イブと記憶していたので、今日の会社帰りにふと「あ、今日じゃん」と気がついた。

 それでも自分の記憶力に自信がなかったが、でも遠回りして本屋に寄ってみた。
 ありました。レジ前に山積みっていうか、最初は発見できなかったんですが、店員のアンちゃんがせっせと補充しているのが「のだめカンタービレ 17」でした。
 どうやら品出しが間に合わないようで、ビニルカバーしてないし(笑)
 さらに、私の前に会計していた大学生くらいの男子も「のだめカンタービレ 17」を買ってるし(笑)
 で、レジ中には、店員のアンちゃんがビニルカバー掛けをしている最中の「のだめカンタービレ 17」が詰まれてるし(笑)
 いやあ、もう、笑ってしまうくらい景気がよろしいことで。

 「世間でバカ売れしているものの多くは、全然私の趣味ではない」と思うことが多いので、大ベストセラーに乗っかるものたまには楽しいものである。だいたい、漫画の単行本を発売日に買うなんて、何年ぶりよ?

 さらには、私の後ろに並んでた中年男性までもが「のだめカンタービレ 17」を手にしていた。こりゃあ、いくらせっせとビニルかけても間に合わないはずだ。しかし、こんな老若男女をとりこんだ漫画も珍しいのでは?
 私が大学生のとき(20年前)、ジャンプ全盛期にも、人気連載の単行本が出ると羽が生えたように売れていったが(私はトロかったのでコミック売り場のレジは任されなかった)、あんときは小中学生男子が続々と同じ本を買っていったけど。

 うーん(今日はこればっか)、せっかくのブームだから、ついでに、くらもちふさこの名作「いつもポケットにショパン」も再評価されないかなあ。けっこうエピソードがかぶるので、いけると思うんだけどなあ。いや、パクりと言いたいわけじゃなくて、「のだめ」もきちんと少女漫画の王道をふまえているということが再確認できます。
 「親子の確執」とか「テクニックよりもメンタル重視」とか。ああ、「美味しんぼ」もそうでしたっけ(笑)

 ええと、今日は他にもなんか考えていて、「おお、この視点は新しい!」と自画自賛したことがあったような気がしたが、すっかり忘れた。ほんと、40過ぎたら、爆発的に「もの忘れ」が激しくなったよ。若年性アルツハイマーのことがテレビでやっていると、マジに不安になる。(でも、多少壊れていても我慢してしまうので、相当進行しないと病院に行かないだろう)

 メモとして、最近気になっていることは「超苦手な出入り業者とやりあって、ますますコジれてうんざり」(いちゃもんつけたつもりじゃなかったのに、正当な「改善」をお願いしたら、向こうがムキになって反撃してくるし、なんだか完全に誤解しているしで、かなりうんざりしていたら、向こうが急に方向転換して「よ!ミヤノ経理部長サマ!」と媚びはじめたもんだから、もう勘弁してほしい)とか、「周囲がプチ投機ブームでうんざり」、と、うんざりすることばかり。
 忙しいのもあって、会社では不機嫌な顔をしていることが多くなってしまった。これも寄る年波かね。
2月11日(日)

 九州出張で学んだことに追加。

・ついに、あの佐賀県が私のバカ脳内地図に書き込まれた。漠然とだけど、福岡空港から「佐賀県はあっちの方向」と指差すこともできるし、西鉄久留米駅から「あっちの方向」と指差すこともできるようになったので、少なくとも東ティモールよりはマシになった。

 一ヶ月ぶりの連休(?っていうか、普通の土日だけど)だったが、やはり引き篭もってしまった。世間では三連休らしいが、明日は出勤よ。
 2月にどれくらい有給消化できるかなあ?2月は28日までなので、普通に土日祝日休みの人は19日間しか出勤しないのだが、うちの会社は「2月だろうとなんだろうと、月に23日出勤」という過酷な勤務システムなので、人並みに休もうとするだけで有給を4日間使うことになるのだが、なかなかそうもいかなかったりする。

 この間、野沢尚脚本の「氷の世界」を観ていて「けっこう野沢作品は好きだった」と思ったが、よくよく調べてみたら、そんなに観ていたわけでもなく、最初にハマったのは「青い鳥」だったのですごく印象に残っているだけだった。トヨエツの駅員さんコスプレに胸きゅんだっただけという噂もあるが・・・・

 そうか「眠れる森」も野沢作品だったのね。
 そんで、そっちのほうが「氷の世界」より前だったらしい。
 世間では「眠れる森」のほうが高視聴率だったし、犯人探しも話題になったようで、評価は高いようだが、私はあんまし好きじゃなかったなあ。ミポリンが苦手だったので・・・
 そういや、槙村さとるの漫画が原作だった「おいしい生活」も野沢脚本だったようだが、あっちも原作は大好きだったので期待して観たが、「ああ、やっぱミポリンがダメ」と途中で離脱してしまったが、野沢尚もリタイアしていたらしい。なんでだか知らんが。

 あと、「眠れる森」はキムタク主演のサスペンスであったため、後の「空から降る一億の星」と混同しているようだ。そっちは、キムタク+さんま+深津絵里だったんだけど、どうも、さんまの演技が鼻について観てられなかった。さんまは大好きだが、役者としてはよかったものが全くない。特に「空から降る一億の星」では、やたらと渋い顔をしてタバコを吸いまくり、「タバコに逃げるな」と思ったっけ。

 そうそう「眠れる森」で圧巻だったのは、ユースケ・サンタマリアだった。
 「踊る捜査線」はあんまし観てなかったけど(ミポリンと並んで、織田ユージが苦手)、ユースケがいい味出してるのは知っていたが、「眠れる森」では完全にキムタクを食っていた。
 特にユースケがビルから飛び降り自殺するまでの、キムタクとマンツーマンでの長ゼリフは、ユースケの独壇場で、「こりゃもう、してやったりだろう」と思ったが、あれからしばらく「ユースケすごい!」と友だちとの長電話でも盛り上がったものだ。

 「眠れる森」は、たしかに「謎ときサスペンス」としてはよく出来てたかもしれないが、ミポリンが自分の中で封じ込めた記憶との闘いの比重が多くて、それがなんだか相手役のキムタクが前年にやった「ギフト」っぽくて(あっちは飯田譲治でしたし)二番煎じな気がしたが、「氷の世界」のほうは、ヒロインが抱える「過去の記憶のフラッシュバック」が被害者としてなのか、加害者としてなのかが曖昧なので、さらに一歩進んだかんじがして面白かったんだけどな。

 「氷の世界」で拘留されて厳しい尋問を受けたヒロイン松嶋が、拘留が解けたときに警察を出て、振り返って不敵に微笑むというシーンを観て、「それって、『破線のマリス』の主要プロットじゃあ・・・・」と思ったりした。

 野沢尚の小説は「破線のマリス」しか読んでなくて、けっこう期待していただけに、えらくつまんなかったんだけど、「脚本家のクセが出たな」と思った。キャラをきちんと描けてなかったのである。ドラマの脚本だと、そこは役者や演出家の仕事なんだろうけど・・・・

 でも、「氷の世界」で松嶋菜々子が意外に「ミステリアスな悪女」に大根ながらもしっかり演じてしまったように、「青い鳥」でトヨエツの貧乏クサさが輝いてしまったように、偶然だったのかもしれないけど、脚本がちゃんとしていたから、役者も演出家も張り切って実力以上のチカラを出したのだと信じている。

 倉本聰の脚本ドラマだと、なんだか全員「演技派」にバケるような、そういうパワーを野沢ドラマでも随所に感じていたので自殺したときにはほんとショックでしたよ。

 久々の土日休みだったので、久しぶりに「ER」を観たが、やっぱ脚本が練られてるなあ。
 デブで人種差別発言も女性差別発言も平気な受付担当オジサンが心臓発作で倒れるんだけど、それで彼が実は、有色人種の同僚のことをきちんと評価していたことがわかってきて、黒人やインド人女性は複雑なキモチ・・・ていうベタなエピソードなのだが、こういうベタなことをきっちりやれる脚本って意外と少ないと思うのです。

 そういや、しばらく入院していたらしく活動を休止していた「くらもちふさこ」が、また連載を始めたが、その「駅から5分」っていうのがけっこうすごい。
 ネタとしては、「関係ないようなエピソードが交錯して・・・・」という、革新的なようでいて、けっこう使い古された構成なのだが、やはりこの「少女漫画の大御所」が描く「と・き・め・き」の威力はすごい。

 年齢を知らないのだが、私が小学生のときには、すでに「別マ」の顔だったので、50歳を過ぎているのは確実だというのに、その創作意欲に驚かされる。その演出力は、私にとっては「キューブリックか、くらもちか?」ってマジに思うほどなのだが・・・・まあ、それは大袈裟としても、「少女漫画」という舞台は、けっこう制約が多いのに、その中で、あくまでも「王道」を貫きながらも革新的なことをやろうとする姿勢はほんとにすごいと思う。

 今だと、萩尾望都よりも、くらもちふさこなのではないか?
 「バルバラ異界」はSFの賞をとっていたけど、あれはあんまし面白くなかった。まあ「残酷な神が支配する」の連載が予想外に長引いていて「この話、キツいから早く終ってよ」と思っていたので、「バルバラ異界」が始まってうれしかったのであるが、「マージナル」とか「銀の三角」なんかのほうがSF漫画としては面白かった。
 「バルバラ異界」は、展開が早すぎて、萩尾望都の特色である「サブキャラがなんか好き」っていう入れ込み方できなかったしなあ。萩尾望都の漫画は、「3番手以下」がヴィスコンティ映画並に書き込まれていて、そのあたりが魅力なんだが。

 さて、相変わらず小三治君は調子が悪いのだが、「起動すると最初はブモーって言うけど、再起動するとおとなしい」ということに気が付いてしまい、「まあ、ちょっと時間はかかるけど、まあ使えるか」という心境になってしまった。私は「もったいない」というか「買い換えるのが面倒。修理に出すの面倒」な体質なので、壊れかけた家電でも使い方のコツを覚えると、けっこうそのまま使ってしまうのだ。

 10年前、インド旅行したときに、パラサイトシングルな友人に部屋を貸したが、その際に「この洗濯機はタイマーが壊れているが、こうすれば使える」とコツを伝授しておいたのだが、友人はやはりコツを習得できずに「洗濯はコインランドリーに行った」らしい。
 私は壊れているものは直せないが、「壊れているなりのお付き合い」はできてしまうので、それは人間関係もそうらしく、人間関係のほうでは失敗が多かったような気がする。(壊れた洗濯機をどう使うかは、私だけの問題だけど、「壊れた友達」は周囲に絶大な迷惑をかけたりしたので・・・・)

 はあ、明日は出勤だ。そろそろ寝よう。
2月9日(金)

 九州出張日記を書くのに二日もかかってしまい、日記を更新できませんでした。

 会社のラーメンキングには、「丸星ラーメンも食べましたよ!」と報告しましたが、他にも3軒回ったということは伏せておきました。キングも「丸星の味にはびっくりしたよ」と語っていたので「いやあ、私もびっくりしました」と話が弾みました。しばらく仲良くできそうです。

 さて、昨日の休みは予想通り「ほぼ脳死状態」でしたが、午後はフジテレビのドラマ再放送にハマっちゃってね。
 先週の平日休みのときに「あ、氷の世界だ!」って大喜びしていたので、終盤も観れてうれしかった。あのドラマ、大好きだったんですよ。けっこう野沢尚のドラマは好きなものが多い。(小説はつまんなかったが)
 当時はやっぱし竹之内豊がいいと思っていたのですが、今観ると、断然、中村トオルだわね。

 結末がわかっているので(けっこうびっくりするようなドンデン返しだった)、松嶋菜々子の「超ひっぱる毒婦ぶり」を楽しく鑑賞できました。そんで、こういう「少し前のドラマ」を観る際の楽しみは、今は超売れっ子がチョイ役で出ていたりするのを発見することだったりしますが、「氷の世界」でも松嶋菜々子の少女時代を演ずるのは、栗山千明だったりして、「わ〜〜〜〜」と思いました。

 そんで、その後は、前にも再放送で観て「こんなのやってたっけ?」と思った「恋ノチカラ」。
 堤真一と深津絵里が主演のラブ・ストーリー。このドラマの堤真一は、かなり好きである。私はけっこう前から(和久井映見が知的障害者のアーチストを演じた「ピュア」で発見)「好きな俳優?堤真一かな?」と公言していたのだが、なぜか友人たちには「誰それ?西武系の人?」と言われてがっかししていたのだが、その後、「鈴木京香と付き合ってる人」と説明すれば、わかってくれる人が増え、なんだかなあ〜という感じだったが、キムタクと共演した航空会社ドラマで一気に知名度が上がったらしい。

 しかし、深津絵里ってすごいよな。
 別に演技派というわけでもないのだが、彼女が画面に登場すると、なんか引き寄せられるものがある。
 デビュー当時はアイドル歌手としても売り出したが、会社でタダ券をもらって「満月のくちづけ」を観たときに「あ、この子は女優のほうで生き残るな」と思ったけど。

 そーいや、最近の竹之内豊は、「二枚目の壁」という必須科目にブツかっているような気がする。
 たぶん、10年後には玉木宏君も激突する壁。(ミスドの抹茶ドーナツのポスターが最近のお気に入り。輝くばかりに美しい)
 阿部ちゃんは、その壁をけっこう苦労して抜けました。(一時期は二時間サスペンスで「むっちゃ怪しいけど犯人じゃなくて、途中で殺される役」をやってたりしてました)
 阿部ちゃんの成功は、先輩の草刈正雄の影響が大きいと以前から分析しているのですが、これからの研究テーマはやはり「SMAPどこへ行く?」でしょう。

 ジャニーズの40代以上ののお手本になるような、先輩ってほとんどいないんですよ。
 フォーリーブスはもはや原型を留めてないし(たまに12チャネルの旅番組に出てきたりする程度)、トシちゃんは一時期浮上したけど、最近また観なくなってしまったし、マッチはずっとマッチというのが偉大だが、あの人はたぶん、郷ひろみみたいに、ずっとマッチでいるのだろう。

 たぶん、マッチは20年後には、石原裕次郎みたいな地位にいるに違いない。もしくは加山雄三か?
 つーか、マッチを観ていると「裕次郎ってこういう存在だったのかな?」と推測できる。
 なんか想像できません?50歳くらいになって、刑事ドラマで重要なオジサン役やってるマッチと、「この人、おかーさんが娘時代には、ほんと大人気のアイドルだったのよ」って説明しているお母さん。つーか、オバアチャンか(笑)
 で、孫が「じゃあ、おばあちゃんもマッチのファンだったの?」と言うと「・・・・・あたしは、トシちゃん派だったけどね」

 で、孫がインターネットで、「夜のヒットスタジオ」で歌う、マッチやトシちゃんの映像を観ても「これのどこがよかったのだ、ばーちゃん?」と首を傾げる。

 いろんなアイドルの着地点を観てきたが、SMAPはなかなか着地してくれないので、とても気になる。
 「そのうち、しぶがき隊みたいなことになるだろう」と思ってから数年経ってしまった。
 しぶがき隊や少年隊が敷いたレールには載ってくれなかったようだ。

 たぶん、SMAPがちゃんと「新しいジャニーズ」としてのレールを敷いてくれないと、TOKIOやKINKIキッズも困るではないか。
 すでに、TOKIOの城嶋君あたりは、かなり困っていると思う。先輩を差し置いて、新たなステージに踏み出せないから、ずっと足踏みしたまんまなんですが。

 さて、やっと土日が休みだ。月曜は出勤だけど、「二日連続休み」っていうのは先月の16日以降やっとだ。
 ほんと、思いっきりグータラしたい。
2月7日(水)

 もうダメぽ 赤ちゃん本舗 ぽっぽっぽ

 (連続8日出勤による「壊れかけのOL」川柳でした)

 今日は昨日「子供を病院に連れてかないと」と早退したAさんが、「やっぱ熱が出てしまいました」と休みだったので、電話応対や来客へのお茶だしを私が全部やっていたので、仕事捗りませんでした。
 部長も、連続出勤が今日までだったので「もう限界だ。眠い」とボヤいていましたが、私も夕方になったらフリーズしていた。

 明日の休みは、寝てるだけだろうなあ。
 そういや、家に帰ったら、玄関のドアの外に、私の大好きな「うすばかげろう」がとまっていた。
(密に分類すると、緑色なので「くさばかげろう」かもしれないが、どっちにしろ、「夏の虫」のイメージなのだが、この時期に成虫がいるってことは、暖冬の影響?

●続(ってゆーか、やっと)久留米ラーメン紀行

 昨日の続きであるが、さて、まだ薄明るいうちにホテルを出発して、西鉄久留米駅に戻り、そこから2駅先の「宮の陣」までの切符を買った。
 久留米市内の地理にだんだん明るくなっていた私は、すでに気が付いていた。だって、「宮の陣」っていう停留所が空港バスにもあって、そのあたりはガラーンとしてたんだもん。ガラーンというか、「畑〜」っていうか。

 「こりゃ、前回に引続き、暗い夜道が待ってるな」と覚悟していたのである。

 そんで、その覚悟は裏切られなかった。
 グーグル地図で、私が目指した場所の航空写真をご覧いただければ、いかに暗い夜道だったがおわかりになると思います。


 ひとつ、失敗したのは、団地が立ち並ぶ「やや住宅街っぽいほうの道」は複雑そうだったので、川沿いの道を選んでしまったことです。
 そっちは全く街灯無しで、歩道もなかったけど、自動車ビュンビュンだった。街道に出る道だったので。
 そんな道を歩く人なんか皆無だし、車も歩行者がいるなんて思ってないだろうから、かなり危険だった。
 さらに信号で車が途絶えると、周囲は真っ暗な河原である。
 橋のところで、交通量の多い街道に出たが、そこは歩道があったけど、周囲は畑で真っ暗。
 まだ、午後7時前だというのに、気分は真夜中である。

 それでも、やっと目当ての「丸星ラーメン」に到着した。
 我が社のラーメンキングに「大龍ラーメン行きましたよ!」と報告したら、大変喜んでくれて、「じゃあ、あそこも美味しかったよ」と「ああ、オレもまた行きたい・・・・」と遠い目になったラーメン屋である。

 ネットで検索すると、かなりの有名店らしい。
 でも、わりかし、ネガティブな評が多かったのが気になった。

 現地に行って、やっとわかったのだが、外見がホントにボロく、店に入るとまず「おでん」がある。地元民はけっこうおでんを金魚すくいのように楽しそうに盛っていた。
 食券を買って中に進むと、昔ながらの食堂っぽい安物のテーブルと椅子が並び、家族連れや運送業のオジサンたちで8割方埋まっていた。

 そして店員は全員、オバチャン。つーか、おばあちゃんつーか。この店、これで24時間営業してるのか?
 そんで、ネットで調べていたから覚悟はしていたが、店内を飾るのは警察犬のPRポスター。店内を流れるのは、警察犬のPRソング。要するに「かなり変な店」であった。
 こういう「マジにヤバい」という雰囲気は、喜ぶ人もいるし、引く人もいるのだろうが、私は大喜びであった。こういう「全然おいしくなさそうな店」って大好き!

 そんで、出てきたラーメンは、触るとベトベトする丼だし、蓮華はついてこないし、とても美味しそうには見えない。
 しかし、一口すすった瞬間「え?」と思った。

 これは、今までに経験したことのない味というか香りというか・・・・
 なんて言えばいいのだろう?「美味しい」というのとはちょっと別次元なんだけど、「懐かしい味」というわけでもなくて・・・・

 あれを子供のときに食べていたら、けっこういい意味でトラウマになると思う。
 なんて言うのかなあ、安食堂で味の素たっぷりな味噌汁を飲んで「ああ、この味」と思うような、そんな感覚があえて言えば近いんだけど、でも味の素のあの味ではないのだ。
 なんて言うのかなあ、「子供の頃、お母さんが作ってくれたカレーを次の日にまた食べたときの美味しさ」が近いかも。

 ネットでは「東京の人には濃すぎるかも」と書かれていたけど、別に濃いとは思わなかった。どっちかというと「あっさり」
 前回、濃いので有名な「大龍」を食べていたからそう思うのかもしれないけど。

 あれは確かに、「すごく美味しいわけでもないけど、ときどき妙に食べたくなる」という味である。そうそう、マクドナルドのフライドポテトのあの風味が近いかもしれない。

 ラーメン一杯で350円だが、それだけだとおやつみたいな量だ。
 店内では「カイメン」という言葉が行き交っており、「海綿って?」と思ったが、そうか「替え麺」って言ってるんだと気が付いた。カイメンやおでんを食べて丁度いいくらいなんだろう。

 でも、私は「せっかくだから他の店も」と下調べに余念がなかったので、また宮の陣に戻って久留米行きの電車に乗り、西鉄久留米の次の駅「花畑」に向かった。
 こっちは、首都圏でもありそうな郊外住宅駅であったが、やはり徒歩の人が少ない。そこから徒歩10分くらいの「ひろせ食堂」でまたラーメン食べてみたのであった。こっちも普通に美味しかった。

 小ぶりとはいえ、豚骨ラーメンを二杯も食べたので、そこから歩いて西鉄久留米まで戻ったけど、時刻はまだ9時前であった。途中のコンビニでビールとカップ焼酎買って、ホテルに戻り、風呂に入ってからビール飲みつつ「アド街」や「エンタの神様」を鑑賞。

 先月宿泊したホテルでは「どのチャンネルがどこ系統だかわからん」と手探りだったが、今度の宿ではテレビにきちんと局名が貼り付けてあったが、それはもちろん「TBS」とか「NTV」などの見慣れたものでもなく「やっぱ、どれがどれだかわからん!」と、激しくザッピングしていたら、「え?なんで喘ぐ人妻の映像が?」

 東京で言えば、5とか7などの「空きチャンネル」に有料チャンネルがあるようだが、有料チャンネルのカードを差し込まなくても、少しだけ観られるようになっているらしい。前に泊まった大手チェーン系では、そんなことなかったのに!おい、おーい、ここ、けっこう家族連れが多いというか、今も廊下をガキどもが祖父母の部屋を襲撃して走り回ってるんすけど?
 まあ、地元の人は私みたいに、端からザッピングしなくても、東京で言えば「1・4・6・8・・・」と数字で押してるからいいのかもしれませんが・・・

 それにしても、私は「エンタの神様は何チャンでやってるんだ?」と必死だというのに、その合間に、モザイクびしばしの映像を見せられると「ちょっと・・・・な」と思ったのですが。私に必要だったのは「いつもの自分の部屋での土曜日のメニュー」だったので。

 さて、やっと「エンタ」のチャンネルを探し当て、焼酎飲みながらボンヤリ見て、11時になったので布団に入ったが、やっぱ寝れない〜
 乾燥対策として、バスタブにお湯張って、ユニットバスのドアを開け放したり、湯沸しの蓋を開けて沸騰させたりしたんだけどなあ。

 結局、午前1時くらいまで眠れなかった。
 ああ、明日は7時起きなのに。

 そんで、ホテルの目覚ましが潜在的に信用できないので、目が覚めたのは午前6時だった。
 疲れているのに、ぐっすり眠れないのは辛い。
 ホテルで朝食をとって(コーヒーが妙に美味かった)、8時半にはチェックアウトして、徒歩5分の支店に到着。

 ひたすら「何事もありませんように」と祈りながら待機。
 いろいろ質問されたが、それは私がサポートする機器のことではなくて、その先のことだったので、そっちのことは私はよくわからんので、テキトーにゴマかす。(そういや、前回の出張の後に、会社で雑談していたら「あの出張メンバーの女性陣は、我が社でも指折りの「なんかあっても平然としてニッコリ笑顔で切り抜けられるツワモノ」が揃っている」と言う人がいて、そういえば、E嬢もI嬢もN嬢も、みんな優秀な営業ウーマンだ・・・けど、あたしだけ深窓の経理嬢なんですけど?やはり「象が踏んでも壊れない」ような雰囲気が決め手だったのか?)

 暇だったので、持って行った本を読んでいたが、ふと「そうだ、この周辺の地図をもっと頭に叩き込まなくては」と思って、インターネットでグーグル地図で遊んでいた。

 久留米市民大集合な郊外巨大商業施設コンプレックス「ゆめタウン」は、グーグル地図では、こうなっていることを発見した。

 あの施設がいつ出来たのか知らないが、グーグル地図の航空写真もどのくらいの頻度で更新しているんだろう?

 友人は、「近所の竹やぶにマンションが建っちゃってがっかり。でも、グーグルだとまだ竹やぶだけど。ちなみに、オレの車も写ってるぜ」と言っていたが、試しに私も自分ちを検索してみたら、1年くらい前に取り壊された近所の建物がまだ健在だった。
 さらに、自分が住むアパートの名前が載っていることに初めて気がついた。

 そっかー、グーグル地図ってけっこう遊べるんだ。と今さらながら気が付いて、あちこち旅しまくった。行ったことのないモンゴルの草原から、パリのシャンゼリゼ通りや、香港の友人宅、国分寺の実家・・・・・

 と、「6分間世界一周の旅」を満喫しているうちに、仕事は午前の部が終了したので、「よっしゃ、また行くぜ、久留米ラーメンの旅!」と飛び出して、今度は五穀神社まで歩いて「大砲ラーメン」

 混んでた。
 並んだよ。
 まあ、味も店構えも「首都圏の人気店」っぽかったような。東京に進出すれば行列ができるであろう。
 つーか、だんだん味がわからなくなってきたというか、どーでもよくなってきた。グルメ番組に出演するのって、けっこう大変なことなんだな。

 道に迷ったのと、並んだので、けっこう時間がかかってしまい、支店に戻ったら1時を過ぎていた。
 午後もひたすら待機である。
 でも、4時前には終った。
 東京の処理センターに電話して「終りました」と告げて、確認作業で10分くらい待ったが、それで終了。
 支店のスタッフに「無事に終わりました」と言って、挨拶して、さーて、どうすっかね?

 飛行機の時間は前回と同じ、7時50分。変更効かない安いチケットだから、それまで暇を潰すしかない。
 もう一便早い飛行機にしようかとも思ったけど、なにかトラブルがあって間に合わないと大変だからね。

 というわけで、あんまお腹空いてなかったけど、もう一件食べに行くことにした。
 西鉄久留米とJR久留米の中間地点にある「六角広場」にある「大栄ラーメン」を目指した。

 そこがまた閑散としてて、さ・・・・・
 西鉄久留米駅周辺は、そこそこ栄えているのだが、やはり商店街は厳しいようだ。
 東京の中央線沿線の商店街みたいに、駅からまっすぐアーケード方式の立派な商店街なのに、びっくりするくらい閑散としている。土日ということもあるのかもしれないけど。

 ラーメン食べ歩きの旅でもわかったが、久留米市民の基本は「自動車」なのである。だから、小規模なラーメン屋でも人気店には「駐車場整理」のおじさんが立ってるようだった。
 そして、西鉄久留米駅前のバスターミナルでも、満員の客を乗せて出発するのは「ゆめタウン行き」であった。

 あれができる前はどうだったのか知らないが、とにかく今は、車で移動しない客も、バスで「ゆめタウン」に集まるようだった。

 なので、西鉄久留米駅前商店街を六角広場までテクテク歩くと、けっこうオシャレそうな店でも苦戦している様子が伺えるし、すでに撤退した店も多い。
 「六角広場」自体が、商店街の苦肉の策のようで、「中華からインド料理まで六大陸の料理が愉しめる」というコンセプトで作られたようだが、インド人コックは暇そうに空を眺めてました。

 なーんか、いろいろ考えて予算つぎ込んでやってみましたけど、全然集客してないのを目の当たりにすると哀しい気分になってくる。
 有名店のはずの「大栄」の支店も、時間が中途半端なこともあってか、客は私1人だけでした。
 味はまあまあ。つーか、昨日から4杯目の久留米ラーメンなので、もうどうでもいいってかんじ。でも、この店が近所にあったら月に一度くらいは食べたくなるのでは?

 ラーメン食べてから、また西鉄久留米まで戻り、5時くらいのバスで空港に向かい、6時くらいには福岡空港についてしまった。
 あーあ、あと2時間弱、どうやって時間を潰そう。

 東京行きの飛行機が出るのは「第二ターミナル」だったのだが、たわむれにその手前の「第一ターミナル」で降りてみた。前回のフィールドワークにより、第一と第二はそれほど離れてないのは確認済み。

 国内線でも有数の便数を誇る、東京−福岡便が発着する第二ターミナルに比べて、第一ターミナルは「九州ローカル線」が発着しているらしく、雰囲気がまさに「ド田舎空港」であった。

 出発ロビーの椅子に横になって眠る旅行者の姿からも「そりゃ、便利になったかもしれないけど、オレは実家までここからあと飛行機で1時間だけど、その後バスで2時間」という気概を感じだ。つーか、私もああして、寝転がりたい。

 暇だったから、第一ターミナルの送迎テラスに行ってみた。
 ショボいゲーセンがあり、そこにウラぶれた茶パツの若者が死んだ魚の目をして溜まっていた。
 うわあ、ゴダールの映画に出てきそうなところだ。と思いつつ、そこを通過して(カツあげされそうで怖かったけど)飛行機の離発着を鑑賞できるテラスに出たら、そこにいた先客1名は、首都圏で言えば、電車の社内アナウンスの模倣に命をかけるような、いわゆる「精神的ハンディキャッパ〜」であった。

 「うわ〜、変な穴場に来ちゃったよ」と感動したが、丁度、薄明るいその時間に、わりかし大きめの飛行機がバスンと着陸して、タイヤから煙が噴出し、その着陸音がしばらくたってからゴーーーっと耳に届き「わあ、大迫力」と大喜びしたので、その場はすぐに立ち去り(自分は「まとも」だと信じる人間が5分以上滞在できる空気ではなかったのだ)、第二ターミナルに移動して、今度はそっちの送迎テラス見学。

 そっちはガラスの壁で仕切られていたので、ガラスに顔を近づけないと飛行機がちゃんと見えない。夜に離発着を見学したかったら、ショボい第一ターミナルの金網越しのほうがいいみたい。
 そこで30分くらいずっと離発着のドップラー効果というか、「音ってずいぶん遅れてくるんだなあ」というのを堪能してから、階下のレストランフロアに戻って、ビールをジョッキで飲んでから、混雑しているセキュリティで並んで、ゲートに着くと同僚が1人ボツネンと座っていたので、二人で「どうだった?」とエールを交換しているうちに、もう1人やってきて、みんな疲労により頭がボンヤリしているから、うまくかみ合わない雑談をこなしているうちに、搭乗が始まったので機内に入った。

 「そうだ、耳栓!」と思って、「どこに入れたっけ?」と慌てて探すが、見つからない。
 ええ〜?たしかに、朝荷造りするときに見たんだけどなあ。
 ギリギリまで探したけど、見つからなかった。もー、せっかく千円も投じたのに、帰りは使えないとは!
 離陸のときには、大丈夫だったけど、やっぱし着陸のときに耳が聴こえなくなり、羽田についてからも、しばし「バリバリバリ」と耳が鳴って嫌だった。

 前回は丁度間に合った渋谷行きのバスは逃してしまった。
 前回は予定到着時刻より5分早く到着したし、機内も空いていたのですぐに出られたのだが、今回は定時だったし、どえりゃー混んでいたので出るのに時間がかかったのだ。
 諦めて、またモノレールで帰る。

●今回の出張で学んだ大切なこと

 ・やはり耳栓はそれなりに効果があるようだった。

 ・一泊二日でラーメン4杯は食べ過ぎだ。
2月6日(火)

 ぱお〜ん

 9時間くらい眠ったので、かなり復調した。やはり睡眠って素晴らしい。一生寝ててもいいくらいだと、一生言いつづけるであろう。
 私は若い頃から眠りが浅く、学生時代に友人の家に泊めてもらったときなんかに、朝、目覚まし時計が鳴り響いても家主はしょうがないとしても(慣れた自分の部屋だし、毎日聴く目覚ましの音だし)、他の人たちまでもが全然起きてこないのに感心していたりしたけど、それでも、ほんとに疲れたときには16時間連続バク睡もできたが、30代後半になったら、疲れているときのほうが、夜中や明け方に目が覚めてしまうようになってしまった。

 寝つきが悪いのは生まれつきのようで、それだけは両親から「布団に入ったら5分と持たない」という遺伝子を受け継げなかったらしいけど、そのかわりに「一度目が覚めてから、また寝なおしたときが睡眠本番」ってかんじの二度寝体質である。

 って、何が言いたいかというと、「ぐっす眠」っていうサプリ飲料を飲むと、わりかし朝までしっかり深く眠れるようなんで、最近愛用しているのだが、あれがもう少し安ければねえ。250円くらいするのだ。150円だったら、週に一度は飲んでるよ。って、あんたが、ほぼ毎日のように飲んでるビールはいくらなのよ?って自分で自分に突っ込み

 ちゅーわけで、今日は仕事も捗りましたが、未開封のまま溜め込んだ郵便物の量がハンパじゃなく、それを開封して分類するだけで2時間くらいかかっちゃったよ。

久留米ラーメン紀行 九州出張の報告

 「会社の一番長い日」(繁忙期)の最中だというのに、一泊出張というのもキツいが、土曜日は午後便で出発なのでゆっくり寝られるし、その日は何も仕事がないので「まあ、休みだと思えば」と、いいように解釈していたのだが、やはり、いくら朝の10時まで惰眠を貪れるといっても、その後「仕事で」飛行機に乗るとなると、あんましリラックスできず、土曜日を「休み」と無理やりカウントするのは撤回した。

 前回は会社に寄ったので、空港直通のリムジンバスに乗ったが、今回は自宅からだったので経路に悩んだ。
 まあ、一番シンプルなのが、山の手線で浜松町でモノレールだったし、そういやモノレール乗るのも久々だった気がするので、その経路を選んだ。
 土曜日の午後1時半のモノレールは、適度に空いていた。
 何も考えてなかったのだが、本能的に先頭車両を選んでいたようだが、運転席のすぐ後ろを陣取っていたのは、見るからにアキバ系な「大きなおともだち」ばかりだった。
 それを避けて、一段高いところに「立てば芍薬、座れば牡丹」のように、スマして座っていたけど、発車間際に幼い子供連れ夫婦も乗り込んできて、ふと気が付けば、「飛行機もしくはモノレールおた」と「休日の子供向けエンタテイメントを羽田に決めた若夫婦」にガッチリ囲まれた玉座に座る私って・・・・・

 アキバ系男子が、モノレールの運転席のモニタについて、ひそひそと意見を交換している横で、幼い子供は大喜びである。
 若いのに、大変クレバーなお母さんで、子供が興味を持った川の護岸の石積みについて「あれは、波をやわらげるためにあるのよ」などと、わかりやすく説明していたりした。おかげで、3歳くらいの男の子なのに、とても言葉が達者であった。子供相手に、きちんとゆっくり丁寧に説明するお母さんの教育なのか、それとも、そういう能力が遺伝しているのか興味深いところである。

 モノレールは第一ターミナル(蛇流組のナワバリ)に先に停車し、終点が第二ターミナル(亜那組のナワバリ)なのだが、おた青年二人は、第一ターミナルに停車すると「どうする?ここで降りる?」と相談して、そこで降りてしまった。
 それまで無口だったお父さんが、「どうする?ここで降りる?ってうちらと同じじゃん」と笑い出す。
 お母さんは「そお?私も、学生のときに遊びにきたことあるよ?」と言うと、お父さんは「全然わかんねー」
 でもどうやら、そのお父さんは、空港関係者ではないようだが、周辺の工事関係の仕事しているようであったが。

 そんなわけで、おたくチームと家族サービスチームに挟まれて、その会話の収集に余念がなかったのであるが、久々に乗ったモノレールは景色も新鮮で楽しかった。花やしきのジェットコースターっぽかったけど。一番前に乗っていると、坂道やカーブがけっこうスリルありましたもん。

 さて、空港に到着すると、さっそく薬局で耳栓を買う。
 前回、行きも帰りも耳が痛くなり、「国内線って、高度変化が早いからかなあ」と思っていたのだが、友人に「空港の薬局で、うちのダンナも愛用してる耳栓が売ってるよ」と教えてもらったのだ。
 1000円弱したのだが、飛行機を待つ間に使用説明を読んでみて、「え?」と思った。
 「ご利用は一往復まで」って書いてあったのだ。

 どうやらこのハイテクな耳栓は、耳の中と外とを細密で微小なフィルターで繋いでいるらしく、そこで空気の流れを調整して、気圧の変化を緩やかにしている仕組みのようだが、そのフィルターが一往復くらいが限度だと言うのである。
 うーむ。往復1000円だと、ちょっと高く感じるが、二往復くらいしたら効果はどれくらい落ちるのだろうか?

 同じ飛行機に乗る同僚が他に3人いたので(私以外は福岡市内や小倉など)、「直前になんか連絡事項なかった?」などと話ながら搭乗。
 さっそく耳栓をねじ込む。
 なーんか、外側に釘みたいなシルエットのものが飛び出し、ちょっと「レレレのおじさん」っぽいような気がしたが、見映えよりも、効果が大事だ。

 離陸のときには、まあまあ効いたような気がした。耳のあたりがバリバリいわなかったし。

 さて、前回も窓際をゲットできなかったけど、今回もダメだった。さすがドル箱福岡便。
 それに、1月中旬の同じ便より、だいぶ混んでた。前回も8割くらい埋まっていたけど、今回はほぼ満席。

 それでも、窓際の列の通路側だったので、機長が「左側に富士山がきれいにみえます」とアナウンスしてくれたので、窓側に首を伸ばすと、ほんとーにキレいだった。
 てゆーか、ほぼ真上から見下ろす富士山って、そんなにキレーじゃないのね(笑)
 シンメトリーな稜線が売りの富士山だが、真上から見下ろすとバランスの偏ったレーダーチャートみたいなのね。

 さっきモノレールで乗り合わせた、賢いお母さんだったら「ほら、南のほうは、お日様がさすから雪が少ないけど、北側は雪がいっぱいのこってるねえ」と優しく説明してくれただろう。

 4時半には福岡空港に着いた。
 そこで、同僚たちと別れ、私は久留米行きの高速バス。
 前回は、空港に面した広告電光掲示板の気温は(ヒサミツのだったかしら?)「4℃」になっていて、「え?夕方まだ明るいのにこの気温?」と思ったが、今回は「9℃」とかなり寒さが緩んでいた。

 6時前には西鉄久留米駅に着き、ホテルにチェックインする前に、駅前の支店に寄って「明日は何時から始まりますか?」とご挨拶。
 前回来たときは、九州の支店が繁忙期まっさかりで職員一同くたびれきっていたが、今回はまったりとしているようだった。首都圏は今、繁忙期まっさかりなんすけどね。わかってくれてます?

 それから、ホテルでチェックイン。
 前回は別のホテルに泊まったが、恒例の「カードキーが上手く作動しませーん」でフロントを呼び出したが、今度のホテルはアナログな鍵だったから大丈夫だと思ったら、やっぱり開けられない。
 フロントに戻って「なんか、コツがありますか?」と訪ねると「鍵を抜く前に押してください」とあっさり言われる。もー、ほんと、めったにホテルに宿泊しないから、毎回、鍵で冷や汗かくよ。旅なれた人だと、だいたいパターンを把握しているのだと思うが、数年に一度くらいの私は、前回なんで冷や汗かいたのかも忘れてしまうのです。

 やっと部屋に入れて、一息いれて、荷物を軽くしてから、さあ出発だ!
2月5日(月)

 ぶも〜

 小三治君より先に、私がブッコわれそうだ。
 今日で6日連続出勤だが、土日は九州出張だったし、早朝出勤もあったし、今日は完全に電池切れ。

 それでも仕事が溜まっているので、一生懸命やろうとしたが、集中力が全くなくなっているので、電話出たりすると、もう何をやっていたのかわからなくなり、普段なら1時間で終る仕事が、5時間かけても終らない。また、月曜日だし、月初だし、ニッパチの要素も絡むのか、営業電話が多くてほんとに仕事が捗らなかった。
 この時期の我が社に営業電話かけてくるのって、クリスマスイブに、ケーキ屋をアポ無し訪問して、新しい製菓機械の営業トークを披露しようとするようなもんなんだけど、ね。「とっととケエれ」って生クリーム投げたくなるよ。
 取引が長いところは、よくわかっているので呼ばれないかぎり来ないし、電話もしてこないくらいだが、ときどきトボけた担当者が、「今日か明日、御伺いしてもよろしいですか?」ってアポをとろうとして「え?ご冗談でしょ?うちがどういう業種だかわかってるはずでしょ?」と生クリーム投げられて呆然としてたりしました。
 ほんと、みんな疲れて気がたってるから、社員同士でもけっこう気を使うのである。

 夕方になったら、完全にバッテリーが切れたので、今日は早めに帰った。
 木曜まで休めないので、睡眠をたっぷりとって、なんとか精神状態を維持しないといけない。ほんと、眠いよ〜。出張がやっぱりダメージだったな。ホテルの部屋だと、あんましよく寝られないし、朝はそれほど早くなかったけど、夕方4時に仕事が終っても、それから飛行機で帰るともう11時を過ぎていて、風呂入って寝たのが12時で、今日はギリギリまで寝ていたけど、全然疲れがとれてなかった。

 つーわけで、まだ9時だけど、今日は「ぐっすみん」飲んで、ぐっすり寝よう。
2月2日(金)

 昨日は、朝5時半に起きて、7時から屋外で立ち仕事。

 ビジネス街のど真ん中で、出勤途中のサラリマン達にジロジロ観られたので、きっと会社のいい宣伝になったろう。どうせなら、ホットペッパー配りみたいに、着ぐるみ着てやりたかったよ。

 そんで、10時には会社に戻って、普通に仕事していたが、疲れて普通に仕事できない。眠いし。でも、やっぱし残業して帰り、家に帰ると風呂に入ってさっさと寝ようとしたのだが、読んでいた本が佳境に入ってしまい、焼酎ちびちび飲みながら読んでいたらけっこう遅くなってしまい、っていっても12時前だったけど、早起きしてるから体感的には午前3時くらいだったが、それで、今日は早起きする必要もなかったし、チビチビが重なって、けっこうな量の焼酎を飲んでしまっていたので、あやうく寝坊するとこでした。

 今日の外仕事は午後からだったし、日当たりのいいところでラクでした。

 仕事でちょっと調べ物をしていたら、それが土光さんに関係するものだったので「へえ、土光さんが・・・」とマスオさんに向かってツブやいたが、全く無反応なので「ひょっとして、土光さんって知らない?構造改革の」と言うと「ええ、誰ですか?」
 念のため、マスオさんとほぼ同じ年の派遣のAさんにも聞いてみたが「知りません」

 部長に「この人たち、土光さんを知らないんです〜」と訴えたら、「それは、うちの子供に『鶴太郎はお笑い芸人だったんだよ』と言うと驚かれるのと同じだよ。世代の差です」と慰められた。

 たわむれに、ウィキペデイアでも調べてみたが「メザシの土光」というのは、演出だったそうだが、バスや電車で通勤していたというのは本当だったらしい。
 マスオさんやAさんに、そういう「質素」なエピソードを話して聞かせたら、「へえ、立派な人だったんですね」と感心された(もしくは適当に聞き流された)のだが、でも、そういや、私は彼のことを「立派」だとは思ってなかったなあ。ということに気が付いた。あれはそういう趣味で、土光さんのことを「清貧趣味の第一人者」として尊敬というか共感を覚えていたようだ。なので魯山人みたいに、名を残していると思い込んでいたのだが、若者(というほど若くもないが)には語り継がれてないらしい。まあ、そのうちまたリバイバルするかもしれないけど。

 さて、早朝仕事で疲れきっていたのに、ついつい読みふけってしまった本とは、ウィル・セルフの「元気なぼくらの元気なおもちゃ」である。河出書房新社の「奇想コレクション」シリーズは、ほんとハズれないなあ。毎回「えー、こんないい作家をなんで今まで知らなかったのだ!」と嬉しい口惜しさを感じる。

 内容の充実もさることながら、装丁が好きなんですよ。視覚的なデザインじゃなくて新書みたいな手触りが。私、ハードカバーの本は固くて丸まらないから読みにくいのです。文庫は字が小さいのが嫌。最近のはけっこう大きくなってるけど。
 あと、ハードカバーで上下2段組が嫌い。読む気がなくなるので、エンジンかかるまで時間がかかる。

 なので「奇想コレクション」は、ソフトカバーでフォントもすっきり読みやすく、文字の大きさもちょうどよく、上下の隙間もちょうどよくて、大きさもそれほどかさばらないので電車の中で読みやすい。早川書房の異色作家コレクションもこういう装丁にしてくれたらよかったのに。(大きさはやや小さいし薄いが、二段組のハードカバー)

 さて、訳者の解説によると、ウィル・セルフの作品は風刺的ったり、オチがわけわかんなかったりするようだが、この短編集は比較的「まとも」なようで、確かに訳者が心配するほど「突き放され感」は感じなかった。
 でも翻訳家泣かせの作家であるようで、奇妙な味わいがきちんと日本語訳でも伝わっているか、神経質になっているようだが、この作家のことを全然知らなかった私は、けっこう普通に楽しく読めました。

 訳者は「意表をつくオチに、怒りを感じたり、不安をかきたてられる」と書いているが、この短編集に関しては別にそういうオチはなかったように思う。訳者が「人を食った落ち」と書いていた「愛情と共感」にしても、そんなに唖然としなかったしなあ。私が変人なのか、訳者が神経質すぎるのかわからんが。

 というわけで、この本は、巻末の訳者の解説と自分のズレとを比べるのも面白かったです。訳者が特に念入りに解説というか「よく意味わからん小説ですが、私もよくわからんので」と言い訳するために、長々と書いた「これぞ、ウィル・セルフ真骨頂」であるらしい「やっぱりデイブ」なんて、私には「この作家、オチを最初に思いついたな」と思えた。すごーく、高尚な「一発ギャグ」に思えたのである。

 もちろん、訳す人と、呑気な読者とでは読み方が違うだろう。

 でも、この本では、そう気が付いたことで幸福な体験ができた。
 最後に収録されている「ザ・ノンス・プライズ」について、訳者は「いい人に描かれていたはずの人物が、ちょっとした一言で人物像が逆転する」(要約)という例を持ち出して、ウィル・スミスの一つ特徴を説明していた。

 読み終わった後に、その解説を読んで「え?そうだったっけ?」と読み直してみたら、たしかに、主人公から見れば実直な人間だったはずの人物が、別の視点からは「賄賂やればなんでもやるやつ」になっていた。

 私がそこに気が付かなかったのは、訳者みたいにじっくり読み込んでないどころか、焼酎飲みながら「で、この後どうなるの?」と、せっせと次を追っていたからだけど、もっとわかりやすかった「正義感のかたまりみたいな上司が、ある一面ではけっこういい加減」というエピソードを読んでも、ちっとも違和感を感じなかったのである。

 だって、現実ではそうじゃない。
 信頼していた人が、いつも同じ行動してくれるわけではないし、多くの人には魅力的な人が、ある人にとっては全く逆の印象を与えてるなんてことはよくあることだ。
 「あの人、真面目でいい人だよね」「え〜、なんか神経質で嫌だけどなあ」なんて会話は日常的に交わされているし、また、ずっと苦手に思っていた人が、ある出来事ですごく仲良くなれたりするのもよくあることだ。

 それで、「ふーん、そういう読み方もあるのか」と思って、「ザ・ノンス・プライズ」をもう一度丁寧に読み直してみたら、けっこうゾっとする「視点による違い」がこっそり描かれている部分を発見してしまった。もしかしたら、校正ミス?と思ったくらいだが、わかり難いように、「好印象を与える人物」と「悪印象を与える人物」が入れ替わっていたのだ。いや、私が最初に発見できなかっただけで、初読で見破る人も多いだろうけど。

 この「ザ・ノンス・プライズ」はブンガク好きなら、ついつい色々語りたくなる要素がいっぱい詰まっていた。読書会を開いたら面白そう。
 訳者は「だまされてる?」という気分になったようだが、あのオチは、騙すとかそういうのじゃなくて、読む人によって解釈が異なるだけだだろう。読んでるときの気分にもよりそう。実直そうな上司という描写自体が「ただの、口先だけの官僚気質」とも読めるので、そうなると、「最初の登場」と「二回目の登場」に違和感がない。私は最初に読んだとき、そう思っていたので、落ちに疑問を持たなかった。

 でも、もう一度じっくり読んでみると、逆に「最初の登場では、キレいごとばかり言う人が、最後では、けっこう本当に親身になってくれているのでは?」という解釈もできるし、「キレいごとばっかり言って、実行が伴ってないことは確かだが、でも実行したからって、そもそも主人公はハッピーエンドなのか?」と、考えれば考えるほどわけわからなくなってくる。

 まあ、要するに噛めば噛むだけいろんな味がでてくるのだ。
 で、うまくまとめられないが、訳者が私とちょっと異なる視点で感想を書いてくれていたので、まさにそういう複雑な視点を誘発する作品の醍醐味に気が付いたので、こういう体験は珍しかった。訳者の「あとがき」までもが、ウィル・セルフの仕掛けた罠かと妄想が暴走してしまったくらいである。

 ちなみに、ウィル・セルフと書こうとすると、ついついウィル・スミスと書いてしまい、さっき検索をかけたら、ほんとにウィル・スミスで検索しちゃったくらいであるが、小説の中にもウィル・スミスの名前が出てきて、きっとよく間違われるのだと勝手に確信してしまった。



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