人事改革


財務省(旧大蔵省)のキャリア、日銀の課長が逮捕され、金融不祥事も留まる
ところがありません。腐りきった財務省等、中央官庁を改革するには、組織改革
の他に人事制度を改革しないと片手落ちになると思います。現在、財務省では国
家公務員T種試験採用者でも、本省採用、財務局採用、税関採用、国税庁採用等
に分かれており、さらに同じ大卒程度のU種、国税専門官採用、さらに高卒程度
のV種採用とになっています。これは、インドのカースト制度に似ていて、一番
上のT種試験の本省採用で更に、東大法学部卒でないと、本省の課長や局長そして
事務次官にも出世しないことになっています。又、それぞれ採用試験別、採用官庁
等によって出世が何処まで出来るかは最初から決まっています。上級の試験、上級
官庁採用のほどスイスイ猛スピードで出世して、下級官庁採用のほど競争が激しく
なり、なかなか出世は出来ません。

本省採用者は28歳で税務署長になり(最近はこのような若さでの人事は無くなった
ようです。)、父親のような年格好の部下を顎でこき使い、ペコペコはげ頭を下げ
られ、又、地元有力者から接待漬けでチヤホヤされ、そして、自分は全知全能の神様
でもあると錯覚して行くのでしょう。そのくせ、全く税務署の実務など出来もせず、
ベテランの副署長や総務課長におんぶにダッコです。税務署長を終えて本省に戻った
後も、銀行や証券会社の接待漬けは続き、全く俗世間とはかけ離れた殿様のようになり、
銀行や証券会社に「良きに計らえ」となっていったのでしょう。東大を出てT種試験
をパスして財務省に入った「優秀な人材」のはずが、今までの数々の失敗は何なので
しょうか。このような「優秀な人材」にこれからも日本の金融、財政を任せられるのか
甚だ疑問です。彼等はペーパーテストによる学校の勉強の記憶力、パズルのような難問
を解くことができるでしょうが、それ以外の実際の実務での指導力、決断力、責任感、
判断力等仕事をこなして行くための諸要素は全く担保されていません。それにも拘わらず、
最初から決められた出世街道を走ることには無理があります。

次のように人事を改革する必要があります。

1.キャリアを廃止し、大卒は本省採用一本とする。大卒採用者について、T種だのU種
だの、本省採用だの、財務局採用だの分けず、すべて一本化する。国税庁については、
分離独立させるため、現行の国税専門官と普通科採用のみとする。採用時の試験成績、
出身校で差別せず、あくまでも採用してからの勤務成績、本人の希望、適性により昇進させる。

2.天下りの温床となる早期退職は廃止して、全員が60歳の定年まで勤務すること。局長
以上は60歳以上として、事務次官の定年は65歳とする。そして、銀行、証券会社等関係
する業界への天下りは一生涯禁止とする。

3.国税庁は財務省から分離独立させる。現在では、税務調査について政治家、財務省
幹部からの横ヤリがあり、公正中立に行われているのか疑わしい。又、財務省では、自
分のところを批判する者に対して、脅しの目的に税務情報を税務調査以外の目的で使っ
ている。国税庁の幹部は殆ど財務省のキャリアに支配されており、何処の期間からも独立
していないと課税の公平が実現できない。

4.天下り税理士を廃止すること。現在、署長、副署長等の税務指定官職は58歳で勇退
することが慣行となって、定年までの2年間の所得保障という意味合いで、国税当局が
顧問先を斡旋している。これは、特定企業との癒着を生み課税の公平に反し、他の税理士
の仕事を奪うものである。したがって、指定官職であっても定年は60歳として、顧問先の
斡旋などは一切行わないこととする。


税務行政の問題点

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