可燃物な日々

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 日本酒8合飲んだ勢いで、新しい掲示板を作りました
1月15日(月)

●個人的には「英王室ウイリアム王子婚約間近か?」よりも、やや気になる「うちの課長、新年明けていつになったら初出勤するか?」な芸能ニュース速報である。

 朝目が覚めると猛烈にダルくて、「今日あたり休みてーよー。つーか、すでに労働基準法違反じゃん?」と思いつつも、なんとか定時に出社。
 他の土日に九州出張チームも、休んでられない人が多かったらしく、「おつかれ〜、昨日はどうだった?美味しいもの食べられた?」と爽やかにエールの交換。

 パソコン立ち上げて、部署の予定を確認すると、「来週には出勤したい」と言っていた課長の予定は「午後出社」だった。
 まあ、いいんだけどさ。
 でも、私を含めて、土日に出張した人たちが、こうして腫れぼったい目をしながらけなげに朝からちゃんと出勤しているというのに、優雅なもんだわさ。
 そしたら、昼前になってM嬢が「さっき、課長から電話があった」と言う。「午後イチに某社に寄るので、3時頃戻るって」

 おいおい・・・・
 某社はたしかに重要な取引先だけど、今日どうしても行かないといけない場所じゃないだろう。
 つーか、某社から年間3億円の仕事貰ってるなら話は別だが、そうじゃなくて我が社がいくらかお金を払っている取引先なのである。だから、用があっても電話一本で済むはずだし、打ち合わせが入ってもいくらでも融通が利くはずである。

 部長にそのことを告げると、また苦笑していたが、午後3時になっても課長は現れず、電話もないまま、部長が「あ、その後にいつのまにか予定が入ってる」

 そうやってなし崩し的に「終日外出」にするのが、課長の癖のようだが・・・・・私は思いっきり不機嫌になったが、部長も「これって、もうクビにしてもいいってことか?」と冗談を言っていたが、部長が笑顔で言う冗談は、けっこう本音なのである。

 さすがの部長も「これだけ来ないと、困るなあ」と言っていたが、私も「なんか来づらくなってるんでしょうかね?このまんまだと、本当に来づらくなると思うんだけど・・・・こうなったら、迎えに行かないといけないんでしょうか?○○ちゃーん、学校行こうよ〜」と冗談で応酬するしかない。

 8日までは予定されていた休暇だったが、その休暇が明けても15日まで出勤してこないって、どういうことなんだろう?少なくとも常識ある大人がやることではないよな〜。

 少なくとも、私よりもかなり給料のいい、私よりも少し年上なだけで、同年代の二児の父がやることではないと思うんだけど。
 あんたの給料、みんなで分配しちゃうぞ〜(特に私より薄給のマスオさんに大めに分配してあげたい)

 いや、ほんとに、まだ部長が笑っているうちはいいけど、そろそろ本気でヤバいと思うよ。
1月14日(日)

 無事帰宅したが、やっぱし、心底疲れた。

 経理生活そろそろ20年の私は、一日中自分の机に座って仕事できる素質があるのは確実だが、やはり長い年月をかけてそういうふうにカスタマイズされているので、たまに銀行などに行くのは気晴らしになるけど、一日中社外で仕事すると普段の3倍くらい疲れるようだ。

 近場でも、ほんとにクタクタになるというのに、「さあ、仕事が終った」というのに、そこから飛行機乗って帰るっていうのは、かなりキツかったです。
 別に何してたってわけでもなかったし、仕事はトラブルもなく順調だったし、小部屋に閉じ込めていただけたので、暇な時間はゆっくり読書できたくらいラクチンだったし、支店の人たちも暖かく接してくれたし・・・・全然ストレスになるようなことなかったんだけど、やっぱり、旅と出張は違うのね。

 慣れれば、移動しまくっているだけで「ああ、私ってすごい仕事バリバリしている」という幻覚に気持よく浸れるのだろうけど。実際、営業系の人たちは、いつも泳いでいないと死んでしまうマグロみたいに、いきなり「一日ずっと自分の机で」って部署に異動になると、まさに死んだマグロよりも使えなくなったりする。(いい例が、うちの課長)
 いや、死んだマグロだったら、「これで刺身が300人分」だから、「死んだマグロ」というのは誉め言葉です(笑)

 さて、同じ場所にまた2月にも出張する予定なのだが、まあ、場所には慣れてきたから、次回はもう少しラクかも。私、どうも知らない土地にいるというだけで、頭の中で一生懸命地図を作成してしまうので、それで脳みそがかなり消耗するようだ。旅行だったら、それが楽しみなんだけどね。

 たとえば、福岡からバスに乗っていたら、九州道という高速に入り、「長崎」って表示が出てくると、頭の中の「バカ日本地図」を思い浮かべて「うん、たしかに、長崎はこっち方面だ」と思うし、「熊本」って出てくれば「うん、たしかに、まっすぐ行けば熊本なのかもしれない」と思うんだけど、「大分」っていうのは私の「バカ日本地図」には載ってないので困る。

 さらに、普通の路線バスに乗ろうとしたら、バスの行き先が全然知らない地名というのも余計なエネルギーを消費する。さらに、その地名が読めないというのも・・・・
 そりゃ、首都圏内で移動していても、初めて行く知人宅なんかは「ここはどこ?」って気分になるが、でも、池袋から電車は繋がっているし、道行くバスの行き先が知ってる地名だと、漠然と点と線が見えてくるけど・・・・

 疲れきっているので、初出張についてはまた気が向いたら後日書こうと思うが、さて、私は今週、いつ休めるのでしょうか?まあ、こういう場合は、他の人のことなんて気を配ってないで、自己保存のために、強引に休まないとね。若くないのだし。

 はあ、しかし、相変わらずホテルの部屋は乾燥しているので、朝起きたら喉が痛くて「やば〜」と思ったが、なんとか今のところ風邪は免れているようだ。こうなると風邪ひいてダウンしたほうが身のためのような気がするけど。

 ああ、まだ耳が痛い。ヒコーキで耳が痛くならないコツってあるんですかね?なんだか年々ダメになっていくのが哀しい。今回も飴やガムを用意したのだが、やっぱし全然ダメだった。行きも帰りも赤ちゃんが乗っていて、ビービー泣くタイミングが私の耳痛いと全く同じだったので「私だって泣きたいよ」と思った。
 よく、花粉症の人が「眼球取り出して、ジャブジャブ洗いたくなる」と言うが、飛行機での耳痛も鼓膜にキリで穴開けたくなる。
1月12日(金)

 ドス黒い愚痴の泉へようこそ〜

 こんなことばっか書いてる自分もなんだが、読んでる人はこれでいいのだろうか?
 まあ、いつも口を酸っぱくして書いているように、私はときどき自分の日記を読み直すのが好きなので、「心のあるばむ」として書いているのだが、他人はこんな「友だちの家に遊びに行ったら、延々と上映された結婚式のビデオ」もしくは「子供の学芸会のビデオ」みたいなもんを読んで楽しいのだろうか?と思うのだが、まあ、結婚式のビデオとしては、主賓のスピーチ中にズラがズレたり、花嫁の介添えをしている式場係員とスモーク係が不倫関係であることをロビーでタバコ吸ってる間に気がついてしまったりする過程を克明に描いていたりするので、それなりに面白いのかもしれないけど。

 さて、今日は残念ながら、ドス黒さ20%くらいになってしまいました。

 やっと課長から電話があったからです。

 こんなこと、今さら偉そうに書くのも気が引けるが、やはりメールするより電話しろってことだね。

 メールだと「なーに、サボってんだよ!親が入院?だから?」って思ってしまうし、なによりも、他部署の人が「彼、どうしたの?ずっと来てないじゃん?」って聞いてくるから「知りませんよ、あたしゃ」と声に出して読みたくない日本語なセリフを吐いているうちに、ほんとにそういう気持になってくるのだ。

 どっかで読んだけど、「自分」っていうのは騙されやすいから、鏡に向かってブツブツと「私はキレい。私はキレい」と囁きかけると、「そっか、あたしってキレいなんだ」と、すぐにいい気になって、実際に美貌が上がるらしいが、他人に対して「わー、その服いいねえ、すごくいい色」なんて誉めても、「自分」はそれが他人に向けられているのか、自分に向けられているのか、バカだからよくわかってないので、自分で言ってるくせに、まるで自分が誉められたような気持になり、なんだかアドレナリンが上がり、やはり美貌がアップするらしい。

 そんな、いかにも女性誌的な、根拠不明の理屈を真剣に検証するのもアホらしいが、でも、周囲を見回してみれば、やはり愚痴ばっか言う人よりも、誉め上手な人のほうが、見た目も美しい。

 そんで、課長が電話してきたのを私が受けたのだが、やっぱ、大人だから「今さら電話してきても遅いよ」と本当のことは言わずに「大丈夫ですか?仕事で何かお手伝いしておくことがあったら言ってくださいね」と定型な言葉を吐いているうちに、ほんとにそういう気分になってきたのだ。

 ただ、後で出勤してきた部長やマスオさんに「課長から電話が入って、まだ意識不明だそうで、でも、来週には出勤できたら、ということです」と報告すると、二人とも「ふーん?」という態度だったので、やっぱし「大丈夫ですか?大変ですね?」と発声することが重要なのではないかと思った。もちろん、相手の声を聴くという行為も重要なんだろうけど。

 これは、わかっていても、なかなか出来ないことで、たとえばメールでクレームがあった場合(公私において)、メールで返事していたのでは、なかなか解決しないけど、電話一本いれて「ごめんね」もしくは「不手際がございまして、申し訳ございません」って言うだけで、相手は定型で「いや、いいんですよ」って言ってしまうので、自分でそのセリフに引っ張られるので、けっこうあっさりと解決したりする。

 電話でもこじれるようだったら、会ってちゃんと頭を下げれば、向こうも反射的に頭を下げてしまい、自分のその動きに引っ張られてしまう。
 昔は「電話で済ますな」って思われていたようだけど、今では「わざわざ電話いただいて」ってかんじになってるのが面白いね。
 もしかしたら50年後くらいには「わざわざメールいただきまして」って会話が成り立つ世の中になっているかもしれない。

 芸能ニュースにおいても、最近は「ちゃんとFAXコメントを送ってきた」っていうのが評価されてるんだもん。少し前までは「記者会見しないで、FAXで済ますとはけしからん」って雰囲気だったのにね。

 さて、課長がいてもいなくても、今日は忙しかった。
 まず、うちの会社の元役員の訃報が届き、いつもは香典の用意しかしない私が、生花や弔電の手配までやっていたのだが、その合間にやろうとしていた大事な振込送信が、マシンの不調でできなかった。
 昨日、マスオさんがやったときにはできたのに〜
 「なんで、あたしの時に壊れる〜〜〜〜」と絶叫したが、私が抱える件数は60件くらいだったので、最後の手段である「一件一件、手入力」でなんとかやりすごしたが、マスオさんが昨日送信したのは300件くらいあったので、物理的に不可能だったので、私の時でよかったんだよね。

 で、どりゃー、と入力している最中にも、親会社向けの請求書を出さないといけなかったんだけど、なんだか呪いがかかったように次から次へと余計な仕事が舞い込むので、なかなかその仕事ができなくて、やっと午後5時ごろにやることができたが、その頃にはもうヘロヘロだった。

 しかし、明日は出張だから、いろいろと揃えないといけないし、明日はいったん会社に行かないといけないので(三茶から横浜まで行ってから羽田という超遠回り)その時間も調べないといけないし、サポートのマニュアルの再確認したり、久留米ラーメンの美味しい店の地図をチェックしたり・・・

 九州出張する他のメンバーとも「向こう行ったら何食べる?」の話題で盛り上がっていたが、横にいた部長が「おいおい、君たち、遊びに行くんじゃないんだよ」と言うので「だって、そういう楽しみがないと、盛り上がらないじゃあありませんか」って言ったら、部長は苦笑していたけど、みんなが忙しい中、無理無理な出張をいかに楽しくやり過ごすかに専心している姿は評価してくれているのだと思う。

   辛い仕事も考え方一つで楽しくなる。
 私がマッチ売りの少女だったら、無理やり自分を放火魔にしていると思う。
 「ふ・・・・ヒヒヒ・・・燃えろよ、燃えろ〜」って。

 私が久留米に行くと知った、某氏は「ああ、久留米ラーメンが食べられるんだ、いいな〜」と羨ましがってくれた。彼は我が社一というか、テレビチャンピオンクラスのラーメンおたくなのである。今でこそ、妻子を抱える良きパパであるが、独身時代は休暇は必ず「日本全国ラーメン巡り」だったらしい。
 その彼に「○○って店がお勧めです」と言われたので、私の久留米出張は突然輝いた。なにせ、彼が遠い目をして「ああ、あそこのラーメン、また食べたいなあ」と言ったのである。よっしゃ、あたしがあなたのかわりに食べてきてあげましょう。

 実はその某氏はちょっと癖のある人で、悪い人じゃないんだけど、物言いがキツいというか、あの誰に対しても卒なくこなす癒し系の同僚M嬢ですら「彼と話していると、ときどきムっとする」と言うくらいだから、相当のもんなんだが、その彼が「お嬢さん、マッチをチマチマ擦るよりも、あそこに夜間放置されたゴミの山に放火してごらんなさい。きっと楽しいですよ。ああ〜(悶絶)」と助言してくださったのである。

 そりゃ、絶対に放火して、「助言どおりにやってみましたところ、とっても快感でした〜」と報告して、苦手な彼と仲間意識を共有できたら、今年一年くらいはムっとせずに済むかもしれません。

 さて、なにせ「初めての出張」であるからして、荷造りはどうすりゃいいんだ?
 そういうコンパクトなカバン持ってないし・・・
 45秒くらい悩んだ末、考え方を変えることにした。「コンパクトにしようと思うから悩むのであって、最初から3泊用のカバンになんでもかんでも詰め込む気でいればいいのだ」

 国木田iドッポ君方式で、容量はいっぱいあるんだから、なんでもなんでも持ってけばいいんですよ。
 いっぱい持って行って、いっぱい持って帰ってくればいいだけの話。
 一泊にしてはデカいカバンだけど、持って歩くのは自分なんだから、誰か文句あったら言ってみろっつーの。
 国木田君も、デジカメも積んだよ。ラーメンキングお勧めの店に行ったら撮影しようと思ってさ。
 あと、意外にカサばるのが生理用品。
 これも、いつお出ましになるかわからないが、そろそろ来るのでたくさん搭載しておきました。
 こうなったら、暇つぶしの本も3冊くらい持って行こうか?ほら、気分によって、読みたい本も違うしさ。

 そうだ、日本地図がほしいよな。前に国際線に乗ったときに、富士山から関空まではっきりくっきり見えて「その前に見えた山脈はどこのどなた様なのかしら?」と思ったので、地図帳開きながら上空を飛びたいと思ったのだ。

 というわけで、明日の予定。スーツをクリニング屋から請け出してから出勤。(スーツ一着しか持ってないのに、年末クリニング屋に出し忘れた)
 会社に寄ってから、羽田にGOで、地図本をどこかでゲット。
 明日の夕方にに九州上陸して、明後日の夜戻ってくる予定です。
 ボン・初九州・ぼやーじゅ。

1月11日(木)

 「お、今日は1並びだな」と張り切って書類に日付を書いたら、「11月11日」と書いてしまった人は他に111人くらいいらっしゃるといいですね。

 さて、出勤して、メールを開けて、のけぞった。

 課長からメールが来ていたのである。身内が入院したので今日は休むという内容。

 なんかさ・・・、正月休み明けてから、まだ一度も会社に来てないのに、こういうのをメールで送りつけてくるってのもさ・・・・
 疑りたくないが、今までも「子供が熱が出て」とか「入院して」なんてことで、よく休んでいたが、そういうのも「本当だったのか?」と思ってしまうではないか。てゆーか、自分のそういう「ドス黒い疑念」と向かい合っていると哀しくなってくる。もっと人を信じきって、のほほんと生きていきたいよ。

 それに、例えば昨日、得意先と接待に出かけていった上司が、翌朝メールでボソっと「今日は休むので、よろしく」と書いてあると「ぷす、二日酔いね」とすぐにわかるが、他の部署の人が「あれ?某さんって今日休みなの?」って言ってきたら「ええ、なんか体調が悪いようで」ってちゃんと答えてあげるけど、たいてい他の人もわかってて「ああ、飲みすぎ?」なんて言うのを「まあ、連日、接待宴会が続いているので大変なんでしょう」と笑顔でフォローしたりするのは全然オッケー。

 課長の話に戻るが、今日は昼過ぎから部長と一緒に外で打ち合わせがあったのだが、それに出られなくなったというのに、部長に電話の一本も入れていないようだった。部長も「今日は、2日間来なかったことを説教しようと思ってたのに」と言っていたので「その気配を察しちゃったんじゃないですか」と笑うしかないよ。

 しかも、今日になって「まだ、来ないの?困ったなあ」という人が数人現れて、しょーがないから私にできるだけのことはしたんだが、昼過ぎに私の天敵であるグループ会社のKさん(久々の登場)から電話があって「Sさん、今日もいらっしゃらないの?」と言うので、私も鬱憤たまり捲くっているから「私も今年になってまだ話もしてないし、なんだかよくわかりません」と正直に答えてしまった。

 そしたら、Kさんが去年から課長に依頼している件が、そのまま放置されていることが判明した。
 それはちょっと面倒な仕事だったので、私も「Sさんがいないとわからないなあ」とトボけていたのだが、Kさんが「去年の25日にお願いしたのよねえ」と言うので「え、そんな前から?」と驚いた。
 彼は29日まで出勤していたはずなので、なんでやってあげなかったのだろう?

 それは、Kさんの会社の社員4名の顔写真を写真プリントしてあげる、という、たしかに「大の男がやりたくないよな仕事」ではあったが、でも、課長が写真プリントするわけねーよな。彼は、入館証の顔写真のデータの管理者だから、「その写真をプリントしていただけたら」ってKさんが依頼したんだろうけど。
 なので、Kさんには「もしかしたら、他の人に頼んでいるかもしれないから、探してみます」と返事した。

 部長に相談してみると、「それは、あの部署だろう」
 印刷物関連の部署なので、写真プリントもできるらしい。そこのY課長に内線して聴いてみたら「ああ、それ、去年頼まれたよ。でも、写真のデータは1名分しか貰ってなくて、後の3名は後でS課長が送ってくれるっていうから、揃うまで待ってたんだけど・・・・来てないんでしょ?」

 あちゃー。
 でも、デジカメで撮影はしているので、どこかにデータがあるはずだ。
 S課長の前に、入館証の写真データを管理していたK嬢に「すまん、Kさんに聞くのも悪いんだけど、S課長がいなくてさ」と言うと「え?どうしたの?まだ来てないの?」と言うので「もう、よくわからんのだけど、今日は身内が入院で休みなんだよ。それもメールで言ってきた。もう、ほんとにわけわからん」と言うとK嬢は「たいへんだねえ〜」明るく笑いながら「サーバ室のマシンに保存してあるから、システム管理者なら誰でも出せるよ」とのこと。
 さっそく、システム部に行って、若手(ハイジと同期)のF君に「F君にお願いしていいものかわからんのだけど実は・・・・」と事情を説明すると「Sさん、どうしたんっすか?」「いや、会社に来ないのよ。もう、わけわかんないけど、ともかくKさんが困っているから、なんとかしてあげないと・・・・」

 それでF君も「よっしゃ」と写真を探してくれて、1人分だけ見つかったので、Kさんに電話すると「じゃあ、その人の分だけでも先にいただけたら」と言うので、(Kさんの会社の仕事の性質上、社員に身分証明書みたいのを発行しなくてはいけなくて、それは役所みたいなところで発行してくれるので、写真が無いと申請できないのだ)、F君に「じゃあ、それをYさんに送ってくれる?」とお願いしたら、「探せば他のも見つかるかもしれない」と、F君が頑張ってくれて、(フル権限の彼が、全部に検索かけてくれた)しばらくしたら「見つかりました!」

 もちろん、快くそんな余計な仕事をしてくれたF君に感謝するとともに、うちの部長にも「Fさんが、探してくれて、全部見つかりましたよ〜」と報告しておきましたよ。

 私だって、年明けで忙しいときに「なんで、課長の仕事まで・・・」と文句ブータラ広め捲くったわけだけど、他の人だって同じように忙しいのにデータ探してくれて、すぐプリントしてくれて・・・・・だから、課長が去年のうちにサクサクやってれば、みんなの貴重な時間が無駄にならなかったのに!

 いや、くどいようだが、それが、昨日頼まれたことで、今日、身内が入院ってことだったら、私だって文句ひとつ言わずにやりますよ。そういうのはお互い様だし、それでこその「会社」というか、チームで仕事しているっていうことだし。

 今日もマスオさんは、休みの予定だったが、データ送信だけはしなくてはいけなかったので「休みだけどこっそり出勤」していたが、結局、そうもいかなくて、午後になっても終りそうもなく「今日は出勤ってことにしていいっすか」って、もちろん、他の日にちゃんと休んでくださいよ。いつになるかわかんねーけど(泣)

 昨日も11時半までやっていたそうだ。
 そんで、私は今日、用事があったので「悪いけど、今日はもう上がるね」と声をかけると、「ボク、明日はのんびり出勤でいいっすか?」(我が社はフレックスだから、1時までに出勤すればいい)
 「もちろんですとも!」

 それよりも、おめーこそ「今日、ちょっと具合悪いんで」って急に休んでも、誰も文句言わないよ。

 「来週は二人でやりくりして、ちゃんと休みとろうね」と声をかけたが、ほんと涙出そうな会話である。
 私もマスオさんも、土日は九州出張なのよ。
 で、私はともかく、マスオさんは来週もいつ休めるかわからない。

 私も今の状態では、マスオさんの仕事を手伝えないし、自分のことで精一杯だし、でも、今日はまた、マスオさんがてこずっている仕事のことで「それ、全部をすぐ出すの無理っぽかったら、一部だけ、早く欲しい人の分だけ出すってことにして、後はゆっくりやれば?」と助言したら、めずらしく素直にそう手配していた。
 たしかに、年末からてこずっていて、なかなか出来ない出力なのだが、マスオさんはともかく、その出力を任されたシステム若手君もかなりの時間を割いているので、この忙しい時期にそのために残業を増やすのは不合理だと思ったのだ。

 500人分くらいある帳票らしいのだが、それがすぐに必要だという人は、たぶん10人もいないはず。
 その他大勢には必要もない、もらったら捨ててしまうような帳票なのだ。
 そんなもののために、若者が身を削って残業しているのは嫌なのだ。

 さて、今日は、ZEPPでベースメントジャックス観てきました。
 混んでた。
 テクノ系の客でいっぱい。みんな「今日は朝までじゃないんだよねえ」なんてロビーで話していた。

 ライブはまあまあだった。
 てゆーか、やっぱ、ZEPPの音わるすぎ。
 プライマルのときにも思ったけど、あのハコは、最高のライブでもたぶん「まあまあ」にするというか、いくら成績のいい大学生でも、試験当日に用事ができて、再試を受けることになったら「優」はつかないのと同じように、「最大限でも、まあまあ」ということになるんだろう。

 でも、エラい盛り上がってましたよ。
 自分がテクノ系から足が遠のいた理由を再確認した。
 それよりもっと前、芝居から足が遠のいたのは「こいつら、ただ盛り上がりに来てるな」って、なんでもかんでも、ありがたがって大盛り上がりというか「とにかく笑わないと損」って客層が嫌になったからだったが、テクノ界も「出だしからダッシュ!」って雰囲気になってきて、「これじゃ、昔の大学生のイッキ飲み宴会と同じじゃん」と思って、ちょっと引いたのであった。

 個人的な趣味ではあるが、私は「ふふん、こんなもんか」と思っていたら、中盤でガツンとやられて「期待以上だった」というのが好きである。
 最初から「この人たちだったら、さぞ盛り上がるだろうから、出遅れてなるものか」っていう雰囲気は好きではない。それじゃ、ジャニーズ系のコンサートみたいじゃん。

 まあ、ベースメントジャックスも他の場所だったら、もっとよかったかもしれません。フジロックとか(笑)

 ボーカルの上手さは絶品だったけど(デブの黒人女性ばっか3人も入れ替わり立ち代りだった。みんな日本の歌姫とは4桁上くらい超絶歌唱力。唄というより、ほとんど音波、ってゆーか、すごいジャズ・トランペットのように唄う)、音の悪さもあって「場を支配する」というところまでいってなかった。
 昔、イギリスのフェスで観た、ニューヨリカン・ソウルも、黒人ディーバなオバサンが熱唱してて凄かったが、やはりマスターズ・アット・ワークは、同じ「職人」でも、ちりばめる金箔を光琳ばりにリスペクトしている感じがしたが、ベースメントジャックスは「金箔ちりばめておけばいいんだろ」的なものを感じた。

 まあ、そんでも、後ろのほうで、けっこうガシガシ踊っていたんですけどね。ベースメントジャックスは、そうは言ってもジェームズ・ブラウンの一番の後継者なんじゃないか、なんて思いつつね。なんか、あの異様に金メッキっぽいところがね。
1月10日(水)

 もー、課長ったら、今日もノットカミングよ〜
 これじゃあ、単なる・・・いや、シンプリーな無断欠勤じゃん。

 マスオさんなんて、昨日は1時半まで残業して、今日も午後は外出仕事して、また夕方戻ってきて「今日は、いつ帰れるやら〜」とタメ息・・・ウィスパーついてんだから、少しは手伝って・・・いや、ヘルプヒムしてあげてほしいものだ。

 (ストレス解消のため、ルー語とやらに挑戦してみたが、あまりのヘタさに逆にストレスが溜まる)

 マスオさんの外出仕事が無理なときには、課長がヘルプすることになってるんだけど、いないものはどうしようもない。ケータイに電話してSOSを打てば来るのかどうかわからないが・・・・
 もしかしたら向こうも「ふん、二日行かなくても電話もない」とイジけているのかもしれないが、急ぎの用で、他の人ができることはやってあげているわけですよ。
 その迷惑は、他の部署にも及んでいるので、その部署の部長が「ええ?今日も来ないの?どうしたの?」って、知らんわい。

 まあ、マスオさんの残業は、忙しいのもあるけど、彼の仕事の進め方がトロいということもあるのだろう。
 今日はその片鱗も見た。
 「このソフトに詳しいシステムの人は誰でしょうか?」と聞いてきたので「それはうちのシステム部ではなく、親会社の経理部長っしょ」と答えると「・・・・・」
 「どしたの?なんかトラブル?だったら、ソフト会社のサポートに聞くという手もあるんだが・・・」
 と言っても、なにやらイジイジとマニュアルを捲っている。

 急ぎの仕事ではなければ、本人のペースに任せておくのだが、そのソフトで作成したデータを明日には送信しないと間に合わないのを知っているので、「だから、どうしたの?」と言うと「いや、元データがこのソフトに読み込めないんです」

 エクセルで作ったデータをそのソフトに読み込めるようカスタマイズしたのは、やはり経理部長だし、彼に聞くのが一番手っ取り早いが、マスオさんがイジイジと「この前バージョンアップしたせいかなあ」とブツブツ言うので「どれ、どんなエラーダイアログ出てくるわけ?」と画面を覗き込むと・・・・・・・

 「あのさ、その前に、年度変更しないと・・・」

 「はあ・・・・」

 そのソフトとは給与ソフトなので、1月になったら年次更新かけないとダメなのだ。
 さすがワタクシ、それに一目で気が付くとは!
 いや、私はそのソフトを触ったことがないけど、そのソフトと格闘する人たちの隣に何年も座っているので、大きなトラブルはなんとなく記憶しているのであった。

 年次更新は、年に一回しかやらないから、引き継いだときに前任者が気が付かないんだよね。
 だから、「あー、なんでだろう」って毎年新春に悩んでいるのである。

 「ともかく、いいから年次更新してから、試してみなって。そのソフトは一年分しかデータが入らないから、そのままじゃ絶対に1月分は入らないんだってば。でも、マスオさんはその権限がないから、親会社の部長にお願いするか、そうだ、向こうにハイジがいるんだから、きっとハイジができるはず」とまくし立てたのだが、彼はたぶん「年次更新」の意味がわからないらしく、またネチネチと分厚いマニュアルを捲くろうとするし、「でも、このデータが読み込めないのは」と、まだ拘っているので「とにかく、年次更新しろってば」と放っておいた。

 そりゃ、私がハイジに電話して「こういう事情だから、やってあげてよ」と言えば早いのだが、そうなると、マスオさんはそれを覚えないだろうし。
 しばらくして、やっとマスオさんはハイジに電話して「年次更新をしないといけないらしんですが」と言ったら、ハイジはすぐにわかってくれたようで、すぐにやってくれたらしい。

 そんで、更新が終ってから、さっきと同じデータを入れたら、さっさと読み込んだようだ。
 「ああ、できました」
 「だから、言ったじゃ〜〜〜ん」

 もー、人の言うこと聞かないんだから。
 もー、何度も「だから、今開いてるところは18年度なんだから、更新して19年度にしないとダメだって。だから、それをやってから次のことを考えろ」と繰り返し言っても「はあ・・・・・」って反応なんだもん。せめて「言ってる意味がよくわからない」とか言ってもらえれば、私の説明が悪いのかなあ、と他の言い方で説明するんだけどさ。それに、彼が「年次更新」を理解していないのを責めているわけではないし。管理者は親会社にいるのだから「こういう更新を管理者にお願いしろ」とシンプルに言っていたつもりなんだが・・・

 でも、横に私がいたから、まだよかったけど、そうじゃなかったらあれでまた夜中まで苦戦していたかもしれない。

 というわけで、わたしのおかげ様で、マスオさんがまた夜中まで残業しないで済んだことを切に祈る。

 
1月9日(火)

 日曜日は久々に上京した新井氏と大酒飲んだ。店4軒はしごした。たぶん。

 待ち合わせの前に、下北をぶらぶらしていて、下北に復活したボディショップに入ったのだが、あの店も、数年前に店舗が激減したというか、私がよく入る店舗が無くなり(下北沢と渋谷)「どうしたのかなあ?」と思っていたら、最近になって下北も渋谷も別の場所に復活したけど、店舗は狭くなり、商品の価格は跳ね上がったように感じる。

 前はもっと、スーパーに並んでるシャンプーに毛が生えたほどの金額だったと思うんだけどなあ。
 だから、ちょっといいシャンプーやリンスを買うようなつもりで買っていたし、イギリスに行くとやや安かったので浮かれてまとめ買いして、帰りの荷物が重かった。
 H2Oも、NYで買ったときには、当時のボディショップくらいの値段だったと記憶しているが、日本でも展開するようになったころには値段が倍の高級品になっていた。

 きっと、あのテのブランドは安くてはダメっていうマーケティングなんだろうけどさ〜。
 ロキシタンなんかは、免税店展開までしてるしね。

 さて、日曜日は4軒はしごしても終電ギリギリで解散したのだが、それでも月曜日は二日酔い気味で、ずっとダラダラと寝ていた。

 今日は出勤。やっとオフィスも人が揃ったようだが、今日初出勤のはずの、うちの課長は来なかった。謎の外出予定がグループウェアに刻まれていた。昨日までは入っていなかった予定。それほど重要そうでもないので、ただの挨拶周りだろう。それはいいんだけど、せめて一旦出社してから「じゃ、あいさつ回りに行くから」って言うのが普通だと思うんだけどなあ。
 彼が前に所属していた部署でもそうだったらしい。ひどいときには、3日間くらいずっと外出だったりするとか。

 まあ、営業なんて、いくらサボってようとも(ちゃんとマメに足にマメを作っている人もいるだろうけど)、気合一発で仕事とってくれば評価されるのだろうが、総務部なんて「いてナンボ」の商売なんだが、そこんとこわかっているのだろうか?
 とりあえず、総務部の他のメンバーは「あの人は人員としては当てにできない」と諦めている。
 てゆーか、他は私を含め3人しかいないわけだし、M嬢は他部署の応援シフトに入ってしまったので、私とマスオさんはうかつに休めないということである。

 まあ、彼がいても、仕事手伝ってくれるわけでもないのでいいんだけど、彼の仕事まで代わりにやることになるのは不満である。そんで、他の人たちも、だんだん彼に頼むのではなく、いつも席にる頼みやすい私らに直接言ってくるようになっちゃうし。

 でも、そういう人ってけっこうな割合でいるんだよね。それで、そういう人が会社を辞めてからわかるのだが、電話が一本も掛かってこないの。私みたいな仕事をしていると、辞める際にも数人にご挨拶すれば済むから、そいうこともありえるけど、でも「ミヤノさんの後任はどなたでしっけ?」くらいの電話はあると思う。
 あと社内的にも、「ええと、あの仕事はあの人がやっていたけど、どうしていたんだっけ?」と辞めた人の残したファイリングを紐解きながらあれこれと大騒ぎになったりするのが普通だけど、「そういう人」の場合は、そういうことも全く起こらなかったりする。

 そういや、「そういう人」の特徴としては、自分が引き継いだときには大騒ぎするんだよなあ。
 課長が引き継いだ仕事のほとんどは、K嬢の仕事だった。
 K嬢の前には、N氏がやっていた仕事。
 N氏からK嬢の引継ぎは、傍で聴いていてもイライラするものだった。
 「君はちゃんと教えてもらっていいよね。オレんときなんか、前任者がすぐ辞めちゃったから、ほんと苦労してさあ」って、ずっと言ってたのである。
 そりゃ、そういうこと言いたい気持はわかるが、「ちゃんと引き継いでもらえなかった苦労」は、「苦労話」として自慢するよりも、その苦労を生かして、きちんと完璧な引継ぎすることで昇華させてほしい。

 で、引き継いだK嬢だって、N氏の退職間際だったので、1ヶ月かかって引き継いだから1サイクルはきちんと教えてもらえたけど、教えてもらうたびに「君はいいよね」って言われるのもねえ、と思ったが、N氏が退職した後も黙々と自分で考えて、トラブルにもきちんと対処していた。
 それに、N氏から引き継いだ仕事以外にもたくさん仕事をこなし「今までNが1人で忙しそうにしていたのは、いったい、なんだったんだ?」と皆が思ったけど、口には出さなかった。

 で、K嬢が異動になり、課長に引き継ぐことになったんだけど、半年たっても課長は、ちょっとわからないことがあるとK嬢に確認して、K嬢が「それは、私もよくわからないので、そういうのはその都度確認していた」と説明すると、課長は「まったく、これじゃ、ちゃんと仕事できないよ」とコボす。まるで、K嬢の引継ぎが悪いから自分がきちんと覚えられないと言わんばかり。

 課長の言うことにも、言い訳の余地があり、その仕事は一種の代理店業務なので、顧客からの質問や要望でややこしいことがあると、元会社(って何て言うんだろう?)に確認しないとしょうがないのだが、K嬢のときの担当者は、けっこう親切に教えてくれていたのだが、課長が引き継いだタイミングで新たに担当になった人は「そのくらい代理店のほうでも勉強してもらわないと」という態度のようで、課長はよくブツかってしまうのだ。(で、新担当者の不親切さをK嬢に延々と愚痴ったりして、K嬢の仕事の邪魔をする)

 担当者の性格の違いもあるだろうけど、K嬢と課長の性格の違いも大きく影響していると思われる。
 きちんと下手に出られるK嬢と「そこはわかっているのだが、ここがわからないと言っているでしょう?たしかに、私もあまりよくわかっていないが、あなたの説明もわかりにくい」って態度の課長では、向こうの反応も違うだろう。(私も課長が他部署にいるとき、よくそういう物言いに軽くキレていた。質問しに来たのか、ケンカ売りにきたのか、なんだかよくわからない言い方をする人なのである。雑談だと話が弾むんだけどねえ。仕事の話で「それはケースバイケースだし」と「どうケースバイケースか」って丁寧に説明しているつもりなのに、「そんな曖昧なことじゃ、困る」と言うので「じゃあ、どうしたいんですか?」って言うと、「それはそっちで決めるべきことだろう?」って言うから、「まあ、じゃあ、どっちでもいいけど、私としてはこっちでいいと思います」と言うと「じゃあ、それでホントにいいんだね?」って・・・なんでそう人を追い込む言い方をするのだ?)

 さて、今日も仕事の愚痴に花が咲いてしまいましたが、咲いても咲いてもちっとも枯れない花でございます。

 夕方、マスオさんと二人で恒例の残業タイムに突入していると、ハイジがやってきた。
 「オレの株デビューの銘柄、上がっちゃったよ〜」とマスオさんに自慢しに来たのである。
 はあ・・・・(溜息)

 ハイジは、先刻、役員からの飲みの誘いをきっぱり断っていたので、「Iさん、がっかりしてたよ」と言ったら、「だって、めんどくさいんだもん」
 去年、その役員から誘われて飲みに行ったら、他の役員も乱入していて、ちょっと荒れたという話は聞いていたので、ハイジを誘った役員も「彼はきっと、あれでかなり警戒してるんだね」と私とマスオさんに言うので、私らも「そうでしょうね、きっと」と相槌を打っていたのだが、マイペースなのはいいけど、「めんどくさいんだもん」ってはっきり言うなって。

 それに、上司からの誘いを断ったというのに、こんなところでブラブラしているのが耳に入ったら(他の人は、そんなこととは知らないし)、いくら人のいいIさんだって、ちょっと面白くないと思うぞ。

 でも、私のそんな心配もつゆ知らず、マスオさんの仕事の邪魔をして「おー、株バナシしよーぜー」って、まあ、慣れない親会社でストレス溜まってて、気の置けないヤツとお喋りした気持はわかるが、それにしてもねえ。自分に正直だなあ。でも、それでガツンとやられると、異常にヘコむ気の小ささがバランスが悪いんだよね。

 それにしても、この前も日記に書いたが、ハイジのマスオさんへの甘えっぷりは気色悪くて面白い。
 でも、本人、自分で意識してないんだろうな。

 で、マスオさんの邪魔をしつつ、そこらのパソコンを立ち上げて株価の研究していたのだが、「腹へったなあ」とお菓子置き場(年末年始は手土産が多くて嬉しい悲鳴)を漁り「うーん、お饅頭かあ、太るしなあ」と悩んでいるので「そういうときに、女の子は『ケーキより、アンコのほうがローカロリーだし、健康にいいんだよね』っていう呪文をとなえるんだよ」と言うと、「でも、やっぱいいや」と私のセリフなんか聴かないフリしていたが、5分くらいして「やっぱ食べよう」と食べてしまっていた。

 仕事ばっかりしているので、他に楽しみもないから、ついつい熱心にハイジの観察してしまいますが、まあ「愛があるから」っちゅーことで(笑)

 いやほんとは、もっとドス黒い愚痴を書けるような対象が、たくさんあるのですが、それは自分でもシャレにならないので、この間もずいぶん書いたんだけど、ハイジのとこだけ残したのである。(今日は課長の愚痴も残しましたが。彼はけっこう手強いので今後も私にとっての壁になるでしょう。今んとこ仕事を共有してないのでこの程度ですが。彼が今のとこ、ロクに仕事してないのは上司も気が付いてますが、自分の代理でどうでもいい会議に出てもらう役割として重宝してるみたい。あ、いかん、ドス黒いものが噴出してしまった)

 そーいや、今日の派遣のAさんは、連休明けだったせいもあり、けっこう分量のある入力仕事を2つくらい任された合間に、来客対応やその他の雑事にも忙殺され、足が地面につかないくらい飛び回っており、「わー、今日はなんだか次から次へと・・・」と大声で独り言言いながら、とても生き生きと楽しそうだった。
 いつもあのくらい仕事があるといいんだけど、偏るからなあ。

 個性的な面々に囲まれて、忙しい中にも「動物奇想天外」が織り込まれているので、楽しませていただいております。って、実は自分が一番珍獣だったりしてね。ありがち。  
1月6日(土)

 今日はエッチなスパムメールしか来てなかった・・・・
 (普段は、ちゃんと登録してある広告メールも混じっているのですが)

 さて、今日も出勤したが、正月早々の土曜日出勤というのも哀しいものがあるが、やっぱし思ったほど捗らず、それでも頑張って残業していたが、正月早々の土曜日出勤で残業っつうのは、さらに物悲しい。

 午後2時くらいに電話が鳴って、私がとると、ハイジだった。
 「今日、マスオは出勤してる?」と言うので、またスポーツジムへ一緒に行こうというお誘いかと思ったら、「近所にいるからラーメン食べない?」という昼食のお誘いだった。

 マスオさんはとっくに昼食をとりおわっていたのでやんわりと断っていたが、ハイジ君、いくら近所に住んでいるとはいえ、休みの日に他にやることないんですか?
 ヤツは、大晦日も会社の前をジョギングしていたそうで、「会議室のフロアの電気が夜なのにつけっ放しだった」とか言っておったが・・・・

 でも、気が付いてはいたが、ハイジはマスオさんのことがほんとに大好きなんだよな。
 ハイジから来た年賀状にも「マスオをよろしくお願いします」って書き添えてあったし。

 彼の愛情表現はとてもわかりにくいんだけど、マスオさんを厳しく指導したり「あいつ、性格が変わってるから、それで仕事がダメだから」と私に愚痴ったりしていたけど、でも「ああいう性格だから、ちゃんと仕事できないけど、でもそれで損してるんだと思うけど」とフォローしていたので、ハイジなりに「マスオをなんとかしてやろう」と思っているようだ。

 可愛いっちゃ、可愛いけど、「おめーそれよりも早く嫁を貰え」と本気で思う。
 でも、マスオさんに対する捻くれた愛情表現を観察していると「こりゃ、なかなか結婚までこぎつかないなあ」とも思う。

 彼は、クララのことも、彼なりに可愛がっていたのだと思う。彼は、ちょっとトロい子が好きだから。ってゆーか、自分より出来るヤツが苦手ってだけだが(笑)
 でも、クララはマスオさんよりずっと繊細だったから、ハイジが愛するが故に、小言を言うのに我慢できなかったけど、マスオさんは、ハイジに「おらおら〜」とムチ打たれても平然としているので、マスオさんみたいな人を私は他に知らないけど、ああいう女は絶対にいないだろうから、もういいや、ハイジよ、いっそ、マスオさんを嫁に貰え!

 ああいうモーホーのカップルって、オランダとかサンフランシスコあたりにはいっぱいいそうだぞ?

 才気煥発だけど超自己中心君と、おっとりと天然ボケで優しそう君のカップルって基本よね。(は〜と)

 しばらくその妄想を糧に、仕事がんばろーっと。

1月5日(金)

 国木田君ったら・・・・好き嫌いはよくなくてよ。
 それも、コうるさいテクノやホントにうるさいノイズ・ギター系をはじくのならわかるが、なぜ、ベトベンやブラムス(のだめ語)をきちんと食べないのですか!
 第一楽章が入ってなかったり、第二楽章が1分で途切れたりって、テクノだったらバレないように苦手な食べ物を机の中に隠してから、休み時間にこっそり捨てることも可能だろうけど、クラシックでそれはできませんよ!

 と、国木田君とラブラブな今日この頃ですが、今日は初出勤。意外とバリバリ仕事できたが、やはり、会う人ごとに「おめでとー」と言うのが苦手というか、その機能だけがなかなか立ち上がらず、やっと昼くらいになったら反射的に言えるようになってきた。

 つーか、やっぱり、心の底では「新年だからって、別に何が目出度いのだ?」と思っているようであり、それは芸能界の経理のオネーサンだったころ、夕方でも「おはようございます」と挨拶するのに納得がいかなかったが、そういうのはプロトコルだから、「はーわーゆ?」って挨拶されて「いや、今日は頭痛がひどくて」と答えてはいけないのと同じで、逆に日本では「調子はどう?」って言われたら「いやー、ボチボチですなあ」っていうのが正しいようだし、独立した人なんかは「なんとか飢え死にしない程度には・・・・だから仕事くださいね」と、たとえベンツ乗っててもそう答えるのが正しいようで・・・・(そーゆー人をいっぱい見た)

 明日も出勤だ。
 休んでもいいんだけど、そうなると来週苦しいからなあ。
 でも、今日は思ったよりも捗ったので、明日頑張れば、来週はなんとか残業地獄から抜け出せるかも。ベースメントジャックスも観にいくし。(まだライブ未体験でした。楽しみ)


1月4日(木)

 今日まで休みだったので、またiPodとお散歩。
 充電アダプタ買ったので、国木田君(やっぱし、その名前になった。フルネームだと、「国木田ドッポ君」)もやっと満腹になってくれた。

●スキャナーダークリー

 昨年末、「財布を忘れて 愉快なミヤノさん ♪」になってしまい、どっぷり落ち込んだのでリベンジである。そのときも「隣でやってる、硫黄島は客がたくさん入ってるなあ」と思ったけど、今日もほぼ満席状態だったようで、初老の夫婦+娘の家族連れのお母さんが「そんな一番前じゃねえ」と渋っていて、「じゃあ、しょうがないから、別の観ようか・・・」と、スキャナーダークリーのポスターを眺めていたが、無言でそれを凝視する家族の背中が「これは、ちょっと違うのでは・・・・」と大音響で語っていたのが面白かった。
 あれでうっかり「おとうさん、じゃあ、これにしましょう」と言い出したら、「あのー、これはやめたほうがいいと思います」と止めてあげようと思っていたんだけどね。

 わかってはいたが、実写をアニメに合成した変な映像で、けっこう戸惑う。
 スクランブルスーツの「キモさ」はよくわかったが、キモすぎる〜

 ジャンキー同士のバカ話は、小説と同じでけっこう面白いのだが(18段変則の自転車のギアが6+3で9個しかない!って真面目に焦っているのに、変に暗算は得意だったりとか・・・)、やっぱり暗い話だよね。

 でも、主人公がだんだん追い詰められていく感じは、けっこうよかった。キアヌがよかったかどうかはわからんが・・・・つーか、あそこまで処理されちゃうと、キアヌだかなんだかわからんし。なので、キアヌ・ファンとしては満たされないものがある。

 しかし、他の主要人物も、ウィノナ・ライダーにロバート・ダウニー・Jrにウッディ・ハレルソンって、全員、実生活でも「前科モノ」って感じで笑える。

 この話をもしかしたら「アンチ・ドラッグ話」として解釈する人もいるかもしれないが、どこまでが「現実」でどこからが「妄想」というか、オチもあるから「そっか、ずいぶん前から全部仕組まれていたんだ」っていうのが、とてもわかりやすいが、「全て仕組まれているんだ!」っていうのはジャンキーが大好きな話題なので、物悲しいラストを含めて、全部が妄想というか「よくできたヨタ話」という解釈もできる。「・・・・で、最後は更生施設に入るんだけど、そこで・・・・」「わーーー、すげーーーー」ってマリファナ回しながら大盛り上がりってゆーか。

 「私服警官が紛れ込んでいる」っていうのは、よく聴く話というか、「ゴアパン刑事(デカ)」っていうのも2ちゃんのそれ系スレッドでよく観たなあ。(ちなみに「ゴアパン」というのは、レイブ系の人が好んで履くド派手な柄のパンツです)

 まあ、ほんとにいるのかもしれないが、なんか口裂女伝説みたいな雰囲気を感じました。そういう服装の人に「調子よさそーだね?何キメてんの?」って話し掛けられて、うっかり正直に言うと、「じゃ、別室で」と連行されるっていうのが定番話で、「わたし、キレい〜〜〜?」っていうのとほぼ同じ。

 普通の人が考える「妄想」っていうのは、せいぜいその程度だけど、さすがディック様はひねり方が違うよなあ。つーか、自業自得のジャンキーが最後に「正義の切り札になるかもしれない」っていうオチに持ってくあたりに、常人では有り得ない、深い自己愛を感じる。しかも、それが全く「救済」になってないあたりが凄いよね。

 まあ、しかし、最後にディックの知人で亡くなったり、重度の精神障害に病んだ人の名前がずらりと出てくると、あそこは小説よりも、映画のほうが、ジーンと来たというより、どっぷりキタよ。

 わたくし事ですが、最近、そういう事件があったもので・・・・
 いや、どこまでが本人の妄想なのかわからないけど、とにかく本人は「最初から全て仕組まれていた」と主張するので「いや、みんな、あなたを陥れる計画立てるほど暇じゃないし、せいぜい、自分を守るために出任せ言ったのが偶然効いてしまった程度のことだと・・・」と必死に説得してみたが、本人の中で出来上がってしまった物語をどうすることもできなくて、無力感に苛まれたのであった。

 というわけで、けっこうヘヴィーな映画でございました。よかったけど、もう一回観る気にはならない。

 関係ないが、映画を観る前に映画館の近くの店でランチを食べたのだが、小柄でロックな服装なオジサンが入ってきて「ここでいいじゃん」って話している声が、どう考えても哀川翔だった(笑)

 あと、年末から国木田君と散歩したり、正月には両親としっかり散歩したおかげで、今日は渋谷まで往復きっちり歩くことができました。やはり、定期的にお散歩しないとナマるね。
1月3日(水)

 その昔(20年以上前)、バンドエイドが「Do They Know It's Christmas?」を大ヒットさせ、ライブエイドが衛星中継で放送していたときには、とにかくその豪華メンバーを観るのに必死だったけど、もう少し大人になってから気がついたのは、「諸般の事情で難民生活だったり、飢餓が深刻な地域の多くは、キリスト教圏でないので、たとえ豊かであってもクリスマスなんて関係ない」ということである。

 まあ、国際ニュースを観て「ああ、イスラム圏はラマダンかあ」って言ってる脇で「ラマダンって何?」って言ってる人よりも、ラマダンが漠然となんだかわかっている人のほうが一般教養はあるんだろうけど、だからって幸せであるとは限らないのと同じで、だから、ときどきアーカイブ的に「Do They Know It's Christmas?」のプロモビデオを観ると、「クリスマスだっていうのに、朝から晩まで普通に仕事してて、デートや飲み会の約束の一つもない私をなぐさめてくれるのか?よけーなお世話だ」と思うんだけど、クリスマスというのを「キリスト教徒の押し付け」と解釈せずに「どの民族・文化にも似たようなお祭りはあるわけで、それの英語的超訳」と思えばいいのだが、するってえと、美しき国・日本で「Do They Know It's Christmas?」を超訳すると「正月に餅が食えない人がいるなんて!」ってことになるかもしれないんだけど・・・・

 何が言いたいかというと、「正月は食いすぎ」ってことで、大晦日の夕方からダラダラ食べて、紅白観ながらまただらだら食べて、除夜の鐘が聴こえると「腹ごなしに近所の神社に行くべ」と行って戻ってきて、また「コバラが空いた」と言って食べて寝て、元旦の昼に起きて、お節を食べて「まだ食材がたくさんある」というわけで、お腹をすかせるために、大国御魂神社まで歩いて戻ってきて、つーか、府中でうっかりソフトクリームを食べて、おとんが「ここまで6000歩だぞ」って計測してくれたが「このソフトクリームで3000歩くらい台無しだ」「いや、6000歩がすでに台無しかも」と言いつつまた戻り、「今夜はワインをあけよう」と意気込んで、母が冷蔵庫に詰め込んだ食材の中からワインにあいそうなつまみをとりだして元気よく食べ・・・・・

 とにかく、起きているときにはひたすら食べ、食べてないときには寝ているという、家畜のような生活で、そうなってくると「常になにか食べてないと落ち着かない」というジャンキー状態に陥り、「あんまお腹すかないよね」と言いつつ、黙々と食べていたのである。

 今年は弟夫妻が不参加だったので(双子の乳児抱えての外出はまだ大変らしく、弟の妻の実家に帰るのも見送っている)両親と私と妹という渋いメンツだったので、落ち着くといえば「静かないい正月」であったが、大人4人で顔あわせていてもやることないから、ほんとひたすら食べていた。

 難民キャンプにいる子供たちよりは、たしかに超満たされているけど、幸せってこういうもん?という疚しさもあるが、クリスマスにしろ、旧正月にしろ、世界各地の「家族が集まって祝う国民的祝日」っていうのは、こういうもんなんだろう。

 NHKのドキュメンタリーによると、地球全体の問題はすでに「飢餓」よりも「飽食」らしいから、「もしかして、クリスマスを知らない人たちのほうが、健康にはいいのではないか?」と本気で思う。
 前にもイギリス人留学生とクリスマスの話になったら「悪夢の料理」について熱く語っていた。イブでしこたま飲み食いした翌朝、おかーさんが作ってくれる、なんかの揚げ物が超ヘビーで、ぜったいに食べたくないのだが、それを食べないとお母さんの機嫌が悪くなるので、必死で食べるんだとか。

 日本でも、お汁粉なんかが「悪夢の料理」にランクインしてるであろう。うちは、祖母がお汁粉をよく作っていて、母もゲンナリしていて、よく喧嘩していから、そういう悪習は引き継がれていないが。
 でも、そういうときに、お母さんが張り切って鍋いっぱいに作る料理を「えー、こんなの食えないよ!」と非難するのも気がひけるが、今年、うちのママンが死ぬほどストックした料理は「一把60円で大特売だったミブナの浅漬け」だったので、それだったら「へ、へるしー」というわけで、たくさん食べました。

 あと、妹が持ち込んだカニで年末に鍋をしたので「このダシで雑煮にしたら絶対にうまい」というわけで、やってみたら、餅を3個も食ってしまったよ・・・・・カニだし最高・・・・・・でも、食べ過ぎた。

 年末前に、実家は姪っ子Nちゃんを少しだけ預ったらしい。(双子の世話でも手一杯なので、掃除もできないから)そんで、姪っ子を迎えに行って中央線の快速に乗り継いだときに、「Nちゃんの手をひいて、Nちゃんが持ってるカートカバンにも気をとられて・・・・」自分が背負っていたリュックを電車に忘れて、大パニックになり、駅長室に飛び込んで探してもらったのだが、終点の中野で捜索してもらったときには、もうなかったとか。

 金目の物は入っていなかったのだが、Nちゃんのお気に入りの帽子や、母が10年くらいメモを溜め込んでいた手帳が入っていたので、「おかげで年末はずっと鬱だった」

 いわゆる、ペットロスト症候群みたいになったらしい。「あの手帳には、昔近所で仲良しだったTさんの孫の名前なんかを書き留めていたのに・・・もう、孫の名前もわからない」と嘆く母の横で、妹が「携帯無くすと、そんな感じになるんだよねえ」と「よくあることだ」と彼女なりに励ましているようだったが、10年来の手帳をなくしただけで、あんなに落ち込むんだから、父ちゃんが先に死んだら、やっぱし大変なことになりそうだなあ、と思ったけど、それは口には出しませんでした。

 でも、おかげで母は、どこに初詣しても「手帳が出てきますように」と「家内安全」よりは実利的に切実にお祈りできたらしい。

 そういや、大晦日に帰省してみたら、父は「銃・病原菌・鉄」の上巻を読んでいた。
 「それって、ずいぶん前に流行った本では・・・・」
 父の書斎(?っていうほどのもんでもないが)の本棚にずいぶん前から置いてあるなあ、と思っていたが「前に買ったのだが、最近やっと読み始めた」とのこと。

 そんで、そんな話をしていたら、ここんとこ読んでる本は塩野七生の「ローマ人の物語」だそうで、「ああ、あれって完結したんだっけ?」って話で静かに盛り上がる。うちの父ちゃん、塩野七生と高校の同級生なんすよ(笑)

 で、私もさっそく「今、その手で流行ってるの、これなんだよ」と「テヘランでロリータを読む」と見せびらかして「パーレビ国王が追放されて、ホメイニ師の時代の話なんだよ」と説明すると「おとうさん、そのころ、イランに行ったぞ?」

 それを知ってるから、話を振ったんだってば。
 父は、「ふーん、ふーん」とその本を撫でまわしていたので「わかった、私が読み終わったら、お父さんにあげるから」
 「テヘロリ」に興味を示す、「ちょいテリ」(「ちょっとワル」ではなく、「ちょっとインテリ」)な父が私は好きだ。

 母のお喋りにずっと付き合っていたが(弟とはすぐ喧嘩になるけど、妹もけっこう逆らうが、やはり妹のほうが我慢強いというか「雑談で正論を主張してもしょうがない」という女社会のルールを本能でわかっているかんじが面白い)、私も仕事の愚痴を披露して「3年かかって育てた、お父さんの超後輩の男子(同じ大学・同じ学部卒)が、やっと使えるようになって、これで私も左団扇と油断してたら、親会社に栄転になってしまった〜」

 「それって栄転なの?」「まあ、親会社はそこそこの中堅企業だし、そこの経理部長はなぜか東大卒だし」って話になり「でも、役員連中からは『あいつはIQは高いがEQがダメだ』って言われてる人なんだけどね」と言うと、父は意味がわかるので静かに苦笑していたが、母が「EQってなに?」と言うので、「ほら、おかーさんもしょっちゅう、『おとうさんは、そりゃ、頭はいいんだろうけど、実生活でなんの役にもたたない』って言ってるじゃん?それだよ」と言った、母もすぐに納得してくれて、「ああ、私って、なんて説明上手なの」と自画自賛である。

 2日も3日も、ずっと箱根駅伝を観ていたのだが、どっかの選手に「板倉具視」っていう子がいて「これって、岩倉具視から?」と話をしていたら、父が「どれどれ」と広辞苑をひいてくれた。クイズ番組のときにも、父が率先して辞書をひいてくれる係りである。
 私が「あれ〜?でも、板倉って言ったら、板倉死すとも・・・・ってほうじゃ」と言ったら、母が「そうそう・・・・じゃなくて、それは板垣・・・・・板垣タイスケよ!」

 しばらく、母と「この子がいるクラスでは、日本史の試験で板倉具視とか板倉退助って書いちゃう子が続出して、イジめられたかもしれない」なんてバカ話に花が咲いた。実際「板倉死すとも」でも、多少ひっかっかってきますし。


 学生のころは、この程度の「わかりにくギャグ」でよく盛り上がったもんだけど、社会人になってからこういうことを言うと「ふーん、ミヤノさんて頭いいんですね」とよく突き放されてしまったりするが、うちの両親が「ギリギリこの程度」なもんで。それをまた実感した。そういう「お育ち」なんですってば。で、我が家では、「ちょいテリ」の父よりも、「かなりDIY」な母のほうが偉いし、冷凍した食材を電子レンジで解凍するたびに、ブレーカーが落ちていたのだが、父を含めて娘たちも「おかーさんがなんとかしてくれる」と暗闇の中で、母が懐中電灯片手にブレーカーを挙げるのをじっと見守っていたのであった。
 うちは、そういうとき、ブレーカー上げるのは母の役目で、「岩倉トモミのトモミってこういう字だったっけ?」と騒ぐと、黙々と辞書をひくのが父の役目なのである。

 父が60歳すぎてから、母も「この人はこういう人だ」とやっと諦めてきて、けっこううまくいっているので、やっと夫婦円満の老後をできるだけ長く楽しんでほしいと切に願う。

 母は弟んとことにずっとヘルパーとして滞在していたが、弟があまりにもなってないので喧嘩ばかりしていたそうだが「でも、この子育てたのは自分だし・・・」と最近、反省しているらしい。いいことだ。
 嫁は、弟の行儀の悪さを全然気にしてないし、何事にもムっとしない人らしいので、母も相当反省したようだ。妹が「だって、お母さんは、私やオネーチャンが『ご飯おかわり』って言うと、自分でやりなさい、という態度だったけど、Sちゃん(弟)のは何も言わずによそってあげて、だから私は『そういうふうにするとよくない』って言ってたのに、聞かないんだもん」って言っていたけど、今の弟は、男女平等をふりかざす小姑からも解放されて「うん、これうまい、おかわり」って差し出すと、嫁がニコニコとよそってくれる環境がうれしくてしょうがないのか、そんな三歩下がってっていう女性が実在すると思えない環境で育ったので、白昼夢が実現したような嫁をとことん愛しており、弟が休日のときには、あの母ですら「あたしって、ただの邪魔もの?こいつの躾の悪さにはなんか言ってやりたいが、私が躾たんだし・・・」と引下るほど、家族仲良しのようですから、いいじゃありませんか。

 で、弟の嫁はほんとによく出来ているので、「お母さんにずっと助けていただいて、ほんとにありがとうございました。これでお父さんと温泉でのんびりしてください」と旅行券をプレゼントしてくれたので、「私が滞在中は、ずっと私が買い物のお金も出していたのよ!」と私に愚痴っていたのだけど、そうなると、「いえ、こんなにいらないから」と「あの人たちも気を使わなくてもいいのにねえ?」という愚痴にパラダイムシフトしていた。

 母としては、きっと、私や妹が出産して、今度こそ本当に心おきなく「まったくも〜〜〜〜」と愚痴りたいのだろうけど、そういう機会を与えてあげられなくてすいません。
 でも、妹も「入籍ぐらいだったら」とずいぶん日よってきたので、うっかり妊娠しちゃえば、もう大変よ。
 そうなったら、母が「なんなの、あの子は?もう、親の顔が観たい〜って、親はあたしか」ってボケ突っ込みするのを温かく見守る、ちゅうか、6時間耐久愚痴聞きレースに参戦する覚悟はできているのですが。いや、マジで、12時間耐久愚痴聴きくらいは、慣れてますって。母はシラフですが、こっちは酒でも飲まんと付き合ってられないので、ガバスカ日本酒を飲んで拝聴しますけどね。

 そんなわけで、お母さんと雑談していると「育てていただいた恩はあるが、この愚痴聴くのって、1時間聴くと1年間育ててもらった恩を返してもらったくらいの価値あるなあ」などと思っていた、いい正月でありました。

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