平成11年・6月議会より

もうそこまで来ている!
デジタル化・多チャンネル化時代の
八王子テレメディア

平成11年6月17日(木)

 お待たせいたしました。佐野美和でございます。
 二期目最初の一般質問ですので、より一層、厳粛な気持ちで質問をしていきます。

議会中継01

 今回のタイトルは、「もうそこまで来ている!デジタル化・多チャンネル化時代の八王子テレメディア」まずはじめに、八王子テレメディアに対する私のスタンスを明確にしたいと思います。

 平成9年度の決算報告によりますと、累積赤字はおよそ38億5千万円。この数字を見れば、批判をするのはいたって簡単なことです。
 先日の選挙でも、幾人かの立候補者の市政批判の要因のひとつになっていました。もう一度いいます。ただ批判するのはとても簡単なこと。しかし、この問題の場合、そこからは何も生まれません。

 今日の質問の主旨は、昭和60年の八王子市議会予算委員会に初登場し、現に存在する八王子テレメディアを、八王子唯一の宝のメディア、すなわちプラスのツールと考え、これからどう利用していけば、私たち市民にとって、メリットがあるかということを考え、実現していきたいという事です。

 今回も恒例、私の持っているメディア、インターネットのホームページで、先月5月下旬から市民のみなさんのご意見を大募集してきました。これからの質問は、私、佐野美和個人のものではなく、多くのみなさんのアクセスに根ざしたものだとご承知おき下さい。

議会中継02 核心部分に入る前に、いくつか整理し、質問しなければならないことがあります。はじめに、先日行われた、八王子市議会議員選挙の選挙速報。
 いままでの選挙速報は、私の著書、『アタシ出るんです!』にもあるとおり、速報にして速報にあらず、という状況でした。そこで私は、96年6月から開設しているホームページ上にて、八王子テレメディアより速いインターネット開票速報をブチ上げ、行いました。市内外を問わず、日本全国の皆様からアクセスをいただき、4月25日の夜の10〜12時のピーク時には、なんと、1時間に2000件を超えるアクセスをいただきました。ちなみに、普段のアクセス数は、一日あたりおよそ100件です。
 しかしながら、実際自分の当確をネット上に載せたのは、テレメディアを見ていた、明神町のお寿司屋のご主人からの通報ででした。得票数の発表が、八王子テレメディアの後追いになったのです。
 翌日以降、多くの市民が、テレメディア、すなわち5チャンネルを見ていた、というカミングアウトをしてきました。
 生まれ変わった選挙速報。
 やられましたが、これこそがシティチャンネルならではの、プラスのツールだな。という印象を、正直受けました。

 ここで関連メールをご紹介します。
 千人町の安留さんはじめ、計5名のメル友のみなさんから、異口同音の意見をいただいてます。
「今年の市議会選挙速報は4年前の選挙速報と比べるとスゲー良かった。」
原文のまま読ませていただきました。

議会中継03 そこで質問です。
 選挙速報については、どのように実施したのか。
 そして、視聴率は気にするな。と私は3月予算でも言いましたが、この場合、視聴率は気になるところですので、ぜひ声を大にして言ってください。

 97年3月議会で、私はCATVの双方向性を生かした、インターネット事業参入の提言をしました。嬉しいことに、平成10年6月より、インターネットサービス事業開始。まだまだ一部ですが、市民のみなさんに好評です。
 聞くところによりますと、11年5月現在で、500件の加入。月平均、60件で伸びているそうです。

 ここで問題となるのは、集合住宅。
 集合住宅ではインターネットサービスの導入が難しいということですが、これについて市の方針を、お聞かせください。あわせてテレメディア全般の経営状況についてもお答え下さい。

 さて、ここからいよいよ今回の質問の本題に入ります。
 ビートルズのレコードが聴けなくなった。小中学生時代、おこづかいがたまると、一枚一枚買っていたビートルズのLP。一生ものダ、と大事にしたものです。
 それが、高校卒業の頃になるとCDの出現。私だけでなく、CDが初めて登場してきた時点では、音楽ファンの人たちは、すでに大量のレコード版を収集していました。CD出現時には、それがすべて使えなくなってしまうような変革が、そう簡単に受け入れられるわけはない。誰もが考えていました。
 ところがです。
 レコード版からCDへのシフトは、予想をはるかに上回るスピードで進展してしまい、あっという間に電化製品売り場で、レコードプレーヤーの姿を見かけることはなくなってしまいました。これこそ、アナログからデジタルへシフトされたという例です。
議会中継04 そして今度は、みなさんがいま使っているテレビが生まれ変わろうとしています。どう変わるのかと言うと、テレビの電波がアナログからデジタルに変わります。どういうことかと言いますと、みなさんに道路をイメージしていただきたい。アナログを1車線の一般道路とすると、デジタルは10車線の高速道路だということ。
 つまり、一度に通れる情報量が、ケタ違いに多く、しかも速いということですね。
 CDにしても、レコードからすればサイズダウンしています。しかし中に入れられる情報量はレコードより多いんです。しかもデジタル放送は、いままでのように、テレビ局から一方的に受信するだけでなく視聴者からも「あの映画を今すぐに見たい」とか、注文が出せるわけです。これが、先程から出てくる「双方向性」ということなんですね。
 つまり、あちら側とこちら側で、やりとりができるという事です。ここまで説明すれば、アナログ時代の部長さんでもわかりますね。

 一世帯一台として、八王子では、およそ21万台のテレビが、買いかえを強いられる。
 最近、テレビ機器のコマーシャルを見かけなくなったと思いませんか。いま放送業界は、まさしく放送ビッグバン。電機メーカーも、21世紀、デジタル放送への準備に追われています。
 来る2000年には、各キー局が共同で衛星を打ち上げ、BSつまり衛星のデジタル放送が始まることになっています。日本リサーチセンターがまとめたところ、知っている人は1割強。無関心が65%。この時点では、いまあるテレビへの影響はまったくありませんから、問題はないんです。
 問題はここから。
 いよいよ、2010年までに、CATVのデジタル化を完了させる答申案を、郵政相の諮問機関、電気通信審議会がまとめたところです。こうサラリと言うと、雲をつかむような話に聞こえるかもしれませんが、これはわたしたち市民にとって、大変なことなんです。

 冷蔵庫、洗濯機、テレビが、家電製品三種の神器だった昭和30年代。白黒テレビがカラーテレビにかわった。それと同時にテレビも買いかえた。
 この大転機が、21世紀初頭に、再び訪れようとしています。何年かたったら、いまのサッチー騒動とおなじぐらい、いや、それ以上のインパクトを持つニュースになることは、間違いありません。
 その時こそ、CATVというものが、ますます私たち八王子市民にとって、大きな役割を果たすことになるのです。

 その前にCATVを所有する我が市は、多くの考えを明らかにしておかねばなりません。
 わたしたち市民にとっては、放送のデジタル化によって受けるメリットとデメリットをはかりにかけて、メリットの方が重いということでなければ、いくら政府や放送局が、デジタル化と言っても、簡単には追随しない、ということになると思いますが、結局は全国民が、白黒からカラーテレビに買いかえたという事を思い出してみてください。デメリットだらけでも時代の流れには逆らえない。

 今日の質問のねらいは、デジタル化への市民の困惑の前に、市として、しっかりとしたスタンスを持つ事です。
 さて、デジタル化・多チャンネル化がもたらす、八王子テレメディアおよび八王子市民へのメリットは何かをお答えください。
 これを一回目の質問といたします。

議会中継05

… 第二回目

 それぞれお答えいただきました。
 八王子テレメディアの累積赤字を、別の言い方で表現しますと、八王子市民一人当たり、およそ7、500円の借金を抱えている事になります。
 インターネットの接続にCATVを使うと、従来の電話回線に比べて、「新幹線とカメ」の違いほどもある、といった使用者の声を聞きます。

 そのインターネットサービス事業で、集合住宅への導入が困難だということですが、新築の集合住宅などに、インターネットをはじめとする、マルチメディア対応のCATVのシステムの導入を、例えば、義務化する、または補助金をつけて支援する、などの方策を考えたほうがいいと思うのですが、これについては如何でしょうか。

 ここでまたメールの紹介です。
 八王子散田町在住、博報堂勤務のメル友の方より。
「当然ですが、八王子テレメディアは、我々八王子市民にとって、育てるべきメディアであると考えています。」
同様のメールをほか3通いただいています。
というように、わずか4通とはいえ、このようなメールもあるわけです。

 彼らを分析すると、日頃わが八王子のために頑張っている、痛勤サラリーマン。八王子テレメディアに対しても、前向きに考えてくれています。まさにノーブレスオブリージュ。物言わぬ高貴。いまでこそ少数派ですが、デジタル化のあかつきには、このような意見が、大多数になると、私は青写真を描いています。

 目前に迫る、2010年のデジタル化。その時こそが、テレメディアにとって、大きなチャンス。
デジタル化された衛星放送を、各家庭で個別に受信するとなると、アンテナなどの周辺機器は、まず買いかえ。何といいましても、テレビを買いかえなくてはいけない。
 しかし、テレメディアに入っていれば、買いかえなくても済むかもしれない。どういうことかというのは、のちほど松尾参事に、簡潔にお答えいただきましょう。

議会中継06 デジタル化に向けて、八王子テレメディアとしての対応を具体的にお答えください。また、衛星デジタル放送との競合については、どう考えていますか。
 そして、先ほどもふれましたが、CATV加入者が各個人で、機器を買いかえ、衛星デジタル放送を受信する、といったわずらわしさを避けられる、言い換えれば、現在使用しているCATVのチューナーで、そのまま衛星デジタル放送が受信できるような、衛星デジタル放送の、再送信サービスを実施する準備はできているのか。技術的な面も含めてお答え下さい。
 前出の博報堂勤務のメル友の方も言 及していますが、周辺のCATV局とのネットワーク化はあるのか。あるとしたらどんな形態でか。

 チャンネルが200〜300に増える。
 「そんなにあっても見られないよ」私もそう思う。
 先日、雑誌の対談でお会いしたテレビマンのテリー伊藤さんでさえ、多チャンネルについて聞いたところ「これだけいろんなデザインの洋服があるのに、コギャルは皆同じ恰好をしている。それと同じに、300もチャンネルがあっても、皆キムタクが出てる番組に集中する。」とおっしゃっていました。
 私もデジタル化する八王子テレメディアに対して、多チャンネルだけを期待しているわけではない。来る21世紀には、インターネットサービスだけでなく、もっと多くの双方向の通信サービスを受けることができるようになります。その中のひとつとして、遠隔医療のサービスがあります。

議会中継07 私が97年の3月議会で、インターネットサービス事業についての提案をした時は、正直言って現実味のない話でした。しかし現在、サービスは現実のものとなりました。
 その時、同時に提案したのが、双方向性を生かした、この遠隔医療サービス。これは医師が少ない過疎地などでも、常に専門医の診断が受けられる、というメリットが市民に生まれます。この話もいまは「絵に描いたモチ」ですが、先のインターネットの例もありますので、実現にはそれほど時間がかからないと思われます。
 遠隔医療サービスの実施のめどは立っているのでしょうか。お答えください。

 最後に、デジタル化を通じて、八王子テレメディアがもたらす市民へのメリットは何だと考えますか。お答えください。

 ケーブルテレビでも見られる、朝日ニュースターの番組に、先日、コメンテーターとして出演しました。そのとき、司会の愛川欽也さんと話し合いましたが、サッチー騒動でいま一番美味しい思いをしているのがテレビ局。
 局は中立、時には偽善者を装い、コメンテーターに悪口を言わせ、騒動を盛り上げる。視聴率のために、一日でも長くこの騒動を引っ張りたい。
 コメンテーターは、サッチーがいい人にまつりあげられたら仕事にならない。いま、何かを批判して成り立っている職業が、数多くあります。そういう社会構造なんです。
 議会も、行政のチェック機関として成り立っています。
 しかし八王子テレメディアの場合、市民のみなさんに、付託を受けた議員として、私だけでも、批判だけでなく、どう有効利用していくか、市民の皆さんと一緒に、音頭を取らなくてはいけない時期に来ていると思います。

 昭和59年の郵政省のテレトピアプランから始まり、公益性を信じ、積極的にCATVを導入した波多野市長。色々な批判を受けてきたでしょうが、2010年を前に、いよいよ、アヒルが白鳥に生まれ変わる時が、来ているようですが、お考えをお聞かせ願いたいと思います。

議会中継08 10年20年して、この議事録にふれた方が、「ああ、佐野美和が質問していた頃は、実感のない話だったけど、いまとなっては、当たり前の日常のことになったんだなあ。八王子市も、20世紀にこんな考えをすでに打ち出していたのか・・・」と 感慨深く読んでくれることを期待して、私の今回の質問を終わりとさせていただきます。