可燃物な日々

表紙に戻る/過去の日記

ご意見・ご感想・誹謗中傷などございましたら、感情廃棄物再利用所までどうそお気軽に書き込んでください

12月31日(金)

 お昼前に起きたのだが、やはり今日も予報通りに重い曇天。夕方から雪になるらしいしなあ、と思っているうちに昼過ぎには早くも雪が降ってきた。
 うーん、せめてお布団をバタバタしたかったんだけどなあ。
 これは、明るいうちに実家に向かったほうがいいかもしれない。国分寺はこっちより積もるはずだ。

 さて、毎年、年末に特に書くこともないのだが、あんまし代わり映えもしないし。
 でも、雪の中を帰省するというのも珍しいような気がする。
 また、外の様子をうかがってみたら、車があまり通らない横の道はけっこう積もっているようだ。
 長靴履いてこっかなあ。でも、明日には止むみたいだしなあ。

 これじゃあ、初詣に出る人も少ないよね。穴場かも(笑)。でも、行く人は行くだろう。
 紅白もヨン様が来なくてよかったよ。雪の中で中高年がNHKホールの外で大量に出待ちしてたら死人が出るよ。

 午後3時。
 また外を覗いてみたら、ますます激しく降ってました。屋根も真っ白。
 うーん、「踊る大走査線」を見ながら「外に出たくないよお」とウジウジしているバヤイじゃないのかも。

 まあ、電車さえ止まらなければ帰れるんだけど・・・・
 雪の日に線路に飛び込む人はいるのかしら?(中央線はアレが名物なので、侮れん)

 さあ、「踊る大走査線」も終わったし、そろそろ出発するか。
 と、思ったのだが、また次の話しが始まってしまった・・・・キリがない。

 というわけで、皆様もよいお正月をお過ごしください。
12月30日(木)

 今日は晴天。
 Aさん宅に遊びに行ってみるか(12月中、ずっと「そのうち」で伸び伸びになっていた)、と電話してみたが、残念ながら外出するとのことで、私は掃除洗濯に勤しむことになった。
 やっとガスファンヒータを出した。

 夕方、また何気なくテレビをつけたら、故ダイアナ妃のインタビュー映像が流れていた。
 亡くなってから数年になると思うが、ジョン・レノンなどと違い、自分にとっては「リアル・タイム」の人だったので 、それなりに親近感がある。
 でも、それほど興味を持っていたわけでもなかったが、ダイアナ妃が亡くなったのが36歳のときで、今の私はその年齢を超してしまったようで、そう思うと、なんかなあ。インタビュー映像も全部観たわけでもないが、ほんとにこの人、ただのギャルだったんだよなあ。

 それが20歳で結婚して、ゴシップの荒波にもまれたわけだから、自分を見失うのもよくわかる。やっと精神的に大人になれたのは、30歳を過ぎてからで、これから「開き直って第二の人生」って時に亡くなってしまったのも気の毒なことだ。

 あれだけ大人っぽかった雅子妃ですら、あの様子なのであるから、ロイヤル・ファミリーも大変ですな。
 がんばれクロちゃん。

 奈良の女児誘拐殺人事件の犯人が逮捕されたということだが、そのニュースを観ていたら「カローラ2も押収」・・・・

 ♪カローラ2に乗って〜

 女児誘拐とかしないでほしい。とオザケン・ファンはムっとしている。

 話しは変わるが、先日久しぶりに第九を聴いたけど、ろくにちゃんと聴いたことがないくせに「N響の第九は、まあまあかな」などと会社のクラシック好きのオジサン(先日もベルリン・フィルで散財していた)に偉そうなことを言っていたのであった。

 自分でそう言っておいて「いったい何を基準に言っているのだろう?」と思ったのだが、たぶん私が生で聴いた第九で一番「有名な人たちが演奏していた」というのは、友人が参加した国技館での5000人の第九で、指揮が大友直人で、テノールが錦織健で(終演後にはしゃぐニッキーは可愛かった)、オケもわりと有名オケからの寄せ集めだったときくらいかな。あれはオケがどうのというよりも、とにかく国技館の客席の半分がコーラスということ自体が面白かった。

 あとは、テレビで観たりする程度だと思ったのだが、そういえば、昔、「ベートーベン」という映画を観たあとに、第九がちゃんと聴きたくなって中古で買ったCDをときどき思い出したように年末の大掃除のBGMにしていたが、あれはけっこういい演奏だったのかも。
 と思って、CDを探したら、バーンスタイン指揮で「名前を知っている指揮者だったから、これを買ったんだろうな」と思ったが、よくよく解説を読んでみると、その演奏は東西ドイツ統合直後に、東西の楽団や合唱団を寄せ集め、独唱者も東西競合という企画コンサートだったのだ。

 メインの楽団はバイエルン放送楽団のようで、「そりゃ、本場だわい」というシロモノである。確認のために、聴いてみたが、ベートーベンの仰々しいフレーズを生き生きと元気よく、かつ官能的に弾いていた。
 さすが、バーンスタインはこういうお祭り企画をよくわかっており(そーゆーのが大好きそうな人だったらしいし)、かなり派手にやっていたと思う。

 にゃるほど、こんな演奏を基準にしていたのでは、何を聞いても「まあまあ」とか言っちゃうであろう。

 年末年始はテレビがつまらないから困るなあ。
 早寝しよっと。
12月29日(水)

 新井君が九州から帰省してきて「また、『とぶさかな』に行きたい」と言っていたのであるが、昼過ぎに目が覚めて「なんか、さみーよ」と布団の中でゴロゴロしていたのだが、「さて、まあ、掃除くらいしないとな」と思い立って、布団から抜け出すが、それにしても寒いので、ふと「そーいえば、天気予報では・・・・」と思い出し、窓を開けてみたら・・・・・雪でした。

 けっこう本格的に降っている。
 新井君に電話してみて「じゃあ、とりあえず様子を見よう」ということになった。

 そんでまたゴロゴロを続行したのであるが、「天気予報でもチェックすっか」とテレビをつけたが、中途半端に「平日だが年末」な番組ばかりで、日テレでは「主婦が選んだ今年のニュース」などをやっており、文化芸能ニュースを「お笑い四天王が斬る!」とかやっていたが、やっぱ、ギター侍は相変わらずつらまんのお。

 一度も「おもしろい」と思ったことが無いので、なんであんなに人気があるのかわからないが、友達が「波田陽区って、レディオヘッドのファンなんだろうか?」と言っていて、「そっか、トム・ヨークか」なんて話していたのだが、でも、どうも調べてみると同じ意見の人は多数いたけど、どうも違うらしい。

 それにしても、「四天王」と呼ばれた人たちは、長井秀和もネタ枯れしているような気もするし、パペット・マペットは好きだけど「斬る」のは苦手そうだし、なんか久々に観たらウシ君とカエル君がさらにボロくなっているようで心配だ。(その昔、ドンキみたいな店で買ったものだそうで、替わりが無いと、テレビで喋っていた)

 ボヤキ系だと私は「ヒロシ」のほうが面白いと思うな。ああいう「ふかわりょう」みたいのが好きなので。ふかわりょうが好きだと言ったら、よく「えー、全然おもしろくない」と否定されたが、舞台でのネタは本当に面白かったのよ。天才だと思ったもん。でもバラエティで変に消費されちゃった悪い例になってしまった。

 そんなことを考えつつ、「天気予報はやっとらんのか」とチャンネルを替えていたら、いきなりチェ・ジウが登場。フジテレビで毎週土曜日夕方にやっている「天国の階段」の総集編をやっていたのだった。
 ついうっかり観てしまいました。

 途中から観たので、人間関係がさっぱりわからなかったのですが、これも「美しい日々」に負けないようなドロドロ兄弟姉妹モノだった。
 チェ・ジウはシンデレラみたいな設定で、大学教授である父親が女優と結婚して、その連れ子がいて、継母と妹にいじめられる。そんで義理の兄には言い寄られる。
 でも、幼なじみの王子様(この間来日したグオンなんとか)が頼りだったのだが、王子様を狙う継妹の策略により、記憶喪失になった上に、死亡したことになってしまう。(検死はちゃんとしようね。「さすが、他人の遺骨を送りつけてくる朝鮮民族!」といっしょくたにしそうになりました)

 頭が混乱するのは、「冬のソナタ」では初恋の人にクリソツなヨン様に絡んでいたチェ・ジウが、今度は逆の立場で、グオン王子に絡まれるのである。そして、王子様は泣いてばかり。(総集編なので、そういうシーンばっかしでした)
 このグォン様は、どーしても顔が私の趣味ではなく「ああ、こういう役はやはりビョン様じゃないと」とイライラした。
 それはいいとしても、恋愛沙汰でモメている若手俳優も日本で放映しているのはチェ・ジウばっかりで、なにがなんだかわからなくなってくるが、それよりも親の世代を演じる役者のほうが、使いまわしが激しいぞ。
 「天国の階段」でチェ・ジウの父を演じている人は、「美しい日々」でのビョン様の弟の実の父と同じ人。ああ、混乱する。オバサン女優も、あちこちで観るぞ。

 四方先生の「大好きな韓国」によると、韓国では「俳優」という職は日本よりも軽く見られているらしく、けっこう成功した人でも、稼ぐだけ稼ぐとさっさと引退したり、実業家に嫁いで引退ということが多いらしい。だから、中堅俳優の層が薄いし、ましてや「名優」とされる老人はほとんどいないとか。

 さて、そんなわけで、「天国の階段・前半の総集編」も観終わったころには、雪も止んでいて、下北沢に向かう。
 寒い。今年初めて「顔がチリチリ痛い」という寒さである。

 7時少し前くらいになってしまったので、「とぶさかな」は満席だったけど、年末休暇中だけに最初の客は5時くらいから入っていたようで、すぐに席に案内してくれた。
 9時前には店を出て、英国パブに移ってビターを飲んでから、新井君が「パフェが食べたい」と言うので、スペースなんとかカフェで甘いものを食べて、次は線路脇のバーに移動するが、店は閉まっていた。新井君は昨晩もその店に行っていて「明日も来るかも」と言っていたそうだが、「なんだろう、雪だったから面倒になって開けなかったのかな?」
 で、他の店でワインを立ち飲みしているうちに、12時くらいになったので、そこで解散しました。
12月28日(火)

 ちくしょー、また会社の忘年会の抽選会で何にも当たんなかったよお。
 せっかく、裏で手を回して(というか、準備している総務課に「DVDレコーダーがほしい」とずっと言いつづけて催眠学習させたのだが、それで学習しちゃったT部長が「何か景品を出しますよ」という得意先が「でも、どんなのがいいんでしょうか?」って言ってくれたときに「DVDレコーダーとか?」と言ってくれたらしい)自分の欲しいものを賞品にしたというのによ。

 私が、どうしても年末に向けてDVDレコーダー(とにかく、なんでもいいから録画できるもの)が欲しかったのは、実家に滞在しているときに好きな番組がじっくり観られるかどうか不安だったからである。
 1月2日の夜11時くらいから、ビョン様のドラマだか映画だかをNHKで放送するのだが、母親や妹の「えー、なんでこんな人がいいのお?なんか、キモチわるくない?」という罵声を受けながら鑑賞するのは避けたかった。(遺伝子のせいかどうたか知らんが、みんな言うことがキツイのよ。父親を除く)

 母や妹が韓流ブームに乗っている可能性は著しく低い。

 そんな心配をしていたというのに、なんと、紅白歌合戦にビョン様が出演するというではないか!(一瞬だけ、NHKホールの裏口で張る自分の姿を想像した)
 うーむ、昨年のことを考えると、また妹の趣味を反映して格闘技ホッパーになる可能性が高いので、「すいません、ビョン様観たいんですけど」という私の意見は却下されるに決まっている。

 さて、そんな私は、「自分へのクリスマス・プレゼント」として、ついうっかりビョン様カレンダーも買ってしまったのだが、家に帰ってそれを開けてみて、しばらく放心してしまった。「ビョン様ステキ」とうっとりしていたわけでもなく、写真のアイドル臭さと着ている洋服がスマップ仲居君並みに趣味が悪かったので、「うう、こんなもんを買ってしまった。どーしよー」と放心していたのであった。

 あと、私のビョン様ブームにケチをつけているのは、最近、社内でも一部で話題になっていたのだが、某部長(私より一つ年下だけど)がビョン様に似ているのだ。そう言われてみると、顔のパーツはほんとに似ているので、私は一人でひっそりと落胆していた。
 その部長も、さすがに「韓国四天王に似ている」と言われて、嫌な気はしていないようであるが、元々「中国系の顔」と散々言われていたらしく「どーせ、オレって」と公式にはムっとしているのが、またムカつく。

 さて、相変わらず、そんなことで苦悩している呑気な日々を送っておりますが、インドネシアの大地震&大津波は、日に日に被害報告が甚大になり、日本人も多数巻き込まれたようです。

 スリランカ方面の津波は、一気に来たみたいですが、プーケット方面は、いったん潮が引いたらしく、それって誰でも知っている「津波の前兆」だと思っていたのですが、「わあ、なんだろう。急に潮が引いた」と喜んで遊んでいた人もいたとか。

 たしかに、古くから海辺で暮らしている人々は「津波の前兆」を知っているかもしれませんが、ああいうリゾートで働く人の多くは、海を見たこともなかったような、タイ北部の農村から出稼ぎっていう人も多いはずだし、客も海に慣れ親しんでいる人ばかりではないので、「これはヤバい」と判断できなかったのかもしれないなあ。

 そう考えると、私がなぜ「急な引き潮」を「津波の前兆」と知っていたかというと、それは多分、アニメの「日本むかし話」で学習したのだと思う。海辺の集落で、皆がお祭りかなんかで海辺に集合していたときに、急に潮がひいて「なんだなんだ?」と村人が騒いでいると、老婆たちが「これは・・・・昔、こういうのを自分の祖父から聞いたことがある」とか言い出して「みんな、高いところに逃げろ〜〜〜〜」っていう話しがあったんだな。

 みんなが普通に学校に行ったり、本を読んで勉強できなかった時代には、そういう「伝承」というのが、役に立っていたはずだ。海に囲まれた日本各地には、津波にまつわる昔話がたくさん伝わっているのだと思う。

 昨日も、Mちゃんと「津波の被害すごいらしいねえ」なんて話しをしていたのだが、彼女は和歌山の海辺の町で育ったので、やはり、昔の津波の被害の話は身近にあったらしい。

 そして、「小学校の修身の教科書にもそんな話しが載っていた」そうだ。(一つ突っ込ませていただければ、私らの時代には「修身」ではなく「道徳」の教科書だと思うけどさ)

 こんな話しだったそうだ。
 あるとき、一人の村人が海を見ていると、潮がいきなりサーーーっと引いた。
 彼は、そんな光景は初めて見たが、祖父母の話しを思い出して「これは、津波の前兆だ」とすぐに気がついた。
 しかし、浜辺ではそんなことも知らずに、潮の引いた浜辺に取り残された魚介類を拾おうとしている人たちが大勢いたので、避難を呼びかけようとしたが、村営放送のスピーカーも無い時代のことであるし、そこで「逃げろ〜」と怒鳴っても、大勢を助けられるわけがない。

 とっさに彼は、高いところにある自分の田んぼで、収穫後に積んで干してあった稲に次々を火を放った。
 のろしのように煙が上がり、それを見た海辺にいた村人たちも「うちの畑に燃え移ったら、大変だ」と、すぐに駆け上がってきて、おかげで、その地域は津波に飲み込まれた人が少なかったらしい。

 自分の財産(収穫したばかりの稲)を投げ打ってでも、村人の命を救ったとして、その人の行為は後世まで称えられて、小学校の教科書に載ったのである。

 やはり、教科書はちゃんと読んでおいて損はないと思った。


 でも、モルディブとかだと逃げようもないもんなあ。
 実は来年の社員旅行で、モルディブが候補地として挙がっており、旅行担当者から「おネエ(彼は私より10歳くらい年上だが、なぜかそう呼ばれている)、モルディブ行かない?いいよ〜〜〜〜モルディブ」と言われていたのだが、「そーゆーところは新婚旅行用にとっておきたい」と断固拒絶していたのであった。会社の人たちと、そんなプライベート・コテージに泊まってなにすればいいのか、私にはさっぱり想像ができない。ダイビングの趣味とかあれば別だけどさ。
 友人Mにも「社員旅行でモルジブって、超悲しくない?」と言ってみたが、彼女も「たぶん、行きの飛行機で落ちる(気分が)ね」と断言された。

 なので、ずっと「やだよ、モルジブなんて〜〜〜」と言っていたのだが、でも、だからといって「水没してしまえ」とまで呪ったことは無いはずなので、ちょっと微妙な気分なのであります。

 タイのピピ島も被害が大きいようだが、数年前に友人が行ったそうで(英国人の彼氏とそこでバカーンス)、あのころ、丁度「レオ様映画のロケ地」としてメジャーになったころだった。
 友人も原書で「ビーチ」は読んでいたらしく、期待通りに、ほんとに美しい海が堪能できる島だったそうだが、シュノーケリング・ツアーに行くときに、島の裏側に回ってみたら、そこはまさに「夢の島」だったらしい。

 小さい島だから、観光客が飲む水はほぼ100%が「ミネラル・ウォーター」なので、そのペットボトルが、島の裏側に累々と散乱していたらしい。彼女も、そのゴミの山を作るのを影ながら参加していたのに気がつき、「美しい自然が残っている島だけど、自分が行くことによって、荒らされている」というジレンマにしばし混乱したようだ。
 呑気なタイ人気質であるから、ゴミを本土に運ぶコストよりも、島の裏側に蓄積することにしたのだろう。

 友人を一瞬だけブルーにした(彼女もけっこう呑気モノだったので「ま、しょーがないか」と忘れて、シュノーケリングで珊瑚礁を鑑賞し、背中が日焼けして、後の日程は発熱して寝込んだらしい。祟り?)「美しい南の島」の「ゴミ溜め」も、あの津波で一掃されちゃってるかもね。

 そんで、黒潮に乗って九十九里浜に打ち上げられればいいさ。

 たぶん、最近の海岸で打ち寄せられる「♪名も知らぬ 遠い島より」な漂流物は「椰子の実」じゃなくて、馴染みの無い文字のラベルが貼ってある、ペットボトルなのかもしれないなあ。

 さて、明日から年末年始のお休みであるが、なんかいきなり寒いらしいよ東京は。困るわねえ。(どうせ、暖かくても、何もしないのだが)
12月27日(月)

●今日こそは「負け犬なクリスマス」だ!(どっちにしろ「負け」は同じ)

 とエバりたいのだが、もはやクリスマスは終わり年末のようですし、うちの会社の玄関先にも今日、門松が納品されました。
 さて、どこが「負け猫」ではないかというと、先週の金曜日にお客さんが年末の挨拶に来て、クラシックのチケットを置いていったのだが、それがなんと27日のN響の第九。
 いつもだと、頂きモノのチケットなどは抽選になるのだが、日にちが迫っている場合は先着順になる。
 私も「どーしよー、行ってみたいけど、友達がつかまるかどうか」と言っていたが、掲示板に掲載しても反応が無いようなので「よっし、じゃあ友達に電話してみよう」と会社から電話をしたら、まんまとつかまって(24日夕方に部屋でゴロゴロしている友達がつかまる幸せよ)「N響の第九のチケットが手に入りそうなんだけど行く?」と聞いてみると「行く! 」と即答。

 そうこなくっちゃ。
 だってさあ、イマドキの若いもんは「第九」にあまりトキメかないみたいなんだもん。
 バブルの頃に20代前半を送った私らは、「N響の第九のチケット」が入手困難なレアものであることが心に染み付いており、それがタダで行けるとなれば、ただただ「ラッキー」と有難がるのである。

 それほどクラシックが好きというわけでもないが、第九くらいは曲がわかるし、それに友達がコーラスに参加したので観に行ったことも何回かあるが、名のあるオケで聴いたことがないので、とても楽しみにしていた。

 NHKホールに足を踏み入れるのも何年ぶりであろうか。前の職場で、N響の会員になっている人がいて、たまに一緒に行く人がいないと、連れていってくれたので、けっこう何回か行っているのだ。
 続々と会場に入って行く客の年齢層が高くて「ああ、こんなだったな」と思ったが、後からMちゃんも来て「さすが、マダームばっかり」と言っていた。

 席は前から10列目で、舞台と同じ高さよりやや上くらいで見やすかったし、舞台も近かった。
 演奏が始まる。
 第一楽章はそれほど好きではないのだが、派手で明るい第二楽章が好き。でも、N響のバイオリンは、明るい曲はそんなに派手に演奏してくれないようだ。と言っても、他と比較してどうのと言えるほど聴いているわけでもないのだが。
 その後、第九=合唱だと思っているシロート(初めて第九を聴きに行ったときの私)を眠り地獄に突き落とす、静かな第三楽章。

 あるとき、この第三楽章が「合唱前になぜ客を眠らせるのか?」という意味不明の罠ではなく、大変美しい部分であることに気がついたのだが、そのときには「ああ、あたしも大人になったもんだ」と感激したもんだ。サンマのワタが美味しいと気がついたときと同じ感動である。

 さすが、天下のN響である。繊細なバイオリンの旋律は、ただひたすら美しかった。

 どうも、ああいうアンプラグドな音楽に馴染んでないので(スピーカーからガンガン出力される「ライブ」ばっかり行ってたから)、クラシックを聴いていると、その音の小ささに最初は違和感を覚えるのだが、そのころになってやっと耳も慣れてきた。

●オーケストラを生で聴いていると、いつも気になること

 くどいようだが、自慢できるほど沢山生オケを聴いているわけでもないが、どうしてもいつも注目してしまうのが「リズム隊」である。
 オケの打楽器奏者はいつも暇そうに、じっと座っている。
 第九では、「中太鼓」というのか、たしかあれが「ティンパニ」と言うんだっけ、とにかくアレはけっこう活躍しているので、中央にいた。
 その右で、やはり暇そうな人たちは、トロンボーン舞台で、最終楽章では合唱隊と共に唄う場面が多かったが、その他はほとんど暇そうだった。

 問題は、その左側の3人である。
 ティンパンのすぐ横には、大太鼓があり、その横でつまんなそうにしている人が奏者なんだろう。しかし、そのさらに左側の二人は、楽器を下に置いているので、いったい何の奏者かわからない。

 第九の場合、後ろで大勢の合唱団もじっと座っているので、いつもより寂しくないかもしれないけど、でも、同じ楽団の仲間たちが、忙しそうに演奏している後ろで、40分もじーーーーーっと座っているだけ、というのも因果な商売である。

 あれで多分、それなりに芸大とか出ているわけだろうけど、芸大の打楽器科ってどんなところなんだろう?そういや、ヤスカズ(YASKAZ?)っていうのもいたな。

 そんなわけで、演奏に耳を傾けながら、暇そうな打楽器奏者をずっと観察していた。
 大太鼓奏者は、けっこう屈強そうな雰囲気の人だったが、その横の何を演奏するのかわからない人2名は、けっこうヤサヤサした風情に見えたが、遠目なので細かいところまではよくわからない。

 合唱の楽章が始まると、やっと大太鼓が小さく鳴らして(これから盛り上がるのよ〜って感じを小さくアピール)、やっと演奏に参加。
 そして、バリトンが独唱した後に、テノールの独唱が始まり、そこでやっと「謎の2名」に動きが!
 シンバルとトライアングルでした。

 シンバルの兄さんは、遠くから見ると「マネックスの松本大」みたいな雰囲気で、それが白い蝶ネクタイして、真面目な顔してシンバルをパシンパシンと小さく叩いているのですよ。眼鏡っ子好きには、たまらない絵柄である。
 そして、その横でも、けっこう端正な風情の兄さんが、真面目にトライアングルをチンチンしている。
 ふと気がつくと、大太鼓氏も小さく叩いている。

 なんかヤル気あんのかないのか、よくわからない絵柄でした。

 ふと思ったのだが、「トライアングル」「シンバル」「大太鼓」という組み合わせは、幼稚園でよく使われた楽器だったような・・・・
 幼稚園児は旋律を奏でるもを普通は演奏できなかったので、歌に合わせて打楽器演奏というのが主流だったと思う。

 それを蝶ネクタイした、有名音大卒のいい大人の男が、真面目な顔をして、小さく叩いているのである。なにしろテノール独唱の「盛り上げ役」であるので「それ、よいよい」と軽くお囃子をする役目なのだ。

 そして、テノール独唱が終わると、また皆、つまらなそうに宙を見つめていた。左側では、少し演奏ができたので、ややノって来たトロンボーン奏者が、合唱に合わせてクチパクしていた。

 「この人たちの出番はこれだけだったっけ?」と心配になったが、ああいう交響曲って最後の最後でドーンと盛り上げるので、そんときには絶対にシンバルがでしゃばるはずだ。そういう映画あったよな。シンバルの見せ場の「ジャーーーーン」というところで殺人計画があって、それを阻止するために・・・・・っていうの。

 あの松本大っぽいシンバル奏者も、じっとその見せ場を待って、集中力を途切れさせないようにしているのだろう。ってゆーか、それが出来ないと一流の打楽器奏者とは言えないのかもしれない。「あの人、演奏の才能はあるんだけど、待っているときの行動が不審で、演奏の邪魔になる」とか。

 テニスのウィンブルドン大会はよく雨で中断するが、その間に集中力を維持できるかが勝負の分かれ目になることも多い。(伊達も雨の中断に負けたことがあった)
 だから、打楽器奏者とは、試合開始後1時間ほどコートサイドでずっと座っていて、いきなり立ち上がってサービスエースを決めるようなことをやっているのかもしれない。

 などと、いろいろ考えつつ(ちゃんと演奏も聴いてましたってば)、いよいよクライマックスになったら、ようやくまた打楽器隊の出番。
 猿のオモチャのように華麗にシンバルを叩く松本大。無表情だ。
 そして、その横でもやはり、黙々と最後の演奏をこなすトライアングル。
 大人の男が持って、あれほどサマにならない楽器も珍しい。

 というわけで、ソリスト達の熱唱よりも、打楽器隊が気になってしまいました。

 演奏が終わったあとに、Mちゃんにそのことを話すと、彼女も「中央のティンパニの人が、暇なときに一番挙動不信だった」と同じようなところに注目していた。
 やはりその左側に陣取る「なかなか演奏しそうもない人たち」が、いつ演奏するのか気になっていたようです。

 というわけで、棚ボタで年末の第九を楽しんだ二人は、その後、インドカレーを食べて帰りましたとさ。

 あと、久々にNHKホールに入った感想としては「ここで、紅白とか観たら、きっと楽しいだろうなあ」
 Mちゃんも「たしかに、この席だったら、舞台が近くてすごいよね」
 「あのあたりで、小林幸子があの衣装で・・・・、そんで、あのあたりには、今年活躍した著名人が正装してズラリと・・・・」
 「うーん、あれって抽選なの?」(ちょっと当たってもいいかも、と思ったらしい)
 「そうだよ。一度も応募したことないけど」

 あそこで、和田アキ子が、マイク無しで熱唱したら、かなり感激するだろうなあ。

 誰か、紅白のチケットも持ってきてくれないかなあ。  
12月26日(日)

 昨日の続編。

 結局、青葉台にあるカフェに行ってみたのだが、営業はしていたが「内輪のクリスマスパーティー」をやるそうなので、食事メニューは4品のみだった。
 料理も「ホームパーティとしては最高レベル」であった。紙皿、紙コップだったし。

 がっかりするカミちゃんに「まあ、でも、友達んちに呼ばれたと思えばいいじゃん」と慰めの言葉をかける。

 それに、所詮は「カフェ」なので、私はそんなに料理に期待してなかったし。
 私は昔が業界勤めだったこともあり、口の肥えたオジサンたちによく食事に連れて行ってもらっていたので、友人たちよりは「普通に美味いもの」を食べているようであるが、それにしてもテクノ系の友人たちの「外食に求めるレベルの低さ」には時々驚く。

 前にも、ある友人に「美味しいエスニック料理屋を見つけたので皆で行こう」と誘われて、「ふーん、代官山集合か」と、やや「嫌な予感」はしたのだが、まさかそんなことはないだろう、私が知らないだけで代官山にも美味しいエスニックくらいあるだろうと思って行ってみたら・・・・・ほんとにモンスーン・カフェに連れていかれたのであった。
 「ここのタイ・カレーが美味しいんだよ」と友人はマジめに誉めており、そこで説教する気もなかったので、おサレな店で内心は「こんな田舎モノしか来ない店でよ〜」と思っていたけど黙ってました。

 その友人は「原宿で美味しいフレンチを食べた」と言ったこともあり、どうもそれは、あの辺にあるオープン・テラスのカフェ飯のことであることがわかり、本人が喜んでいるのだからそれに水を差すのもなんなので黙って聞いていたが、彼女が「そこそこちゃんとしたフレンチ」を食べたことがないのは明らかであった。

 カミちゃんも、そういう感じで、カフェ飯をなぜか有難がる。

 結局、最初に入った店ではおなかいっぱいにならなかったので、最初に話していた「代官山のカフェ」まで歩いてみた。「クリスマスの代官山」というものが、どうなっているのか不安だったのだが、交差点付近は相変わらず人通りも少ない。店内に入ると、奥のスペースでクリスマス会なのか結婚式の2次会なのかよくわからないグループが大騒ぎしていたし、他にも20人くらいの団体さんが入っていた。(クリスマス合コン?)

 カップルもいたけど、女同士でお茶してます風情の客も多い。そうだよな〜、いくらおシャレなカフェと言っても、所詮はファミレスに毛が生えた程度なので、クリスマスデートには向かないだろう。

 カミちゃんは前にそこで食べたカルパッチョが美味しかったのでまた食べたいということだったが、お魚系のカルパッチがなかったので店員に聞いてみると「厨房に聞いてみます」とのことで、「アイナメのなら出来ます」ということで、メニューにないけど作ってくれた。
 そんで、メニューにもあったホタテのカルパッチョもオーダー。「さっきの店でもホタテ入りのなんか食べなかった?」と言ったが、「でも、好きなんだよ、カルパッチョが・・・・洋風の刺身が好き」とのことで、テーブルにはデカい皿にちんまり盛られたカルパッチョが並んだ。

 たいして美味くもないが、ファミレスやチェーン店居酒屋だと思えば、まあまあの味である。
 「ちょっと食事でも」というときに入るのならわかるが、わざわざ電車に乗ってまで食べたい味でも、店の雰囲気でもないだろう。
 でも、まあ、「クリスマスに、女二人でわざわざ代官山」という自虐的な行為については、その負けっぷりに敬意を表さずにはいられない。

 酒も食事も2流だが、まあ主目的は「おしゃべり」であるので、久々にいろいろ喋ったよ。
 共通の友達についてとか(たぶん、現在かなり頭の調子がおかしいのだが、カミちゃんはそのことに気がついてなかったので、やんわりと警告)、あと、前も会った、最近彼女にまとわりついているJ君の話しとか・・・・
 「Jはすっかり、カミちゃんと付き合っている気になってるようだけど・・・・」
 と、話しを振ったら、
 「あれは多分ね・・・・」

 久々に「ゾっとする話」であった。Jは私が想像するよりも荒廃した性格らしい。つーか、たぶん、軽い人格障害なんじゃないかな?要するに彼は、カミちゃんに色目を使えば、彼女が喜ぶと思っているらしいのだ。なんで友人の私らにまで、「実はカミちゃんとボクはいい感じなんですよ。ひひひ」と言うのかよくわからないが、バカはバカなりになにやら計算があるようで、(どういう計算しているのか、さっぱりわからんが)それにしても、彼女はいつも、そーゆー荒廃した人を引き寄せることが多く、かなり心配。
 「Jはどうでもいいけど、もっといい男いないかな」とシラっと言うので、「Jを基準にしたら、世の中、あれより悪いのはめったにいないよ〜〜〜〜〜あんな最低なの、初めて見たよ、わたしゃ」

 その後、気分直しに「いい男談義」に突入。
 カミちゃんも「オダギリジョーいいよねえ」と言っていた。私は「ビョン様サイコー」をまくし立てるが、カミちゃんは「ヨン様のほうがいい」そうで、どうも「やっぱジェントルマンな方がいい」という意味がよくわからなかったが、彼女が注目するのは「清潔感」のようで、「一日に二回くらいお風呂に入ってそうなのが好き」という趣味もよくわからん。

 なので、彼女が「いい」と思う、オダギリジョーというのは「いい人」であり「きれいな人」であるのだが、私は彼にもっともっと汚れ役も美しくこなしてほしいと思っているので、別に素のときの役者が清潔感があろうがなかろうが、どうでもいいのである。画面の中から私を感動させてくれればいいわけで、その役者と「お付き合いしてみいわ〜ん」というのとは別の話しなのであるが、女友達と「いい男談義」をしていても、なかなか同じ立ち位置の人はいないんだよね。

 そんなわけで、10時くらいまでグラスワインを飲みながら、しっぽりとダベっていたのだが、「じゃあ、そろそろ出るか」ということになり、カミちゃんはやはり「カラオケとかする?」と言い出したが「韓国ドラマみたいから、また今度ね」と言って、代官山の交差点から、246まで歩いて(山の手通りのお店はどこも賑わってました)そこでカミちゃんはタクシーに乗り、私は酔い覚ましに家まで散歩。

 ちょうど「美しい日々」に間に合った。
 今日は、苦悩するビョン様は、静止して悩んでばかりで、動きが少なかった。でも、メラメラ怒っていると、顔の筋肉をひくひくと動かす「押さえた演技のつもりらしい」をやってくれるので、それなりに笑えた。
 でも、話しも中盤になって、また重大な山場を迎えたようである。チェ・ジウがビョン様に向かって「用が済んだら、出て行ってください」と凛として言うシーンなど、なかなかのものであった。
 「憎みあう異母兄弟が実は血の繋がりがなかった」という前半戦であったが(冬ソナの逆パターン。あっちはライバル二名が実は異母兄弟だったという展開で後半を繋いだ)、後半戦はきっと孤児であったチェ・ジウの出生の秘密が明かされるのかな?そうならないと後半が持たないもんな。

 兄弟で一人の女を争っているだけの話しなんだが、それが、兄弟の父親たちの過去の確執をなぞっているらしいので、昔の異母兄弟姉妹が入り乱れる大映ドラマ路線の王道を走っており、目が離せない。もっと、やれ〜〜〜〜と応援してしまう。
12月25日(土)

●負け猫たちのクリスマス

 すでに、イブの晩に会社のオジサンたち(と言っても、私より年上なのは、社長とO部長だけだが)と「蕎麦屋で名古屋コーチンをつつきながら焼酎ガブ飲み」の後、カラオケという「ステキなクリスマスイブ」を過ごしてしまったので、充分に「負け猫」であるが(「負け犬」だったら、どう過ごすのか知らないけど)、あまりにもクリスマスが「いつもの週末」なのも悲しいので、カミちゃんにメールしてみた。

 たしか、去年はどっかで「クリスマス会」をやっていたはずだが、去年は暦の関係で、サラリーマンは「クリスマスどこじゃねーよ」な状態だったので(26日が仕事納めだった)、パスしたのだが、今年、なんかそのような催し(誰かんちで飲み会?)があるなら誘ってもらおうとしたのである。

 しかし、彼女も「特に予定なし」だったようで「他にも声かけてみっかなあ」という返事が来たが、その後、「せっかくだからフレンチとか行きたいなあ」というメールが来た。さすが「負け猫女王」と私が勝手に尊敬している友人である。

 どうも、ゴージャスな食事がしてみたくなったらしく「料亭とかもいいなあ」という謎のことを言い出す。

 「料亭って?それは、おしゃれな和食屋って意味か?」と真意を問いただすと「この間、テレビで見た、鉄板焼きでステーキが美味しそうだった」との返事だが、なんで「高級鉄板焼き」が「料亭」に変換されたりするのだろうか?

 最終的には「前に行った、代官山あたりの、美味しかったカフェ」という、それもまたよくわからんセレクトなんだが、私はなんでもいいので、向こうの希望を尊重するしかない。
 彼女はどうやら「ガツンといい肉でも食いたい」と思っているようだが、私も近年は都心のそういう高級店情報に疎く、どこがいいのかさっぱりわからないし、なにせ給料日後のクリスマスであるから、有名店は混んでそうだし。

 それにしても代官山の中心地のカフェというのも、あまりクリスマスには近寄りたくないと思うのだが、あれこれ話し合った結果「外観が前衛すぎて、一見の客には入り難いので、業界人の溜まり場になっているらしい、青葉台付近の住宅街にポツネンとあるカフェ」にすることになった。
 「料理は美味しかったんだけど、とにかく入り難い店だったんだよ」とのこと。

 私はカフェ・ブームに興味がないので、そもそもカフェという名前がつくところで美味しいものが食べられるのか甚だ疑問ではあるが、向こうが「せめて、クリスマスらしくおシャレに」と思っていることもわかるので、まーいっか。付き合ってやろう。

 というわけで、気になるのは、またその後カラオケに拉致されてしまうかもしれないということだ。「美しき日々」や「ER」に間に合うように帰れるかしらん。
12月24日(金)

 この時期恒例となってしまった「なんだ、クリスマスだっていうのに、みんないるのか」という社長の呼び声で、飲みに行くことになった。
 でも、さっさと帰ってしまった人や、「まだ仕事終わんねー」な人ばかりで、社長はすぐにでも出発したそうなのに、私しか飲み要員がいないので、他のフロアに御用聞き(「クリスマスイブだけど、社長と飲みに行く人いませんかあ」)と行ったら、元総務部長であったO氏がいたのを発見し捕獲。
 「でも、まだ行く店決まってないんですよ」と行ったら「蕎麦屋がいい」というので、「でも、あそこ12月はいつも満席状態だったからなあ」と思いつつ電話してみたら、「大丈夫ですよ」

 小規模な忘年会会場として人気のある店だが、クリスマスはそういう客が来ないので、7時ごろに店に着くと、他には一組しか客がいなかった。でも、その後、続々と客が入ってきたんだけど、なぜか体育会系なオジサン(ヤクザっぽいとも言える)ばっかしだったのが謎である。

 社長としばらく二人で飲んでいたが、後からO部長とM部長もやってきて、M部長の部下であるY君も来た。みんな妻子もちなんだが、いいんだろうか?
 そんで、8時半くらいになったら、ボソリとK嬢もやってきた。やっと仕事が終わったらしい。

 そんで、O氏とM氏が揃うとカラオケに流れる決まりになっているので覚悟はしていたが、やはり社長も連れてカラオケ。1時頃、タクシーで帰宅。

 今年もステキなメリークリスマスでございました。
12月23日(木)

   出勤というか、他の社員はイベント会場に出払っていて、私は一人で電話番。
 夕方、T部長が戻ってきたので、二人で普段はあまり大っぴらに話せない仕事の話しをした。

 そんで、やはり来年からは私が給与事務をやらされることになりそう。

 その他、いろいろ重たい話をしたのでくたびれてしまい、家に帰ったら銭湯に行って熱いお湯に漬かってから、早寝した。
12月22日(水)

●ミッション・いんぽっしぶる

 だんだんと本格的に師走のドタバタに振り回されてますが、昨日は社長が急に「誰か東京の事務所に行かないか?」と言い出した。総務の隣にいる部署は、東京にも拠点を持っているので行き来する社員も多いのだ。
 しかし、その日はほとんど人がいなかった。

 何の用事かと言うと、うちが事務所を構えているビルにある関連会社の社長のサインが必要ということで、「できたら、今日中に欲しい」とか言い出す。
 あれこれ作戦を練ったあげく(なにしろ社長命令だから最優先任務)、昨日の午後、得意先に行く社員Aが、そこで社員Bと遭うので、そこで書類を受け渡し、社員Bが東京事務所に戻ってサインを貰い、今日の朝、東京に住んでいる社員Cが、こっちの事務所に出勤予定だったので「事務所に寄って書類をピックアップすべし」と言われて、午前11時には持ってきてくれた。

 見事な書類リレーであったが、担当したエージェントたちは「任務の全容」を把握していないので、持ってきた書類を「社長に渡すと聞いているけど、社長は?」と言うので、「あ、それはまだ続きがあるんです」と秘書嬢役の私が受け取ると、今度は、別の部署の社員Dに内線。

 すでに朝イチでDには「今日のミッションのこと、聞いてます?」と話してあったのだ。
 Dはあいにく昨日はお休みだったが、社長は彼の予定を確認していて「Dが、あそこに行くみたいだから、ついでに寄ってもらう」と任命していた。
 要するにD氏が夕方訪問する先の役員さんにサインを頂いてくるのである。
 ところが、D氏は本当はそこへの訪問はキャンセルして他の得意先に行くつもりだったのだが、なにしろ「最重要任務」なので、どうしようもない。

 「それで何時までに戻ってくればいいのかな?」と私に聞いてきたが、私はただ、書類の中継を頼まれただけなので、最終的にどうなればいいのかわかってない。
 なので、まだ親会社の席にいた社長に電話して、Dに替わってもらった。

 そしてまたD氏は溜息まじりに「行くのはいいんだけど、まだ相手と連絡とれてないらしいよ・・・」
 その役員は非常勤なのか、「毎日、そこにいるとは限らない」らしいのである。
 D氏はその役員氏とは面識があるけど、元々は親会社の先代の知人で、仕事でもいろいろ手伝っていただいている、という人のようだが、最近はそれほど頻繁にお付き合いがあるわけでもないので、社長も彼の連絡先を控えていないようなのである。
 D氏は彼の職場に電話してみたようだが「今日、来るのかどうかもよくわからない」と言う対応だったらしい。(企業じゃない組織なので、スケジュール管理がきちんとされていないようだ)

 その後、昼過ぎに社長がこっちにやってきて、「ははは、ちゃんと説明してなかったからな」と私に一枚の書類を渡した。

 それは、アメリカ西海岸にある某会社からのレターヘッドで「契約書をお送りしますので、サインをお願いします。こちらもクリスマス休暇に入ってしまうので、できればその前に動きたい」とのことが書いてあった。
 日付は12月10日であった。
 ということは遅くとも先週には届いていたようである。サインは社長を含めて4名分必要であり、どうも、一人目にサインを貰うのに一週間もかかってしまったらしい。

 というわけで、昨日になってやっと「これは急がないと、あと二名」と気がついて、ドタバタと手配しているようだ。サインを貰うメンツがわかっているのなら、もっと早くに言ってもらえれば・・・・・自分でやろうとするから、こーゆーことになるのよおおおお。

 しかし、その書類を見て、私の任務が増えたことに気がついた。「げええ、クリスマス前って言われても、もう今日は22日・・・・・」
 D氏にも「あんまし無理しなくてもいいと思います。どうせクリスマスには間に合わないと思うし・・・」と言ってあげたが、でも、くどいようだが社長の指令であるので、D氏は連絡がとれなくても一応、そこを訪ねたようだが「今日はいません」ということだったらしく「ミヤノさん、彼の自宅の電話番号知ってるっけ?自宅を訪ねてみようかと思うんだけど・・・・」(D氏は自宅の場所を知っているが、さすがに電話番号までは急にはわからないらしい)

 私も源泉徴収票は送ったことがあったが、さすがに電話番号は知らないので、そう言うと「そっか、じゃあ、とりあえず自宅に行ってみるけど、行けるのは夜になっちゃうし、それから会社に戻るとかなり遅くなってしまうと思う。だから、もしサインが貰えたら、ミヤノさんの机の上に置いておくよ」

 エージェントの皆様も大変である。

 さて、ときどき利用している国際宅配便業者に「今日は何時まで集荷を受け付けてますか?」と確認したら、6時くらいだと言うので、D氏が夕方までに戻ってくればギリギリねじ込もうと思ったのだが、今日中が無理だというと、その宅配便業者は明日の祝日には集荷していないので、今夜書類が揃っても無駄。
 「うーん、でも他の業者だったら、受け付けてるのかなあ?」と調べたり、都内の郵便局で限定的に扱っている「ポストに入れるだけの国際特急便」というのも見つけたが、それは都内でしか販売していないので、「そっか、明日はどうせ出勤だし、私が自宅のそばの本局でそれを買って、帰りに都内で投函すれば?」という名案もあったけど、よくよく考えてみれば、それが国内速達であっても「23日に発送したものが、23日に到着するのは不可能」である。

 私が急遽、クーリエとなってLA便に乗って、今日の夕方出れば23日中に届けられるのかどうか・・・・

 そして、ふと思ったのだが、24日ってのはアメリカでも普通は出勤なんでしたっけね?
 そんで、「クリスマス休暇」というのは、いつ明けるものなのだろうか?
 よーわからん。

 そういえば、先月もその会社関係で迷惑をかけられたことがあって、「感謝祭休暇前に給料を払わないといけないので、いつもより早く、24日までに送金お願いします」という請求書が私の手元に届いたのは、22日で、海外送金は「送信日の翌々営業日処理」なので、いつもだったらギリギリ間に合うが(でも、海外送金は国内振り込みと性質が全く違うので、うちの処理日に向こうにすぐ入金されるのかわからない。といつも、うちの会社の担当者たちに「期限のある支払は早めに持ってきてください」とガナっているのだ)、「祝日が挟まるので、どうしようもありません」と、その請求書をさっさと持ってこなかったT部長に言うと「どうにかならないかなあ?」

 そのときも、真面目な顔で「うーん、今から私が現金背負って飛行機に乗れば、ギリギリ間に合うかな?」と言ったけど(笑)、とにかく「アメリカは感謝祭らしいですが、日本だって勤労感謝の日なんですっ どうすることもできません」と言ったら「じゃあ、とにかく最速でお願い」で済んだ。

 でも、もうそれも来年早々になくなるらしいけど。その手続きのための書類のために、暮れも押し迫った今、ドタバタに巻き込まれているようだ。あー、めんどくさい会社は、最後までめんどくせーな、ほんとに。

 というわけで、なんか自分の仕事じゃないことで振り回されていたのだが(ほんとだったらK嬢の仕事になっていたと思うが、昨日はたまたま会議で不在だったのだ)、「自分の仕事」のほうでも重大な発見をしてしまい、しばし茫然とする。
 でも、なにがどうなっているのか確認しないと話が進まないので、親会社の経理担当者に「これって去年はどうしてたんですか?」って聞いてみたら、「え?なにそれ?」と全然話しが通じない。
 つーことは、元部長O氏が全部一人でやっていたのかな?と思って、電話してみたのだが「今日は一日中外出」ということなので「まあ、明後日でもいいか」(明日は私も出社だが、O氏もイベント会場仕事)と思ったのだが、予定を確認してみると明後日の金曜日も「終日外出」である。

 しょーがないからケータイに電話して「・・・・の件なんですけど」と聞いてみたら「え?なにそれ?」

 がーーーーーーーーん

 も、もひかして、ずっと処理してなかったの?
 そ、それは重大な「所得隠し」なのでは?

 しばらく机の上に突っ伏して「もー、なんで私がこんな目に」と、落ち込んでいたが、でも、そうしていても誰も助けてくれないし、またちゃんと把握する前にT部長に相談なんかしたら、あれこれかき回されるに決まっているので、結論出してから発表したいので、税理士事務所に電話して確認したら、「本当はこうすべき」と教えてくれた。

 どうすればいいのかわかったので、もう一度、親会社に確認したら「よくよく確認したら、前はやっていたみたい。私の前任者がやっていたんだろうね」とのこと。抜けていたのは、昨年度だけらしい。はあ、ちょびっとだけよかった。

 今日はT部長もずっと外出だったし、明日はやはりイベント会場なのだが、金曜日に「これを修正しないといけませんが」という報告をして、決裁をいただいてから処理すればなんとか間に合う。また、あれこれ言われそうだが、こっちも覚悟はできているのでなんとかなるだろう。

 親会社の担当者は、「話しが早い人」なので「たぶん、修正をお願いすると思います」と言ったら「大丈夫よ、すぐにやるから」と笑顔で言ってくれたので「年末の忙しいときに、ほんとにすいません」と平謝り。
 しかし、あれこれと相談してしまったことが、逆に「やっぱり、この業務、ミヤノさんがやったほうがいいんじゃない?」というムードを高めてしまったと思うので「ああ、ちゃんと給与業務をやったこともないのに、中途半端に甲欄、乙欄って用語を駆使できてしまう自分が憎い」と冬空を仰いだ。

 そんで、また自分の席に戻ると、後ろに座っている同僚Kが「ミヤノさん、これって読める?」と差し出した封筒には、「2の方」みたいな雑な文字で指示が書いてあったが、さっきまで「この人たちは乙だからいいんですけど、この甲の人が問題で・・・・」などとやっていたので、「オツのカタ?」と反射的に口から出た。

 K嬢は「ああ、オツ!そっか、乙か、乙の方を返信しろという意味か!」と、目からうろこが落ちていた様子。
 契約書の処理を頼まれたようだが、「捺印して片方を返信用封筒で送ってください」と殴り書きしてある下にポツネンと「2の方」と書いてあったので「ん?1と2があるのかな?・・・・・ないじゃん」と悩んでいたらしい。
 そして「2」ではなく「乙」だとわかってから見てみたら、ちゃんと「甲」「乙」とデカいハンコが押してあったとさ。

 字はもっと、しっかりと書きましょう。たしかに、パっと見「乙」には見えなかった。

 でも、「さっきまでの苦労は、悩めるK嬢を助けるためにあったのかもしれない」と思えたので、なんだか嬉しかった。

 日記さん、今日も私の愚痴を沢山吸い込んでくれてありがとう。ごめんね。巨大タンカー事故の後処理みたいなことになってて(ああ、日記さんがドス黒い油まみれになって、地球が泣いているわ)

 最後まで読んだ方は、ただの自己責任なので、自分で自分を誉めるなり責めるなりしてください。
12月21日(火)

●やっぱし、よくわからない

 くどいようですが、週末は「韓流ブームおばさんごっこ」をして現実逃避していたのだが、週が明ければ「いつもの平凡な日常」である。
 「平凡」でも、ささやかに楽しいことが多ければいいのだが、微かにムっとすることが多いのが悲しい。

 今朝のOさんと私の会話

O「ミヤノさん、ちょっと聞いてもいいですか?」
私「なんでしょう?」
O「いつも、お掃除の方に言われてから、トイレットペーパーを発注しているんですが、でも、もう残りが少ないようなんですよね?何も言われなくても発注しておいたほうがいいんでしょうか?」

 相手は私の「いいんじゃない?」という返事を期待しているだけなのはわかっているのであるが、そう言っても「でも、なんでいつも、発注するように言ってくれるのに、言ってくれないんでしょうか?忘れているだけなんでしょうかねえ?勝手にやってもいいんですよねえ?いったい、残りがどのくらいになったら発注すればいいんでしょうかねえ?」とまくしたてるのがわかっていたので、「いいんじゃない?」とは言わずに、

私「さあ、私、トイレットペーパーのことはわからないなあ?」

 と、また意地悪くトボけた。(実際、今までどうしていたのかも知らないし)
 「お掃除の人」というのは、掃除を委託している会社から来るパートのおばちゃんで、最近、人が替わったのでトイレットペーパーの残量に気が回らないのかもしれないが、だったら、朝の10時ごろにはそのパートさんと顔を合わせられるのだから、彼女に直接聞けばいいじゃん。

 それに、トイレットペーパーなんて、多少大目に頼んでしまっても、置く場所さえあれば、すぐに減るもんだと思う。全フロア分を総務のあるフロアでまとめて発注して、大きな箱ごと置いてあるのである。
 そんで、その箱を開けるのは、掃除の際にペーパーを補充している掃除の人であるので、彼女がいつも「次を発注してください」と言ってくれることになっているのだ。

 あれ?だったら、なんでOさんが、急にペーパーのことを言い出したのだろう?
 まさか、在庫が気になって覗いてみたとか(笑)

 たぶん、朝来たら、トイレのロールが少なかったので、自分で補充しようと思って箱を開けたら気がついたんだろうな。
 さて「さあ、わからない」と答えたのだが、

O「でも、ほんとに少ないんですよ。もしかしたら忘れているのかもしれません」
私「うーん、どうなんだろーなあ」
O「トイレットペーパーが無くなると困りますよね?」
私「まあ、そうだよね」
O「やはり、発注しておいたほうがいいでしょうか?」

 こうなると、捻くれモノの私としては「せめて、このシチュエーションを自分にできるかぎりエンジョイしよう」という気持ちが強くなり、

私「うーん、よくわからないなあ?そもそも、ペーパーの発注って、この部署でやってたの?」
O「そうなんです。掃除の人に言われると、私が発注していたのですが、でも、まだ何も言われてないんです」
私「そうなんだ〜。そういう仕組みになっているとは知らなかった〜。私にはよくわからないので、お任せしますね」

 さすがに彼女もあきらめたのか退散していった。
 よくわからないのは、「どうして、そういうことはMちゃんに聞かないんだろう?」ということだ。彼女は隣の席にいる優しくておっとりしたMちゃんには、かなり心を許していて、最近はよく一方的に無駄話を披露している。Mちゃんは社内でもトップレベルの聞き上手さんなので、Oさんもその魔力にとりつかれたようで、「友達の結婚式が続くとがっかりしますよね?」とか「私けっこう体が弱いんです」とか「前の職場では有給なんてつかったことないです」などの、お話しを延々とやっております。

 で、どうも私に対しては緊張しているようで、そんで私も冷たい態度をとっているので、なんとかしようと思ったのか、まるで、オジサン上司に接するような、かわゆい態度をとるようになったので、「ううう、それは私の最も苦手とするモノなのだが・・・・」と、その逆効果ぶりが気の毒なんですが、まあ、それは私も悪いのだろう。

 なので、Mちゃんが不在のときには、ほんとに「隣の席の親友が学校を休んでいるときの小学生」のようにショボンとしているのですけど、なにしろMちゃんは、午前中に出社することが稀なのです。
 だから、午前中に何か聞きたいと思っても、残念ながら私しかいないわけで、しょうがないから色々聞いてくるようなんですが、それにしてもトイレットペーパー云々というはMちゃんが出社してくる午後まで待ってもいいことでしょう。

 頼めば、翌日か翌々日には来るはずだ。
 それに、掃除のオバサンは各トイレの棚にもストックしてあるはずなので、箱が空になってから「次のお願いします」と言っていたのかもしれない。なぜなら、そのスペースには箱が一つしか置けないからである。
 どっちにしろ、もし紙が切れても、そんなに大騒ぎするようなことでもない。いくらでもその辺のドラッグストアで売っているからである。

 で、くどいようだが、もし本当に心配だったら、自分でその箱が空になるように、各フロアに補充してから、知らん顔して次を発注すればいい。その発注は彼女に任せているのだ。

 実は昨日も似たようなやりとりがあった。
 彼女が月曜日に出勤すると、机の上に郵便物が山盛りに置いてあり、それは土曜日に届いた郵便物であった。社内の郵便仕分けは彼女の業務である。
 でも、土曜日にMちゃんや私が出勤していると、仕分けしておくが、他の人だと放っておいたりするので(どうせ、土曜日に出勤する人は少ないので、郵便物がすぐに配布されてもいいのだ)、そのままになっていたらしい。

 その中に、間違って配達された親会社宛ての速達があったらしい。

O「この郵便物なんですが・・・」
私「ああ、これ、親会社のじゃない。後で(うちの会社の登記上の住所は親会社の住所なので、むこうにも沢山うち宛ての郵便物が届くので、毎日、昼過ぎにそれを受け取りに行く。そのときに、うちに届いた親会社宛ても持って行くのだ)持ってけば?」
O「でも、これ、速達で、土曜日に届いていたらしいんです。だから、すぐに届けたほうがいいでしょうかね?」

 「さあ?」としか言いようがない。
 私だったら、どうせあと2時間もしたら持っていくのだから、そのときでいいや、と勝手に判断してしまうところだが・・・・
 でも、よくよく差出人を確認してあげると、親会社出入りのメンテナンス業者の請求書であった。
 どうせ、土曜日に届いていたなら、親会社の経理でも急いで振り込んであげる約束になっていたとしても、なんともできないし、どうせファームバンキングで振り込みしているので、今届けても、午後一番で届けても、明日以降の振り込み処理になる。

 なので、ついうっかり「別に、後でもいいんじゃない?」と言ってしまったら、
O「でも、速達で土曜日に届いていたんですよ。急ぎのものじゃないですかねえ?」

 と不安そうなので、メンドクサくなったのできっぱりと「大丈夫です」と言ったら、不安そうに引き下がっていった。

 これも、些細なことであるが、彼女に少しでも考える頭があれば、「親会社に届いた速達が、ほんとに火急のものか、ミヤノさんは判断できない」ということがわかりそうなもんである。
 最初から「親会社宛てに、急ぎの郵便物が届いたので、ちょっと届けてきます」と言ってもらえれば、「あ、そう。いってらっしゃい」で終わりである。
 もしくは、本当に心配だったら、親会社の経理に電話して確認してあげればいい。もしくは、親会社の経理にそれを届けに行ったときに「速達が届いたら、その都度持ってきたほうがいいですか?」って聞けばいいじゃん。(たぶん、向こうも「別に急ぎでもない速達も多いから、もし心配してくれるのなら、その都度確認してね」としか言いようがないだろう)

 さて、昨日は上司のT部長もわけわからんことを言ったので、ついでなので愚痴っておこう。
 先日、某銀行の担当者というか、本当の担当は別にいるが、そいつのパシリ的存在の若手が「O部長さんに」と書類を持って来たので「ああ、すいません、Oは他部署に異動になったので、今度からその書類は私宛てにしてください」と言って、「ご挨拶もまだで申し訳ありませんが、新しい部長はTといいます。あいにく不在ですが、今度、いるときにはご挨拶しますね」と言っておいた。(どーせ、前から私が処理していた書類だったので、直接届いたほうがいい)

 そしたら、昨日たまたま、担当者が親会社に来ていて、向こうの経理のニーサンが電話してきて「そっちのハンコが欲しいっていうから、行くけど、もしTさんがいたら、ぜひご挨拶したいっていうのでヨロシク」

 T部長が在席していたので、「某銀行の担当者がご挨拶したいそうです」と言うと「え?でも、ボクが銀行と話しする機会ってあまりないんでしょ?」と言うが(たしかに融資がどうのというのは親会社のほうで仕切っている)、「でも、いろいろ用事もありますし、それに、先方もこっちの部長が替わったのを知らないというのもなんだし」と言って、ご挨拶させた。

 私には理解不能だが、O部長はそういう「基本的な引継ぎ」を全くしないで、遠方の他部署に旅立ったので、銀行はもちろん、税理士事務所も異動を知らなかったので「いくら、急な異動だと言っても、お付き合いの深いところには、電話でもいいからお知らせしてほしかった」と思いつつ、O部長宛ての電話や来客などに「急な異動で・・・・」と説明しているのも余計な仕事である。

 その不満をT部長にちょっと言ってみた。
 だって、普通は異動になったら、そのくらいの挨拶は常識でしょ?
 なんか疚しい異動だったら話しは別だけどさあ。

 そしたら、T部長の言うことがよくわからなかった。

T「まあ、普通だったら、ちゃんとお付き合いのあることろには、せめて葉書で知らせるよね」

 私はそんな「異動のお知らせ」を見たことがないので、素直に「郵便だと大ゲサでしょうけど、せめて電話でお知らせしておいて、先方が来社されたときにご挨拶すればいいだけでは?」と言ったら、

T「いや、まあ普通は葉書じゃないかもしれないけど、会社でも決裁権・・・・お金のって意味で、を持つ人が替わったら、文書で知らせるのが正式でしょ。まあ文書じゃなくてもいいけど、社員が電話で伝えるとか・・・・」

 ええと、そりゃ、大企業とかだったらそういうこともあるのでしょうか?
 確かに銀行でも支店長が替わったときには「就任のご挨拶」なんて封書が届いたりしたような気もするが、それも最近はあんまし見ないぞ?
 だいたい、銀行の支店長だって、転任するときにはドタバタと挨拶に来るぞお?

 住所が変更になったとか、請求書のあて先部署が変わったとか、振込先が変わったという「お知らせ」はよく来るけど、「総務部長」とか「経理部長」が替わりましたなんて挨拶状は見たことがない。

 と、私は「はあ?」と不思議そうな顔をしたのだが、T部長もさすがに「自分の新任挨拶という意味」でもなかったらしく、「いや、べつにボクはそういう決裁権を持っているわけではないけどね」といい足した。その後さらに「正式には、やはり文書でお知らせが常識だ」という話しが延々と続き、しょーがないからかしこまって「はい、はい」と拝聴してさしあげました。

 ほんとに、よくわからないんだけど、私はただ「あんたらが、ちゃんと引継ぎしてくれないから、私がオロオロしてしまうじゃない」と愚痴っただけなんだが、その意味が伝わってなかったらしい。「正式には文書でやるべき」って説明されても困るんすけど。
 それに、はっきりは言わなかったけど、そういう場合には部下たちが「このたび、部長が替わりまして」と得意先に挨拶電話を入れるのが正しい、というようなことを言ったのでガッカり。

 そんな大した会社でもないので、だから顧問契約を結んでいる先生たち数人と、メインバンクが2行(銀行って、こう数えるのか?)の担当者だけにでも、O部長が電話一本入れておいてくれればよかったはずだ。
 出入り業者だったら、こっちも気心が知れているし、出入り業者だと、O部長の転属先にも出入りしているので、向こうで「急にこっちの部長になったんですか?」なんて笑われているのであろう。

 そうじゃない人たちは、もし私なら、O氏がなんの挨拶もなく別部署に行ってしまい、いつのまにか新部長がいることを「少し寂しい」と思うだろう。「そうなんですか、今までお世話になりました。新しい部署でのご活躍をお祈りしています」くらい言いたかっただろう。

 それは、私の勝手な常識であって、どこでも通用するものでもないらしい。

 でも、あたしはいつだって自分が絶対に正しいと信じているのですけどね(笑)

 確かに、昔の職場を辞めるときには、けっこう「やましい」というかコソコソと足抜けしたので、あまり宣伝しませんでしたが、でも、お世話になった銀行の担当者にはちゃんと挨拶しましたよ。あと、来社した取引先の人にも「実は、今月一杯で・・・」とこっそり伝えた。「え?もしかして?」(寿退社?)「いえ、ちょっとインドを放浪したくなりまして、わはは」
 みんな言わずともわかっていたはずのだが(そこの社長が急死したので、どの取引先もその会社の今後を心配していた)、でも、「インド放浪」はパンチの効いた「退職理由」だったので、みんな笑って「そっか、ミヤノさんらしいですね。お元気で」と言ってくれた。

 そんなわけで、別にどうしてもインドに行きたいわけでもなかったが、やはり退職を決めていた上司が、「あなたたちの退職金を払ってから辞めるつもりだけど、どうする?別に続ける気なら任せるわよ」と言ってくれたので「うーん、それなら私もこんなに長く働くつもりもなかったし、本音を言えば、今まで働いていたのは、Tさん(その上司)のためだったし、Tさんが辞めるなら私がここで働く理由がない。いいチャンスだからインドにでも行きたいし」と、うっかり言ったら、上司が私の退職の公式理由としてそれを発表しちゃったので、私としては「インドにでも」というのは、「ちょっと長い海外旅行でもしてみたいな」という程度の意味だったのだけど、結果的に「これは、マジにインドに行かないと済まないな」ということになり、本当に3ヶ月弱滞在してきたのであった。

 「旅立つ理由」なんて、そんなもんだろう。

 ちなみに話しが長くなってしまうが、あの頃の上司にはとても感謝している。
 とても、頭のいい女性で、「限られた時間の中で、どこに手を抜き、どこでパシっと決めるか」ということを教わった。
 元々、他の部署でパシリのバイトをしていた私を「事務仕事に向いてそうだから」と経理に引っ張ったのは彼女だった。
 私にはとてもラッキーなことに、私の前任者は、かなり事務職に向かないタイプで、「言われたことしか出来ないけど、とても気立てのいい子」であったので、上司はずっと我慢していたのだが、会社がだんだん発展してきて「このままじゃ、回らない」と考えて、前任者を社長秘書もどきにして、私を経理にしたのである。

 そしたら「今までの苦労はなんだったんだ?」ということになり、私にしてみれば慣れない仕事を必死でやっていただけだったのだが、今まではミスの連続で上司も先輩もフォローに回ることが多かったのに、それが無くなっただけでも業務がラクになったのだが、私があれこれ工夫して、ファイリングもちゃんとできたし(3ヶ月後には、後日どういう問い合わせが来るか予測できたのでファイリングも工夫することができた)おかげで「兼業主婦」だった上司は、仕事に追われることもなくなり、「あなたのおかげで、プールに通えるようにもなった」と大喜びで、ついでに私の給料も極力上げてくれた。

 おかげ様で私は「私って、なんか優秀なのか?」と勘違いして、いい気になって仕事していたのであった。
 それに彼女は、いろいろ重要なポイントは丁寧に教えてくれたのだ。それはどれも、たいへん説得力のあるものだったので、私もいろいろ「世間の常識」を学ぶことができた。
 私はその頃教えてもらった「常識」で、その後の職場を切り抜けてきたし、今でもそれを基礎に仕事していて、それで、そこそこ認めてもらっていると思っているので、ほんとに感謝しているのですよ。

 なので、自分の後輩にも、そういうのを伝授したいんだけど、みんな、なかなかわかってくれないのね。
 あの上司が教えてくれたのは「これはこうすべき」ということよりも「なぜ、そうすべきなのか」ってことだったので、そういうポイントを押さえておけば、あちこちに応用が効くのだが、自分が「先輩」になって思うのは、私が「なぜ、そうすべきか」を説いても、あまり興味を持って聞いてもらえないことだ。

 なんか書きくたびれてきたので、今日はこの辺で。

 しっかし、ほんとに平日は仕事の愚痴ばっかりなのが悲しいけど、他人の悪口書きながら「でも、私の言い方も悪かったな」と一日の反省もしているので、自分なりに「職場でもっとスムーズに仕事できるように」っていう改善策を模索しちょるつもりなのですよ。

12月20日(月)

 朝出勤したが、なんだか体調が悪く(アレでした)ボーーーっとしていたのだが、他の人もほぼ全員ボーーーっと無口だったので安心してボーーーーっとできた。
 しかし、眠いのはいつものことだが、なんか朝から胃がムカムカしていたので、「こ、これは、週末に好きな俳優の作品を観まくったため『目で想像妊娠』ってやつか?」と思ったが、でも、たぶん昨晩、また焼酎のお湯割を飲みすぎただけでしょう。

 というわけで、今年も残すところあと10日間くらいだと言うのに、相変わらずの太平楽なのでありますが、外見は私よりもボーーーーっとしているのに、そこらのトレンディ・ドラマには負けないくらいの波乱万丈な日々を送っているらしい後輩クララ嬢は、土曜日に出勤した際にメールで伝言を残していて「月曜日から三日間休みます」

 うーん、先に予告しているということは、祖母さんが亡くなったわけじゃなさそうだし、お母さんが倒れたとか?と心配になったが、11時ごろ給湯室でコーヒーを汲んでいたら、ハイジが出勤してきてやはりコーヒーを汲んでいたので、「クララ、お休みだね」と言ったら「ああ、なんかいろいろ大変そうっすよね。」

 私は10時に出勤して、6時半には帰ってしまうのだが、最近出勤の遅いクララとハイジは(うちの会社はフレックスなのである)二人でポツネンと残ることもあるだろうから、ハイジは私よりも情報を得ているのであろう。
 私も、気になるのであれこれ詮索したいけど、でも、他人のプライベートな話しでもあるし、なかなかちゃんと聞けないのだが、でも、仕事のスケジュールのこともあるので、もう少し情報は欲しい。

 1月の結婚式は中止になったが、それが「延期」なのかどうかもよくわからないのである。

 というわけで、ハイジに「うーん、どしたんだろうね?またなんかあったんだろうか?」と言ったら、「なんか、まだまだゴタゴタしてるみたいで、ほら、ええと『保育費』のこととか・・・・」

 は?「保育費」ってなんじゃ?「養育費」のこと?
 と思ったら、ハイジも間違いに気がついたらしく「あ、違った、保育費じゃなくて、ええと、慰謝料だ」

 保育費と慰謝料を言い間違えるかフツー?と大爆笑しそうになったが、話は「笑える」ものではないので、「ああ、そっか、そんなにこじれてるんだ」と哀しい顔をして答えたのだが、ハイジもそれ以上は教えてくれなかった。

 うーん、それだけで判断できるような情報でもないし、ハイジは頭のいい人だけど、そういうゴシップ的なことに勘を働かせる能力のある人でもないと思うので(まあ、そのあたりは普通の男の子)、どこまで信用していいのかわからないが、でもクララがもしハイジに「慰謝料とかも・・・」とコボしたのであれば、いわゆる婚約不履行とやらでモメてるってことなんだろうなあ。
 たしかに、私が勝手に公式理由にしている「お祖母さんの具合が良くないので、式を延期した」ということだったら、堂々とそう発表するはずなので、そうしないということは事態はかなり深刻なんだろう。

 それに、すでに結婚式の招待状も撒いちゃった後だったので、双方の家族がどう出るのか考えるだに恐ろしい。
 そーいや、私の友達でも、招待状配布後にキャンセルした子がいたなあ。

 身近な人が、いろいろ大変だというのに、なにも手助けできないというのも歯がゆいもんだ。
 彼女の友達だったら、あれこれ話しを聞いたり、役に立たなくてもアドバイスしてあげられたんだろうけど、なんせ上司だからねえ、わたしゃ。

 昨年はハイジのお父様が亡くなって(癌で長患いしていた)、ハイジもちょくちょく実家に帰省していたのだが、そういう場合もどうすればいいのかわからなかったが、ともかく「急に休みをとる」ってことになっても「わかった、ゆっくり帰ってきてね。一泊や二泊じゃあ、往復の飛行機代がもったいないじゃん」と言うのが精一杯だった。

 ハイジはすでに若いころにお母様を失っていて、父親は再婚していたようで、まだ20代だというのに両親ともにいなくなるというは、両親どころか、祖母が二人も健在な自分には想像もできないことである。
 そのときの上司O氏も、20代で父親を失っており、頻繁に実家に戻るハイジの姿を自分と重ねていたようだったが、ハイジがそのことを知っていたのかは、よくわからない。

 自分ではそれなりに「苦労した」とは思ってますが、こうして他と比べてみると、平穏な人生を歩んできたなあ。
 たいした幸運にも恵まれてはいないが、大きな不幸というか、「人生大ピンチ」になったこともないようだ。
 失業中には、それなりにお金でブルーになったが、あれも生来の「貯蓄体質」が功を奏して、借金するほどのことにもならず、ただせっせと溜め込んだ定期預金を崩していくことがとにかく嫌だっただけだ。

 話しは飛びますが、昨年から外貨預金を作って、外貨オプション契約で月々定額をドルにしているのですが、ドルが余ってしょうがないので、アメリカ出張のときの仮払をドル現金で用意している。
 出張する人も清算がラクなので好評なのだが、その外貨管理を今月からやっとハイジに引き継いだ。

 来週からまた出張する人がいたので、今日はハイジがその仮払ドル現金の準備をしていた。
 自分でやっていたときにも、ドル札を数えたりしている自分の姿は「人生ゲームだ!」だったんですが、ハイジが緊張した面持ちで(ドル札は慣れないので数えにくい)お札を並べる姿を傍で見てると「ほんとに、遊んでるよーにしか見えないよ」と感激。
 しかも、ハイジは20代後半の憂いを帯びた美青年で、最近、視力が低下したらしく、ウーヤーターな眼鏡をかけていたりするわけで、その彼が背中を丸めて100ドル札を真剣に数える姿にちょっと萌えってかんじ(笑)
 地味な仕事をこなしているクラーク・ケントみたいだったもん。

 しかし、横で「人生ゲームで遊んでいるよーにしか見えん」と呟いても、奴は私の戯言なんで完全無視だったのであるが、ちょうど近くにいた、そのドル仮払いを受け取る人が、私のブツブツを聴きつけてくれて「ほんとーだ、楽しそう」とウケてくれたので助かりました。
 はあ、なんだかあたしがせっかく「きゃあ、かわゆい」と喜んでいたのに、向こうには「からかってチャチャをいれてる以下」にしか思えなかったのだろうなあ。悲しいことでございます。

 さらに、私の「相手にちゃんと伝わらない誉め言葉」をウケてくれたN嬢が、そのあと、打ち合わせの資料を持ってプリンターの前をドタバタと疾走している姿を観て「なんだか、ぬいぐるみが突進してきたみたいでラブリー」という誉め言葉を献上したつもりだったのですが(M嬢は小柄でぽっちゃりしているし、顔もリス系ですっごくかわゆいの)あれも、ちゃんと誉めてると理解してもらえたのかなあ。

 しかし、私の小さな悩みって、ほんとに、ちいせーよな。

 つーわけで、「どーせ、人間がちーせーよ」と諦めて、家に帰るとまた自分的には大問題が・・・・・
 部屋が荒れ放題。

 週末に韓流スターに心を奪われていたので、洗濯モノが山積みだし、綿ボコリだらけだし、布団はグチャグチャだし、ゴミは床に撒き散らしてあるし・・・・・

 「いけない。こんなことでは、急にイ・ビョンホンを連れて帰れるチャンスが来ても、困るじゃあないの!」

 という宝くじに当たるよりも低そうな事態に備えて、渋々、片付けたのですが、なにしろ「宝くじに当たるよりも、さらに遠くにあるピンチな事態」でありましたので、洗濯物を片付けて、空いた場所に掃除機をかけて、少し床が広くなったところで、また「ま、いっか」な自分に戻ってしまいました。

 でも「宝くじが当たったら、どうしよう」とか(ちゃんと買いましたよ年末ジャンボ。今年も1万円が当たったら、どーしよー)、「ビョン様がうちに来たら、どうしよう」(そっちは、何に投資すれば確率が上がるかわかりません)とか、その程度のことで悩んでいる自分が「クリスマス直前なのに、そんなことでいいのか?」なのか、「まあ、けっこういい人生だな」なのか、今の段階ではよくわかりませんので、死に際になったら自ら判定を下してみたいと思います。

 うーん、ここんとこ、時々妙に鬱になるときもあるのだが、相変わらず大丈夫なときには、ほんとに大丈夫だなあ。
 多少揺らしてもビクともしない。

 揺れるといえば、先日も「首都圏直下型大地震」の最悪のシナリオが発表されてましたが、私の目の黒いうちに起こるのかなあ、関東大震災。
 怖いと言えば怖いのであるが、なんとなく、どうなるのかこの目で見てみたいという好奇心もあります。
 見慣れた光景が、どんな無残な姿になるのか観てみたい。

 自分が真っ先に瓦礫に埋もれて火災でやられちゃう可能性も高いが(なにせ、超レッドゾーンの世田谷区)、でも、もし運良く生き残ったら、今だったらけっこう楽しめると思うので、自分が80歳のときに起こるんだったら、今のほうがいいのになあ。
12月19日(日)

 昨日の予告通りに「クリスマス直前 特別企画 イ・ビョンホン大研究」に今日も勤しみました。

 まあ、たまたま三茶の映画館で「韓国映画二本立て」をやってただけなんすけど。(昨日よりさらにお手軽)
 しかし、今日のは思いっきり外しました。
 韓国もつまらん映画を沢山作ってるんですね、やっぱし。という当たり前のことを確認できました。

●「純愛中毒」

 邦題と内容が合ってないような気がするのですが、原題はどうなってんだろ?
 この邦題だと、なんとなくラブコメ風なんですが、ドシリアスだったんですよ〜〜〜〜〜

 話しは「こういうのって他にも沢山あったような?」っていう「入れ替わりモノ」なんですが、たしか、広末涼子が「死んだ妻の生まれ変わりだった」なんて設定の映画もあったような・・・・

 仲のいい兄弟が、別の場所で同時に交通事故に遭うのですが、昏睡状態から目が覚めた弟(がビョン様)は、中身が兄になっていたので、戸惑う兄嫁・・・・というお話しなのはわかっていたのですが、始めのタイトルバックで、「仲のいい兄弟」「兄が結婚」というのを写真で手早く説明したので「お、これはサクサク話しが進みそうだ」と期待したのですが(私はヒッチコック・ファンなので、ああいう出だしの数秒で「ここに至るまで」をサクサクと説明しちゃう技を披露されると、勝手に期待してしまうのです)その後、兄と兄嫁と弟の生活が延々と描写されたので、眠くなってしまいました。

 しかも、イ・ビョンホンの弟役は、けっこう「あっかるい」やんちゃな青年で、「これでは、ますます新庄チックだ」とがっかり。そうなると、顔の欠点も目だってくるので、「なんで、あたしゃ、こんな目が三角だし背も高くないし、たいしてスタイルもよくない男に夢中になっているのかひら」と反省モードに入ってしまった。

 そんで、ずいぶん我慢した後に、やっと交通事故が起こり、目を覚ましたイ・ビョンホンはすっかりシリアスな苦悩に満ちた顔になり、自分の妻の顔をウルウルと見つめたので「はあ、やっとこの顔が観れてよかった」と胸を撫で下ろす。

 それなりにドンデン返しもあったのですが、なにしろテンポが悪いし、それに「弟の体だが中身は兄」っていうあたりは、もうちょっとコメディータッチでやってもよかったんじゃないかなあ?

 でも収穫は、兄嫁役が、ときどきヒロスエくりそつになるというか、「10年後のヒロスエは、順当に行っていればこんな女優になれたんじゃないかなあ?」と思わせるような女優さんでした。それで、けっこう濡れ場も多いので、なんだか一瞬得した気分にはなれた。

 あと、やっとわかったのは、今朝の「笑っていいとも増刊号」でも登場していた、「天国の階段」の、えーと、グォンなんちゃらも、最初、ワイドショーで観たときには「なんだ、ブサイクじゃん」と思ったのですが、ちゃんと観てみると、ときどき「いい顔」になる。
 イ・ビョンホンも、同じように基本的には好きな顔ではないのだが、ときどき「あっ」って表情をするので、ハマるのだ。

 その昔、Mちゃんが「なんか、金城武にハマった」と悔しそうに言っていて、私はもっと先にハマっていたので、「カネシロ君、いいよねえ」なんて話していたのだが、Mちゃんの分析によると、金城君も「ほとんどの顔はどうでもいい」のだが、ときどき「あっ」という顔をするので「あれで、なんかアドレナリンが噴出するんだよ」
 キムタクなんかが例に挙がったが、日本の美男俳優は、「いつ見ても同じ顔」である場合が多く、「ハンサムだとは思うけど、グっと来ないんだよね」と、言われると確かにそうなのかも。

 イ・ビョンホンは表情はとてもいいのだが、動きがあまり美しくないのが欠点かなあ。体のパーツが(腕とか手とか足とか肩とか)あまり美しい人ではないのが残念だけど、「美しき日々」では、クサい御曹司役なので、かなり意識的に演出されており、実力よりも動きがキレいというか「クサい」ので、いいのかもしれないなあ。

 あと、映画の不満としては「長すぎ」
 2時間くらいあったのだが、あの内容だったら、1時間半で十分。なので、ビデオで観て早送りしながら、ベッドシーンだけゆっくり鑑賞するくらいでよかったでしょう。

●「気まぐれな唇

 最初の15分で耐えられなくて席を立とうと思ってしまったが、昨日観た「誰にでも秘密がある」で長女役を演じていたチュ・サンミが出てくるまで頑張っていたのだが、出てきたのが後半だったので、結局我慢して最後まで観た。

 「秀作」であることは否定しないんだけど、30歳過ぎてからはこういう「秀作」が苦手になっちゃってね。
 「ユリイカ」で青山真治がやったような「映画のお約束に反抗期」というか、普通の映画では、セリフっていうのは概ね流暢に展開するが、「現実はそうじゃないだろう」ということで、途切れ途切れの会話とか、変な間とか、カメラの前を横切る通行人などで、観客をじわりと不愉快にするのである。

 たぶん、「ストレンジャー・ザン・パラダイス」の悪影響を受けた映画なんだろう。淡々としている日常を描いているようで、けっこう非現実的というのか・・・・
 20代前半に観た「ストレンジャー・ザン・パラダイス」は、とても面白いと思ったけど、今観るとこんな感じになるのかなあ。

 それにしても、貧乏くさい映画で、「ああ、日本映画でもこういう貧乏が売りなのが多いよなあ」と思った。(ほとんど観てないんだけど)
 観光地の湖に行くと、スワンボートが浮かんでいるんだけど、そういうのはわざわざ映画館で観なくても、現実で死ぬほど体験しているので「もー、いーよ」と思ってしまう私の心が狭いのだろうか?
 でも、そう考えると、「ストレンジャー・・・・」で、やはり観光地の湖に出向き、吹雪が吹き荒れる湖で「これが、エリー湖よ」とやったジム・ジャームッシュは天才だったのかもしれない。

 こっちの映画も救いは女優陣で、かなり荒っぽいベッドシーンで頑張ってました。
 主人公が最初に出会うダンサーの女の子は、すっぴんの菊川怜みたいでした。
 私のイチオシである(昨日から急に)、チュ・サンミも脱ぎっぷりがよくてよろしかった。

 韓国美人女優にはハズレが少ないようだ。

 いえ、別に女優の脱ぎ度とか、濡れ場の濃厚さを目的にしていたわけではないのですが、どっちも「ああ、つまんねーな」と思いながら観ていたので、「せめて裸で元をとろう」という気持ちになっただけでございます。
 ガランとした客席も男性一人客の方が多かったくらいでしたので(あそこの映画館はいつもそうなのだが)、皆さん、映画の内容よりも「R指定」に興味があったのでは?(その昔、デュラス原作の「ラマン−情人」を観に行ったときに、客がオジサンばっかだったのでビビったけど、あれは絶対にスポーツ新聞などで煽ったに違いない。「フランス文学」=「フランス書院」って雰囲気だったんだもん)

12月18日(土)

 ふと気がつけば、来週はクリスマスではないですか。

 街はきっとキラめいていて、(私が普段通る街はあまりクリスマス・ムードがないざんすけど。都心を通らないからね)恋人たちはトキめいているのだろう。

 負け惜しみではなく、年々、クリスマスに対する興味が薄くなっているので、どうでもいいのだが(クリスマスだけでなく、バレンタインも誕生日も年末年始もお彼岸にも興味がなくなってきた。道教っぽいものを目指しているのかもしれない)、でも、やっぱしこの時期に「ぼーーーーーーっ」としているのも切ないような気がしなくもないし、ここはいっちょ「ときめき」でも注入しにいくべかな。
 (お手軽人間なので、その気になれば「ときめき」も小金で手に入れることができるのでした)

 というわけで、天気も良いし、いっちょ映画でも観に行くことにした。
 最近、なぜかはまっている「美しき日々」のイ・ビョンホンであるが、あのドラマだけで評価するのもなんだから、他の作品でも研究してみようと思ったので、「誰にでも秘密がある」とゆーのを観てみようと思っていたのだが、やっと「その気」になったというのに、六本木ヒルズではもう上映が終わっていた。
 他は、日比谷か新宿武蔵野館か・・・・・

 お散歩も兼ねていたので、新宿にすることにした。
 代々木上原まで歩いてから、小田急線で新宿に着いたのが4時半くらい。映画は4時50分からなので、余裕だと思ったのだが・・・・・・

 すいません、韓流ブームをナメてました。
 てゆーか、武蔵野館が狭いからなんだけど、整理券はすでに「立ち見」と告知されてた。
 いくらなんでも、立ち見までして観たいと思わないので、「ま、いっか、久々に伊勢丹でも冷やかすか」と、次回の7時からの回の整理券を貰って(すでに35番)、伊勢丹方向に歩き出した。

 クリスマス前だから、いつもより雑踏も激しくて、「あー、やだやだ」と思いながらトボトボ歩いていたら、「献血おねがいしまーす」という呼び込みが!
 2時間暇を潰すのには丁度いいぞ!

 昔はよく献血したもんだが、最近は全然やってなかったので、献血手帳も持ってなかったが、向こうが調べてくれたら最後にやったのが「平成10年」であった。6年ぶりかあ。
 しかし、献血のときには「血管がよく出る右腕」は献血用に残しておかないといけないので、検査用の採血は左でやらないといけない。この間の健康診断のときに、うっかりと左腕から採血されたが、ちっとも血が噴出さなかったので、看護師が「すいません」と謝りながら、右腕に変更されたということもあり、「左は採血する人泣かせなんですよ」と言ったのだが、やはり苦戦。

 結局、最初に刺したところからの勢いが2本目で枯れてしまったので、あと1本(サンプルを3つ採る)は、別にもう一箇所刺されることになってしまい、看護師さんも「すいません、ごめんなさい」と恐縮していた。
 昔、よく献血したときには、そんなに苦労しなかったのになあ。

 検査も無事済んで、いよいよ献血。また成分献血だったので「わーい、あの機械好き〜」と喜んだ。
 血漿だけ採るらしいのだが、遠心分離機みたいのがクルクル回って、黄色い液体が溜まるのが観ていて面白い。
 そんで、途中で血漿を分離した残りの血液を体に戻してくれるのである。
 なんか働きものの、賢い機械なので可愛いし、自分の体の中から出たものが、機械の中をあちこち通り抜けている様子も興味深いのだ。

 6時くらいには採血も終了し、30分くらい無料の飲み物を頂きながら本を読んで休憩していた。
 やはり、献血は最良の暇つぶしである。

 あと、いつも感心するのだが、「イマドキの若者は」と嘆く人は一度、渋谷や新宿の献血ルームに行ってみるといいだろう。茶髪の若者たちが大勢いるので驚きますよ。
 たしかに、献血ルームはどこも、飲み物飲み放題だし、お菓子も出るし、ビデオや雑誌も置いてあるので、「買い物で疲れたし、ちょっと休憩してくか」というのには穴場的存在である。カップルで来ている若い子もけっこう多い。
 でも、腕に針を刺されるのが絶対に嫌だ、怖い、という人も多いだろうけど、あんだけの若い人が平然と採血されている光景を見ると「日本もまだまだ捨てたものではない」とホっとすることでしょう。

●「誰にでも秘密がある」

 もしかしたら、韓国映画を観るのは初めてかもしれない。
 おすぎが勧めるような韓国映画は、いかにもクドそうなので敬遠していたが、これはラブコメらしいし、わりと評判いいので、上り調子の韓国映画界が、どの程度のラブコメを作れるものなのか、興味があったのである。
 なにしろ私はラブコメが大好きなのだ。

 あと、この映画は元ネタが英国映画らしく(日本未公開作品らしいが)、それも背中を押したことの一因。
 ヒュー・グラントが出てくるような英国ラブコメは私が最も好きなジャンルなのである。

 オバサン数人組や母娘カップルが多かったのでありましたが、けっこう男性客もいました。彼女に付き合ってってことなんだろうけど、でも彼氏もチェ・ジウが出るんだったらOKだったのかもしれない。
 客席大爆笑のシーンも多く、盛り上がってました。
 あれだったら、彼氏たちもOKだったろう。

 さすが英国製ラブコメが元なので、かなりキワドかった。
 でも、チェ・ジウを始め、三姉妹役の女優はみんな美人で魅力的だったし、けっこう下品な下ネタ演技も上品にこなしていたので「日本の人気女優だったら、なかなかここまであっさりとできないよな」と感心。

 お話しは、「テオレマ系」というか、なんにでも「・・・系」をつければいいってもんでもありませんが、謎の美青年テレンス・スタンプが舞い込んできたことにより、ブルジョワ家族がなんだか全員妙なことになり・・・・・ってゆーのをパゾリーニ監督は、妙に淡々と妖しく描きましたが、パゾリーニは「笑い」って要素を全く考えてなかったからな、でも私はパゾリーニの映画で、その生真面目さにときどき笑ってしまったりしたのですが、つーか、真面目そうに見えながら、この人、けっこうギャグでやっているつもりなのでは?と深読みしてたりしたのですが・・・・・

 「誰にでも秘密がある」は、謎の美青年である、イ・ビョンホンがやって来ることにより、三姉妹全員が、新たな性のステージに到達するという、かなり艶っぽいラブコメでした。
 女優達の脱ぎっぷりは悪かったが、それを埋めるかのように、皆さん(チェ・ジウも)胸の谷間だけは惜しみなく披露してくださったので、わたくし的には満足。

 この映画のイ・ビョンホンのスケコマシぶりは、男性諸君も一度観ておいて損はないでしょう。
 もちろん、顔はどうにもなりませんが、「女を口説こうと思ったら虫取り網を持って追いまわすのはダメ。こういう風に、お魚なんかに興味なんてありません、って顔しながら、美味しそうな餌をたれないと」という基本は学べます。

 奔放なギャル(三女)、学問一筋の堅物(次女)、貞淑な人妻(長女)という、バラバラのタイプをそれぞれ夢中にされる技は楽しかった。
 たぶん、私を含め、20代から50代の女性全員が「これやられちゃったら、私でも突っ走るわさ」と、夢を見させていただきました。

 「美しき日々」以外のイ・ビョンホンは初めて鑑賞したが、原田タイゾー似なのは同じだが、この映画だと、かなり新庄も入ってました。
 そんなに美形だとも思わないし、てゆーか、なんだか「韓流逆輸入効果」でも言うのか、「もしかして、私ったら、原田タイゾーもけっこう趣味だったのか?」と、自らを問い詰めているのですが、そういえば、原田タイゾーが出ていたビールのCMはけっこう好きだったかも・・・・・

 なんだか自分では気がつかなかった性感帯を開発されているようで(←なんか、やな感じの例え)不愉快なのですが、でも、この映画でのイ・ビョンホンの役って、他の人でもできるかっていうと、けっこう難しい役なので、もちろん、キアヌ・リーブスにやらせても面白そうだけど、そうなると、微妙なヤラしさが出ないし、たぶん10年前のヒュー・グラントだったら、もっと上手くやったのかもしれない。

 役者の技量以前に、やっぱし韓国映画スタッフは、いまひとつ「ジーンとヤラしいラブシーン」が上手くはないと思うけど、そのあたりのぎこちなさを「味わい」に持ち上げてたのには好感が持てた。
 日本はこういうラブコメが下手だからなあ。

 というわけで、それなりに「ときめいた」ので、帰りはなんだかニコニコした「いい人」になっていて、下北の外れにあるライブハウスから出てきた女の子たちが「あれ?駅ってどっちだっけ?」とウロウロしていたので「駅はあっちですよ」とニッコリ。

 「誰にでも秘密がある」のテーマは(自分なりに勝手に解釈すれば)、「こんな謎の美青年相手に楽しくやれたのは当たり前だが、ふと考えれば、もっと身近な人にも同じ気持ちであたっていけば人生はもっと楽しくなる」ということでしたので、ええと、まあ、それはそうなんでしょう。

 さて、家に帰って「美しき日々」を観てみたら、さっき観た映画では、イ・ビョンホンにドーンと体当たりしていたはずのチェ・ジウがまたウジウジしていて、また、さっき観た映画ではチェ・ジウを翻弄していたはずのイ・ビョンホンが、「素直になれない、わからず屋さん」をやっていて、「なにがなんだかよーわからん」な気分を満喫させていただきました。

 イ・ビョンホンの研究はまだ続きそうな予感です。(あたし、けっこう粘着質なもんで)
12月17日(金)

 ふと気がつけば、12月も後半ではないですか。
 それなりに気忙しい師走ではありますが、今年は例年に比べると、まったりしているようだ。

 有給がけっこう余っているので、今週の平日にまた休みをとってしまおうかと密かに思っていたのだが、T部長に振り回されてそれもかなわずであった。
 たいしたことじゃなかったんだけど、T部長と仕事の話しを詰めていくためには「三歩歩いて、二歩下がる」を繰りかえさないといけないので、普通だったら5分で済むような話しを3日間かけて、ゆっくり地道に詰めていったのである。(実は何週間か前から地道に地盤をせっせと作っていたのだが)

 で、どういう仕事内容だったかっていうと「年末調整の還付金をどうするか」ってゆーことだったんですけどね。
 くだらない仕事だが、けっこう重要なんで、気を使うわい。

 なにが重要かというと、うちの会社はずっと還付金を現金で渡していたのだが、諸般の事情で昨年度からそれを振り込み処理に変更した。
 しかし、還付金を「年末のお父さんの臨時こづかい」としていた社員からは当然のことながら激しいブーイングが起こることが予想されたので、昨年の部長であったO氏は「給与振込口座に振り込むと、どうしても不都合が生じる場合には、ご相談に応じます」と影で情報を流したのである。

 さて、今年はその「裏口座への振り込み受け付け」を誰が担当するのか?っていうのが、私が「重要である」と思った案件だった。
 最終的には私が受け付けてもいいと思っていたのだが、「じゃあ、私がやりましょうか?」「うん、じゃあ、そうしてくれる?」で済むと思っていたのだが、これがなかなかの難事業になってしまったのである。

 後になって考えれば、T部長もこのミッションを「最重要」と認識していたのだが、なにしろ自分でやったことがないので、「年末調整の全てが大変」と思い込んでいたようなのだ。
 だから、私が一生懸命「ヘソクリ口座の受け付け、どうしましょ?」と言っても、「まあ、それもあるが、しかし・・・」と別のほうに話しが飛び、我慢して拝聴しているが、30分も話し込んでも私の欲しい結論が出ないので、「ええと、だからヘソクリ口座の件は?」と結論を急ぐと、ご機嫌が悪くなってしまうので、作戦を変更して、T部長のご機嫌のいいときに、なんとなくその話を持ち出して、またあれこれ向こうが悩むのを熱心に拝聴して、5ミリくらい話しをつめ、また数日後にその話しを持ち出すと、3ミリ後退していたが、じっと耐えてまた5ミリ進め・・・・・

 と、かなり詰め寄ったところで、親会社の給与担当者が「年調の数字も、明細書も出来ましたよ」と持ってきた。
 それを観て、たぶん「今まで自分があれこれ考えていたことはなんだったんだ?」と頭に霧がかかっていたT部長の心中を見透かす態度をひた隠した。
 だからもー、数字を出すのはその人の仕事だし、損保や生保の金額を入れればワンタッチなんだってばあ。

 どうも、そういう作業も自分でやると思い込んでいたようで(違うと説明しても「でもでも〜」って聴いてくれないんだもん)「え?じゃあ、ボクは何をすればいいのかな?」と言っていたので「だから〜、ヘソクリ口座の取りまとめですってば」

 こんなことなら、最初から私はなんにもしなかったほうがよかったのかね?
 でも、親会社の担当者が「去年はOさんが振り込みは処理してたけど、今年はどうなるのかな?」と心配してくれていたので、最初は「ちゃんとその件はOさんと引き継いでくださね」と言っていたのだが、どうもOさんにあれこれ教えてもらうのが嫌だったらしく、おかげでこの件を詰めるのに2週間もかかってしまったよ。

 その間にも、お父さん社員たちから「今年も別口座にしてもらえるのかなあ」と私やM嬢に泣きが入り、私らも「どう対応していいのやら」と困っていたのであった。
 それを黙って対応してしまうと、T部長がヘソを曲げる可能性があったので、慎重に事を運んだつもりだったのだが、ああ、なんかほんとに自分にはどーでもいーことで労力使っちゃったな。

 そんでT部長は、「ボクはそんなに総務の仕事に専心できないから、なるべくミヤノにやってもらいたい」と明言しながらも、なかなかすっぱりそうできない性格。
 こんな案件だったら、最初から「今年はミヤノが仕切るから、ミヤノに相談してくれ」と告知すれば済むことである。そうして私が、「最終的に、これだけの社員がヘソクリ口座への振り込みを申請してきました」と報告して、T部長に余力があれば確認してもらえばOKではないか。

 で、結局、どたんばでそういうことになったのであるが、そこまでの道のりが長かったなあ。
 「来年は、もっと早めにやりましょうよ。そうすりゃ、こんなにドタバタすることじゃないですよ!」とキツく言っておきました。もちろん「こんなしょーもないこと、Tさんのお手を煩わせるようなことじゃないです。取締役がやるような仕事じゃないでしょっ」とも付け加えておきましたけど(お上手〜〜〜〜咲坂さんの声で)

 この「取締役の仕事ではない」っていうセリフは効くようで、さらに目で「T取締役にはもっと他に重要なお仕事があるでしょ?」というメッセージをこめるのがポイントである。だんだん演技が上手くなってきた自分が怖い。

 今週、T部長のご機嫌がよかったのは、得意先関係で不幸があったので、急遽T部長が葬儀に出席することになったのだが、総務部としては「これこそが仕事」であるので、関東内だったので日帰りが可能だったが、新幹線の切符の手配などとキビキビと(K嬢が)やってくれたので(最初、席を予約するのは行きだけだったのだが、途中で気が変わって帰りの切符も予約させてたが、K嬢は嫌な顔ひとつせずこなしてくれた)、T部長も初めて「取締役の出張」気分を満喫できたようだ。
 (ちなみに、うちの会社は、社長も、新幹線や飛行機の切符くらい自分で手配してます。つーか、電話一本で手配できて、すぐチケットを持ってきてくれるのだ。その電話を自分でかけるのを面倒に思う人なんていない)

 あ、いかん。またついうっかり会社の人の悪口を書いてしまった。

 最近、他にネタもないもんで(苦笑)

 この間、ふと「ああ、これはたぶん、ずっと感じていたことなんだろうけど、ずっとモヤモヤしていたものが、やっと意識できるようになったんだな」と思ったことがある。
 プロ野球再編問題で、ライブドアVS楽天で盛り上がっていたときに、なんだか胸の奥底でつかえていたことがあったのだが、それがやっと「そっか、堀エモンがちょっと、昔勤めていた会社の社長に似てたんだ」ということに気がついたのだ。(顔っていうか、カジュアル系なあの雰囲気が)

 実質、3ヶ月くらいしか仕事しなかったのだが、あの会社も今から思えば「ITベンチャー」だったのだろう。
 短い間だったが、あまりにも嫌なことばかりだったので、あの当時は電話してくれた友達には、もれなく長時間に及ぶ愚痴を披露していたのだが、きっぱり辞めてから1年くらい経つと、「思い出すのも嫌」になってきたので、ときどきふと思い出すことがあっても、心の深い傷に触らないようにと、それなりに封印していたらしい。

 あの社長も、きっとホリエモンみたくなりたかったんだろうなあ。

 ITベンチャーが盛り上がる前夜祭みたいなときに、あの世界にちょびっと足を突っ込んだのは、自分にとってはよかったと思う。
 その前には芸能界で仕事していたので、けっこううんざりしていたのだが、でも、IT業界を覗いてみて、芸能界っていうのはかなり成熟した世界だということがやっとわかったのだ。
 ITベンチャーの世界では、私とあまり年がかわらない「ハナタレ小僧」たちが、「明日の大物」を目指して、凌ぎを削って・・・・いればいいのだが・・・・・私の観察では「カッコつけ合戦」を繰り広げていて、だから、私の素直な感想は「幼稚園みたい」であった。

 私が給料を貰っていた会社ではないが、間接的にお金を出してくれた某ITベンチャー企業は、後からわかったが、某大企業の有名経営者の孫だかなんだかが出資していて、それがすでに「一族の中で目立ちたいのでカッコつけてみました」だったようだが、そこに群がる貧乏なくせに口だけはデカい未来の大物候補諸君は、ほんとにカッコばかりだった。
 その中でも、地道に利益を挙げている部署のチーフがいたのだが、その部署は「エロサイト」を作っていたので、バカにされていた。(エロサイトと言うほどのもんでもなかったですけどね。合法的なグラビアサイトでした)

 でも、どーやら、利益をあげているのはその部署だけだったんだよね。
 私は、「ああ、やっぱそういうもんだよね」と思っていたが、私の同僚は、男性であったが「オレは、ああいう人の欲望につけこむ商売は好かん」と断言していた。
 好き嫌いは別として、ビジネスとして成り立たなければ、他の部署なんて、エロサイト以下のクズだと思ったのだが、その会社が傾き始めたときに、まっさきに抜けたのも、そのサイトのチーフで、そこの社員じゃない私にもキチンと挨拶してくれて、とても好感が持てた。

 はっきり言って、けっこう「かっこいい」人だったのよ、そのチーフ。ビーズのどっちかを7掛けしたくらいのルックスだった。
 たぶん彼は、かなり割り切ってその仕事をしていたのだと思う。でも、他の幹部は「もっと、カッコいい、有名になれるようなビッグビジネスをしたい」って奴ばっかで、地道に広告費を稼げるエロサイト部署の彼に発言権など与えられなかったようだ。去っていくときの後姿は寂しそうだった。

 そういえば、その前に社長秘書が「寿退社」することになり、私の同僚が「花束を用意しないと」というので、お手伝いをしたのだが、「とにかく派手好きな人だから、ど派手に」というのだが、私がその会社に出入りし始めたときに、その秘書嬢はすでに有給消化中であったので、お会いしたことがなく「どんな秘書嬢なんだろう」とワクワクして登場を待った。

 真っ赤なスーツでビシっと決めた、「こういう人って実在するんだ」という、かつてのボディコン文化の亡霊みたいな人でした。いったい、どっから連れてきたんだ、あんな秘書?
 そこの社長は、かなりギラギラしたオジサンで、噂では関連企業の取締役になっている30代半ばの女性も「愛人」らしかったので(その人とも会ったことあるけど、絵に描いたようなキャリア・ウーマンでした)、ああいうインパクトのある女性が好みだったんだろうなあ。その社長自身も、某大手パソコン会社の社長室長だったそうで・・・・

 あそこの会社で、ボーっと机に座っていると(私はそこの取締役だった人が作った小さな会社の社員だった)、そういう「わー、こういう人って、ほんとにいたんだ」な妖怪さんに出会えたので、(要するに「座敷わらし」を目撃したような感動を味わえたってこと)けっこう面白かったのは否定できない。
 ほんと、あれに比べると芸能界は地味だったよ。「メリーですけど、社長いらっしゃいます?」っていう電話で「はあ?」と思う程度だった。(メリー喜多川さんからの電話だったのに気がついたのは、社長に「あのお、メリーさんて人から電話ですが」と自信なさげに取り次いだら、社長が「ああ」とすぐに電話に出て、横にいた他の社員が「メリーさんって、ジャニーさんのお姉さん」って囁いてくれたからだ)

 あそこには、某大企業の社長のお坊ちゃんもなぜかいて、その人が「おしゃれ系ぼっちゃん」で、服装も「エンポリオ・アルマーニ系」で、いつも趣味のいいカジュアルだったし、音楽業界にも知り合いが多いという人だったが、一度だけ、うちの社長が、なにやら大きな仕事をゲットしたということで「お祝いしてくれ」と騒いで、そこの社長が祝いの席を用意してくれて、取締役たちが集合する席に同席したことがある。

 そのわりには、ショボい店だった。
 麻布にあるおシャレな店だったが、はっきり言って「イマドキ、こんなバブリーな店ってまだ残っていたのか?」というお店。舌の肥えている芸能界では、あんな店に連れていかれることはなかった。エントランスに滝が流れていたりするが、料理はファミレス程度ってやつである。

 ボソボソした鮎の塩焼きをつついていた。
 「ほんとうに、これって鮎なのかな?アジの開きのほうがもっと美味しいよ」と思ったが、黙ってつついていたのだが、他の人も「あんまし、いい鮎じゃないねえ」なんて言っていた。
 でも、その「おしゃれ系ぼっちゃん」だけは文句ひとつ言わず、やはり黙々とつついて、キレイに食べていた。そして、他の人が「あんま美味しくないなあ」と言うと、「そお?でも、鮎なんてめったに食べないから、僕はよく味がわからないからなあ」とトボけていた。

 「ほんとーの、おぼっちゃんは、やはりこうじゃなきゃ!」

 と、不味い不味いとボヤく成り上がりたちに説教したくなった。


 その会社を辞めたあと、派遣で仕事した某IT系研究所で、新副所長就任の際に、そのおぼっちゃんの父上からもお祝いが届いていて、「ああ、あの感じのよかったぼっちゃん、どうしているのかなあ?」と思った。
 でも、あのぼっちゃんも、他の幹部からは影で「バカぼっちゃん」呼ばわりされてたんだけどね。

 でも、ただイキがっている人たちが多い中、根っからのお育ちがいい彼は私にとっては一輪の花だったのだが・・・・ってゆーか、どーせ誰も稼げないんだから、どーせだったら本当にスタイリッシュな人が「かっこいい」に決まってるじゃん。(まあ、そのぼっちゃんも自分の趣味で、変なオフィスのレイアウトとか作っていたけどよ。でも、あれは建築雑誌に紹介される系だったので、やりたいことはわかったので、微笑ましかったし、見かけのインパクトより金はかかってなかったので、そのあたりのセンスも「ああ、おぼっちゃんね」と思ったのだ)

 あのころ、あのあたりで魑魅魍魎をやっていた人たちの中で、少しでも出世した人はいるのかなあ?
 名前で検索しても、あまりパっとしたのは出てこないようだ。
 きっと、みんな今ごろホリエモンにムっとしているに違いない。

 なので、長くなりましたが、あの当時の妖怪たちに比べれば、T部長はかなりマシだということが言いたいだけでございました。
12月16日(木)

 ずいぶん前に一部で話題になっていた「ワラッテイイトモ」という映像作品であるが、ふと、東京で今週上映していることを知り「どんな内容なのか、気になっていたから観てみよう」と思い立った。今までも、あちこちで上映会があったが、なにしろ「問題作」であるので、あまり大々的に公開できないらしく、「ちょっと観てみたいかも」と思っていても、なかなか機会に恵まれなかったのである。

 場所は江戸川橋のアップリンクのギャラリーだったのだが(ちなみに、明日までやってます)、江戸川橋駅で下車するのは多分、生まれて初めて。
 8時15分からの上映を目指して、8時10分前くらいに着いたので(場所がとってもわかりにくかった)、カフェ風の席に座って本を読んでいたら、「あ、ミヤノさんじゃないですか」と声をかけられたので「ほよ?」と顔を上げたら、yucoさんだった。(笑)
 うれしはずかし・・・・

 「ワラッテイイトモ」は、もっと「笑える」のかと勝手に思っていたのだが、お笑い系ではなかった。

 一言で言ってしまうと「中野貴雄が絶対にボロクソにけなすたぐいの映像作品」である。

 タモリがどうの、「笑っていいとも」がどうのという作品ではなく、「そういうものを通して自分と向き合ってしまいました」というものらしい。(要するに大学の映画研究会ノリ)
 なので、けっこう好き嫌いが分かれると思うなあ。「笑い」を求める人は、ちょっと不満だと思うよ。あと、1時間弱あったので、けっこう長いし、サンプリング映像がチカチカしているので目が疲れます。

 真面目に青春しているのか、そういう「新宿の高層ビルが出てきて、最後に主人公が自殺する」(←中野監督が、昔の自主映画によくあった嫌いなタイプの映画をそう言っていた)のをパロっているのかよくわからないのだが、でも、最後に主人公(つうか、作者?)が公園の原っぱに置いたテレビモニターの前に立ち、その手になんか棒状のものが握られていたので「ゲートボールでもするのかな?」と本気で思いましたが、それがゲートボールの道具ではなく、「ハンマー」であることに気がつき「きゃーーーーー、まさか、そんな陳腐ことはしないよね?」と叫びそうになりましたが、私の願いも虚しく、ハンマーでモニターを一撃したのでした。

 ああ、やっちゃった〜〜〜〜〜〜、としか言いようがない。

 私は、「笑っていいとも」も大好きだし、なによりも熱烈なタモリファンなので、逆に加工された映像よりも「ああ、もっとちゃんと昔の『笑っていいとも』を観たいなあ」と思ってしまった。
 結局、どう切り刻んでも、タモリはタモリだし、「笑っていいとも」という、20年間ずっと同じようなことを週に5日間も垂れ流していることにより巨大な金太郎飴と化した番組(長さが3億光年くらいありそう)は、もはやどうイジっても「笑っていいとも」になるらしい、ということが改めてわかった。

 そんなわけで、「これは絶対に観ておくべき」とは思わないけど、まあ、伝説的な映像を一応チェックしちゃいました、と日記には書いておこう。
表紙に戻る / 過去の日記を読む