不公平税制


「トーゴーサン」、「クロヨン」とか言われていますが、これは所得に対しての捕捉率を言っ
ています。サラリーマンは所得の10割、9割は捕捉されて税金を納めていますが、自営業
者は5割、6割しか、農家は3割、4割しか捕捉されていないことを表しています。この言
葉どおりの捕捉率かどうかは、確かめようがありませんが、実際問題、サラリーマンは自ら
確定申告することができず、勤務先から毎月所得税を源泉徴収されていて、ほぼ100%
の所得を捕捉されています。それに対して、自営業者は確定申告によって、収入から必要
経費を差し引いた額を所得として申告します。しかし、この申告が厳密に正しく申告されて
いるかは、税務調査で調べられている事例を見れば明らかです。税務署の職員は、全て
の確定申告を調べられる人員がいませんので、脱税の疑いがある大口の申告書等を5年
に一度程度しか実地調査はできません。又、事業なのか個人の生活上のものか境界を引
くのが難しい点もあり、結果的にサラリーマンと同じ所得がある自営業者は、半分程度
しか税金を納めていないことになります。

政治家の場合は政治資金という聖域があり、国税庁は今まで全く手を触れずにいました
ので,「タックスヘイブン」(税金避難地)であったわけです。政治家を調査しようにも、政治資
金は非課税ですから、この政治資金に使ったと逃げられるし、何より相当な圧力が掛けられ
て来ます。国税庁は財務省の外局ですから、財務大臣、財務政務次官は自民党の政治家
ですから、キャリア官僚はこれらの圧力に屈して調査が出来ない状態にあったわけです。
政治資金規制法というザル法の御陰で、報告書に載っていなくとも大した罰則を掛けられ
ることもありませんでした。税法を自ら立案、立法しておきながら、それを守らせもせず、
調査もさせないなど政治家のやりたい放題でした。ところが、金丸の脱税事件をきっかけに、
真面目に納税している国民からの不満を汲み取り、国税庁も政治家の税務調査を本腰を
入れるようです。しかし、もっともっと政治家に対しては、厳しい税務調査をする必要があると
思います。又、政治資金規制法による報告書に載っていない金銭等については、すべて
所得税を課税するよう税務行政も対処すべきでしょう。

一昔前に武見太郎という日本医師会の会長がいましたが、アダ名は「ケンカ太郎」と言われ
る程、押しが強く自民党にも大きな影響力を与えていました。それほど、医師会は圧力団体
として、豊富な資金源による自民党に対する政治献金により、大きな政治力を発揮すること
ができたのです。その結果出来たのが医師の優遇税制です。具体的には、@社会保険診
療報酬の必要経費の概算控除、A社会保険診療報酬所得に対する事業税の免除です。だ
いたい、医者だけが、どうしてこのように税金が安く済むのか疑問であるし、開業医は高
額所得者が多く、税金を免除する理由など無いのではないかということです。

@預貯金の利子の国税15%,地方税5%の源泉分離課税、A配当所得の源泉分離課税、
B上場株式等の譲渡所得の源泉分離課税選択等があります。これが何故問題かというと、
どんな高額所得者だろうと低額所得者だろうと、一律の税率によって源泉されるので、
負担の原則に適わない逆進性にあります。租税は総合課税、つまり申告者の全ての所得
を合計して課税されのが原則でありますが、現行の税制は高額所得者ほど預貯金、株式
等の資産も持っているのであり,これらの所得を源泉分離とした低い税率を適用させ優遇
しています。


税務行政の問題点

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