相続税の調査時期は、毎年決まっています。税務署の移動後の8月から
12月迄です。資産税部門が調査するのですが、1月からは確定申告の準
備、そして2月から3月の確定申告期間、その後定期移動までは確定申告
書の整理、審査、譲渡所得税の調査があります。ですから、この時期し
か空いていないのです。申告書を審査、検討して、相続財産が大きいと
か有効な資料せんがあるとか、「でそうなところ」を選び出します。
そして、調査前には申告書から把握できる銀行、証券会社に対して取引
照会の文書を出しておきます。回答がくれば、申告書と照らし合わせ申
告漏れ等がないかチェックします。
2人一組で調査には臨場します。よほど悪質ではない限り、1〜2週間前
に調査の電話があります。殆どの場合に、未亡人の自宅に訪れることに
なります。先ずは、亡くなった旦那さんの霊前に線香を上げます。これ
は調査のマニュアルにも書いてある一種の儀式です。それから、生前の
旦那さんの思い出話をおもむろに聞いていきます。ここがポイントで、
線香をあげてもらい、つい気を許し旦那さんの生前の自慢話をすると思
わぬ墓穴を掘ることになります。旦那さんは、どんな趣味があり、何処
にお金を注ぎ込んでいたかを探るのです。
相続税の調査などは法人税や所得税の調査と違い、一生に一回限りが殆ど
ですし、帳簿等もつけているはずもありません。調査対象者は税務に疎い
未亡人等ですから、調査は困難を極めます。最大の目的は課税もれの相続
財産の現物の発見にあります。ですから、午後からは預金通帳、株券、印
鑑等の保管場所を尋ねます。そこで、それを出してくださいと言って取り
に行く後をつけて、金庫やタンスの引出しを開けたなら、そこにある書類
を全部出して下さいと言って、金庫やタンスの中身を全部調べます。預金
通帳等から銀行の貸金庫の利用料金が引き落とされていれば、その貸金庫
の鍵で開けてもらい、その中身を全部点検します。以外なのは相続人も知
らない財産が発見され、逆に税務署に感謝する相続人もいます。それは、
被相続人が家族等や税務署にも内緒で隠し預金を作っていて、死ぬ時にも
家族にも話しておらず、全くわからない場合もあるのです。税務署が発見
してくれて、税金は多少取られても相続分が増えて喜ぶわけです。