「ひろしまの香り」

1997(平成11)年に開催されたグリーンフェスタひろしま‘97のテーマ館「香りのパビリオン」で、フェアのために新たに創香された「ひろしまの香り」の人気投票を実施しました。全国都市緑化祭では、秋篠宮殿下と同妃殿下にもご投票いただきました。

市民に「ひろしまの香り」に関するイメージ調査を実施し、香りづくりのヒントになるモチーフを探しました。さまざまな場所やキーワードが集まった結果、グリーンフェスタひろしま‘97の開催理念にちなんだ「水」「緑」「いのち」をイメージした3種類の香りを創ることになりました。

フランスで修行を積んだ女性調香師を広島へ招き、当時、まだ数が少なかった禁煙タクシーを手配して、「水」「緑」「いのち」に結びつく場所を案内してまわりました。「水」のイメージでは、「瀬戸内海の潮の香り」「海水と淡水が混ざる市内を流れる6本の川」そして「太田川の清流」が思い浮かびます。広島のカキは、豊かな緑のある山間部から流れ出る水によって育まれていることから、広島の緑や海産物を育む「清流の香り」を基本にしたいと考え、西区にある「三滝寺の清流」へお連れしました。

「緑」のイメージでは、やはり広島市の木である「クスノキ」を選びました。クスノキの葉を手でもむととても良い香りがします。2本の大きなクスノキが並んでいる「夫婦クスノキ」に案内しました。

一番難しかったのがやはり「いのち」です。平和公園と原爆ドーム、平和大通りをまわっても香りに結びつくモチーフが見つかりませんでした。広島市の花であるキョウチクトウは、ほとんど香りがありません。そこで、故原田東岷先生の努力によって生まれ、「ヒロシマ」の名がつくバラの一つの「ヒロシマチルドレン」が広島バラ園で栽培されていることを思い出し、行って見ることにしました。幸い、淡い黄色の花を咲かせ、甘い香りを漂わせていました。このヒロシマチルドレンは、「21世紀の世界平和は、ヒロシマの子供たちがリードするだろう」という願いを込めて命名されたバラです。世界各地で栽培されています。

 ヒロシマチルドレン

広島のおみやげとして「ひろしまの香り」を多くの来広者に買っていただ、国際平和のメッセージが世界中に広がって欲しいと思います。