和川次男さんが脳波スイッチMCTOS(テクノスジャパン社)で綴った俳句集

声 とどけ
表紙写真
難病となり呼吸器をつけて10年
人はすべての機能を失った時 何を思うのか
支える人々への思いを脳波スイッチで綴る世界初の句集

ISBN4-8323-0112-8

発行日: 平成13年5月15日
発売元: 仙台宝文堂
  仙台市青葉区中央2-4-6 TEL:(022)222-4181
定価: 1,350円





脳波スイッチ MCTOSを利用して会話している和川夫妻

和川夫妻



 マクトスは、頭の中で意識的に何かを考えたときに発生するベータ波と呼ばれる脳波を検出し、それを電気信号に変え、ブザーなどを鳴らす装置です。
 和川さんは五十音図を利用して対話者と会話するのですが、和川さんは殆どいつも瞼を閉じていますので、五十音図を目で見ることができません。そこで、対話者が五十音図上の文字を音声で読み上げ、読み上げた文字に対して和川さんがマクトスを利用して応答する、というやりかたで会話しています。具体的には次のようにします。
 対話者は先ず五十音図の一行目を「あ」「か」「さ」「た」「な」・・・・と読み上げていきます。そして例えば「か」で和川さんが何かを意識するとマクトスからブザー音が鳴ります。次いで対話者は「か」の列に移り、「か」「き」「く」・・・・と読み上げていきます。そこで和川さんが「こ」で何かを考えるとマクトスが検知してブザー音が鳴ります。これで最初の一文字「こ」が確定しました。以下、この手順を根気よく繰り返していきます。再び最初に立ち戻り、対話者が「あ」「か」「さ」「た」「な」・・・・と読み上げ、例えば「わ」でブザー音、次いで「わ」「い」「う」・・・と読み上げていって「ん」でブザー音、これで二文字目「ん」が確定、等々。このようにして「こんにちは」という文字列、いや挨拶の文章が綴られます。もちろん、綴られる文字列の中には、マクトスの誤操作によって生じる誤字も混在しているので、一読して直ぐに意味の判読できる文字列ばかりとは限りません。そんな場合には、対話者が文字列全体から総合的に判断して誤字と思われるものを除いていく、或いは和川さんに再度確認するといった仕方により、意味のある文章が浮かび上がってきます。和川さんの俳句はこのようにして作られました。
 以上の方法で和川さんは自分の意志を明確に表現できるのですが、なにしろ時間がかかるので急場の間には合いません。そんな時のために、用事表という日常的に使用頻度の高い文に番号を付けて並べた表が用意されています。例えば「1.吸引せよ」「2.枕の位置をなおせ」「3.背中がかゆい」等々。この表の数字を「1」「2」「3」・・・・と読み上げ、和川さんが所要の番号でマクトスのブザー音で応答するといった方法も併用されています。
 最後に、
  来訪者A:「和川さん、こんにちは」、和川:「ブー」(おう、よく来た)。
  A:「元気ですか」、和川:「ブー」(元気じゃ)。
  A:「きょうはいい天気ですよ」、和川:「・・・」(無音)(きょうの天気なぞどうでもいい)。
  A:「花見の日には晴れるといいですね」、和川:「ブー」(むむ、そうじゃ)。
 こんな四方山話しも日常的に交わされています。和川さんは本当は株の話しでもしたかったのかも知れませんから、コミュニケーションとしては一方的ではありますが・・・
句集「声 とどけ」の前書きより

脳波スイッチ "MCTOS" に関する情報:

株式会社テクノスジャパン http://www.technosj.co.jp/

 - 福祉・コミュニケーション機器のページ http://www.technosj.co.jp/Fukushi/frame_top.htm


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