地方税事務の非効率


税金には国税と地方税の二つがありますが、国税については税務署が、地方税については
都道府県と市町村が徴税にあたっています。皆さん方で、税務署、都税事務所、区役所の
税務課に行ったことのある方なら、この三つの役所の中で、一番忙しく働き、規律正しく
しているところはどこかは、すぐに判ると思います。税務署では、男性がスーツ姿で、
内部事務では山のような申告書を少人数で処理しています。ところが、都税事務所や区役
所では、男性でもセーター姿で、何部門にも分かれた内部事務で暇をもてあましたような
仕事ぶりです。現在の法人事業税、法人住民税、個人事業税、個人住民税については、国
税である法人税が決まってから、それに税率を掛けることになっており、国税が決まらな
ければ地方税は算出できないことになっています。税務調査については、税務署でしか調
査はやっていません。税務署が調査して、まず国税を徴収して、その結果がそのまま地方税
も徴収することになっています。地方税の事務所は税務調査を自らはやらず、税務署に任せ
っきりなわけです。税務調査をやらないのに、税務署よりも沢山の職員を要して、申告書の
収受、管理等だけをやっているのですから、いかに非効率なことをやっているか判ります。

税務署では個人課税部門でも法人課税部門でも、中規模な税務署でも7〜8部門くらいはあり
ますが、申告書の収受、管理する内部部門は1部門だけで、残りの部門は全て調査部門になっ
ています。管内の納税者について、個人も法人も内部事務がそれぞれ1部門づつ、職員の数で
7〜8人で処理されています。それに対して、都税事務所はどうなっているのでしょうか。法人
事業税、法人住民税の課には、一体何人の職員を置いているのでしょうか。この人たちは、
税務調査をするわけでもなく、唯申告書を発送したり、収受したり、間違いがないかチェック
するだけの要員ですが、何十人といます。区役所の税務課はもっとビックリさせられます。
区内を十ぐらいのブロックに分けた係があり、それぞれの係にはやはり、セーター姿の職員
が配置されています。

国税職員は全国で5万人、地方税の職員は都道府県と市町村を含めて国税職員の倍はいると
言われています。現在は、納税者はそれぞれ別個に申告書を提出して、納税しています。
しかし、前述したように、国税が先に決まり、地方税が後から算出されることや、地方税の
納税管理コストがかかりすぎることから、窓口は一本としたらどうかと考えます。つまり、
税務署と地方の税務事務所、税務課について合併してしまうことです。もちろん、地方分権
の立場から地方税を廃止して全て国税にするのではなく、便宜的に国税と地方税を同時に徴収
管理事務をした方が効率的ではないかという発想です。法人税や所得税の申告書も、国税の他に、
地方税の計算の欄を設けるか、別表を付けることで、1ヶ所に1枚提出すれば足りるようにします
もちろん、徴税した国税、地方税はそれぞれに分けられて、国庫、地方に入金されます 。


税務行政の問題点

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