◆第一回目テーマ
やっとこできたストーカー規制法。
でも取り締まりの対象を恋愛関係のもつれに限定しています。
コレってアリ?
解説&アタシの意見
埼玉の桶川や静岡の沼津で起きた凄惨なストーカー殺人事件以来、従来の犯罪の類型には入らないストーカー行為の規制を求める声が高まりました。その声を受け総選挙前の今年5月に駆け込みで成立(施行は11月)した、いわゆるストーカー法ですが、成立の時点からいくつかの問題を抱えているといえます。
この法律のフルネームは『ストーカー行為等の規制等に関する法律』というものです。この法律でいう「ストーカー」とは、恋愛感情等の好意が満たされない結果、法律で8つに分類される行為に走るものを指すということです。以下条文。
第二条 『この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又それが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者またはその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有するものに対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。』
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1 つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他の通
常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、または
住居等に押し掛けること。
2 その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に
置くこと。
3 面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
4 著しく粗野叉は乱暴な言動をすること。
5 電話をかけて何も告げず、叉は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ
若しくはファクシミリ装置を用いて送信すること。
6 汚物、動物の死体その他の著しく不快叉は嫌悪の情を催させるような物を送付し、
又はその知り得る状態に置くこと。
7 その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
8 その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、叉はその
性的羞恥心を害する文書、図画その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に
置くこと。
附則
4 ストーカー行為等についての規制、その相手方に対する援助等に関する制度につ
いては、この法律の施行後5年を目途として、この法律の施行の状況を勘案して
検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるべきものとする。
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以上、条文を掲載しましたが、上記赤太字の部分が問題であると思われます。ストーカーを恋愛関係に限定してしまうと、街で一目見かけてついてきてしまうような、いわゆる「一目惚れストーカー」に対応できないからです。また、加害者が同性の場合も適用が困難です。
加害者と被害者の間に恋愛感情があったか否かよリも、法律の掲げる8項目の行為で実際に迷惑を被っているまたは身の危険を感じている人を救えるかどうかの方が重要であり、緊急性が高いと思います。
附則によると5年を目途に法律を見直すとしていますが、昨今のストーカー事件の多さを見ると悠長すぎるのではないかということと、立法のそばから見直しを視野に入れているということは、立法した方にもこの法律の穴が見えていたのではないかとさえ言いたくなります。
実際、埼玉県ではつきまとい等事案のおよそ44%にストーカー法では対応できないという調査結果が出ており、『恋愛感情等の目的以外のストーカー行為等を規制』するために条例を改正して条文を追加し、11月にストーカー法と同時に施行することが決まっています。
今回のテーマは・・・
やっとこできたストーカー規制法。
でも取り締まりの対象を恋愛関係のもつれに限定しています。
コレってアリ?