可燃物な日々

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5月31日(水)

 このご時世であるからして、今までは「小さな会社」にありがちな、来客にオープンなオフィスだったのだが、とうとう社員証がないと入館できないようにしてしまった。

 変更前から、総務部の面々や各フロアのアシスタント派遣社員たちとも「けっこう大変なことになりそうだね」と不安のエール交換をしていたのだが、蓋を開けてみると、やっぱし大変。
 来客や業者をいちいち階下の玄関口まで出迎えにいなかくてはいけなくなったのである。

 今はそんなに忙しい時期ではないから、物理的には、それほど大変でもないのだが、仕事を中断して、エレベータに乗って迎えに行って、帰ってきて、席に戻っても「あれ?さっきまで私、なにやってましたっけ?」ということになり、仕事が全然捗らないという、精神的負担が大きい。

 それ以外にも、入館証を渡したりとか、返却してもらったりとか、倉庫の入室権限が厳しくなり、その権限が無い人に付き添うとか、慣れてしまえば、どうってことないことでも、いちいち「どうするんだっけ?」と確認しながらやってるので、夕方になるとぐったり疲れてしまう。

 いっそのこと、私を受付専任にして、入り口のところに座らせてほしい、と冗談交じりに言っているのだが・・・・

 まあ、新しい環境に置かれると、これだけ疲れるってことは、脳が活発に動いているっていうことで、ボケ防止にはいいかもしれない、と「いいこと探し」して気を静めることにする。

 しかし、頭がピリピリするので、今日は「命の水」をチャージして、早寝しよっと。

 セキュリティー強化については、いろいろ不満もあるし、たぶん、ある程度の規模のオフィスだったら当たり前のこをしているだけなのだが、元々、そういう建物構造になっていないところに、場当たり的にやるもんだから・・・・
 一番ムカつくのは、入り口に一番近い部屋の人が、なーんも手伝ってくれないことである。
 前から、嫌いな人だったけど、あの人、ほんとにわかってないよな。
 でも、わからないまま、もうすぐ退職するらしい。
 自分が一生懸命仕事していたのに、ちっとも認められず、給料は押さえられるし、どっちかというと「早く辞めてくれればいいのに」と思われていた理由が、あの人にはとうとう理解できなかっただろう。

 あの人の後任に、もう少し普通の人が来てくれればなあ。と思って、「あそこにいる人が、これやってくれると助かるんだけどなあ」って、なるべく上層部(ぷっ)に届くような大声で愚痴っているのだが、DO YOU COPY ME?(なんか間違ってそうな用法。出典はアート・リンゼイ)

5月29日(月)

 朝、電車に乗ろうとしたら、急行電車がまだ停止していたので飛び乗ったんだけど、なんか雰囲気が違う。
 あれれ?と思っていたら、「先ほど、あざみ野駅で人身事故が・・・・」というアナウンス。
 事故発生から、まだ5分も経っていない。
 こりゃ、しばらく動かんぜ。

 渋谷周りで東横線という手もあるのだが、上り方面も動く気配がなく「東急バスで振替え輸送しております」とのアナウンスなので、しばらく社内で待ってみたけど、やはり9時をだいぶ回っても動く気配がないので、会社に電話してみたら、毎朝早く来て簿記の勉強しているマスオさんが出たので「人身事故で電車とまってるから、何時に会社つくのかわかりません」と告げて、寝てることにした。

 結局、9時20分くらいには動き始めたのだが、途中でまた「現場検証のため」とのことで停止。そこでまた15分くらい停止していた。
 1時間弱遅れくらいで、あざみ野駅に到着したのだが、「まだ現場の名残が残ってそうだな」と警戒していたのだが、私の降りたところの正面に警察官がたむろしていて、その足元には布で覆われた、なにやら横たわるものが・・・・・

 もろ現場には居合わせたことないけど、そういう「処理済み」を間近に見るのは二回目だ。

 きれいに包まれているので、グロなことは全くないのだが、なんだか切ないものである。
 前に見かけたときには、私が渋谷に向かうときで、神泉の狭い駅を通過するときに、反対側ホームの半分は人がびっしり立っており、残りの半分はガランとしていて、「あれ?どうしたんだろう?」と思ったのだが、ガランとしたほうには、その横たわる包と、困ったような顔をしてたたずむ駅員や警官がおり、なんともいえない雰囲気であった。

 不謹慎な疑問であるが、ああいう場合、救急車で搬送するのかね?それとも他のなにか?

 さらに、不謹慎であるが、うちの母がヤジ馬を卒業した事件のことを思い出した。
 たぶん、母が19歳くらいの、日本橋あたりのOLだったころの話。
 会社の外を同僚たちと歩いていたとき(帰宅するときか、昼食のときなのか)、どこかで「飛び降りだ〜」という声がしたので、つい、そっちに向かってしまったらしい。

 私も以前、地下鉄の駅で、電車が急停止したときに、先頭の方に向かって人が動くのを見て「なんで、なんで?」と思ったが、なんかあったほうに引き寄せられる人はけっこう多いのであろう。
 若いOLたちも、本能に逆らわず、人の流れに身を任せ「え?どこどこ?どうしたの?」とキャピキャピ騒いでいたらしい。

 ふと、足元を見ると「あれ?これって・・・・血?」
 そして、そのすぐそばには、うつ伏せの人の頭が・・・・・・

 母曰く「もっと遠くのことだと思っていたら、実はすぐ近くだったのよ〜〜〜〜〜」
 そんで、母と同僚OLたちは、「ぎゃ〜〜〜〜〜」と悲鳴を上げて、その場から遠ざかろうとしたが、そこにいるのは「なんだ、なんだ」のヤジ馬ばかりだし、みんな足元には気がつかず、母たちを押そうとするので、半べそかきながら必死にブロックしたらしい。

 昔、どこかの繁華街でガス爆発があり、ヤジ馬が集まっていたら、さらに大きな爆発があって、大勢が犠牲になったという有名な事件があり、うちの母はその事件の話しをして「だから、ヤジ馬はいかん」と子供を教育したのだが、それに、母の実体験を加えたわけだから、おかげで私は、現場に近寄らない人に育ちました。近所でガス爆発があったときにも、火事があったときも、家でじっとしておりました。

 そういえば、都会の核家族で育ったので、「ご遺体」を見たのは、なんと社会人になってからだった。
 最初に拝見したのは、会社の上司のお母様が亡くなったときで、受付のお手伝いに行っただけだが「せっかくだから、お顔も見ていってください」と言われて、不謹慎であるが「初遺体だ」と思ったのであるが、生前の姿を知らないので「ふーむ、こういうもんか」としげしげと眺めていたような気がする。

 その後も、何度か葬儀の手伝いで棺に入ったご遺体を拝見したけど、初めて「布団に寝かされてるご遺体」を見たのは、前に勤めていた会社の社長が亡くなったときだった。

 ・・・・・・、あんた、昨日も「死んだ話」だったんじゃない?

 こういうのは、芋づる式らしい。

 「ま、いっか」と続けるが、その社長は、夜中に心臓発作で急死したので、朝の電話で「えええ?」というわけで、慌てて支度してご自宅まで駆けつけたのであるが、すでに社員たちも集まっており、私が行くと「お顔見てみる?」と布をとってくれた。

 最初に思ったのは「わ、もうここにいないや」ということだった。
 完全に物体である。
 お経なんて読まなくても、もう、とっくに「ここにはいない」と確信した。

 その前から、薄々気が付いてはいたが葬儀というものは、死んだ人のためにやるんじゃなくて、残された人が納得するためにやっているんだ、と実感した。

 その後、しばらくして、やっと(?)自分の親類の葬儀に立ち会ったが、霊安室に横たわる祖父の遺体とご対面したときにも「あ、やっぱし、ただの物体だ」と思った。
 まあ、「物体」としては、実によく出来ているので、燃やしたりしたくないような気分はわかるけど、ああいうものを永久保存しておく、社会主義国家とか、カソリックの聖人とか、よくわかんないなあ。

 墓などのアイコンにしてくれたほうが、「ここで安らかに眠っているのだなあ」と思えるが、ご遺体そのものは「ここにはおりません」感のほうを強く感じる。じゃあ、他のどっかにいるとも思わないんだけど。まあ、「生きてる人の心の中にいる」っていうのが精一杯。

 そんで、まとめようがないけど、ここまで書いてみてやっと気がついたが、私がかつてご対面したご遺体たちは、親族や友人、知人に囲まれて「まあ、ほんとにキレいなお顔で・・・・・」とか「燃やすのもったいないねえ」と、とことん愛されてから、荼毘に付されるのであるが、今日みたいな飛び込みの後だと、「忌むもの」として、通りすがりの人たちに、遠巻きにされながら、隠されてはいるけど晒されてる状態が、しばらく続くので、それがなんだかとても切ないから、飛び込みや飛び降りはやめましょう、と思ったのであった。

5月28日(日)

 金曜日の夜にやった洗濯物を今日の夕方、やっと取り込むことができた。
 天候不順で小売業が軒並みマイナスだとニュースでもやっていたが、こっちは危うく「パンツが乾かないから会社に行けません」って状態だった。

●最近の小さな悩み

 私は古い布が大好きである。
 アンティーク趣味という意味ではなく、「洗いざらしたボロ布」という意味。

 タオルでも、シーツでも、Tシャツでも、体に接触するような布が、ギリギリ状態に古びたときが、いちばん愛を感じる。しかし、シーツが「極上のやわらかガーゼ状」になると、寿命も近いので、蜜月は長くは続かないのが悲しい。シーツを洗おうとして、ひっぺがしたときに、「ジーーーー」っとささやかな音がして見事に裂けたりするが、それはシーツが死に際に「今までありがとう」と言っているかのよう。

 タオルも使い古すと、パイル状のものが、ええと、あれはなんて言うのか、フェイラーみたいなパイル上じゃない絨毯状のになるので、そうなると愛しさ倍増である。
 そういえば、少し前までフェイラーの化粧ポーチを愛用していて、実家でそれを取り出したら、妹に「それって、みんなよく持ってるけど、超オバサンぽくて、ダサくない?」と言われた。
 実は、私もそう思った。
 そのポーチは前の職場で退職する人が、退職記念品として配ったもので、開けてみたときに「なんじゃこりゃ?」と思ったのである。黒いタオル地に、毒々しい花模様

 オバサンがよく好む派手なニットのセーターとか、表柄のTシャツのような、毒々しさを感じた。
 しかし、同じ物を貰った同僚や先輩が「まあ、こんな高級品を」と喜んでいるので、どうやら有名ブランドらしかった。そうなると、電車内なので、よく見かけるようになった。今までは「趣味の悪いバッグ」と思っていたのであろう。

 化粧ポーチにあんましこだわりがなかったし、大きさも丁度よかったので、それを使っていたのだが、さすが有名ブランド品、ぜんぜんヘタれなかった。10年は使ったと思う。表のタオル地には全く問題がなかったのだが、さすがに裏地のほうがダメになり、1年くらい前に捨てた。

 バスタオルも、下ろしたては使い心地がよくないが、何度も洗っていると、水をよく吸収するので、ついついボロいほうを使いたくなり「新品同様」のと「超ボロ」の格差が年々広がっていく。どっちが勝ち組なのか不明。

 さて、小さな悩みとは、台所兼洗面所にかかっているタオルのことである。
 何枚か持っているが、どれも老朽化が激しい。
 色が白っぽいタオルは、汚れが目立つので、雑巾に格下げされるまでの期間が短いが、汚れが目立たない色のは、長持ちしてしょうがない。
 もっとも、「自分さえよければいいや」な気楽な一人暮らしなので、洗面用タオルも毎日洗ったりしないし、ひどいときには1週間くらい平気で使うから、よけいに長持ちしてしまうのであろう。

 しかし、さすがに、限界が近くなってきたタオルが二本ある。
 サザビーのタオル。
 ただのライセンス商品だろうけど、それなりにモノがよかったのか、もう10年くらい使用しているのか?

 でも、そいつらも、「糸くずに分解する寸前の輝き」というか、ものすごーく上品に柔らかくなり、どんな高級タオルにも負けないほどの感触なのです。
 で、このタオルには、それなりに思い入れがあるので、いつ破れるのか気が気ではない。

 このタオルは香典返しの品でした。
 香典返しっていうのは、結婚式の引き出物と違って、消耗品にすることになっているらしく、タオルとかシーツだったりする。(最近は、引き出物もそうだけど、カタログ方式が主流になったみたいだけど)

 自分が家を出て一人暮らしするときにも、母は何度からバスタオルやタオルやシーツを取り出して持たせてくれたが、ああいうのも多分、香典返し出身だろう。ちなみに、食器の多くは引き出物出身。

 普通は、香典返しの品物に思い入れなんて感じようもないのだが、このタオルに関しては、亡くなったのが、24歳男子(一人っ子)であったので、いろんな意味で私には、ズシーンと思い弔事であった。

 あのころ、親しくしていた友人が「DJごっこ」をよくやっていて、要するにライブハウスでバンド活動するノリで、クラブを借り切ってDJパーティーしていたのである。
 誰が拾ってきたのか、「オレもやりたい」と、仲間に入ったのが、ケンイチ君であった。

 背も高くハンサムだった彼は、おねーさん方に大変可愛がられた。
 ちょうど、花田祐美が「DJもやってるレコ屋の店員に憧れるチビな女の子」を主人公にした漫画を連載しており、その憧れのレコ屋店員君も「健一」という名だったので、私と友人は、ケンイチ君に「ケンイチごっこ」を強制して遊んでいたのであった。

 「ケンイチごっこ」とは、その漫画では、健一にハナもひっかけられない主人公が、それでも彼がDJしてるクラブに行くと、華やかなオネーサンたちが「ケンイチ〜」と呼び捨てにしているので、ヤキモキしているというのを実現するために、「おめー、ツラもいいから、DJで少し有名になったら、ギャルもつくであろう。そういうとき、わたしらが、『ケンイチ〜、ドリンクおかわり』などと、アゴで使うから、よろしく」という、たぶん、ケンイチ君は、その「ごっこ遊び」の何が楽しいのか理解してなかったに違いない。

 しかし、一人っ子の彼は、けっこう人懐っこく、おねーさんたちにいじられるのは、悪い気がしてなかったようだし、私らの「よし、早く有名になって、ギャルたちに、『あの人たち、なんなの、エラそーに、でも、ケンイチさんとタメ口で羨ましい〜』って言われるように、なんとかしろ。」という、わけわかんない要望も、軽く聞き流してくれていた。

 そんな彼が交通事故で亡くなったので、辛いお葬式であった。
 葬儀の後、しばらくして、「香典返し」が宅配便で届いた。
 中を開けると、サザビーのタオルだった。
 20代の友人が多かったので、親も「若向けのもの」と気をつかってくれたのだろう。

 そのタオルを眺めて、昔、母が話していたことを思い出した。

 母の実家の近所に、ジョンという犬がいたらしい。
 ジョンは縄抜けが出来たらしく、よく脱走して他人の家に上がりこんだらしい。下町は今でもそうかもしれないが、玄関が開けっ放しになったたのだろう。テレビが好きだったのか、人が好きだったのか、ともかく他人の玄関や縁側から居間にまで上がりこむのはいいとして、ジョンには変な癖があった。床にお尻をなすりつけるのである。
 もしかしたら、少し足が不自由だったのかもしれないが、とにかく、ウンチが床につくので、近所ではとても迷惑していた。
 
 あるとき、近所で花火大会があり、その音に驚いたジョンは、繋がれてるのに、どこかに逃げようとしたらしく、玄関前の段差を降りてしまい、首吊り状態になり、そのまま窒息死してしまったらしい。

 ご近所にも、さんざん迷惑をかけていた有名なバカ犬だったため、飼い主は、葬式饅頭を近所に配ったそうだ。
 ご近所さんたちは、しみじみと「あのジョンは、とうとうお饅頭になっちゃったんだね」と言ったそうだ。

 サザビーのタオルを眺めて、私も「ああ、ケンはタオルになっちゃたんだなあ」と思った。

 そもそも、事故に遭ったのも完全に、ケンが悪かったらしい。
 バイトに遅れそうになって、チャリでダッシュして、前の車を追い越そうと反対車線に出たところ、トラックに激突したらしいのだ。
 打ち所が悪くて、車の枠部分に頭蓋骨のど真ん中をぶつけたので、脳の損傷が激しかったらしい。
 一人息子を無くした両親も「ぶつかった相手の運転手がお詫びに来てくれましたが、ずっと泣いてらして、ほんとに、向こうには何も落ち度はなくて、こちらこそ申し訳なくて」と言っていた。

 その数年前にも、高校の先輩が、バイクで似たような事故で即死しており、「飛び出すバカ息子」は、西原理恵子の漫画でもお馴染みであるが、バカ息子は20歳すぎても油断がならない。

 そういうわけで、他のがボロくなって引退しても、「ケンイチ君のタオル」だけは、いまだに二本とも現役なのだが、さすがに限界に近づいてきたけど、なんとなく雑巾にもできない。
 だからといって、形見として保存しておく気にもならないので、「いつまでもつやら・・・」とドキドキしながら、洗濯して使っているのである。

 近所にガンジス河でもあれば、放り投げて弔うのだが・・・・・
5月27日(土)

 先週末も土日は休みだったけど、健康診断やBBQ大会の準備で、仕事しているときよりも忙しかったので、今週末は、なーんもしたくない気分である。雨だし。

 先日、社内便で社員T君から書類が届いた。
 開封すると、中には交通費清算書が一枚入っていた。

 T君はうちの社員であるが、4月から親会社の支店に出向になったのである。どっちかというと栄転。見込みのある若手社員を親会社の仕事を経験させることになったのだが、その栄えある第1号なのだ。
 なので、T君の交通費は、親会社で清算するはずなので「あいつ、またボケてやがる」と思った。

 T君は、ハイジと同期なのだが、ハイジが「あいつ、あんなバカで、どうやって日常生活送ってんのか不思議ですよ」というくらい、かなり抜けている。
 今回の異動でも、いろいろ手続きが必要だったのだが、毎回やり直しになっていて、私もM嬢も呆れていたのだった。
 それでも、異動先の支店長は、うちの役員に「いやあ、彼が来てくれてほんとに助かりますよ〜」と言っていたそうで、その役員氏もTのことは気にいっていたので、「彼、がんばってるらしいね」と総務部に嬉しそうに語ったのだが、私らは、どう返事していいのかわからなかった。

 そういうわけで、「なんじゃこりゃ?」とその書類を眺めていたのだが、よく見ると4月分である。
 それに、どうやら自宅から出向先への交通費のようだった。
 そういえば、給料と一緒に振り込まれる定期代の変更が間に合わないとかで、その分は現金清算だという話をずいぶん前に聞いたことがある。

 定期代の変更申請書くらい、さっさと出せばいいのに、M嬢が何度もその書類を送ってあげたのだが、なかなか提出してくれないので電話すると「書類がまだ届かない」と言い張るので、M嬢もキレ気味になり「どうしろっていうのよ〜」とボヤいていた。
 たしかに、職場も変わったし、引越しもしたので、いっぱいいっぱいだったようだが、それにしても・・・である。

 引越しでも、いろいろ問題があった。
 うちの会社は小さいので「転勤手当て」なんてないんだけど、彼が配属された支店は、少し遠いところにあったので、総務部長が「おまえ、あの距離だとキツいだろうから、引っ越せ。引越し費用くらいは会社で負担してやるから」と言ったのである。

 そんで、とりあえず、不動産屋に払う初期費用は一部だけ会社で負担してあげた。
 その書類が私宛に届いたのだが、「あの〜期限過ぎてるけど、大丈夫?」と連絡したら「大丈夫っす」と言うので、「ちゃんと先方には連絡した?あと、会社名で振り込むことも連絡した?」と念のため聞いたら「連絡したほうがいいっすかね?」

 私のところに届いた時点で「○日までにお支払ください」と書いてある日付を3日ほど過ぎていたし、さらに土日が挟まる都合で、月曜日にならないと振り込めなかったので、「連絡しておいたほうが、感じよくない?」と言ったら「ああ、そうっすね、じゃあ、連絡しときま〜す」

 ところが、その後しばらくして電話してきて「すいません、不動産屋の電話番号が、あの書類に書いてあると思うんですが・・・」
 おめー、写しくらい取っておけよ・・・・と思ったが、まあ、この程度だったら、「よくあるチョンボ」であるが、「もー、ほんとに、あいつバカ」とハイジにはチクってしまいました。

 その後、また電話があり、別件での書類を私宛に送ったというのだが「その中に、引越し屋の領収書が入ってるかもしれませんので、よろしくお願いします」と言うので「よろしくって、何が?」と言うと「引越し代も負担してくれると部長が言ってましたんで、了承済みです」「あ、そう。とにかく部長に渡せばいいのね」
 「あとですね・・・・もしかしたら、領収書は入ってないかもしれないんですよ」
 「・・・・・どっちなのよ」
 「いや、自分は入れたつもりなんですが、入れてないような気もしてまして、で、探してみたんですが、手元には無いので、たぶん、一緒に入れたんではないかと・・・・」
 「もー、わけわかんねーよ」

 で、別件の書類が届いたのだが、はやり領収書は入ってなかった。
 部長にそのことを報告したら、「あいつ、ほんとにバカだな」と笑っていた。
 しかも部長は「でも、領収書が見つかっても、払ってあげないもんね〜」と言う。

 「なんでですか?」
 「冗談じゃないよ〜、14万円だってよ?」
 「え?それは単身者の引越しとしては高いですよねえ?」
 「だろ?オレだって家族4人で(偶然同じころ、部長宅も引越していた)20万円だよ?」

 私がその昔、世田谷区内で引越したときには、たしか2万5千円くらいだったような気がする。
 距離が違えば、料金も跳ね上がるだろうけど、T君の引越しは、電車で1時間半くらいの距離である。なんで、そんなに高いのだろう?

 そんなわけで、やることなすこと、すんなりと総務部を通過しないT君が、交通費清算書を送ってきたのだが、それがけっこう高かったので、M嬢に確認してみた。
 M嬢も「4月分の交通費は現金清算」という話は聞いていたので「やっと来たんだ〜」と言っていたが、「でも、この経路がよくわからないんだけど、これってどこ?」

 私は、東京都生まれの千葉育ちで、育ってからは東京で仕事していたので、神奈川県の地名には不案内である。
 相鉄線や横浜線の存在は、この会社で働くようになってから初めて知った。
 でも、M嬢もその駅名を見て「あれ?どこだろう?」と首を傾げていた。「でも、前の家からってことでしょ?」「・・・・そのはずだよね?」
 M嬢が、彼の「以前の定期代申請用紙」を調べてくれたのだが、それは、JRの某駅であった。
 「なんだろう?目的地が違うから、違う駅を利用したとか?」「さあ?」
 M嬢が電車料金検索システムに、T君の書いた駅名を入力てみた。伏字にするが「○の口」(これじゃ、丸と四角みたいだ。「・・・の口」で、「溝の口」みたいなもん)

 出てこない。
 試しに「・・・ノ口」でやってみたけど、出てこない。

 なんだ?こりゃ?
 私はだんだん面倒くさくなってきた。「部長は、引越し代の領収書を引き出しにしまっちゃったけどさ、私も、これを寝かせておいてもいいかなあ?」と言ったら、M嬢もハイジも「そうしちゃえば?」と同意してくれた。

 でも、気になるので、グーグルで検索してみたら「すげえ、5件しかヒットしない。それも、その語句単独なのは1件もない!
 その謎の駅名を「Aの口」とするなら、「CBAの口」っていうのが出てきただけだったのだ。

 「すげえ、ある意味すごいよ」と私が呟いてると、M嬢もやってみたらしく「ヤフーでは、3件しか出てこないよ」

 いったい、どこから通勤していたのだろう?
 彼の心の中にある、どこか、なのか?

 そしたら、M嬢が地図でT君の住所を入れてみて、探してみたら、「あ、どうもバス亭らしい」
 バス停かも?という疑いはあったが、バス亭名だって、交通費や移動経路の検索システムだったら出てくるし、グーグルやヤフーで数件ということもないはず。

 どうやら、「・・・の内入り口」というのを勝ってに「・・・の口」と略していたようである。
 そりゃー、「丸の内入り口」というバス亭名を「丸の口」にしたら、出てこねーよなあ。

 しかも、なんでバスなの?
 4月分の通勤費は、前の職場までの分は支給されているのである。で、そっちではバス代は申請されてない。
 M嬢は「もしかしたら、バスに乗って、小田急の駅まで行っていたのかな?」と言うのだが、そうだとしても、もっと使用経路を細かく書いてくれないと、わかんないじゃん。

 そのうち部長が戻ってきたので、書類を見せて「T君のバカ伝説に、また新たな1ページが加わりました」と説明すると、部長も「またかよ〜、あいつ、なんで、こう面倒なわけ?」と苦笑するので、「さっきまで、私とMさんとで、さんざんその話題で盛り上がってました」

 そんで、その書類も部長の机の中で寝かしておくことになりました。

 M嬢が「そういえば、住宅手当支給には、家賃の契約書がいるんだけど、それも送ってくれないんですよね?契約書って、入居してからも手元に届かないものなんですか?」と部長に聞くので、私も部長も「そんなこと、絶対にありえない!」
 M嬢は「でも、まだ届いてない、ってT君が言うんですよ〜」

 私の推理では、不動産屋が書留で送ったのだが、T君は不在通知に気が付かないうちに、戻ってしまったのでは?
 部長も「ミヤノさん、鋭い。それはありうる」

 ただ、さらなるM嬢の報告では(彼女もT君の件では、相当ストレス溜まっているので、いっきに噴出したようだ)「でも、住民票はさっさと移して、もう送ってきたんですよ」

 部長の推理では「あいつ、もしかして、引越し屋に、そのサービス頼んだのかな?」
 確かに、あの彼が、すみやかに転出届と転入届をするわけがない。
 引越し屋がお勧めしたオプションのサービスを片っ端からお願いしないと、あの金額にはならないはずだ。

 部長が「でも、あそこの支店長には評判いいんだよなあ、あいつ。こんなんで、ほんとに大丈夫かって思うんだけど」と言うので「まあ、彼がダメなのは、私が知る限り、捺印が必要な書類ばっかりですからねえ」

 彼が書類書きが苦手でも、「バカだけど、元気」という性格で、一部では認められているのはわかるけど、総務部は迷惑ばかりかけられているので、「でも、いい人なんだけどねえ〜」という最低の誉め言葉すら口から出てこないくらいなので、ある意味すごいとも言える。

 つーか、あれで「よくやってくれるので、とても助かっている」と言う親会社の支店の社員レベルがちょっと気になり、「大丈夫なのか、親会社?」と心配になってしまいます。


5月26日(金)

 会社の窓を(社会の窓ではありません)開けていたので、蚊が入ってきてしまった。4階なのだが、けっこういろんな虫が入ってくる。
 蚊だ、蚊だ〜と騒ぐ私とM嬢の様子に、K嬢は「そういや、今の部屋に越してから、蚊ってみなくなったな」とボソリと呟いた。

 「何階なんだっけ?」
 「6階」
 「そんくらいだと、窓からは入ってこないかねえ?でも、イマドキの蚊は、エレベータで上がってくるっていうじゃない?でも、廊下が外に面してれば、そこで風に飛ばされちゃうか」
 「たしかに。でも、今のマンション、廊下が中なんで・・・・・それも絨毯敷きだから、ホテルの廊下みたい、というか、子供はそこも部屋の一部だと思ってるらしく、玄関のドアを開けると、目の前に子供が座り込んでゲームやっていたりしてびっくりするよ(笑)」

 その会話で急に思い出したのだが、ここんとこ、マンションの廊下から突き落とされたとか、事故かもしれないけど事件の可能性もあるとか、そういうニュースがときどきあるが、そのたんびに、「やっぱし〜〜〜〜」と心の中で絶叫しております。

 私は「バカと煙は・・・・」の例外で、高いところが本当に苦手である。
 でも、高所恐怖症とはあまり宣言したくない。
 だって、高い所が怖いなんて当たり前じゃん!
 私が普通なのであって、スカイダイビングとかバンジージャンプとかが趣味な人がビョーキなのだ。
 つーか、高所をエンジョイしているというよりも、恐怖をエンジョイしているのだと思うので、やっぱしみんな、高いところは怖いんだよ。

 私だって、昔は主流だった4階立ての公団あぱーとくらいだったら平気だったよ。
 でも、12階建てくらいのマンションが普及して、友達がそういうところに住んでいたりしたので「へえ、高層マンションなんてカッコいい!」(当時は10階以上だと高層と言われていたような気がする)と思ったのであるが、あの廊下が怖くて、怖くて。

 今でも、あのタイプのマンションに行くと、必死に壁側にできるだけ寄って歩く。
 友人には笑われるが、でも、私はよくコケるし、コケるんだったら壁に向かって激突したいに決まっている。
 しかし、今さらながら、なんで、あんなにオープンなんだろう?
 コンクリの塀でも、高さはちょうど胸くらいなもんなので、簡単に下を見下ろせるし、柵みたいな塀だと、下までよく見えてしまうので、ほんとに苦手だ。

 柵タイプのマンションの上のほうの階で、友人が猫を飼いはじめたときがあり、私が遊びに行くと猫が外に出ようとしていたのでブロックしたが、うっかり廊下に出たら、猫は自分がそんな高いところにいるのを知らないわけだから、ダッシュして柵を通過してしまうのでは、と勝手に想像してしまった。

 そういや、K嬢も育ったのはそういうタイプのマンションだったらしく、「風が強いときなんか、飛ばされそうになって怖いんだよね」と言っていた。

 日本の家屋の場合には、「風通し」が重要だったりするから、ああいう廊下なのかなあ。
 でも、廊下の向こう側も壁にして、窓をつけるとか・・・・ああ、メンテが大変か・・・・

 もっと恐ろしかったのは、はやり友人が住む、これはほんとの高層マンションで、中にはいると、回廊式というか、ビルの真中が吹き抜けなのである。肩の高さくらいの壁に遮られているが、そこは逆に覗きこまなければ高さがわからないので(遠景が見えないから)、想像力を刺激されてよけいに怖い。吹き抜けにするのはいいけど、せめてガラス張りにしてほしい。新宿の住友三角ビルみたいに。それに、あのマンションは確か、廊下には玄関ドアしかついていなかったので、採光の点からも風通しの点からも、解放している意味がよくわからなかった。

 逆に、そこの倍の高さがあったらしいが、前にきょうみさんが住んでいた香港の高層アパートは、廊下が中廊下だったので、ストレスを感じなかった。テラスもなく、窓も「この隙間なら、私は絶対に落ちない」と確信できるくらいしか開かなかったので、窓際から下を見下ろしても、あまり恐怖感はなかった。

 とにかく、高いところが怖いので、きちんとした塀やガラス窓がないと、安心できない。
 今までの人生で最悪だったのは、ガウディの聖家族教会の塔。てっぺんまで登れませんでした。がんばれば登ることができたのですが、「降りはどうする?」と途中で気が付いたので引き返しました。別にてっぺんまで登っても、秘宝が置いてあるわけでもなさそうだったし。
 あそこからの飛び降り自殺がブームになってくれれば、ちゃんとした柵がつくんだろうけどなあ。と思った。日本の「自殺の名所」は、これでもか、これでもか、ってくらいに過剰にブロックしていあるので、イタチごっこの凄まじさも想像できるが、高いところが苦手な人には安心感がある。

 前にとある学校の教室を使用させていただいたのだが、私立校だったので、かなり立派な校舎だったが、教室の窓はかなり大きくとってあり、腰より上で胸より下という高さで、テラスはついてなかった。下を覗くと崖ッぷちであった。「男子もいる学校なのに、中学生が本気でプロレスごっこしたら、このくらい平気で乗り越えてしまうだろう」と心配になった。
 私が設計者だったら、思わず鉄格子をつけたくなっていただろう。

 マンションの話に戻るが、転落事故や事件がこれだけ騒ぎになるということは、「廊下からの転落」っていうのは、そんなに多くないのかね?
 ベランダから子供が転落するという事故はよくあるみたいだけど。

 というわけで、この機会に、解放廊下はなんとかしてほしいと思うのであった。
 でも、昔、「プラバシー重視」を売りにして、エレベータを出ると二軒しかないという、まあ公団タイプをエレベータにしただけなのだが、階段じゃないだけに縦横が連続しないために、隣が昼間ほぼ無人の家だと、かなり孤立感を感じるみたいで、知人が新婚当時、そういう部屋に住んでいて、子供が生まれたのだが、奥さんが重度の育児ノイローゼになったので、慌てて転居したそうだ。

 「家帰ったら、真っ暗で、出かけてるかと思って、電気つけようとしたら、居間の片隅で妻が赤ん坊を抱いたまま、ぼんやり正座していたんだよ〜」

 たしかに、外に人の気配を感じることもないと、ほんとに閉じ込められたような気持になるだろうな。
 最近、聞いた、ある超高層マンションに転居した老夫婦の話では、出かけるとき、外の天気が怪しくても、窓は開かないし、廊下も外に面してないので、雨が降っているかどうかわからず、とうとうご主人は双眼鏡を買って、道を歩いている人が傘を差しているのか確認しているそうだ。

 だからといって、高層マンションでの暮らしが非人間的だとか言うつもりもないが、とにかく、飛び降り自殺だったらどんな隙間でも見つけるからしょうがないかもしれないが「うっかり落ちた」とか「落とされた」とかゆーのは、元々高いところが苦手な人には非常に辛いというか、そういうニュースを知った日には、駅のホームの端さえ歩けなくなってくるほどピリピリしてしまうので、マンション設計者のみなさん、安全第一にお願いいたします。

 そういや、前にテレビで観たのかなんなのか忘れたが、ある日本人が、アメリカの大都市の中層アパートに越してきたのだが、窓に鉄格子がはまっていたので「火事のときにはどうするんだろう?」と不安になったが、ルームメートに聞いてみたら「火事より、窓から入ってくる強盗のほうが高確率」とのことだったらしい。

 日本の場合は、強盗より火事優先なので、マンションのベランダの隣との仕切りは「緊急時には破ってくさださい」と書いてあったり、上下に避難梯子が貫通していたりして、まだ日本が平和だった頃(?)ですら「これって、防犯には全く無意味ってこと?」と心配になったくらいだ。
 今だと、どうなっているんだろう?

 ああいうのは、法律で決められていたりするからね。
 住居マンションのことはよく知らないけど、事務所の場合は「避難経路が二箇所」と決められていたんだけど、前の会社では、狭いからそうも言ってられなくて、奥の非常口の前を仕切って倉庫にしてしまっていて、「消防署が点検に来たら、ぜったいにマズい」と言われていたが、私が在籍しているときには、消防署は来なかったみたいだ。

 今の会社は、そこまで確信犯なことはやってないけど、やっぱりついつい非常口付近は物置になりがち。

 そういえば、私は小心者だから、旅行でホテルに宿泊したときには、できるだけ非常口は確認するようにしている。
 昔、どっかの、大きなホテル火災で(ニュージャパン?)、助かった人の談話があり、出張中のサラリーマンで、いつもはそんなことはしないのだが、そのときには、ふと魔が差して(誤用)、非常口の位置を確認したらしい。そしたら夜中に火災が起こり、気が付いたときには廊下は煙で視界がほとんど効かない状態だったが、昼間確認していたので、なんとかたどり着いたらしい。

 なので、非常口の確認なんて、短い時間でできるので、チェックインして荷物を置いて、また外に出るときなどに、「このドアねー」と、やっていた。

 しかし、「それじゃ、ダメだ」と思ったことがある。
 友人とニュージーランドに行ったときに、初日に泊まった、わりかし大きいホテルで、外出するときにエレベータを待っていたのだが、待てども待てども来ない。
 故障なのか、それとも他の事情なのかわからないが、10階建てくらいのホテルなのに、3台あるエレベータのどれも来ないのだ。
 どうやら、私らがいる階を通過してしまっているようだった。動いている音は聴こえるのである。
 もしかしたら、上の階の団体さんがチェックインしたので、中で通過の操作をしているとか、満員だから途中で停まらない仕様なのかもしれない。

 私も友人も、気の長いほうだったので15分は待ったと思うが、そのうち「ここ、6階なんだし、階段あればなあ?」と周囲を探したが、当然のことながら非常階段らしきものしかなく、防火ドアが閉まっているので、非常時以外に気軽に使用できる雰囲気ではなかった。

 でも、20分経過してもエレベータが来ないので「ダメ元で階段つかってみよう」と非常階段に出てみたのであった。
 ドアを開けて、階段を降りようとしたら、友人が「あ、もしかして・・・」と言うので「何?」と言うと、友人は入ってきたドアを確認している。
 「やっぱ、そうか。しまった。なにか挟んでおけばよかった」
 「え?なに、なに?」
 「こういうのって、自動ロックじゃん」
 「・・・・・・・・」

 「もう、戻れないんだね」とばかりに、無言で見詰め合う二人。

 「でもさ〜、たしかに、こっから簡単にフロアに入れちゃマズいけど、外には出られるようになってるっしょ。じゃないと非常口の意味ねーじゃん?」
 と明るい未来を語る私であった。ともかく、他に道はないので、降りてみることにした。一階について、ドアを開けようとしたが、開かなかった。「位置的には、フロントの脇ってかんじだよね?叩いてみるか?」と、ドンドンしてみたが、無反応。

 やーな気がしたが、その下にも階段は続いていたので、しょうがないから降りてみた。
 そしたら地下の扉がやっと開いてくれて、そこから少し登ると裏口の地上に出たのである。

 あれは平時だったから「あれれ?」と思って、少し心臓バクバクしたけど、「出られないはずは、絶対にない」と確信できたけど、火災時にパニック状態で「ここが一階なのに、出られない〜」ということになったら、相当パニクると思った。
 フロアの避難口をチェックするだけではダメで、ちゃんとセルフ避難訓練しておいたほうがいいみたい。

 地上でもそうだけど、初めて通る道って、すごく遠く感じるし「ええと、地図ではこうなってるけど、曲がるのってここ?」と不安になるが、帰り道は楽勝だったりするし、次回はそんなに遠くに感じないのと同じであろう。

 ちなみに、あんとき、フロントに「エレベータが6階で停まらなかった」と文句を言ったのだが「じゃあ、君らはなんでここにいるわけ?」と不思議な顔をされてしまい、それでも食下がってあれこれ言った「つもり」だったが、わかってもらえなかったので諦めた。あれは、私らの語学力の問題だったのか、フロントの兄さんがトンマだっただけか、永遠に判明することはないだろう。

 こっちも怒ってクレームをつけたわけでもなく、「壊れたまんまだと、他の人も困るだろうし」と「故障報告」のつもりであったが、態度が逼迫してなかっただけ、通じにくかったのかもしれない。
 よく考えると、それは日本で、日本語で言ってもそうだよな。「故障してたけど、私はなんとかなりましたが、ちゃんと直したほうがいいのでは?」と進言しても「そうですか、なんとかなってよかったですね」と労われて終るような気がする。

 話は戻るが、私は一軒屋育ちだし、独立してアパート住まいをしても、3階以上には住んだことがない。
 2階の高さでも「落ちたら死ぬかも」という不安を抱えながらベランダから下を見下ろしたりするけど、こんな自分が17階などに住んだら、どういうことになるのか、一度試してみたい気はする。
 職場も高層階になったのは、短期派遣での1ヶ月半だけで、あのときには高さよりも「なんで、こんなに乾燥してるんだ?」と、そっちのほうがストレスになった。あれも、一種の高所ストレスなんだろう。飛行機の中で、なかなか熟睡できないのも、乾燥のせいみたいだけど、でも遠まわしな高所ストレスのような気がしなくもないから。

 たまに、経由で1時間くらい機内待機になることがあるが、そういうときには、寝てしまうようだ。そんで、離陸してからしばらくして「あ、大好きな離陸の瞬間を逃した」と思ったりする。

●お母さん化が激しい今日このごろ

 前にも、マスオさんに「トイレ行ってきます」と言われたりして、「あたしは、保母さんじゃない!」と絶叫したエピソードを書きましたが、ハイジとマスオさんという、「10歳年下男子」を二名従えていると、どうも、キャラ設定が「お母さん」になってしまうようだ。

 でも、実際の仕事は、今では、ハイジのほうが「上級」のことをやっているのだが・・・・

 元々、けっこうあからさまに「男女不平等」の会社である。まあ、零細企業なんて、こんなもんであろう。
 でも、前の部長みたいに「ミヤノは、課長代理だけど、部長の次は君なんだから」とわけわかんないこと言われるよりも、てゆーか、それは「君は女性だから給料安いけど、でも、仕事は課長並にやってくれ」って言われてるだけで、そっちのほうが絶対に嫌だったので、今度の部長は、「君は女だから、高度な仕事は任せないし、だから、そんだけの給料も払わない」とは言わないが、そういう雰囲気なので、そっちのほうが、すっきりして断然よろしい。

 この間も、とある銀行に融資のお願いするときに、それを仕切っているのは親会社の経理主任のニーサンなのだが、部長も絡むことになり「いい機会だから、ハイジ君も同席するように」ということになった。

 その後、銀行の担当者が捺印だけ貰いに来て、いつものように私が捺印すると「いやー、てっきりミヤノさんが、経理責任者なのだとばかり思ってました」と言われた。
 銀行との折衝は、親会社でやっていたので、うちの社長であり、親会社の財務担当役員と、親会社の経理責任者でやっていて、社長が「じゃ、捺印しといてやれ」と言われて、私が捺印や収入印紙の用意だけしていたのである。

 どうりで、私にいろいろ「新規の投資計画はないのですか?」なんて探りいれてたわけだ。そのたびに「さあ、私は何も・・・・」と、ただのOLで〜〜す、な態度をとっていたのだが、通用してなかったらしい。年も年だからなあ(泣)

 ま、そんなわけで、部長はハイジにそういうのも勉強させるつもりでいるので、「どーぞ、頑張ってください。私もそれを望んでおります」としか言いようがないのだが、意識的にハイジを「立てよう」と思うと、どうしても「お母さん」という立ち位置になってしまうようだ。

 仕事とは直接関係ないが、先日、他部署の部長が、ケーキを持ってきた。得意先で頂いたのだという。開けてみると、おいしそうなロールケーキが二本入っていた。
 さっそく切り分けて、配ることにする。
 これも、重要な仕事である。「きゃーーー、おいしい〜〜〜」と大騒ぎすれば、その部長は、得意先に「この間、頂いたケーキで社員がみな大喜びで」と本当のことを言うことができる。

 丁度、マスオさんは外出中で、ハイジは会議に入るところだった。
 ハイジは「オレの分、とっといてくれてもいいっすよ」と、日本人らしい婉曲表現で「オレの分、とっておけ」と命令して行った。
 ま、そんなら、ついでに、マスオさんの分もと、切り分けたケーキをラップにくるんで、冷蔵庫に入れておいた。
 しばらくして、マスオさんが戻ったので、「おかえりなさーい。あ、冷蔵庫にケーキが入ってるよ、って、すっげー、お母さんっぽくって嫌なんすけど」と言ったら、私のそういう発言に敏感に反応してくれる部長がまた大爆笑してくれた。
 部長的には、女性というものは「娘」「妻」「母」「祖母」しか、ありえないはずなので、私が不本意ながら「母」をやると、とてもウケるらしい。

 でも、なんとなく、30歳男子2名のお母さん役は、釈然としない。でも、これが20歳相手だと、かなり「ありえる」ので、それはそれで嫌かも。
 母性を売り物にするのは、なんとなく嫌なのだが、40代の先輩たちは、それをわかってやっているのか、わかってないのか、わからないのだが、母性よりも「我がままお嬢様還り」で乗り切っているようだ。そっちも、ちょっとなあ。

 40代の役どころは、なかなか決まりそうもない。誰をお手本にすればいいのだろうか?
5月25日(木)

 今日ものんびりとお仕事。

 マスオさんに、オンライン送金をお願いしたのだが、なんだか気配が消えているので「なんか、わかんないことある?」と声をかけた。
 彼もそういう点では私と似ていて、わからないことがあっても、すぐに聞いてこなくて、しばらくじっと考えているのである。放っておいてもよかったのだが、受付終了時間が迫っていたので、声をかけたのである。

 でも、彼はわからなくてもテンパることもないし、教えてあげるとムっとするというか、「負けた」という顔をしないので、ラクなんだけど。
 それでも、少し前に一緒に飲んだときには「早く、戦力になりたい」と言っていたので「だいたい把握するまで、3ヶ月かかるよ」とは言ったのだが、まだまだ基礎ができてないので、先は長い。

 銀行預金を引き出すときには「(株)●●」じゃダメで、「株式会社●● 代表取締役●●●●」にしないとダメだとか、振込みするときにも相手先の(株)とか(有)を抜かしちゃだめだとか、でも、それにフリガナをふるときには「カ.」とか「 カ)」ってやるのが普通だとか、今までの後輩たちもそうだったんだが、そういう基本ルールを習得するのに時間がかかるようだ。

 そういや、うちの会社では、そういう基本ルールをきちんと知っている人が少ないため、経理事務とは関係ないが、得意先に代表者名で出すような「ご案内」の文書に、平気で「(株)●● 代表取締役●●●●」と書くので、「カッコ悪いから、代表者名を添えるときには、(株)やめてください」と何度が言ったことがある。
 ほんとは「非常識も甚だしい」と言いたいところだが、さすがに自分よりも年上の人にそうも言えないので、せめて後輩たちには「なるべく略さないように」と地道に教えているのであった。

 そんなのどうでもいいと思う人も多いかもしれないけど、私はそういうので相手のレベルを計るし、派遣会社に登録するときには、「スキル・チェック・テスト」に「手紙の宛名書き」が入っていることが多かったので、あれで事務仕事のスキルがけっこう計れるようだ。

 そういえば、今日は「料金不足郵便」が届いていた。
 定形外の郵便物なのに、80円切手が貼ってあった。
 そういうことは、たまにあるので、こっちで黙って負担してあげることも多いが、その郵便物は、某大手メーカーのパンレットっぽかった。しかも、うちではあまり取引してないメーカーで、あて名は、システム部長宛て。

 念のため、部長に確認してみると「ああ、いつも送ってくるんだ。新製品の案内とかだよ」と言うので、「じゃあ、受け取り拒否にしますか?」と言うと「なんで?」って言うので「切手が不足してんですよね〜」

 部長は大声で「え?○○が?切手が足りない?」と、その、誰でも知ってる大企業の名前を口にしたので、周囲も大爆笑。
 「だって、定形外なのに、80円切手貼ってあるんだもん」
 「そりゃ、やっちゃった〜ってやつだな」

 宛名が手書きだったので、一斉に出したものではないと思われる、営業所で追加したとか、そういうことなんだろう。で、営業マンが「これ、この名刺宛で出しておいて」ってアシスタントだか、今時分だから配属されてきたばかりの新入社員にやらせたんだろうなあ。

 担当者が恥をかくので、かわいそうだから黙って受け取ろうかとも思ったが、切手160円のところを計量ミスとか、切手代の見間違いという可能性もあるけど、80円切手貼ってしまうあたりが「全然、何も考えてない」ということの証明でもあるので、心を鬼にして「受取拒否」にしてしまいました。上司に叱られたら、ごめんなさい。もし、その会社に私みたいな、心優しい「社内の郵便仕訳担当」がいたら、こっそり渡してくれると思うけど。

 話は変わるが、うちの会社では、一般顧客向けに5千円くらいの商品を売っている。商品っていうか、とあるサービスなんだが、申し込みしていただいたら、郵便局かコンビニで支払える代金納入用紙をお送りして、原則としては入金後のキャンセルは不可になっているようだが、先方の事情でキャンセルしても「返金されるでしょうか?」とネバる客もいるので、そういう場合は返金しているようだ。

 そんなに返金が多くもないので、返金手数料はとっていないのだが、たまにそれの受付部署から確認されることもあって、その度に「ケース・バイ・ケース」と答えている。
 もちろん、こっちに落ち度があった場合は、手数料はこっち負担に決まっているけど、客の都合の場合には、その都度判断してもいいんじゃないかと思っている。

 それに、そういう質問されると、いつも言っているのだが「振り込み手数料なんて、たかが数百円で、もちろん、粗利を考えると、こっちで負担すると赤になってしまうかもしれないけど、でも、毎月100件くらいキャンセルが出るんならともかく、これくらいの件数だったら、うち負担でもいいと思うし、それに、たった数百円だからこそ、差し引くと非常にケチくさく見えるので、そっちのほうが長い目で見たら損失じゃない?」

 そんで、私は思うのだが、たとえば、通販でなんか買ったんだけど、「やっぱ間違えた〜」などの「こっちの責任」で、返品OKだと「ああ、よかった」と思うが、さらに返金されたときに、手数料もとらなかったとすると「申し訳ない」と、その通販会社に借りを作ったような気分になると思う。

 まあ、うちの会社の商品の場合は、長期リピーターが見込めないのであるが、それでも、たかだか年間で3万円くらいのコストのために「ケチくさい」と思われるよりも、その場かぎりのお付き合いでも、心の片隅に「あ、悪かったな」と思ってもらえれば、それを10年間続けて、累計30万円の損失になるかもしれないけど、30万円の広告出すよりも効果あるような気がするのだが・・・・

 だいたい、大ざっぱな人はキャンセルして返金なんて申し出てこないのである。だって、5千円くらいなんだし、最初から「返金不可」って書いてあるんだもん。
 似てるものを探せば、「コンサートのチケット」みたいなもんで、急にコンサートに行けなくなっても、返金しろって言う人はほとんどいないだろう。
 なので、月に多くても3件くらいしか、「返金依頼」は経理に回ってこないのである。もしかしたら受付で最初に「基本的に返金できないのですが・・・・」と言っているので、そこで振り落とされているのかもしれない。

 だとしたら、返金依頼が認められる客っていうのは「かなり、粘着質」という疑いもある。
 もっとも、客のほうから「手数料はひいてもいいですから」と申し出てくることもあるようだが、そういう時こそ、手数料ひかないほうが「あ、悪いな」と思ってくれるではないか。

 と、書いてても長くなってしまうが、社内でも、こういう演説を何回がぶっているのだが、みんなが知りたいのは「で、結局、手数料ひくの?ひかないの?」ということであり、私がいくら演説しても無駄らしいことがちょっち悲しい。

 会社同士の取り引きでも「返金」というのはよくある。
 一般的な風習として、支払時には手数料差し引いてもいいことになっている。そうして欲しくない場合には、請求書に「振り込み手数料はご負担ください」と明記してあったりするが、うっかり差し引いてしまっても、文句を言われたことはない。

 ただ、どこにでも杓子定規の会社だかバカな社員がいるもので、付き合いのある会社に、葬儀の香典だか生花代だかをうちが立て替えて支払ったときに「経理にまわすから請求書をください」と言われてそうしたのだが、振り込み手数料差し引いてきやがった。それは、かなり失礼なことであろう。

 うちが間違えて振り込んでしまったり、金額を多く振り込んでしまった場合にも、「すいません、返金してください。手数料差し引いてください」と、カッチョ悪いお願いをすることがあるが、わりと皆さん引いてきません。それは、たぶん、それなりにお付き合いがあるというか、うちがお得意様であるからだろう。
 私も逆の立場だと、完全に向こうのミスでも、手数料は差し引かない。引いて計算するのが面倒ってこともあるんだけど、年間何百万円もお買い上げいただいているお得意様から手数料なんて差し引けませんって。

 でも、大企業だと小回り効かないのか、堂々と差し引いてくることがある。「おたくの会社に年間何千万払ってると思ってるのじゃ〜」とムっとする。

 たかが手数料、されど手数料なのである。
 もちろん、返金がすごく多い業種だと、そうもしてられないのはわかるけど、そんなに件数が多くなければ、「太っ腹」と思われるために800円くらい惜しくないだろう。そんで、もし、うちの会社が、新聞沙汰になるようなヘマしても、誰かがポツリと「でも、あんときはきちんと対応してくれたんだけどな」って言ってもらえたら、そっちのほうが謝罪広告よりもずっと有効だと思うんだけどなあ。

 まあ、自分が、そういう「ちまちました社会の常識」の最前線(?)にいるので、話は少し戻るけど、切手不足なんて、一番恥かしいことだし、今日、私がやったみたいに「あの会社、しょうもないなあ〜」ってネガティブ広告になってしまうので、郵便物の重さのメモリが微妙で「うーん、これは80円でも大丈夫だろうか?」なんて言ってる社員がいると、すかさず「もし、不足になったときのことを考えれば、90円貼っておけばいいじゃない?10円くらいケチるのやめようよ。もし不足と認定されたら、相手にすごく面倒かけるわけだし」と意見している。たった10円で「無能」と思われるリスクを回避するための保険だと思えば高くないじゃん。(まあ、郵便局も1グラムくらいの超過は見逃してくれるとは思うけどさ)
 そりゃ、重さが微妙な郵便が1000通もあったら、郵便局に持ち込んで、そこで料金確定してもらえばいいわけだし。

 経費削減したいなら、トイレットペーパーを毎回3センチ少なく使用してくれたほうが、よっぽど削減になるよ。
5月24日(水)

 そういや、もうそろそろらしいが、私のとこにはなかなか降りてきてくれないなあ、サッカーW杯。

 自分がいかに日本代表に興味ないかがわかる。
 やはり愛国精神をきちんと教育されなかったから?(笑)

 前にも自己分析したと思うが(毎回、分析結果が違うかもしれないが、自己分析っちゅうのはそういうものである)私は元々、かなりの野球派で、サッカーには全く興味がなかった。
 衛星放送が普及してきたころ、自宅にそういう設備を持った人が録画して会社で観ていて(今から考えると、ずいぶん優雅なオフィスだった。テレビ番組制作会社なので、テレビが常につけっぱなしということもあったのだが)それに付き合っているうちに、私も他の社員も「サッカーって、けっこう面白いね」「でも、これってW杯だから、特別なんでしょ?」ってことになり、それから、だんだんと自主的に観るようになったらしい。

 日本が出るようになったら、放送も増えたしね。
 でも、最初の出会いが「日本抜き」だったので、そういうものだと刷り込まれており、例えて言うなら、ヒップホップも最初のころは「黒人限定商品」のように思っていたので、今さら日本人が「ちぇけら〜」とやってくれても、それは別次元で展開している何か別のもののように無意識に捉えてしまうが、あれはほんとに別物なのかも。

 なので、たぶん、W杯が始まれば、それなりに夢中になるとは思うが、今回は欧州開催だからなあ。時差がね。
 フランス大会のときには、失業中だったので、「朝、試合が終わって、寝て、夜起きて、試合観て、仮眠して、3時から試合観て、お腹が空いたから近所の喫茶店にモーニング食べに行って、ちょっと散歩して、帰って寝て、また夕方起きて」というゴージャスな生活を送っていましたが、今はちゃんと真面目に働いているから、それは無理だろうなあ。

●イケア0号店?

 山形さんが訳したイケアについての記事を読んでみたが、その内容については置いておいて、「イケア日本店がオープン!」というニュースはあちこちで見たけど、私と同じ世代で千葉県湾岸部で育った人は激しい違和感を感じませんでしたか?

 私が中学生だか高校生くらいのときには、あの地域では「イケア」というのはしっかり根をおろしていたので、私はてっきり今ごろ地味に全国展開しているのだと思っていた。
 ミヤノ家では、子供が中学生くらいになり「そろそろ個室を与えんと」「自分の本棚が欲しい」という年頃になると、もれなくイケアの本棚を与えられていたのである。

 あのイケアがいつ撤退したのか知らないが、私が大学生になったころは、我が家の子供らは全員、本棚をあてがわれていたし、それ以上、家具を置く余地もなかったので、イケアはどうやら私の心の中でだけ日本展開を継続していたらしい。

 香港住まいのきょうみちゃんが、やたらとイケアに貢いでいるので、「でも、船橋にもあるじゃん。でも、変なヌイグルミはなかったな」と思っていたのだが、今年になっての「イケア1号店」ニュースで、「ええ?じゃあ、私の知ってるあのイケアはなんだったの?」と思った。
 もちろん、その記事では軽く「過去にも一度出店していた」ということが書いてあったけど。

 もしかして、我が家に今でも残されてるイケアの本棚はレア物なのかも(笑)。もしくはバッタもんか?

 でも、20年以上前の当時でも、というか当時だからこそ、「北欧のデザインが激安」というのは魅力的だった。
 でも、組み立てて、置いてみれば、安っぽさは一目瞭然であったが、でも、どうせ安普請だから、けっこうしっくりと溶け込んでいたよ。テーブルは足のところがグラつくので不評、という噂を友人の家できいたような気がする。
 今度こそイケアは全国展開して根付くのだろうか?

 今後、実家に帰ったら、母と話してみよう。すでに、船橋在住の、あの辺の「車で行く巨大ショッピングモール」に精通している弟が話しているとは思うが、たぶん、母も「イケア?あっら〜、懐かしい〜。よく行ったわよねえ?」と言うに違いない。

●右と左がデッドヒート

 この間の健康診断で一番ショックだったのは、コンタクトを装着した「矯正視力」が右が1.5も出たのに、左が0.9と惨敗だったことである。

 左眼がずっと調子悪いのはわかっていたが、そこまで落ちぶれていたとは・・・・・

 これは、布団に寝そべって鑑賞するテレビが左側にあるからに違いない、と原因を特定していたので、思い切ってテレビの位置を変えた。
 狭い部屋だから、テレビの位置をかえるためには抜本的な構造改革をしないといけなくて、そこまでの政治力ないから、「相対性理論」を応用しました。
 どこが、相対性だか知らんが、要するに、布団の枕の位置を180度回転させて、テレビを見るときに右目に負担が行くようにしたのである。

 ぜんぜん、ピントが合わん。
 しかし、努力の甲斐あって、「朝から右目が痛い」ということは回避された。
 自宅での対処をより有効にするため、会社では倉庫の書類整理に勤しんで、なるべくパソコン画面を長時間眺めないように努力していた。

 そしたら、今日になって形勢が早くも逆転し、「左目はピントが合うけど、右がぼやける・・・」

 少しハンデ与えただけなのに、左眼が飛び出しすぎだ。
 で、右を庇うようにパソコン画面を眺めていたら、また左が痛くなってきた。

 もう、眼球総入れ替えしたい。
 レンズが不良品なのは、わかっているから、もう超音波でいいよ。液晶画面は超音波じゃ識別できないかもしれないが、そしたら、もうモニタなんて使わずに、直接、脳にジャックインすればいいじゃん。

 そんなことを思いつつ、今日も1時間くらい延々と不要書類をシュレッダーしていた。部長は「各部署でシュレッッダーするのはやめにして、統合しよう」と思っているらしいが、シュレッダー大好きなんで、この仕事を奪わないでほしい。
 シュレッダーのいいところは、「頭も使わず、体も大して使わないが、なぜか異様に達成感がある」というところである。音もうるさいので「なんか仕事してる」ってかんじがいいのよね。
 それに、各フロアにあるのは、同じ機種の「ボロくて古い小型シュレッダー」なのだが、私はその機械の癖を熟知しているので、エサの食わせ方においては「社内1」という自信がある。みんな、機械の癖を知らなくて、詰まらせちゃうけど、私はそんなダサいことしないも〜ん。

 これは最近になって気が付いた「隠れた才能」なのだが、つーか、性格的に「この機械、ちょっとおかしい。修理呼ぼう」ということをしないというか、修理を呼ぶのを億劫がるので、ちょっとしたことだったら自分で直したり「この機械はここがダメになりやすいから、そうならないように使う」のである。
 ハイテク機械だと、それでは通用しないが、ローテクなものだと、それでなんとかなるみたい。

 まるで年老いたロバを惹く人みたいに、ダマしダマし使う才能があるみたいだ。
 さらに、ロバがとうとう死んでも「しょうがない、自分で運ぶか」と頑張ってしまうので、ロバの調子がちょっと悪いと「獣医だ、獣医を呼べ〜〜〜」と騒ぐ人の気持がよくわからないというか、他人が獣医を呼ぶのは構わないのだが、なんで私が呼ばないといけないわけ?って言っても「庶務」がメインの総務部であるから、それも仕事なのだが、「獣医呼ぶ前に、いちおう確認しておかんと」と思って、いじり回したら、コンセント外れていたりするだけだったりというのはよくある話。
 よかった〜、獣医が来てから「コンセント外れてますけど?」って言われたら、私が恥かくところだった。なんてことはけっこう多かったりする。

 でも、パソコンに関しては、なんか不具合が起きると、ついつい自分でなんとかしようとしてしまい、時間の無駄だったり、時には症状を悪化されシステム管理者の仕事を増やしてしまったりするので、「なんでも自分で直せると思っている」という癖も、良し悪しである。
 あと、体調が悪いときにも、なかなか医者に行こうとしないので・・・・そうだ、目の調子が悪いのだから、さっさと眼科に行って、新しいコンタクトレンズを処方してもらえば、改善すんのかもしれないよな。(と、自分に言い聞かせてみる)
5月23日(火)

 仕事が暇だったので、やっと倉庫整理。

 しかし、やりかけだった棚の前に、他部署の荷物がベルリンの壁状態。「あの荷物、いつ納品するの?」ときいてみたところ「夏」とのご返事。「夏というと、7月くらい?」「いや、8月」ですと、とほほ。

 しょうがないから、別の棚にとりかかるが、実は、あっちとそっちは両方とも途中まで手をつけていたのである。飽きっぽい性格のため、一箇所を徹底的にやることができず、浮気しまくりだったのである。
 そっちも、棚の前に他部署が保管する箱が万里の長城状態だったのだが、それを一部破壊しつつ、奥にある総務のっていうか・・・・・3年前に潰した会社の書類なんだが・・・・・を取り出して、中を確認してからちまちま処分していたのである。

 しかし、ある程度、棚に隙間ができると、他部署の人がそこに新たな箱を勝手に押し込んでいたりするので、なかなか捗らない。ここは、総務の場所だっちゅうに・・・・
 しかも、大変腹ただしいことに、私が潰した会社の書類を一生懸命捨てているというのに、その会社の責任者は今は弊社(苦笑)で働いているのであるが(潰して業務を吸収したのさ)、私が「もう潰した会社だし、税務調査も来たから、この会社の過去を洗いなおすこともないだろう」と、潰した会社のために倉庫代を払うのもいやだから、せっせと暇をみつけては捨てているというのに、その横に、その人が新に書類を積むのである。

 しかも、「7年保管」とか書いてやがる。
 たしかに法律ではそうなってるかもしれないが「受注書」なんていらねーよ。
 こっちは、すでに3年前の請求書ファイルなどと片っ端から捨てているゆーのによ。

 しかし、人生経験の長い私はよくわかっている。みんな、倉庫に入れた瞬間、何を保管したかなんて忘れてるんだ、どーせ。

 今日も夕方になったら雨が降ってきた。
 ほんとにもう梅雨みたい。
 雨は嫌いではないが、洗濯ものが・・・・
 去年、衣替えするときに、ヘタれた服をけっこう処分していたようで、今年の春になってみたら選手が全然足らないのである。

 そうだ、やろうと思っていたことを思い出した。

 裏モノ日記の6月16日に、「ビヨルン・アンデルセンは実は今でも俳優をやっている」という衝撃の「トリビア」が書いてあったのである。
 しかも「今の顔はこんなものらしい」という、極めてそっけないコメントがの上には写真らしきリンクが・・・・・

 怖いものみたさで開きましたが、ドーンとこんなもんでした。

 こ、こんな、スティーブン・タイラーみたいな顔をいきなり見せられても・・・・

 ショックのあまり、この事実のことは、一時的に忘れていました。
 でも「あれが現在というのはいいとしても、途中経過がないと納得できない」と思って、探してみましたが、あんまし、これといった途中経過も出てこない。(20代前半と思われる、プログレな髪型な写真が出てきたくらい)

 うん、でも、並べてみると、鼻筋などは同じ構造なので、やっと納得した。(これも、便利なインターネット様のおかげ様です)
 ま、15歳のときと50歳の今を比べてもねえ?
 それに、あれは、ヴィスコンティのエロおやじ魂が爆裂した作品だったから、メイキング映像の素のビヨルンは(衣装合わせでヴィスコンティに「いいねえ、これこそ美少年だ」と体を撫で回されていたような)、タッキーやウェンツと大して変わらんレベルだったし、北欧美少年や美青年にありがちな「寄り目っぽく見えるのが、ちょっと」と思ったけど、「ベニスに死す」は流し目オンパレードで、素材のよさもあったけど、料理人の腕が凄かったんだろうねえ。
 ヒッチコック映画に出てくる女優たちも、他だと大したことなかったりしたもんな。
 今はああいう映画監督いないね。

 話は変わるが、前にも「華麗なレオタード姿を披露」で話題になったマドンナがいよいよワールドツアーを始めたという芸能ニュースがあって、また「鍛えぬいた肉体ですね〜すごいですね〜」という平凡な感想が画面の向こうでは飛び交っていたけど、なんか、マドンナって郷ひろみみたいなことになってきたなあ、と思った。

 海外芸能ニュースといえば「キース・リチャーズさん南の島で椰子の木から落ちてケガ」で、その絵柄を想像してほのぼのしていたのだが、続報では「体に麻痺が残ってギター弾けなくなるかも」になっていて、「それは、すごい経済損失なのでは?」と思って、野村総研あたりにぜひ試算してほしいと思ったが、その後、どうなっただろう?
 ギター弾けなくても、弾く真似だけしてくれれば充分だと思うけど(要するに口ぱく)

5月22日(月)

 土曜日は、健康診断の後、まっすぐ帰宅し、「はあ、バリウム排出のため、水分たくさんとらないとね〜」とビールで一息ついてしまったので、まだ明るいうちにバタンと昼寝してしまい、意識が戻ったらすっかり夜だった。
 先週、見逃したチャングムはいよいよ第二部といった趣き。
 しかし、どこに飛ばされても「理想の師匠」にめぐり合えてるので、うらやましい。

 さて、昼寝充分すぎて、夜はなかなか寝付けなかったが、日曜日は午前中に起きて、会社のBBQ大会に出かける。
 帰宅したのは夜の11時だったので、ぐったりと寝た。

 日曜日に獲得した「これは変だよ」

 ひとつ。
 出掛けに観た「笑っていいとも増刊号」では、福山雅治のテレホンショッキング出演をなんと「ノーカット上映」していた。最近の増刊号では、テレホンショッキングはほんの少ししか再生しない。「1コメントだけ」ってのも覆いから、福山雅治の御威光を感じた。
 それは、タモリがいつも、番組終了後のトークで「では、今日の特別ゲストは、福山雅治さんで〜す」と言うと、そんなわけないのに、観客が沸騰するということをふまえてのこともあるようだが、それにしても福山雅治って、そんなにスゴいか?

 たまたま、夜帰宅してからテレビをつけたら、キンキキッズの番組にも福山が出ていて、そっちでもフカキョンはデレデレだわ、次回のゲストのマチャミもスタジオの隅で見てるわで、「福山萌え」はもはやお約束の域に達してるらしい。

 同じくらい、過分に持ち上げられた存在としては、フミヤなんかが思い浮かぶが、フミヤに関しては、私はさっぱりわからんので、ヨン様ブームよりも遠い存在というか、「世の中に自分と趣味の合わない人がいるのは当然のことだから、しょうがない」と思うのだが、「福山萌えは、日本女性としてのたしなみ」っていうか、君が代が流れたら、反射的に起立しちゃうみたいなかんじで、「きゃ〜〜〜〜〜〜」と盛り上がるのは当たり前という前提は、なんだかなあ、と思うのは、自分がけっこう福山が好きだったりするからである。

 フミヤとキムタクとフクヤマを並べたら、断然、フクヤマである。

 でも、個人的な好きなタレントの一位にフクヤマが踊り出たことは一度もない。
 他の人はどうだか知らんが、「心のベストテン(死語)常に18位」くらいのタレントが、「いいとも増刊号」で特別な扱いをされているというのも複雑な心境である。
 新譜が出たので、テレビ露出が一時的に激しくなっているようだが、あんまし続くと嫌いになりそうである。
 ちなみに、その新譜も「ミニアルバム」だそうで、なぜちゃんとしたアルバムを出さないかというと、音にこだわりすぎて、なかなか出せないらしい。

 かなり、どうでもいい。

 ひとつ。

 BBQ大会で、酔っ払いがあちこちで深い会話を交わしていたが、中でも深かったのは、「ダヴィンチ・コード」について、私が知る限り、1時間も演説していた人がいたが、それで初めて気が付いたけど、「ダヴィンチ・コード」で薀蓄語るのって超ダサいね。

 「あれは、プロテスタントから見た、カソリックの話なんすよ。アメリカ人が書いてるから」

 ああ、そうなんすか。

 「ダヴィンチ・コード」を土台に、キリスト教についてあれだけ語れるってすごいな。
 本も映画も見てない一名だけが、真剣に拝聴してましたが・・・・
 他の、もうすでに本は読んで「映画どうしよっかなあ」というパンピーの皆さん(私を含む)は「語りたがりの酔っ払いってやーね」という態度でした。

 どうやら「ダヴィンチ・コード」について、語れば語るほど、なぜかバカっぽく見えるようです。
 日本人は、宗教に疎いから、あの小説を「冷戦時代のスパイ小説」みたいな、「ふーん、そういうこともあったかもしれないと思うと、小説としては面白いなあ」と健全に「フィクション」として捉えているようで、あの小説を土台にキリスト教を語っているのは、「ミステリー・サークルはほんとに宇宙人の仕業なんです」って熱く語っているように思うようです。

 ちなみに、いまさら小説を読み始めたマスオさんは(ハイジが「どっかにあったなあ」と探したら、机の引出しの一番下の奥底で発見したらしい)、「まだ、ルーブルで、モナリザの前なんです」と進行状況を教えてくれて、ハイジと私に「まだ、ルーブルにいるの?読むのおっそーい」と突っ込まれておりました。いいんだよ、じっくり読んでくれたまえ。もう少ししたら、話が走りはじめるから、そしたら徹夜して読んで、翌日、遅く来てもいいから。そのためのフレックス出勤制なんだよ。(でも、ヤツはたぶん、「ついうっかり、4時まで読んでしまいました〜」と言っても、9時に出勤してくるほうに、3ルピー)

●今日の「愉快な総務部」

 昨日、泥酔して帰ったので、私は二日酔いだった。
 仕事したくなかったので、ひたすら不要書類をシュレッダーして、3袋も出して、「わあ、仕事しちゃったなあ」という幻想を演出するのに余念がなかった。

 夕方、現金出納させてるマスオさんが挙動不審になっていた。いつもだと「残高あわないの〜?」と声をかけるのだが、いつまでも甘やかしてはいかんと思って、放っておいたが、いよいよ挙動不審になってきたので「合わないの?」と声をかけると、「20万円くらい合いません」

 それは、なにかが根本的に間違っているのだろう。
 手助けしちゃろうかと思ったが、こういうのは自分で乗り切らないといかんだろう、と思っていたら、ハイジが「あーーー、なんじゃこりゃ」と別件で焦げ付いていた。

 彼も二日酔いなので、今日は調子悪いらしい。ときどき白目をむいて、天井を仰ぐ姿は殉教者の憂いだったもの。

 そしたら、向こうの席で、M嬢が「なんなの、いったい、も〜〜〜〜〜〜」と小さい声で絶叫。(矛盾した表現)

 みんな、昨日のBBQ大会で疲れているので、今日の夕方になったらグッタリだったのである。

 それはわかっていたけど、おもしろかったから「みんな、独り言が大きくて怖いよ」と、私も大きい声で呟いてみた。
 普段は、ノリが悪い皆さんも、疲れが溜まっているから、30歳〜34歳なのに、急に「ローリング・チョップスティック」が回ったみたいで・・・・

 「ええと、○○の支払は、9万円でOKで〜そんで、○○さんの交通費は、OKで〜」
 と、まず、マスオさんが大声で現金出納の確認しはじめ、それに合わせて、ハイジが「この表、全然わっかんね〜」と大声でブツブツいいはじめ、私が「キャー、なんか、マジ、怖いから、やめて〜」と、ブツブツ言い、M嬢はなにが始まったかよくわからず、「え?どうしたの?」

 5分くらい、夜の動物園のように不気味に動物の鳴き声が「ええと、これはOK」「なんだよ、これは」「これもOK」「きゃー、やめてやめてぇ」「え?どうしたの?どうしちゃったの?」「やーん、この人たち怖い〜〜〜」と響いていて、あたし、涙ちょちょ切れてしまいましたわ。「もー、やだー」って。ちっとも可愛くなかったですが(笑)

 そんで、今日は早めに帰ってきました。疲れが溜まってるから早寝します。
5月20日(土)

 6時起床(でも、実際に布団から出たのは6時23分)、7時に家を出て、電車でGO!

 「土曜日だっちゅうのによ〜、こんな朝早くによ〜、しかもすでに暑いのに水も飲めね〜、よ〜 よ〜」とチェキラな愚痴を垂れ流しつつ、駅に着くと「そっか、学生さんは、いつもこんな時間に電車に乗っているんだな」と気がつく。
 サラリーマンの姿が少ない土曜の朝は、制服姿の中高生が目立つようだ。

 渋谷で東横線に乗ると、席はけっこう空いていたので、座れたのだが、横に座っていた女子高生の前に「ともだち」が現れた。
 「あれ〜、やっぱこの電車だった?なんか、次のじゃないかって気がしてたんだけど、忘れちゃってさあ」
 「いや、先週もこれだったよ?」
 「そうだっけ?とりあえず、これがいたから乗ったけど、でも、いつも20分のだったかなあ?」
 「いや、これでいいと思うけどなあ」
 「そっか、土曜日だからだ」
 「うん、土曜日だからだよ」

 傍で聞くつもりもなく聞いていると、意味がわかるような、ようわからんような。
 普段は、こういう女子高生トークに遭遇しない時間に通勤しているので、ちょっち新鮮。それに彼女らにしてみても、土曜の電車はいつもよりもずっと空いているので、のびのびとお喋りできるのであろう。

 電車が動き出すと、女子高生B(私の横に座っていたのをAとする)が「そんで、昨日、話してたんだけどさ〜」と語り始める。でも、当然のことながら、彼女たちの日本語会話能力はボビー・オロゴンよりも低いので、話がなかなか進まない。

 そういえば、この間、NHKを深夜に垂れ流していたら、海外向けのニュース・ショーをやっていて、それの司会がピーター・バラカン氏で、海外向けだから英語で喋っていたのだが、すっげえ違和感を感じた。半分寝ながら聞いていたので、どうしても「英語が堪能な日本人キャスターが喋る英語」にしか聴こえないのである。英語が堪能なキャスターが、これみよがしに英語で外人にインタビューしたりするときに「おっ」もしくは「けっ」と思うような感じだった。(「クローズアップ現代」とかが代表か。あと、もう結婚引退してしまったが、フジテレビの木佐アナがいきなり英語を喋り出したときとか)
 「英語でしゃべらナイト」のパッ君もあの境地になるまで頑張ってほしい。

 で、話は戻るが、その女子高生Bは、「そんで、昨日、話してたんだけどさ〜、○○と、○○がね、Aのことを話してて、それがね・・・・」と、彼女なりに一生懸命、話の導入部を語っていたのだが、Aが「なに、その時計!」とBのしている時計に目をとめ、話は中断。それで前の話は立ち消えになると思いきや、どうしても話たいらしく「そんで、昨日ね、○○とね、みんなの将来の話になったんだよ。で、みんな結婚してえることになっていて・・・・」そしたらいきなり「おはよー」という声で中断。

 女子高生C登場、「なんで、こんな暑いのに、ニットなんて着てるのじゃ〜〜〜〜」
 女子高生Dもいて、「ほんとほんと、なんで、なんで?」と突っ込んでくる。

 Bの話も、これで終わりか・・・・でも、いったいどんな話をしたかったのだろう。と隣にいる無関係のオネーサンは知りたくてしょうがなくなっていた。
 Bは、私の期待にこたえてくれたのか、友人二人の乱入騒ぎが納まると、「それで、昨日さ〜」と、また最初から始まる。

 それは、こんな話だった。

 みんな結婚して旦那もいるんだけど、でも、みんな週に一日だけマー君と会うの。(マー君って誰?どっかのアイドルなのか?)
 最初、一週間じゃ誰かがアブれると思ったんだけど、数えてみたら、ちょうど7人だったんでよかった。(「みんな」とは7人組らしい)
 そんで、みんなそれぞれ旦那がいるんだけど(さっきも聞いたよ)、それぞれ名前とか職業があって(そりゃそうだろう)、そんで、一人くらい外人がいてもいいかなってことになって、そんで、Bの旦那の名前は「サンダース・ルイジ」になったの。

 ルイジというのは、たぶん「マリオ・ブラザース」からとったのであろう。でも、ルイジの苗字はそんなんだったっけ?てゆーか、普通に考えると「ルイジ・サンダース」ではないか?

 で、その話、私にもよくわからないけど、Bや他の友人たちも、あまり食いついてこなかった。

 それにもめげず、Bはまだ話そうとする。

 それで、ルイジにも職業があったはずなんだけど・・・・・ええと、忘れちゃった。他の子の旦那にも名前があったはずなんだけど・・・・・ええと、○○の旦那の名前が、ヤスオだったかな?

 残念ながら、話せば話すほど、面白くない。

 わかるんだけどね。私だって、その昔は立派な女子高生だったもん。
 それって、「箸が転がってるときだけに通用した話題」だったんだよ。大人の「酒飲みトーク」と似てるけど、アルコールよりももっと強力な「ヤク」が効いているんだよな。

 たぶん、何人かでお喋りに興じているときに、みんなが好きなアイドル君の話になり、そういう話が得意な子の脳内に「ヤク」が回って、「みんなで一日づつマー君の妻になれる」という前提が発生し、それを土台に「でも、それぞれにはちゃんと夫がいる」というあたりで、全員にヤクが回って「未来の夫」がどんなヤツでどんな名前だか決めていく過程で、箸が転がりはじめて止まらなくなったのであろう。

 アムスでカンナビスカップ優勝を狙う皆さんは、自慢の銘柄のネーミングに「ローリング・チョップスティック」なんてどうでしょう?優勝間違いなしだ。

 で、自分にも経験があるが、そういう会話って、後で蒸し返してみても、全然おもしろくないんだよね。
 それに、「じゃあ、せっかくだから、誰かの旦那は外人にしておこう。ルイジってゆーの」なんて言った子は、そんなこと翌日にはもう忘れていたりする。なにしろ、ラリってましたから(笑)

 で、自分が大人に酒を飲むようになってわかったが、酒の席での話をシラフのやつがよく覚えていて「昨日の、あの話、おもしろかったですよ」と言われると、「え?あたし、そんな話した?」とムっとするが、世界最強ドラッグである「ローリング・チョップスティック」でブっとんでいたときの話を翌日に蒸し返されたときの苛立ちはそういう感じであった。

 たぶん、今日の午前中、Aは、「サンダース・ルイジ」の発案者に、そのことをしつこく蒸し返し「うぜえ」って思われただろうなあ。合掌。

 しっかし、女子高生のモノホン「内輪トーク」は、ほんとにヒヤリングが難しい。
 よく、英語圏を旅行して、空港から市内に出るバスや地下鉄内で、ネイティブの雑談が「ああ、さっぱり英語わからねー」と耳に眩しいけど、それが日本語だって、同じなんだよな。

 ちなみに、健康診断の病院につくと、受付開始より先についてしまったので、ぼんやりと座っていたのだが、後ろの席に座っていたオジサン数名が、同じ会社の同僚らしくて、いろいろ会話していたけど、その会話も意味不明っていうか、ノリが女子高生トークと同じでした。
 つーか、その中に一人「おれって辛口トークがきくやつなのさ」って感じのオヤジがいて、みんなが何か言うと、ピリっとしたことと思しきことを言って、みんながウケるのだが、それが他人にはさっぱりで・・・・

 さて、今回の健康診断は「40歳の節目」であるので、「成人病予防検診」ではなく「人間ドック」扱いになったのでメニューが多かった。
 あまり深く考えずに「婦人科検診」も希望していたのだが、どうやら初体験メニューがあったらしい。

 いきなり「X線」の部屋に飛ばされる。

 「お待ちいただく間に、この説明書をご覧ください」と渡された紙ッペラを読んでいたら、どうやら乳房をX線でなんかするらしく、そのためには乳房をなるったけ平面状に押しつぶすんですと。

 「ふーん」と思っていたのだが、説明書には「係員が乳房を引っ張ったりします」とのこと。
 前の人が検査中だったので、「長いと5分くらい待ちます」と、申し訳なさそうに説明してくれたのは、30歳くらいの「W杯日本代表のメンバー名は空で言えますけど、先日、WBCもけっこう観ちゃいました。やっぱ王監督は偉大だ」ってかんじの、要するに普通のニーサンだったので、「この人に、オッパイをいっぱい引っ張られたりするのだろうか?」と思って、どうせ、「苦手な早起き」+「飲まず食わずでここまでたどり着きました」なわけで、とにかく眠いこと甚だしいので、「もう、どうにでもして」というかんじであった。

 しかし、検査室に通されたら、そこには、元気に微笑む、小柄な若い女性がいた。
 それで「この検査ははじめてですか?」と言うので「そうです」と答えると「いろいろ噂はお聞きになってるかもしれませんが、けっこう痛かったりしますので・・・」

 検診も終わり、帰宅して、エネルギーチャージした今だと、うっかり「いえいえ、大丈夫ですよ。実は、わたくし、赤坂のSMクラブでM嬢として仕事してますから」とニッコリと嘘をかましたくなるような状態だったが、残念ながらその時には脳内のブドウ糖値は最低だったので、「はあ、そうなんですか」としか言いようがない。

 ニコニコ笑顔で、かなり脅かされたよ。
 けっこう痛いが、我慢しろと。そんで、ほんとにほんとにほんとに痛かったら「私はいつでもすぐそばにおりますから、そういうときには言ってください」

 X線技師のネーチャンが、メイドカフェのメイドのような声で、努めて明るく脅してくるもんだから、いったい何を信じていいのかわからなくなった。

 さて、作業としては、どうやら、二つある乳房をそれぞれ縦横に一回づつ潰して撮影するらしい。
 そんで、乳房を挟む台に身を寄せると、オネーサンが「では、失礼いたします」と、グぃーっと。

 結論としては、そんなに痛くもなかったんだけど、そのオネーサンが毎日、おっぱい引っ張って、狭い隙間に押し込めているという作業のほうが、苦行だよ。
 「陶芸家」っぽい作業であった。粘土をこう、ぐぃーっと。体力使うだろうなあ。そんで、相手は粘土ではないので、「痛い〜」と文句言う人もいるだろうし。

 つーか、上半身裸で、怪しげな機械に、おっぱい挟まれてる私と、それを一生懸命押し込んでるアキバ系なオネーサンという絵柄は、SM雑誌のグラビア撮影のようであって、痛みよりも、笑いのほうが先行しちゃって、けっこう面白かったです。
 ほんと、世の中、いろんな仕事があるもんだなあ。
 あの彼女が、合コンで「わたし、こんな仕事してるんです」って披露したら、「ローリング・チョップスティック」が吹き荒れるだろうなあ。

 そういえば、土曜日の健康診断だったので、子供連れの人がちらほらいたなあ。
 奥さんも受けるので、交互に子供の相手していた。子供は興味シンシンって感じだったよ。「おとーさん、次はなに?」「ああ、次は視力だよ」「あたしもっ、このまえっ、やったよ〜〜〜〜」と、子供のテンションあがってました。

 8時には到着して、11時ちょっと過ぎには解放された。
 胃のバリウムも、「あの椅子」での子宮検診も、乳がんX線検査の「変態的おもしろさ」に比べると、どうってことなくなってしまった自分が悲しい。

 さて、さっさと帰って「今日は洗濯よ!」な日よりであったが、渋谷行きの電車はほどよく混んでいて、最初は座れなかった。
 でも、武蔵小杉で前に座っていた人が立ったので、座ろうとしたら、リクルートスーツ来た若い女性が突っ込んできたので、一瞬のいたが、でも、どう考えても、この席は私に優先権がある。
 結局、向こうが気が付いたので、私が座ったのだが、オバサン相手ならよくあることだが、若い女性が、突っ込んでくることは珍しいので「視野が狭いタイプかな?」と漠然と思っていたんだけど、その後、私の横の席があき、そのリクルートスーツの女性が座ったのである。

 なんか変だと思った。
 自分のそういう「感性」は大事にしたいので(笑)、てゆーか、わりかし鈍いほうなので、このあたくしが「あれ?」と思ったら、よっぽどのこであろう。

 まず、変なポイントは、新聞だった。
 いまどきの若者って、電車の中で新聞なんか読まないじゃない?
 でも、リクルートスーツだったから「がんばって、日経新聞読んでるのかね?」と思うと微笑ましいが、彼女が四つ折りにして熱心に読んでいたのは「神奈川新聞」でした。

 神奈川新聞をくさすつもりはないが、「これから面接よ」ってなりクルートスーツ族が読むものかね?
 しかも、挙動不審なので横をちらりと見たら、折込広告が邪魔だったのか、背中の後ろに置いていた。
 置くのはいいのだが、その動作は腕を使うので、私にビシビシと肘鉄が・・・・

 どうも、かなりテンパってる様子。
 そんで、新聞の読み方も変。
 とにかく、ずっと、バサバサと音がするので、観察していたのだが、ちゃんと縦に細く折って読んでいるのだが、あんなに激しくページをめくるもんか?
 いつも新聞を読んでる人だったら、だいたい自分の読むところも決まっていて、三面や一面はざっと流すこともあるだろうけど、神奈川新聞の中のほうのページをそんなに激しくめくる意味って?
 いや、日経新聞だったら、わかるよ。相場のデータはあちこちに飛んでいたりするから、一部上場をチェックしてから、金相場を見て、外貨がどうなってるか見て、っていうなら、それなりにザッピングするかもしれないけど。

 隣の席の彼女は、「さては南京たますだれ」よりも落ち着きなく、神奈川新聞をあちこちせわしなく捲ってました。ときおり、静止して、なんか熟読しているようだったのだが、どういう記事を読んでいるのかわからなかった。でも、経済面ではなかったような・・・・

 もしかすると、「知り合いのことがどこかに載ってる」という情報を元に買った新聞だったのかもしれない。そんな荒っぽい読み方だった。(でも、折込広告をよけていたってことは、駅売りじゃないはずだよ、ワトソン君)

 そんなわけで、新聞のページをめくるたびに激しく肘鉄を受けていたので「なんだ、この子は?」と思っていたのですが、終点の渋谷が近づくと、やっと若者らしく、手鏡でお顔チェック。でも、その動作でも肘鉄くらったんですが・・・・

 化粧よし。
 次は、バッグを漁って、ケータイちぇっく!

 つーか、神奈川新聞なんて読んでないで、最初からケータイチェックしてれば、誰も不審に思わないんだけどなあ?

 で、ケータイをしまうと、また鏡を出して、化粧チェック!

 よっぽど大事な面接なのか・・・・
 でも、化粧は完璧だったが、元々、そういう髪型にするつもりでカットしてもらってないので、ゴムでまとめた髪の毛はダサかったよ?ゴムでまとめないほうが、よかったんじゃないかなあ。

 たぶん、彼女がチェックすべきところは、化粧ではないと思うのだが、そういうのは自分で気が付かないとね。
 ああいうタイプは、なかなか就職決まらないだろうなあ。

 まあ、彼女はたぶん、昨日、私が日記で書いた「季節柄、花が咲いてしまいました」に近いと思うんだけど、もしも、この日記を読んでいる「シューカツ中」(私が大学生のころは、こういう短縮しなかったのだが、今はこういうらしいと知った)の人がいらっしゃいましたら、「面接の日の電車内では、自分の実力以上に席を譲ろう」とアドバイスしておこう。

 席が空いていたら座ってもいいが、途中駅で杖ついた老人が乗ってこないか目配りできる余裕って大事なはずだ。  
5月19日(金)

 今日も、ウンチョス君は引き篭もったままで、とうとう夕方になってしまい、帰宅することになりましたが、「こうなったら、ガツンと食べよう」と思い、ラーメンにワカメをトッピングしてガツガツ食べて帰ったところ、家についたとたんに、とうとう涙の再会を迎えることができました。

 あーよかった。明日の本番の日は、朝、水も飲めないし、いつもより2時間も早起きなので、「ぜってー、無理。最悪、現地集合だ」と思っていたので、これで肩の荷が下りました。
 つーか、現在抱えていた「心の傷」の80パーセントが解消したのである。

 しかし、いつも思うのだが「いいウンチョス君に出会うためには、たくさん食べねば」っていうのも、かなり本末転倒ですよね。
 こんな話で引っ張るのも恐縮ですが、こういうときに、いつも思い出すのは、高校のときのクラスメートだ。
 1年生のときに同じクラスだった。私らは、正真正銘の新入生であったが、彼女は、なんの病気だったかは詳しく聞いたことがないが、病気のため留年して、1年生やり直しだった。

 そこそこ進学校だったし、彼女は後でわかったのだが、成績はトップクラスで、本人はけっこう気にしていたんだろうけど、クラスの仲間はあんまし気にしてなかったので(どうせ、ほとんどが初めて会う人だったから)、けっこう馴染んでいたと思う。あと、今から考えると、きょうみさんの存在も大きかったのでは?
 彼女は、帰国子女だったため、タイミングが合わずに受験を見送ったのかなんなのか、とにかく、ほんとは一学年上で、そんで、そういうのを全く気にしないキャラだった。

 そんなことはどうでもいいが、彼女がどんな病気したのか知らなかったけど、かなり体が弱かったのは確かだった。でも、気丈な性格だったので、あんまし弱そうには見えなかったんだけど、よく覚えているのは、家庭科の調理実習のときのこと。
 みんな、ロクに料理なんてできないので、最初から開き直って皿洗いに徹する女子もいるような中で、彼女はテキパキとリーダーシップをとっていた。私は、その低レベルの中では、そこそこ出来たほうだったので、いつのまにか、彼女の助手になっていたと思う。
 そんで、やっと楽しい試食タイム。ろくに手伝わなかった子も、食べる気だけは満々である。
 そんな中、ほとんど彼女が一人で作ったと言っても過言ではない料理を彼女は食べようとしなかった。「私は、いらないからみんなで分けて」と言う。

 そう言われても「はい、そうですか」と言いにくい状況なので、「ええ?せっかく作ったんだから、体調悪くても少しくらい食べなよ〜」と同じ班の子たちが言っても「いや、ちょっと、ほんとに体調悪いから」
 でも、さっきまでテキパキと料理作っていたのに「食べられない」というのも理解不能なので、今度は逆に「そんな、具合悪かったら、保健室に行く?」と心配になる。

 彼女は、とうとう「いや、それほど悪いわけでは・・・・・あんまり言いたくなかったんだけど・・・・食事作ってたから・・・・悪いと思って・・・・でも、ほんと、大丈夫なの・・・・実は、ただの便秘なの」と告白した。
 それでお腹がパンパンに張るので、食欲がなかったのだろう。
 でも、クラスメートには「一週間ぶり!」などと堂々と言うような豪快女子高生もいたが(それが、クラスで一番の美人だったりした)、なにしろ食べ盛りの年代だから「食欲がない」というは誰も経験がなかったようで、そう言われると「それって、どういうこと?」と、まったく遠慮がなかったなあ、と今だから思うけど、サバサバした優等生の彼女は、そんな質問にも丁寧に答えてくれたような気がする。

 そんで「そっか、それじゃあ食欲なくなるねえ、かわいそうに」と同情していたら、「でも、ほんとは食べたほうがいいんだよ。そんで、上から押し出すんだよ。でも、食べられなくなると、よけい出なくなるから、こうなるとほんと悲惨」

 そんときに「とにかく食べて、上から押し出す」という説明がとってもわかりやすかったので「そうか、なるほど〜」と思ったので、その後、20年以上経ちましたが、便秘になると、彼女のそのセリフを思い出して、ありがたく実践させていただいています。
 彼女も、1年のときには、そうやって元気に通学していたのだが、2年生になったときにはクラスが別になってしまい、そのクラスでは、あまり居心地がよくなかったのか、それとも担任とあまり上手くいかなかったのか、中退してしまい、大検目指すと言ってましたが、その後、どんな人生を歩んだのかなあ。

 さて、そんな話はこれくらいにして、今の季節の楽しみといえば、神社の樹木が発散する樟脳臭である。あの匂いが好きでねえ。
 でも、それに負けじと濃厚な甘い香りを放っている花がどっかにあるんだけど、どれが犯人か全然わからない。金木犀くらい強力な香りなんだけどなあ。

 全然関係ありませんが、最近は「防犯ブーム」とでも言うのか、前に読んだ「ホラーハウス社会」でも、防犯意識のエンターテーメント化を危惧していましたけど、でも、私はNHKの「ご近所の底力」みたいな防犯対策にはけっこう好意的で、というか、老人が病院を集会所にするよりも、街をパトロールしてくれほうがいいじゃん、と思っていたのですが、先日、うちの近所の通りを歩いていたら、前からデモ隊みたいな一群が歩いてきたので「なんだろう?」と目を凝らしてみたら、それもどうやら「ご近所パトロール隊」でした。

 「お、やってる、やってる」と「こりゃ、きっとすれ違うときに、挨拶とかされちゃうな」と身構えておりました。近所の小学校では、警備会社に警備を委託してるらしく、毎朝、私が丁度その小学校の脇を通るときに、巡回している警備員に「おはよーございます」と声をかけられ、最初は「くすん。私って、たしかに小学生のお母さんと同世代だもん」と思いつつも、「あ、お、おはようございます」と挨拶を返していて、そのうち諦めて、毎朝挨拶をするようになりました。

 そのパトロール隊が近づいてきて、やっと私の近眼でも「どんな人たちか」がわかったのですが、それがなんと、全員、20歳くらいの若者だったのです。
 なんか、逆に不審だった。
 渋谷や新宿で二次会の場所を探して彷徨う、学生の集団は見慣れているが、住宅街を20人くらいで学生が歩いていると、「善良そうに見えるが、実は緻密なカムフラージュで、こいつらが強盗団なのでは?」って勘ぐりたくなってきます。もしくは、せいぜい、宗教の勧誘か。

 あれは、何かの罰ゲームだったのでしょうか?
 それとも、新てのサークル活動?
 あれから、その姿を見かけることはないけど、「防犯パトロールは、デモ・ブームみたいなもんだったんだ」と、納得しました。反戦デモも、一瞬のブームだったみたいだし。

 さらに、全然関係ないけど、やっと数日間停滞していた頭が働きはじめたので、忘れないうちに書いておこう。
 朝の電車に「変なオバサン」が乗り込んできた。
 タオルで頭と顔を覆っているので、年齢不詳だが、背格好から60歳以上と思われた。
 雨ばかり降っている天候不順の中で「タオルで防御」というはずもなく、しかも、チラチラ観察してみると、サングラスもかけていた。明らかに「普通」ではない。

 きっと、「何か」から身を守っているのであろう。タオルがずれないよう、必死に手で押さえていたし。
 それに、オバサンが持っていたのだ、パっと見「コーチのキャリーバック」で、それもツボにはまった。コーチの柄は「CC」を組み合わせたものだが、オバサンのは、よく見ると「CG」で構成されていました。

 まあ、よくいる「名物オバサン」の類である。

 でも、明らかに「変」なのに、けっこうみんな気がつかないんだよね。そっちのほうが、観察対象として面白かった。
 私が乗る路線は、始発駅では空席が目立つけど、途中のニュータウン駅で、ほぼ満席状態になる。
 それに気が付いて、きちんと座席を詰められる人と、それが全然できない人がいるのを観察するのが、密かな楽しみだったりする。
 その「タオルとサングラスとなんちゃってコーチのオバサン」も、せっかくのコーチのキャリーバッグにスーパー袋に入った「何か」をたくさんぶら下げていて、手にも持っていたようで、大きめの「何か」が詰まったスーパー袋は脇に置いていた。

 途中駅で乗り込んできたのが、歩くのが少し難儀な老婦人と、その付き添いの娘だか、年若の友人のおばちゃん。
 なんのためらいもなく、「変なオバサン」の隣に座るが、老婦人がよろけて、そのオバサンのスーパー袋をお尻で半分くらい踏んづけてしまった。
 お向かいで観察していた私にも、はっきりとわかる「重大なテリトリーの侵害」である。
 オバサンは慌てて、袋を引き寄せると、ビクビクしながら、その袋の新な置き場を探していたが、反対側も人が座っているので、置き場所がない。
 もちろん、踏んづけてしまった老婦人は「あら、失礼」と穏やかに謝っているのだが、そんな普通の挨拶が通用しそうにもない相手だと気が付いていないようだ。

 どうしていいのかわからなくなったオバサンは、急に両足を激しく上下させた。小さい子供がダダこねてるみたいに。
 隣に座った老婦人と中年婦人は、そのとになって「あれ?」と思ったようである。でも、実害はなさそうなので、無視して喋っていた。

 そんで、オバサンは、ますますタオルをきつく顔に巻き、完全に何かを遮断しようとしていた。
 そんで、ブツブツと「写真なんか・・・・」と言っているようであった。

 ふーむ。写真嫌いなんだろうか?
 たしかに、浮浪者スレスレの風情の彼女が偽コーチのキャリーバックを引きずっている光景は、ちょっと写真に撮りたくなるような気がする。もしかすると、無作法に写真を撮られたことがあって、それで顔をああして防御しているのかなあ?

 なーんて、勝手に想像していたら、オバサンはガサゴソと袋の中を漁ると、丸めたハンカチというか「元・ハンカチ」というようなボロ切れを私のほうに向かって投げたのだ。
 「げ、いかん。電波が通じてしまった?」と身構えたのだが、そのボロ切れ玉は、私の隣に座っていた若い女性にジャストミート。

 当たっても、痛くもないだろうが、携帯でメールチェックしていた彼女は、お向かいに「変なオバサン」がいることすら気がついてなくて、呆然としていた。
 そんで、オバサンが「写真なんてとりやがって・・・・」と悪態をつくと、「え?私のこと?」とオロオロしていたので、横にいた私が小声で「ちょっと変な人ですから・・・・」と目配せしたのだが、彼女は私が言わんとすることがわかったのか、わからなかったのか、それとも、周囲の目が自分に集まったので焦ったのか、「いえ、写真なんて撮ってません」と毅然とマジ・レス。

 もちろん、そんな「本当のこと」が通用する相手じゃないから、オバサンはブツブツと「写真なんてとりやがって、ばかやろー」と繰り返す。

 そんで、彼女もさらに毅然と「なんか、自意識過剰すぎませんか」

 いや、そりゃ、そのとおりなんですけど〜〜〜〜(笑)
 タオルとサングラスで武装した人に「自意識過剰すぎ」って言ってもさ〜

 まあ、とっさにどう対処していいのか、わからなくなる気持はよくわかるけど。
 周囲がどう思ったのかはわからないが、私は「布切れを投げるということは、危険な人ではないな」とホっとしてたんだけど。でも、あのオバサンも、「自分に向けられたケータイは全部、自分の写真を撮ろうとしている」という妄想を抱えていたんじゃ、電車乗るのも大変だよなあ。

 季節柄、そういう人が活発になるようで、その日の帰りにスーパーに寄ったら、あまり人のいない片すみで、若い男の子が、変な唱を歌いながら、イアン・カーティスばりのタテノリ痙攣が止まらなくなっていた。たまたま、売り場に社員がいなかったのか、それとも、そういう人に「ここで踊らないでください」と言ってもしょうがないから放置されていたのか、しばらくそのままだった。

 花の香りが濃厚な時期には、そういう花もたくさん咲くようで、私みたいに、それも花だと思って優雅に鑑賞すべきか、それとも花だと思っていること自体が差別なので、普通の人と同じに「それはいけません」と指導するべきか、それとも、もっと成熟した社会とやらでは、もっときちんと対処しているのか、よくわからなくなったのでありました。

 自分の頭の上にも、小さな花がポコポコ咲いているのがわかっているので、ああいう大輪のシャクナゲみたいのを振り回されると「お、すごいの咲かせたな」と、ついつい目がいってしまうだけのようですが。

 さーて、明日は早起きだ、早寝しよう。
 健康診断のために、早起きっていうのも納得しがたいのだが、これもどうやら「国民の義務」の一つらしいので、しょうがない。
 でも、毎年思うのだが、健康診断だけで成り立ってる病院っていうのもどうなんだろう?
 検便のために便秘になってる人よりも、もっと医療費をかけてあげるべき人は沢山いるのでは?
 私が嫌々飲んでるバリウム一杯で、アフリカの子供が何人予防接種を受けられるのだろう・・・・と考え始めると納得がいかない。
 予防医療の大切さはわかるけど、でも、なんか、騙されているような気がしなくもない。
5月18日(木)

 昨日は、夕方になったら急に頭痛と吐き気がしてきて、会社の階段を降りていたら、眩暈がしてきて危険だったくらいだ。
 「わー、なんだかヤバい状態だ」と机に突っ伏しそうになったが、「かろうじて歩ける状態のうちに帰宅しよう」と早めに帰宅した。(定時は過ぎていたが)

 そのときに、ふと「もしかして?」とは思っていたのだが、やっぱりそうだった。

 会社を出て、電車に乗ってるうちに、グングン回復してしまいました(笑)
 前にも、同じようなことがあった。症状は違うが「風邪のひきはじめかな?」と警戒して早めに帰宅したら、会社出た瞬間にすっかり回復してしまったのである。

 何が原因なのかわからないが、きっと潜在意識を刺激するような「やーなこと」があったのだろう。
 そう考えると、いくつか原因と思しきものが・・・・

 銀行からの短期融資が更新になるので、融資残高資料などを用意していたのだが、真っ当な融資といえども、私の潜在意識を刺激する「借金」であるし、しかも、プライベートで私をブルーにした金額より4桁くらい多いわけだ。
 そんで、その融資の話で、なぜか親会社の経理主任の兄さん(40代半ば)が、私にいろいろと話かけてきて、私は彼のことがけっこう好きなので、お喋りするのは全然オッケーなのだが、その内容が、最近日記ではご無沙汰だった例の新規事業のことで、彼はニコニコしながら、私にいろいろと押し付けていった。

 前からよく愚痴っていたけど、あの件では、私はけっこう覚悟は決めていたのだが、その後、なんだか船頭が替わったようで、雰囲気的に「ミヤノは関わるな」というのを感じたので、「なんもしなくていいのかな?」と思っていたのだが、単に長い保留期間だったらしい。

 まあ、やるのはいいんだけどよー。そうなると、苦手なタイプのKさんとおおいに関わることになるわけで、それがネックなんだよねえ。

 というわけで、昨日の体調不良の鯨飲(クジラのように、ザッバーっと海水ごと飲み込んでもなぜかオキアミだけを上手に食べる様子。転じて、大ざっぱに見えるが、実は細かい作業)は「巨額の借金」+「やっぱ、あの仕事、私がやんの〜」のようである。

 その呪いは、今日も残っていたようで、出社して机に座ったら、今度はズシーンと両肩が重くなっていた。
 できれば、会社の磁場クレイ(クレイ社製?)のせいにしたかったが、そうじゃないのがわかっているので、しばらく「ひょひょひょひょ〜」と気分を変える鼻歌を唄いながら両手をブルンブルン回していたら、女例(このテの用語、全然一発変換しないらしい)できたようである。

 磁場の流れをどうにかしようと、同僚M嬢に探りを入れてみた。
 一時間くらい磁場でお話した。二人の周りで、うにょうにょ踊る砂鉄が目に見えるようであった。
 自分でも何を言っているのかわからないが、「OLが二人で仕事の愚痴を言い合っている」と周囲は磁場クレイが発生するようです。あなたの会社の女子トイレや給湯室やロッカー室でも、きっと磁場が渦巻いていることでしょう。

 磁場でうにょうにょと愚痴りあっても、なんも解決しないのだが、とりあえず、磁場のおかげで肩こりは少し治まるようだ。何ガウス出てるのか知らんが。

 昨日の「ためしてガッテン」は「振り込め詐欺対策」で、なかなか面白かった。
 詐欺だと警戒していても、「か〜さん、助けて〜」と言う声を聴いてしまうと、なかなか冷静になれないらしい。
 たしかに、「ただの立体映像ですよ」とわかっているのに、画面から隕石が飛び出してくると、思わずよけてしまうみたいなことなんだろう。

 それとは関係ないが、毎年のことであるが、健康診断直前にはいつも便秘になってしまう。「催したら、採便しなきゃ」と思っているだけで、この不始末。早く出てきてほしい。
 心や体のコントロールは難しいというかなんというか。
 なかなか思い通りにならない。

 と、書いていたら、少しだけ腸が動いてきたが、いかん、無心だ、無心。意識した途端に、恥かしがりやさんだから、すぐひっこんでしまう。

 さて、さらに関係ないが、今日読み始めたのは「狂気の偽装」という本。その「心の病」は大うウソだ!という挑発的な帯にフラフラと引き寄せられた。

 しょっぱなから、カマしてくれる。世間でよく言うPTSDなんて、ほんとのPTSDじゃないらしい。

 私は、わりと「心の病」に理解があるほうである。「理解している」わけではなく、「まあ、そういう病気もありだろう」と認めているという意味。「病は気から」という考え方もあるけど、「病は病だろう」と思っているというか、胃弱の人に「神経が細かすぎるからだよ〜」とは、なるべく言わないのと同じように、いや、昔は「ストレスが胃弱の原因」だと思っていたのだが、最近は逆だと思っている。くよくよしてるから、体が弱いのではくて、体調が悪いことの多い人がクヨクヨしがちと、考えを改めた。
 科学的思考でそう判断しているのではなく、「人付き合いのノウハウ」としてである。

 もちろん、そういうのに全く関係無い人も大勢いる。
 でも、たまに「考え方が後ろ向きだから、そんな病気になるんだよ」と思うことがあったのだが、「病気が後ろ向きにさせてるんだろう」と考えるようになったのだ。

   自分でも「こりゃ、鬱だな、きっと」と思ったときがあった。あんときは、もう一人の自分が「これか〜」と楽しむ余裕があったけど、たぶん、「本当の鬱」ではなかったのだろう。ただ、全く身動きができなくなってしまったのだ。会社には行ったけど、家に帰ると、布団の上に寝そべったまま、何をする気にもならなかった。

 鬱っていうか、一種のショック状態というのか、そのころ、ある友人がよく電話してきたのだが、だんだん恐ろしいことを言ってくるようになり、それが「東京は悪魔に支配されてる」とかいう、かなりパラノった話で、最初は「もう、しょーがねーなー」と相手していたのだが、それは相手が完全に常軌を逸しているわけでもなく、そういう話をするのを楽しんでいるというのがわかっていたからで、たぶん、「オーラが見えるようになっちゃった」という話を楽しく拝聴しているような気分だったのだ。

 ところが、「はいはい、そうなんですか」とテキトーに受け流していたつもりだったのに、心は冷静でも、体が変になってきたんですね。
 あるとき、会社から帰ると、留守電にその友人から「また電話します」とメッセージが入っていて、それを聞いた瞬間に、体が動かなくなってしまったのだった。結局、その晩は電話がなかったのだが、翌日は留守電は入ってなかったのに、やっぱり動けなくなってしまい、ただひたすら横になっていた。

 「こりゃ、やばい」と思ったが、こっちから電話するのも怖い。
 けっきょく、しばらくしてやっと電話があって、そのときには、わりとまともな話になったので、やっと呪縛がとけて動けるようになったのだった。
 それ以降も、その友人は「精神世界の話」をときどきするけど、心の壁をつくって真面目に拝聴しないように気をつけている。ちなみに、今では、あまり付き合いがない。

 話はまとまらないが、「心の病」を抱えた人と喋っていると、やはりそれなりに影響を受けるようで、この間もそれでちょっと落ちたので、「その心の病は大うそだ!」というコピーにちょっとすがってみました。自分なりの「振り込め」予防です。
 まあ、それで、話はまとまらないのですが、この本に私がずっと思っていたことがビシリと書いてあったので、少し心が軽くなりました。「家庭の問題がトラウマになっている」というけど、「問題の全くない家庭なんてない」

 そうなんです。そうなんです。
 でも、ついつい「うちなんて、両親が離婚もしてないし、どっちも健在だしなあ」と思ってしまうあたりが自分の弱いところか。
 同じような理屈で「私なんて、大病したことないし」とか「私なんて心の病にもかかったことないし」と、なんて言うんだろ?大事故や災害で生き残った人が「生き残ってすいません」って心理状態になるそうですが、それの超軽いのになるみたいです。

 で「なんもできないけど、せめて話くらいは聞いてあげよう」ってやってるうちにドツボにはまるんだよな。

 と、書いているだけでも、ジワリとダメなかんじがする。自動的に思考停止。

 せめて、ウンチョス君がコンニチワしてくれると心が別の方向に動くのだが(笑)
 また思い出しちゃったから、こっちもダメらしい。

 今夜は諦めて寝よう。
 酔っ払ってるときよりも、支離滅裂だなこりゃ。
5月16日(火)

 どきどき・・・・

 半月前に日記のファイルを替えるときに、誤って上書きしちゃったんで、今日は、ドキドキしながら慎重にやっちょります。

 やっと、サイバラの「毎日かあさん3」が届いた。もっと早く届いたはずだが、bk1の「1万円買うと、1000円ポイントバックキャンペーン」に踊らされ、買いたい本が1万円溜まるまでじっと我慢していたのである。

 やっぱ、面白いわ。ずっとサイバラ氏のライフワークとして続けてほしものである。
 つーか、どのおヤクソが管轄か知らんが(旧・厚生省?)、少子化対策にこのマンガを活用するのはいかがでしょう?
 本音としては「オヤクソなんかに変な賞もらうのヤダ」と作者でもないくせに思いますが、少子化対策のために我慢してあげてもよくってよ。(でも、私は「少子化?別にいいじゃん」派というか、地球人口が多すぎるような気がするので先進国からドンドン減って、何が悪い?と本気で思ってます)

 あんまし誉め上手ではないのであるが、こういう本こそ「ライフスタイル本」だよなあ。
 西原理恵子こそ、真のライフスタイル商売人であると思えば、なんだか納得がいく。よろこんで、お金払いますとも。

 そーいや、そろそろ健康診断なので、また「うんちょす君との駆け引き」をしないといけないのだが、「早めに問診票に記入しておこ」と思って、書類を眺めていたら、「ライフスタイル」と銘打った問診票があり、食事や排泄の規則性や肉食の頻度や、タバコや酒の頻度や、運動するしないが問われており、「そーか、ライフスタイルってこういうことか」と勉強させていただきました。

 会社でちょびっと現金をゲット。
 いや、金庫からくすねたわけでもなく、月々天引きされてる旅行積み立て金が戻ってきたのである。

 「さーて、また預金しておくか」と「趣味・貯金」なのは否定しないが、「なのに、なぜか友人にむしりとられる自分」に嫌気がさしてる週間なので、アブク銭として、パーっと使ってしまいたいところである。
 実は、昨日はそれで服屋を回ったのだが、あまりこれといったのに出会えず、「やっぱ、手堅くこれかな?」とドリーム・ジャンボに貢ぐことにした。

 職場で「さーて、ジャンボ買わなきゃ」とボソリと呟いたら、マスオさんが、まんまと「わー、ボクもです!」と反応してくれて、ちょびっと嬉しかった。しばし二人で「スズメの涙のような金だが、ドカンと増やさんとな」と小さく盛り上がっていた。そんで、私は午後に親会社に行くついでに、銀行に寄って、さっそくジャンボを買ったので、「わーい、もう買っちゃった」というと、マスオさんは「わー、忘れてた」と言うので、「でも、まだ発売したばかりだよ?」と言うと、「でも、当たりって、番号若いほうが多いじゃないですかっ」

 えーと、わたし、宝くじをストレスのはけ口にしているだけなんで、そこまで詳しくないんだけど、そうなんですか?雑誌「あるじゃん」の「宝くじ攻略法」では、そう書いてあったのかもしれんな。

 というわけで、お金をドブに捨ててご満悦であった。

 これも、ひとつのライフスタイル(笑)
 
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